
都市部から一歩奥に入り山間部へ行けば、集落ごとに「竹林」を見ることができる。日本人が昔から筍を食し「竹」を生活に利用してきた証拠である。昔話「かぐや姫」の舞台にも竹林が登場するように、竹と人とのつきあいはかなり古くからあったと考えられる。
ところで竹や笹は“樹木”の仲間だろうか、それとも“草”の仲間だろうか。竹を見たり触ったりすれば樹木の仲間だと思ってしまうが、竹の一生を見れば草の仲間であることがわかる。草の仲間は種をつけると枯れて世代交代するが、樹木の仲間は種をつけても世代交代しない。竹や笹は50〜60年に1回花を咲かせ、実をつける。近年この大周期に当たり花や実をつけている貴重な笹を見ることができる。しかし前回は60年前。戦時中でもあり、人々は貴重な食料として笹の実を食べたという。実はこの笹の実を「野麦」と呼んでおり、かの有名な映画「ああ、野麦峠」に出てきた野麦は実は笹の実だったのである。
“た〜けや〜〜〜さ〜おだけ〜”と調子をつけて歌いながら「竹屋さん」が竹ざおを売りに来ていたのはいつ頃のことだったであろう。考えてみればプラスチック製品が普及する前は生活の中でよく使っていたものである。
竹には様々な特徴がある。中が空洞でところどころに節がある。これを利用して「一輪挿し」や「水筒」を作った。竹で作った水筒を腰にぶら下げて山を歩くとお守りを持っているようでうれしい。
また竹には殺菌作用のある成分が含まれている。これを利用して昔から笹の葉にごはんやもちをくるんで“笹団子”などの保存食が作られている。味噌を仕込んだときにも笹の葉で覆っておくとかびない。

さらに青竹を火であぶると油分がにじみ出てくるのを利用して、炭火で青竹に巻きつけたパンを焼いたりする。パンの生地がこびりつかず、きつね色の香ばしいパンがするっときれいに取れる。
他にも箸やスプーン、フォークを作る。コップやおわんも作れば野外クッキングが一層楽しくなる。
ところが、このように竹が使われるのは現代では稀になってしまった。昔人々が生活の中で利用し家の裏に植えた「竹林」は今では「竹薮」と化している。竹薮では竹が密生しているため筍も出てこない。ますます竹林は私たちにとって無用の長物となってしまう。
「竹の利用」は私たちの先人が築き上げてきた「日本の生活文化」のひとつである。私たちは急がねばならない。長い年月をかけて築かれたこの文化を失わずに次世代に引き継いでいくことができる時間はわずかしか残されていない。

だから竹林の地主さんにお願いして子どもたちと竹を切り出し、竹を利用する活動をすることはとても重要なライフワークであると思っている。
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