たかい、たか〜い

   高い、、、とは言っても標高の事ではありません。

   黒岳石室は、北海道の山には珍しく、オンシーズンには管理人さんが常駐している小屋です。
   しかも、毛布やシュラフの有料貸出しまであるという素晴らしさ。
   道内の山中小屋では、他に羊蹄山の避難小屋ぐらいしか、こんなに至れり尽せりの小屋は有りません。

   本州の方が、北海道の小屋で「メシもない」なんてこぼしている事がありますが
   地元の人間にしたら、これが当たり前なので(何、贅沢言ってやがる)となる訳です。
   しかも、ここ黒岳の小屋は道内唯一の酒が売ってる小屋なのです。

   【日本一高い、雪渓ビール】なるものが、、、

   夏でも、万年雪で冷々のビールが飲めるんだから、多少の値段は目をつぶろう。
   とは思うんですけど、350mlで700円というのは確かに高いかも。
   貧乏人の山女は当然、自力で日本酒と共にビールも担ぎ上げたりするのですが
   その労力を知ってるだけに、文句は言えません。
   ヘリで一気に担ぎ上げる本州の山とは違い、人力で運んでるんですもの。
   途中7合目まではロープウェイ&リフトが使えるとはいえねぇ〜
   真夏にジグジグ切ってく斜面は25kg越えると結構キツイかも。

   そう、そんで高いとは分かっていても調子に乗って飲み過ぎて、先の分の酒にまで手を付けたり
   黒岳に辿りつく前に、手持ちの酒を飲み尽くしたりする事もある私は
   やっぱり、ここの酒に手を出す事も有るわけです。
   というより、ここに酒があるから安心して飲めるのかも(笑)

   ナンだか、3人組の山オジさんに縁のある私はコース途中で仲良しになる事が多いので
   テン場とかで、「おネエちゃん、酒飲みにおいで」などと誘われて自前の酒とつまみを片手に
   ひょこひょこ、お邪魔しちゃう事もあり、ここでも思い出があるんです。

   ここで御一緒した3人はなんだか、とっても酒好きな3人組みでとにかくやたら飲む!
   気が付くとお互いの手持ちの酒もない。が、それでも飲む。
   そう、オジ様は雪渓ビールや、ここの高いウイスキーをがんがん買ってくるのです。
   ここで、さすがの私も青ざめてしまいました。

   「や、もう自前の酒も尽きたから」「な〜に遠慮しないで飲みなさいって!」
   「でも、これって例の高い酒ですよね?これは頂けないっす!!ってば」
   「いいから、いいから!アンタみたいに飲みっぷりが良いと、見てて気持ちがいいから
   どんどん、飲みなさい」

   結局、日本一高い酒をたらふく御馳走になってしまったのでした。
   しかも、次の日の朝、、、昨夜のお礼をしようとテントが開くのを待っていた私の前に
   現れたのは一人。かなり、酒が強そうだった一人は先に出発したとの事で
   出てきた方もかなり二日酔ってる様子。残りの一人は完璧にダウンしてるとの事。

   「お姉ちゃんは大丈夫なの?」「はい、全く普通ですけど?」
   「う〜ん、凄いね。ウチらは縦走中断だよ。」「、、、すみません。」
   「あ〜っはっはっは。気にするなって!出発するんでしょう?」「はい、今日は北鎮岳周って白雲まで」
   「俺も北鎮往復だけは行くから、追いつけるようにガンバルよ!」

   北鎮岳に登り、下ってる所へ先刻のオジ様、、、そして、逆回りで先に出発していたオジ様が。
   「ゼェゼェ、縦走装備担いでるのに、ゼェゼェ、速いね。」「あんなに飲んだのに。本当に強いんだね」
   「その調子で、がんばんな!またどこかの山で会えるといいね」
   あたたかいオジ様のお言葉を背に、私は元気に白雲に向かったのでした。

   それから、また一層多めの酒を担いで山に行くようになった私です。
   なのに、相変わらず黒岳の高い、高〜い酒には世話になる事のある私です。(笑)

   教訓:飲み過ぎ注意!特に黒岳では!!