152mm F5 反射 ページ (3/3)

上下左右微動装置の追加

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画像 微動装置を追加した15cm

 改良前の不満は、
(1) 上下左右の動きが渋過ぎる
(2) 鏡筒に付属するグリップなどを持って左右上下に動かす必要があったために、揺れが発生しやすい

ことで した。
 これを解決するためには、微動装置の導入が不可欠であると考えました。

コンセプト

 ・微動装置によって、高倍率で月面をsurveyできる。
 ・微動装置が大げさでなく、シンプルな外観を失わない。

上下微動装置

 画像上下微動

 海外HPにある方法を応用しました。
 http://homepage.ntlworld.com/molyned/dobsonian_construction.htm#BELLS% 20AND%20WHISTLES
 写真を一目見た時に これだと確信しました。
 私の場合、もともと鏡筒と架台はボルトで接合されていますし、ピラーの裏側(鏡筒と の間)に十分なスペースもあったので、メカを隠すことができそうです。
 図に書き出したような装置をデザインしました。図(クリックで拡 大図)
 鏡筒をピラーに接続するボルトに、ボルトよりも大きな穴を持った鉄板を挟みます。
 ボルトを締め付けると微動装置が機能するようになります。
 ボルトを締め付けた状態では鉄板と鏡筒がA面で固定化されます。
 ここで、鉄板がボルトを中心に振り子状の動きをすれば、これに連動して鏡筒が上下に動きます。
 また、ボルトを緩めた時は、図のA面が滑りフリーに上下動させることが出来るという機構です。
 振り子の動きをノブ回転で制御する装置として「上下スライド可能な固定ナット受け」を図のように配すれば、微動ノブを回すと上下に微動するはずです。
 実は、作製当初、図のA・B面は、共にポリプロピレンワッシャー(*)を用 いていました。
*樹脂名、文具のクリアフォルダーを切って使用
 しかし、2倍バローとOLV3.5mmの組み合わせ(私が使う中では最大重量となります)で前後バランスが崩れた状態かつ、水平方向に近い位置をまで鏡 筒を寝かせて用いると、滑りが生じることが分かりました。
 そこで、A面の摩擦を増大させるために、ポリプロピレンをやめて、ピラーの大きさを超えない最大径を有する厚さ1.5mm板(細かなオガクズと樹脂を圧縮形成した集成板)を用意し、この中心と鉄板の穴を合致 させた位置で、この鉄板を埋め込んだ状態になるように穴と掘り込みを入れました。
 この木板は、掘り込みに鉄板がキッチリはまり込むことで、鉄板と一体となって回転し、力を伝えます。
 図のようにピラー側はポリプロピレンシートのワッシャーを配し滑り易くします。
 固定ナットにロングボルトをねじ込み、ロングボルトをまわすとナット受けがロングボルトに沿って移動します。画像
 これによって、鉄板がボルト軸を中心に振り子状の動きをします。
 この装置は、微動が付いていなかった時と同じ動作で、フリー粗動とストップが出来る上に、ボルトを締め付けてストップした状態では、自動的に微動装置機 能がONになるというものです。

左右微動装置

 そもそも、ガタが無くスムーズに左右回転が可能な架台を作ることは非常に難しいと感じていました。
 当初は、既存のターンテーブル用ベアリ ング を用いて中心を作り、その周囲を軸遊びの少ないキャスター(ハンマーキャスター 約70円)を用いて補強していました。

図

 この方式では、なかなかガタが納まらず非常に苦労して調整を行っていました。
 そんな折、分解中に何気なくキャ スターのみを装着した架台をフローリングの床に置いたところ、ガタも無くきわめてスムーズにクルクルと回転したのを見て、気がつきました。
 結局中心に大き な力点があったために、これが逆にガタが出やすくなっている根本原因だったのです(図参照)。
 実に単純な設計ミスでした。そこで、微動装置の導入時にこの 点も合わせて変更することにしました。

