
ある日、羊蹄山での事です。
小屋に着くと、番犬?のロクがお出迎えに来てくれ、小屋開きだというので、持って行ったビールを
雪渓で冷やし管理人さんと語り、次の日は天気と言う事で御来光を楽しみにしていた私でした。
そこへ、もう薄暗くなってきた頃に一人の老女が、、、御主人はもう下山したが
自分はどうしても登りたいから来た(コース開きの比羅夫から)。しかし、会う人が皆、
「おばさん、悪い事言わないから、小屋に泊まりなさい」というので来たと言う。
羊蹄山避難小屋は、小屋が開いてる間は、毛布もシュラフもレンタルしてくれる。
こんな時間に、見るからに山慣れしていない人がいれば、誰もが同じ事を言うだろう。
息子のお下がりだという学校指定のジャージのみを身にまとい、
(ジャージが悪いのではない。季節を考えろ、、、と言う話しなのだ)
最低限の装備もない。山に登ったのは小学生だかの登山遠足っきりだと言う。
他に女性単独の人間もいないからか、管理人さんが私の横に彼女の床を用意する。
「夜中にトイレは、どうやって行けばいいの?」と彼女。
「あぁ、、、じゃあ、間にヘッドランプと、トイレットペーパーも置いておくから使って下さい」
その間も私は他の登山者と山の話しで、盛り上がる。そこで彼女が
「私も、御来光見たいから一緒に登る」と言い出した。「ヘッドランプがなければ、無理ですよ」
やんわり、断ったがナント管理人さんから懐中電灯を借りてきて、「これで大丈夫ね」
と、「止めた方がいいですよ」と言っても勝手に意気揚揚。(困ったオバさんだな〜)
早朝、出発しようとするとやっぱり着いて来る。見ると、足元は雪渓を登るには余りにお粗末な
運動靴。「さあ、行きましょう!!」、、、内心、ため息。まぁ、滑っても死ぬような雪渓ではないけど
「その靴じゃ、止めた方がいいですよ」「じゃあ、一人でも登る」
はぁぁぁ〜、どうしよう。困った、、、。そこに、2人連れの男性が二組やって来て、
暗い中、道も分からないから御一緒したいとの申出。東京から来たというスキー好きな2人と
札幌の消防士さん2人。(みんな羊蹄山は初めてと、昨夜の宴会で自己紹介していた方達)
消防士さんの片方は山も初めて、、、との事だったが、さすがに体力はあり、
おばちゃんをぐんぐん引っ張って登ってくれる。もし、滑った時の為に、、、と
彼女の下を登りながら道を指示する私。(この人達がいて良かった、、、)
でも、ペースはやっぱり遅い。オバちゃんは喘ぎ喘ぎ登ってる。空があっという間に明るくなり
外輪山の向こうの山頂が綺麗なシルエットに包まれてくる。、、、が
そこまで、行く!という彼女をさすがに押し留め(山頂方面は、運動靴じゃ無理だ。凍っていたりしたら
滑った時に責任取れない。岩尾根の縁を巻いたりするのだから)昔の避難小屋跡で御来光を見る
同行した4人の男性には、本当のピークの場所を指し示し、あそこまでなら
もう、明るいし道も見えるから、、、と案内したが誰もそこには行こうとせずにみんなで撮影会!
一緒に留まってくださった。ナンテ良い方達。ホロリ。なのに、オバちゃんは
「私、カメラないから、はい、一人の写真も撮ってね!」とポーズ。(--#
下山は、私がオバさんの手をしっかり握り、ゆっくり雪をカットしながら下ってきました。
さて、小屋に戻りそこで言われたのが、「写真欲しいから、住所を書いて!」私の住所ではなく
私に自分の住所を書け!という事だったのだ。唖然。
そして、「山をやってる人は皆、親切でいいわ」だと、、、自分の好きな山で死人は出したくないよ
一人で、小屋に泊まる事だってあるんだからさぁ〜。
さて、消防士2人組みはその後、やっぱりピークを踏みたいから、、、と荷物を持って出発。
東京からの2人組みは、即席のジャンプ台を作ってスキーを楽しみ、
私は、二度寝を楽しむ。オバちゃんは、私が真狩から下山と知ると、
じゃ!、、、と、とっとと下山して行きました。「いや〜、良かったわ」と言いながら。
貴方にだけは“クセになって欲しくない”と切に願った山女でした。(ってか2度と来んなっ!)