オンキョーPCスピーカGX−20AXの改造
■1、概要
写真1

写真1の右側はオンキョーのPCスピーカGX−20AX、左側はそのスピーカ・ユニットを利用して製作したスピーカです。
キャビネットはオリジナルとは別に新規作成しましたので、改造というよりはGX−20AXのスピーカ・ユニットを利用したスピーカの製作とも言えます。
GX−20AXの右スピーカにはアンプが内蔵されていますが、抜き出してスピーカとは独立したアンプとしました。
その価格で販売できるのが不思議なくらいの低価格のPCスピーカでは改造したところで価格相応のネックというものがあるかと思います。
一方10000円以上になると改造の必要性だけでなく、そうそう気軽に改造する気にはなれないものがあります。
GX−20AXはヨドバシで5220円(10%ポイント還元)で、基本的なところはしっかりとしていて、改造するには手ごろな価格帯かと思います。
高くはないPCスピーカに多大な金額をかけて改造するのも変な話ですし、なるべく低額でという路線で行くことにしました。
(こちらのページの)前に行ったPCスピーカのエルパSPU−107の改造で、奥行きの深いトールタイプはPCスピーカとして優れたものがあることを実感していますので、このタイプにすることにしました。
SPU−107は2ウェイですがGX−20AXはフルレンジで、近くに置くPCスピーカだけに音の定位への影響も小さくないのではという興味もありました。
また、改造したSPU−107は音は良いのですが、見た目は何とも感があり、見た目の良いスピーカを作ってみたいという気もありました。
■2、音声サンプル
1と2は3をパソコンで演奏させてスピーカからの音をマイクで録音したもので、1はGX−20AXの左スピーカ(アンプが入っていない方)、2は改造したスピーカです。
なお、3の元はカセット・テープで、カセット、プレーヤからパソコンのライン・インに接続してmp3ファイルにしたものですのです。
使用したアンプはGX−20AXの右スピーカに内蔵されていたアンプで、右スピーカを接続するジャックを設けただけで特に回路の改造はしていません。
録音時、アンプのトーン・コントロールは中央にした状態で、イコライザ(物でもパソコン・ソフトでも)は使用していません。
曲は「カイマナ・ヒラ」です。
なお、パソコン(日立Prius AR35L)内蔵のマイク・アンプは話にならない品質で、マイク・アンプを外付けしてライン・インに接続して録音しました(つまりパソコンで演奏と録音を同時に行ったわけですが、ライン・インをミュートしないと山びこ状態になってしまいます)。
こちらのページの「アル・ディ・ラ」はその話にならない内蔵マイク・アンプを使用しています。
その同じページにある「別れの磯千鳥」は外付けのマイク・アンプを使用していますがハム音が耳につきましたので、今回はマイク・アンプの電源に少し手を加え、ゲインを下げてスピーカの音量を上げて録音しました。
全く同じものを2つ作ってもということで、もうひとつのスピーカは写真1より少し小さく作りましたが音は写真1の方が明らかに良く、全て写真1の方についてのみの説明としました。
つまり・・・、説明の対象とするスピーカがひとつしか無い状態ということになり、モノラル録音とおぼしき「カイマナ・ヒラ」を右スピーカだけ鳴らして録音しました。
■3、GX−20AXの分解
●アンプ回路の抜き出し
ボリュームとトーン・コントロールのツマミを外し、後ろの金属製のパネルの4つのネジを外すことにより、この金属製パネルに取り付けられた基板ごと後方に抜き出すことができます。
なお、ツマミは差込式で手前に強く引き抜くことで外すことができますが、先が細くなっていて力をかけにくいものがあり、滑り止めとしてテープなどをツマミに貼ると楽に抜くことができます。
●スピーカ部分の分解
写真2

スピーカ・ユニットはネジ止め、サランネットとバスレフポートのあるパネル(今回の改造ではこのパネルは使わないので外す必要はありませんが)は差込式で接着ではありませんので、写真2のように比較的簡単に分解することができます。
サランネットは下からドライバーなどを差し込むと外しやすいものがありますが、うかつにやるとドライバーでスピーカを傷つけてしまうことになり、注意が必要です。
■4、キャビネットの製作
●ファルカタ材を使用
手軽路線ということで木材調達に近所のスーパーのDIYコーナに入ったら、最近はDIYは流行らないらしく随分コーナが縮小されていて、あまり選択の余地はありませんでした。
けっきょく、厚さ13mm、幅200mmのファルカタ(ファルカータ)材を用いることにしました。
ファルカタは(桐とは全く別種ですが)西洋桐とも言われ、桐に似た淡色で柔らかく加工しやすい木材です。
値段は比較的安く見た目も比較的綺麗なものがあります。
スピーカに使われることはありますが、特にスピーカに適しているという話は聞いたことがなく(軽い部類で、それはスピーカにとって良いことではないと思います)、高級スピーカでは普通使われないようです。
●キャビネットの形状
図1

