単独行じゃない

       ある日、テント場で出会ったおじさんの話です。それは、朝みんなが出発に向けせわしなくテントを撤収して
       いた時の話です。何気にテント場をウロつくおじさんが、おりました。彼は前夜、小屋組だった方。
       何か用でもあるのかな、、、と見ておりますと、私の方へもいらして、なんだかんだと山のうんちくをお並べに
       なるのですが、内容がさっぱり要領を得ません。、、、というか、他のテント泊組の間をうろうろし出し
       (今、撤収作業中で忙しいんだよ!見りゃぁ分かんだろ!!)と、その場の空気がイヤな感じになって来ました。

       誰も顔にこそ出しませんでしたが、そこは聞いてれば容易に察せらる事でした。
       これが、「昨日どこから登ってきたんですか?登山道の状況教えて下さい。」とか
       「コースを決めていないんですが、どこが一番楽でしょう?」等、目標の定まった話なら、時間を割いてでも
       イヤな顔をする人はいないと思うのですが、、、、なんだか、そう言う事とは違うらしいし。とにかく自慢話やら
       よりによって、こんな時間に始める話じゃないだろう?って感じなんです。
       会話の中には「俺はいつも単独行で山をやってる」という内容もありました。

       そのうちにふと彼の魂胆が見えてきて、誰もが彼を避け始めました。
       いわく、「一人できているのかい?」「何で来ているの?」「どっちに帰るの?」etc、、、

       結局、下山後のアシの確保がしたいのでした。
       しかも、それだけでなく自分が行く道に自信がないらしく、同行者まで現地調達しようとしてるのでした。
       「頼むから連れっててくれないか?」「同行して頂けないか?」じゃなく(暗に)臭わすんです。

       単独行者が多かったので、皆だんだんと撤収作業に没頭する振りでおじさんの話を聞かなくなったのですが
       人のよさそうな青年が、捕まってしまい、とっても迷惑そうでした。一体なんなの?
       見てると、青年は懸命に自分に貼り付いているおじさんを、引き剥がそうとしてました。
       「荷物が重いから、、、ゆっくり行くから、、、、」、、、、優しいですね。

       私だったら「一人で歩くのが好きだから、単独行で来ている人間もいるって何で分からない?」とか、
       「ここまで一人で来たんだったら、最後までそれを通せば?」とか
       「自分の足も確保・確認しないで山に来てるのか?」とか、、、、一杯、言いたい事があったろうなぁ
       “キッツイねぇチャン”だもん。でも、私だって芦別岳山頂で遅い時間に出会ったおば様とかが
       「旧道コースから来たけど、こんなにシンドイなんてねぇ!でも、車があるから戻らなきゃ!!」と笑顔一杯で
       嫌味なく言ってれば「私、新道コースに車あるから、旧道入り口まで送りますよ、こっちから下れば?」ぐらい
       言ってね、実際に送って行った事もあるんです。

       でも、でもね、そのおじ様のヤリクチが気に入らない。人にモノを頼む態度じゃない。下界ではそこそこの立場の
       年令の方に見えましたが、だから一層、礼をわきまえて欲しい。相手の気持ちを察して欲しい。
       その後、彼が行きたいコースとは、逆に行く私は、早々に釈放されましたが、、、、、どうなったんでしょう?
       いらないプライドは捨てて、人の好意に甘えるでなく、物を頼む時はそれなりの態度でのぞもうよ!
       しかも、あんたのは単独行じゃないよ!!、、、という、お話です。