4枚のレンズから出来た接眼鏡で、記号はOもしくはOr。
ツァイス社(ドイツ)のエルンスト・アッベが発明したアッベ型の この接眼鏡は、性能が良かったので「オルソスコピック」(整った像)と名づけられた。
(その前はケルナー式が,オルソスコピックだったそうだ。)

オルソスコピックと称されるものには,オーストリアで生まれたもう1種類があり,プローゼル型
と呼ばれている。
プローゼル型の記号はPLだが、日本ではOrと称することも多い。
PL型は,1群レンズと2群レンズが同じであるため,アッベ型より製造コストが低いと言われ,今ではこちらが主流になっているよう だ。

いずれにしろ「オルソスコピック」は長ったらしくて呼びにくいので、 「オルソ」と短縮して呼ばれることが多い。
オルソは、「接眼鏡の横綱」で、月や惑星を高倍率で見るために適し,以前は子供の小遣いではと
ても買えなかった。
オルソは各収差が良く補正されており、対物レンズの分解能を判断するための「基準」として使われるほど。
アイリリーフはケルナー式よりも更に長く、焦点距離の8割程度あるため、12.5mm以下の短焦点でよく使われる。
ツァイスサイズ(24.5mm径) スリービーチ光学製 1981年頃 4000円くらい。
6cmF7の短焦点望遠鏡を自作する際、ハイゲンス式では無理と考え、購
入した。
所有していたHM6よりは 確かに のぞきやすかったが,惑星などが視野周辺に来ると,内面反射によるフレアが発生した。
オルソとは言え、対物レンズが6cmF7のアクロマートだったので色収差はさすがに出た。
近年、不要となった望遠鏡につけて,手放してしまった。 コートや 形式は不明。
ツァイスサイズ(24.5mm径) ビクセン製 マルチコート 1993年 定価7000円
ビクセンブランドの小型望遠鏡に付属していた物。
マルチコート付きで、公称みかけ視界43度、プローゼル型。
内部の枠は接着されていて、分解が不可能。(レンズが汚れたら拭くのが大変だ)
アイリリーフが短かめで、実測したみかけ視界も40度に足りない狭さで、あまり使っていなかった。
最近、惑星の観察に何気なく使ったところ、ハイアイ接眼鏡のLV5mmよりクリアに見えることも多々あり、オルソの良さを見直すきっかけになった。
(付記 2004-11-18) 修理と視野環を追加工で拡張するために,接着剤をハガして分解した様
子。

視野レンズと 眼レンズが同一のプローゼル型である。
ツァイスサイズ(24.5mm径) ノーブランド 1990年頃 誠報社で 4000円くらいで購入
望遠鏡専門店の「誠報社」で、安売りしていたもの。外観は上記の物と同様だが、眼レンズが大きい。
光学に詳しい知人の所見ではアッベ型。 モノコートだったか,マルチコートだったかについては記憶に無し。
このくらいの焦点距離だと,アイリリーフも長くて,のぞきやすく、10cmF4反射に付けても,木星,土星がスッキリと良く見えた。
しかしこの焦点距離は使用頻度が低くく、けっきょく手放してしまった。(今は後悔)
アメリカンサイズ(31.7mm
径) マルチコート (台湾製) カサイトレーディングより1999年に4000円で購入
1999年の火星接近を見るために買ったもの。
上記のビクセンOr6mmにうっかり傷を入れてしまったので、ピンチヒッターとして、カサイトレーディングから購入。
外観も美しく、光学性能も悪くなかったので、バーローレンズと組み合わせて火星を見ていた。
性能は良いが,ハイアイに慣れたせいか,アイリリーフが短かく感じられ,のぞきやすいとは言えない。
また,視野環の仕上に問題があり,少し凸凹している上に、ピンボケ気味である。
しかし、この価格でアメリカンサイズのPLが買えるのだから、多少のことには目をつむるべきかと思う。
アメリカンサイズ(31,7mm径) モノコート ノーブランド 1999年 誠報社で¥4000にて購入
誠報社で「オリジナルシリーズ」として売られているもので,公称みかけ視界41度,アッベ型。
製品には「キャップ」が付属していないので,手元にあったアメリカンサイズのキャップを付けてみると,見口側にも同じサイズのキャップをつけられ る工夫がしてあった。

さすがに焦点距離が4mmともなると,オルソを持ってしてもアイリリーフが短くて,のぞきにくく,視界も広いとは言えない。
10cm屈折につけて惑星や月を見ると,なかなかよく見え,周辺像も良好。
もっとも,かなり高倍率になるので,シーイングが良い時でないと,辛い。
この接眼鏡は国産のアッベ型オルソでありながら,不思議なくらい低価格なのが嬉しい。
筐体に(T)のシールが貼ってあり、知る人ぞ知る谷光学の製品である ことを物語っている。
レンズ構成を見ると,参考書で見るアッベ型とは少し違いがあるようで,視野レンズ、目レンズにそれぞれ平面を含み、コストダウンの形跡を感じる。
分解図
視野レンズが3枚構成のアッベ型
アメリカンサイズ(31.7mm径) ノーブランド マルチコート+モノコート (台湾製) 2002年 国際光機で¥2500(処分価格)

上記のPL6.3とは同じシリーズの1本で、安価でありながら、同焦点設計もされている。
こちらはゴム目当てが加えられたシリーズで、本来の定価は4800円。
本品はモノコートが含まれた旧品で、ネット販売で¥2500で安売りされていた2本を購入。(計画中の双眼望遠鏡のため)
糸巻き状の歪曲収差はあるものの、像面湾曲、視界周辺での像の崩れは少なく、クリアな見え味は気持ちが良い。
みかけ視界は公称52度で、PL型の基本通りだが,低中倍率用の接眼鏡として考えると、やや不満が残る。
OR 7
アメリカンサイズ(31.7mm
径) マルチコート (日本製) カサイトレーディング扱い 2005年 定価¥12000

「安価な接眼鏡コーナー」には相応しくないけれど,安売り時に購入したので無理やり入れてみた。
このコーナーを立ち上げた1999年とは違い,今ではすっかり少数派になってしまった感がある「日本製」。
谷光学のオルソと比べると,マルチコートが施された平面を含まないアッベ型のレンズ構成や作りの良い筐体などが光る。
遮光線が
入った目当て
既に持っている接眼鏡と重ならないよう 7mm という珍しい焦点距離を購入。
OR7で見た火星焦点距離が近いPL6.3からOR7に交換すると,色収差が少なく,コントラストも多少良いのは分かるのだが,所有している望遠鏡の性能が,さほ ど良いものではないためか,差はわずかなものである。
また,みかけ視界は,52度から42度に減るので,やはり少し狭く感じられ,追尾機能を欠いた望遠鏡では不利。
むしろ¥4000のPL6.3が,意外なほど健闘しているのだ・・・と思わされた。


オルソスコピックについての私見
「高嶺の花」だったオルソスコピックも,ハイアイの新型接眼鏡の登場 で、影が薄くなり、安売りされているものも多い。
たしかに新型のハイアイ接眼鏡に比べれば、視界は狭く、のぞきやすくもないが、見え味はシャープな物が多いと思う。
メガネを外して見ることが出来る方にはお薦め。