1900年代初期の通信事業の開始から、社会構造が変化してきました。(この変化を「電磁波による距離革命」という表現をする人もいます。)この様な変化の中で、我々の社会に最も大きな変化を与えたのは、電話・ラジオ・テレビではないでしょうか?
電話の技術革新のスピードに対して、ラジオ・テレビの変化のスピードはゆっくりとしていますが、テレビも地上波デジタルという大きな変化が生じようとしています。
ディジタル(digital)、アナログ(analog)というという言葉はよく聞きますが、どういう意味なのでしょうか?ここでは、身近な機器である体温計で説明します。
少し前までは水銀を用いた棒状の体温計が一般的だったのですが、最近は体温を数値として直読できるタイプのものも一般的になり、身近な機器の中ではもっとも大きく変化したものの代表例ではないでしょうか?(余談ですが、非接触式の体温計も安価になってきています。)
人間の体温は、時間と共に連続的に変化しています。このように連続的に変化する情報を扱うのがアナログ(analog)です。水銀を用いた体温計は、水銀の体積の変化という形で体温の変化を記録し、体積の変化量から体温を読みとります。この場合の体温はアナログ量で、このように連続的に変化するものを直接表しているので、水銀を用いた体温計はアナログ表示です。
体温が数値として直読できるタイプのものは、一定時間ごとに温度センサーが検出した温度を記録し、体温の変化が少なく安定したところで体温を表示します。このように一定時間ごとの離散的な情報を扱うのがディジタル(digital)です。この場合の体温はディジタル量として表され、体温を直読できる体温計はディジタル表示といえます。(どのような状態を安定していると判断するかが、メーカーのノウハウ といってもいいかもしれません。最近は、安定前に実際の体温を予測するタイプが増えてきています。)
このようにディジタルで情報が処理されて36.5℃と表示されている場合は、体温がちょうどその値とは限らず、ある程度の誤差 を含んでいると考えられます。(この誤差は量子化誤差と呼ばれるもので、後で詳しく説明します。)
体温の場合は、正しい値を示してくれればよく、仕上がりの品質というものを考える必要はありませんが、仕上がりの品質を論議する時に、一般的に「ディジタルで処理されたものの方が良いものである」というイメージがあるようですが、実際にはそうとは限りません。一番わかりやすいのが写真です。大判のポスターなどを作成するに、ディジタルカメラで十分な品質が望めない場合には、銀塩写真で撮影します。使用目的、コストとのバランスをよく考慮して、適切な機材を選択しなければなりません。(コストを無視すればアナログで処理したほうが、高品質な仕上がりになる場合もありましたが、最近では、一概にそうとはいえない状況となっています。)
ディジタル時計という表現をよく聞きますが、時間表示がディジタルでも、時計の内部の仕組みがディジタルになっているとは限りません。内部がアナログで処理されていても、時刻表示だけをディジタルにすることが可能なので、見た目だけで、どちらなのかを判断することはできません。
アナログとディジタルを比較すると次のようにまとめることができます。
| アナログ | 長所 | 連続的に記録できるので、情報の欠落の可能性が低い。 |
|---|---|---|
| 短所 | 外部からのノイズに対して弱く、情報が変形しやすい。 | |
| ディジタル | 長所 | 外部からのノイズに対して強く、情報が変形しにくい。 |
| 短所 | 離散的に情報を記録するので、情報の欠落の可能性がある。 |
情報のディジタル化が進んでいくのは、上記のような長所があるためなのですが、ディジタル化された情報の性質をさらに詳しく考えると次のようにまとめる事もできます。