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物語


何処かから、童歌が聞こえる。

朧月夜に祈りがひとつ…
朧月夜に呪いがひとつ…
戻れず 戻らず 想いを違え
永久に囚わる 朧夢
何を守るか 鎮守森

家屋から山まで幅広く売り捌く、人呼んで銀縁の千里(せんり)は、
客である楓(かえで)と、そのお付きである津久野(つくの)を、とある山中にて迎えていた。
焼け落ちていた吊り橋を掛け直し、大きく枝葉を広げて立っていた樫の木を切り倒して、
ようやくたどり着ける、かつては村があった山の奥。
千里が計画したのは、自然を満喫出来る「山村一泊ご招待」。
山の散策、どっきりドキドキ夜の廃村肝試し大会、山の幸いっぱいの食事…。
楽しいイベント満載の計画…の、はずだった…。

「一息つきがてら、この村に古くから伝わる昔話などいかがです?」

「へぇ。そんなのがあるんだ」

「遙か昔、渓谷の奥の吊り橋の先に、小さな村があったけ」

…短い昔話が語り終えられたその時、今はもう誰もいないはずの村がざわりと動き出す。



もうすぐ、夜がやってくる……。






A Theatrical Campany yakoudou