管理人さんごめんなさい。
私は、HP上で自分で公言しているぐらいで基本的に酒は強いです。
だから、マトモに飲み比べなんかしちゃうと相手が潰れてしまって、、、特に山では
人様の山行計画をブッ潰してしまう事がままあり、日頃申し訳無〜い気分でテント場を
後にする事もあります。
そんな私が‘97年、秋に夕張岳に行った時の話です。
登山開始は諸事情により、11時をとうに回っていました。勿論、通常から考えるとかなり遅い時間です。
でも、大雪縦走を控えての訓練登山なのでフル装備を担いでいた私は
「ま、いざとなればどこでもビバークすればいいさ。」ぐらいに考えていました。
案の定、陽は刻々と暮れて行きます。夜間登山の経験は、この時点では皆無に近い。
(やばいな〜、、、でも、ここまでくれば小屋に泊まった方が快適だし、夕張岳は熊もでるし)
急ぐ余りに、何度も木の根っこにつまずきながら、結局は下山を選択した私は焦って歩いてました。
なんとか、小屋が見えてきた時には正直、ホッとしたものです。
小屋に着き、「こんにちは〜!」と声を掛けると仙人のような管理人さんが私を見て
「あぁ〜、あんたか!時間も遅いから、さっきも分岐まで見に言ったんだよ」との事。
聞けば、下山して行く方が皆、心配して(時間が時間だったので)管理人さんに
報告してくださっていたとの事。「でもね、装備は万全で山慣れしてるって皆言ってたから
あんまり、俺は心配してなかったんだけどね〜」
それでも私は“お詫び”をして、早速夕食の準備に取りかかりました。
小屋を見渡すと、ガラ〜ンとして誰もいません。花の季節も終わってか、小屋も山と同様、閑散としていました。
石炭ストーブの側で、持参のストーブを出し、簡単な食事を済ませていると、管理人さんが出てきて
「一緒に食べよう」、、、と温かい味噌汁(地元で採れたきのこ入り!)や、何故かイカ刺しが、、、
ご飯は済んだので、、、「酒の肴に御一緒させて頂きたい」、、、と申し入れると
「じゃあ、風呂っこ沸かしてるから、一風呂浴びてくればいいでしょ」と親切な御言葉。
「え?風呂なんてあるんですか?」「うん、勿論、普段はお客さんには解放していないけどね。
でも、今日は一人しかいないんだし、さっぱりして休みたいでしょう。もう沸いてるから、いっといで」
「ありがとうございますぅ〜、、、」タオルまで貸していただき、離れの風呂に向かうと闇の中に風呂場の灯りと
湯気がホワホワと漏れています。遠慮無く風呂を頂き、さっぱりした私はビールといきたかったけれど
山には持って行ってない。
ザックから定番の日本酒を出し、管理人さんにも勧め、宴会がスタートしました。
もう、そりゃあ酒飲みって感じの管理人さんですが、優しい仙人って感じで年令は私の祖父ぐらい。
安心し切った私は、イカ刺しをご馳走になりながら、山の事やら、仕事の事やら、とにかく話してました。
管理人さんも奥さんや息子さんの話や、楽しい山の話しを披露して下さり時間は過ぎて行きました。
そうこうしてる内に持って行った日本酒もあっという間に「あ、無くなっちゃった」という感じ。
そうすると、管理人室から日本酒が出てくるではありませんか。更に飲んで話して、また日本酒が無くなり、
今度はウィスキーまで、出てきました。
さすがに0時も回った時点で、2人とも酔っ払い。
「いや〜アンタみたいに良く酒を飲む女の子は初めてだよ。俺はもうダメだ。お休み、、、」
「こんな時間まで、お付き合い頂いた上に肴まで御馳走になりまして、有難う御座いました。」
「うんうん、そこらにある布団も使っていいから、暖かくしておやすみ。」
そう言って、仙人はふらふらと管理人室に消えて行きました。
翌朝、天気は霧雨でした。小屋の横を歩く登山者の熊除けの鈴の“ガランガラン”という音を目覚ましに
私は爽やかに目覚めました。
管理人室からは、コトリとも音がしませんが、朝食を作りながら管理人さんが起きてくるのを待ち、
小屋の外に出て写真を撮ったり、小屋の中を眺めていました。
夜は気が付かなかったけれどプレハブながら、大きな小屋です。
「夏のオンシーズンには、びっちりになる」昨日の管理人さんの言葉を思い出しながら
(やっぱ、小屋泊まりはオフシーズンだなぁ〜人が多い時期には、あんな語りは出来ないだろうし)
そうこうしてる内に管理人さんが起きてきました。「オハヨウゴザイマス!!」
「あんた、あれだけ飲んでも何でもないの?」「はい、もう朝からさわやかです」
(笑)「いや〜、やっぱり強いね、こっちはすっかり二日酔いだよ。」「すいません」
「ははは、、、いやいや、」「お世話になりました。そろそろ、お暇を、、、」
「まぁまぁ、待ってなさい。雨も降ってるから登山口まで車で送って行ってあげるから」
なんだか、至れり尽せりのお山でした。
必ず、次に来る時は御馳走になった分の“酒”を持ってきます!と約束をして、笑顔で手を振り、
管理人さんの車を見送ったのでした。
翌年、酒を持って夜、登山口を目指していた私の前にはピンクのテープが現れました。
大雨で通行禁止、、、との事。現状を聞こうにも、どこも開いてないので夕張の町に戻り
駅で客待ちしているタクシー運転手さん達に聞くと、「よく分からない」との事
交番を探したけれど、誰もいない。電話をかけて事情を話すと調べてくださるがはっきりした事は不明。
泣く泣く帰ってきました。今年も、夕張岳の予定をいれていた週は、大雨。
絶対、来年こそ行くんだ!