キャビネットの外形寸法はW90×H380×D226とし、図1に側面図と正面図を示します。
奥行きの226mmは幅200mmの木材で楽して作成ということで木材の厚さを足したものです。
用途としてPCスピーカということを念頭に置き、幅が狭いGX−20AXの幅そのまま90mmとしました。
写真3

後で色々手を加えることができるように背後の板は接着せず写真3のようにはめ込み式にしましたが、これで特にビリつきなどは生じていません。
これはなるべく隙間が生じないように工作する必要があり、先に製作したキャビネットの背後に幅10mmの角材を用いて現物合わせでピタリと合うように背面の板を作製しました。
はめ込みが充分固いのでネジは使用していません。
なお、幅が狭く奥が深いので、手を突っ込んで作業するのは手が細い部類の私でも窮屈感があります(当然腕力はない部類で力技系の工作は苦手です(^^;)。
●表面仕上げ
無塗装の白木でもそれなりに美しいものがありますが、サンド・ペーパをかけてから木彫オイルでオイル仕上げにしました。
オイル仕上げで少々黄色を帯びました。
写真2はフラッシュ撮影そのままですが、写真1と写真3では本物に近い感じになるようにキャビネットの木の色に合わせてカラー補正してあります。
パソコンの画面は明るい色が標準的で、PCスピーカが黒っぽいとコントラストが強すぎ、目への負担という点で明るい色の方が適しているように思います。
●スピーカ・ユニットの取り付け
キャビネットの穴はスピーカ・ユニットが収まり、かつ隙間が生じなければ良いわけで、さほど綺麗な真円である必要はありません。
木が柔らかいこともあり手持ちのありふれた工具で穴あけ作業はわりと簡単に済ませることができました(多少の出っ張りがあっても木が柔らかければスピーカを無理に押し込む手も通用します)。
写真2でキャビネットのスピーカの穴の周囲に窪んだ掘り込みがありますが、スピーカ・ユニットの黒いリング状の部分がそれにはまる形になっていて、このスピーカ・ユニットは少々嫌らしい形になっています。
穴を空けただけではスピーカ・ユニットの黒いリング状の部分の厚さだけスピーカ・ユニットのネジ止めする部分が浮き上がってしまうことになります。
浮いた状態で均等にネジ止めする方法もありますがあまり気持ちの良い話ではなく、黒いリング状の部分にはまる直径77mmの穴を空けたシートを厚さ1mmのプラ板で作製して間に入れることにしました(写真1のスピーカ・ユニットの回りに写っている白い部分です)。
スピーカ・ユニットを取り付ける穴の直径(バッフル穴径)の73mmというのは、例えば自作スピーカで良く使われるFOSTEXのFE83EやFE87E(防磁型)では72mmとなっていて、このクラスのスピーカ・ユニットではこの近辺が多く、そのまま取り付けられる他のスピーカ・ユニットも少なくないようです(合わなければ合うように手を加えれば良いことですし)。
■5、バスレフ・ポート
当初密閉式で実験してみましたが、低音が全く足らずバスレフ式に変更した経緯があります。
内径24mm、外径26mm程度のサンドペーパの芯を長さ35mmにしてキャビネットの裏に接着し、この筒の外径に合うように紙を巻いて筒を作成し、それを挿し込むことにしました。
差し込む深さで長さの変更がある程度できることになります。
音を評価しながら長さを調整するのは、「ここ」という最適ポイントは案外分かりにくものがありますが(アバウトで良いとも言えます)、とりあえず筒全体の長さは60mmに調整しておきました。
■6、吸音材
吸音材としてバスタオルを少々無理に詰め込む感じで入れたところ、あまり調子良くありませんでした。
写真3に写っていますが、使わなくなった夏用のシャツは軽く入り、これで結構良好なように感じます。
キャビネットの幅が狭いので抑える必要はなく、突っ込んであるだけです。
■7、終わりに
さしたることもない要するに箱を作るだけの手間でずっと音が良くなりましたが、もちろんメーカより私の方が技術が上というわけではなく、メーカの商品ではサイズ、原価、製造コストから在庫管理費(大きいとかさみます)など様々な制約がある中で、自作ならば自分の都合で外して構わないものは自由に外せて、音が良くなったのはサイズの制約を外しただけのことと言えるでしょう(私のパソコンデスクの都合で幅の制約はそのままです)。
また、木工作業は自動化しにくいものがあり、自作すれば「箱を作るだけの手間」でもこれを商品の製造コストに入れ込むとなると、1日作業でもたちまち高級スピーカの価格帯域に入ってしまうことでしょう。
「スピーカを自作すると欲しい良いスピーカが安く手に入る」とも言われ、嘘っぽくも聴こえますがかなり本当のようでもあります。