画像

 左右微動を導入するにあたって、先ず使用しやすさを考えました。
 つまり、せっかく微動装置があっても、低い位置にノブがあったり、鏡筒の水平回転によって ノブと鏡筒の位置関係が変わってしまう方式では、良くないと考えました。
 よって、ノブは底板ではなく天板に付けること、ノブを延長して手元に持ってく ることを前提として出来上がりの位置としました。

画像使いやすい位置まで伸ばした微動ノブ

 さて、左右微動で用いられる方法は、

・大きな丸いギアをボルトで動かす方式

・丸いギアの代わりに長ボルトの 軸だけのもの(市販)を丸める方法 (yamaca注記:ここに例あり

・丸い円板の周囲にテフロン製のボルト軸の長いものを巻きつける方法(海外HP)

・設置したキャスターやベアリングの 一つを動力で回す方法

などがあります。
 その他にも様々な方法がありますが、それぞれキーになる部品が高価であったり入手が困難であったり、工作が難しかっ たりと中々実行に踏み切れませんでした。
 そんな折、運良くジャンクギアを頂く機会があったので、何とか組み合わせて、減速ギアを作ることにしました。
 次に ギアで減速した回転を望遠鏡の回転へと伝える仕組みを考えました。
 最初、熱で溶かして接着できるベルトで動力を伝える方式にしてみました。
 しかし、ベルト が伸びるために遊びが生じ、微動が思うようになりませんでした(失敗)。
 そこで、安価なチューブゴムを円形の木板に巻きつけて滑り止めとしたものを直接接 触させることにしました(図)。

図(ク リックで拡大図)

 これでようやく使用に足る微動が可能となりました。

画像 画像

 フリー回転のために、クラッチ機構も設け ました。
 その他、キャスターが 安定して接触できるように、底板を表面の平らな集成材に変更しました。
 また、野外での使用も想定し大型の足を取り付けました。
 おまけで、天板の端にコンパ スを付けました(取り外し可能)。

上下、左右微動装置の使用感

 上下左右微動を得て,これまでの最高倍率であった200倍(LV7.5mmと2倍バロー)で月を観望しました。
 微動の無い状態では、追尾が出来ないために、 視野の端の方に見たい部分を導入し、自転によって動いてくる過程を眺めていました。
 これが、微動装置のおかげで、好きな部分を常に中心部に維持することが 出来るようになりました。
 これに勇気付けられ、さらに高倍率をとLV3.8mm(正確にはOLV3.8mm。 LV4mmの輸出仕様・ビクセン)を購入し、395倍(2倍バロー併用)としてみました。
 流石に見にくくはなりましたが、逃げてゆくクレーターを追いかけ て行くことが出来、まさに目の前にあるクレーターの凹凸をじっくりと観察できました。
 苦労して微動装置を追加した甲斐がありました。

追記

 天文・自作素人の私がしだいに高倍率を求める過程で実感したことは、はやり防振は最重要であるということです。
 振動を抑えるという意味では、木材や紙筒というものは、やはり弱いですね。
 かといって、重すぎる望遠鏡もどうかと思います。
 双眼鏡に導入されてきた防振装置を望遠鏡にも付けるのが一つの解決方法かもしれません。
 振動について、本作品の架台作成を通し実感したのは、強度と硬度の違いです。
 私の木架台も強度は十分にあります。
 しかし、木という素材の持つ弾性のために、いくら補強をしても振動は無くなりませんでした。
 仮にピラーを倍の太さにしても結果は大差ないのではないかと思います。
 ここでの教訓は、防振とは強度を高めることによって得られるのではなく、硬度を高めなければならないということです。
 私の陥った過ちは、防振のために硬度を得ようとして不必要な強度を得てしまい、重くなるということです。
 過不足のない強度で、大きな硬度を得るための構造や素材の探究もまた、自作の範疇において考えるべき点と感じました。

(2005-04-11 掲載)

 上下,水 平とも微動とフリーストップが共存しており,「微動は必要か?」へのひとつの回 答になっていると思いました。(yamaca)

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