ホバークラフトについて


まずは図書館で文献を探しました。

参考文献によると、ホバークラフトという言葉はHover(その場に浮いてとどまる、 の意。一般的にはHoveringとして用いる)とCraft(飛行機、船などの乗り物、工作物、 の意)の合成語だそうで、この言葉(単語)については、かつてブリティッシュ・ ホバークラフト社の登録がなされていたが、現在では誰でも使うことができるそうです。
その他、同じ乗り物を表す言葉としては、ACV(Air Cushion Vehicle空気クッションを 利用した乗り物)GEM(Ground Effect Machine 地面効果を利用した機械)などがあります。

ア ホバークラフトの特徴

(ア)縦横比

ホバークラフトの特徴のひとつは、全長に対して全幅が大きい、いわゆる縦横比 (アスペクト・レシオ Aspect Ratio)が小さい点にあります。
一般的な船舶、ボートと比較して横幅は2〜3倍広いのです。この理由は、空気をためる 「圧力室」の面積を、できるだけ広くとりたいためです。できれば真円が良いのですが、 実際には高速で走るので長方形をとらざるを得ません。

(イ)スカートの役割

ホバーの艇体はどんなものでも、原則的には机の上に置かれた皿の形をしています。
実際にみれば、それが楕円であろうと矩形であろうと、一種の皿に似ていることが分かります。 これがクラフトの船体です。
この下に、スカート(Skirt)と呼ばれる布地がつきます。 この場合のSkirtは女の人がはくスカートと同じ意味です。スカートの役割は主として次の3点あります。

(a)エンジンが造りだす空気の流れをせき止め、効率的な空気溜となること。

(b)空気溜(これを圧力室 plenum chamberという)から逃げようとする空気を 最小限におさえること。

(c)障害物に触れたとき、柔軟に対応し空気の洩れを妨げること。

今、エンジンに直結されたファンが、風速30m/sの風を送り出していると仮定します。
これが圧力室でせき止められると、ベルヌーイの定理により50kg毎平方メートルの圧力を生じます。
全長3.0m、全幅1.5mのクラフトの底面がそのまま圧力室になったと考えると、 その面積は4.5平方メートル×50kg=225kgとなり、この重量を持ち上げることができます。
ここでエンジンを止めれば、エアは空気溜まで届かなくなり、地上から持ち上がっていた 船体は沈下してしまいます。それを防ぐためには、エンジンとファンは、毎秒30mの速さの風 を送り続けなければなりません。

スカートの持つ2番目の役割は空気溜から脱出する空気の量を 少しでも少なくすることです。このもっとも良い方法は、スカートの地面と接触しようとする部分の形を研究し、 空気の逃げ道を狭くすることです。
具体的にはスカートの内縁にそって流れる空気を強制的に 曲げてやり、内部の空気を洩れにくくするのです。
最後のスカートの役割は、障害物に対する 追従性です。大きな石に乗り上げると、柔らかいスカートはそれを押し包むように働き、 空気を逃がさないためのカーテンへと変身します。これによってエアの損失防止に役立つのです。

(ウ)ホバークラフトの2つのエンジン

ホバークラフトには原則的には2つのエンジンが必要です。1つは浮上用、 もうひとつは推進用です。これらの出力は、浮上用1に対し推進用3ないし5の割合です。具体的な数値をあげると、 1人乗りで重量250kg程度のクラフトなら浮上用5〜7HP、推進用15〜25HPのエンジンが最適です。 そして、浮上用エンジンは走行中一定の回転で動かし続け、速度の制御は推進用エンジンで行います。 また、左右の方向転換は、推進エンジン後方に取り付けられた方向舵(Rudder ラダー)によります。 ブレーキはなく、停止は下記の(a),(b),(c),(d)の方法を単独、  あるいは組み合わせによって行うことになります。

    
(a)推進用エンジンをしぼる。

    

(b)船体の向きを90°変え、走行抵抗を増す。

    

(c)浮上エンジンをわずかにしぼって、スカートを地表に接触させる。

    

(d)緊急の場合は、浮上エンジンをカットする。
イ エンジンとファンの配置

 (a) 分類   

形式A 2基以上のエンジンを使用して浮上、推進用ユニットを別々に動かす形式

  

形式B 1基のエンジンで、浮上、推進用ユニットを別々に動かす形式

  

形式C 1基のエンジンで、浮上、推進を兼ねた一つのユニットを動かす形式


模型の製作


拡大 拡大
船体を浮かび上がらせるためには、地面と船体との間に空気の層を作れば良いはず です。
カップラーメンのカップを伏せて置き、底に穴を開けてラッパを 取り付けたものを作り実験をしてみました。
これを滑らかな台の上に置いて、上から息を吹き込むと簡単に浮上しました。
特に細かく計算をしなくとも実現できそうな感触だったので、自走式の模型を作ることにしました。
モーターでは、力が弱く、電池も重いため、模型用のエンジンを動力に使うことに しました。
船体は、古くなった洗面器を使いました。重量との兼合いからエンジンは 0.2馬力のものを使用し、紙製のダクトの中でφ110のアルミ製のファンを回しています。 エンジンマウントは木で作りました。
浮上を目的としているので、推進機構は 特に設けませんでした。
エンジンを始動すると船体は、3ミリ程浮上しました。 摩擦がほとんどなくなり滑るように動くのですが、ファンを回す反作用で、船体が回転してしまいました。
また、船体の下部があさがお型に開いているため、空気が逃げやすく、浮上する高さが低くなってしまう ことが分かったので、今度は、それらの点を考慮してベニヤ板で船体を製作しました。
船体がやや重く なったので、エンジンは0.28馬力のものを使用しました。
トルクの影響を打ち消しながら前進するように 空気の吹き出し口を付けました。
エンジンを始動すると約2センチほど浮上しましたが、依然としてトルクの 影響は消えず、直進性は良くありませんでした。
更に、浮上高さが高くなったため安定度が悪くなりました。 障害物に弱く、ほんの少しの段差でも乗り越えることができないばかりか、ぶつかった点を支点にしてひっくり かえりそうになることがありました。
障害物を乗り越える能力が乏しいのは、スカートを設けて地面の形に追従する ようにすれば解決すると考えました。


ホバークラフトの設計


これらの実験から、実際のホバークラフトの設計にはいりました。
まず、船体の形状を考えることにし、 参考書から、設計する際、重心のバランスがとりやすく、乗員のスペースを広くとることが出来るように、 2基のエンジンを使用して浮上、推進用ユニットを別々に動かす形式(型式A)にすることにしました。
このタイプは独立した リフトエンジンを持っているので、推進エンジンが故障した場合にも、低速ながら走行することが可能であり、 安全面からみてもよいようです。



目次に戻る