嵐の中のメロン天国
それは夏の大雪山。北海道の最高峰(北海道の屋根ともいう)“旭岳”での出来事でした。
前日も下界の温泉街のキャンプ場の駐車場で、酒瓶ブチまけた様な雨の中、
酒を飲みながらウダウダと車の中で停滞していた私は「今日行けなきゃ、、、」という
思いで、ガスに包まれた山頂を目指しました。
雨は、上がったし風はないし、「これは行ける!」と私は意気揚揚と山頂を目指し
高度を稼いで行きました。雨上がりの、体にまとわりつくような湿気の中を、泳ぐように
黙々と歩くこの登山道。‘99の夏を想い出深い夏にしてくれた道でした。
旭岳のロープウェイが架け替え工事の為に運休しているので、いつもなら、つい
そちらを利用してしまう私も、北海道の最高峰を登山口から攻めてみたい、、、
という目標を容易く達成できてしまったのです。
普段は観光客に揉まれながら、肩身の狭い思いでロープウェイに運ばれ、
奇異の目に晒されて姿見の池につく頃にはゲッソリ。今年は、観光客も登山者も極端に少ない。
しかも、架け替え工事に当たり、登山道の整備も進んだらしく、聞いていたより
驚くほど綺麗で歩きやすい道。まさに♪♪♪♪♪♪♪
ところが、姿見が近付くにつれて、擦れ違う方の表情に“疲れ”が見えてくる。??
「上は、どうでしたか〜?」なんだかベショ濡れのある男の子に聞いたら、
「姿見までは天国、そこからは地獄だよ。世界が違うから〜」とフラフラと下山して行くのです
益々、???謎は深まるばかり。そこで、いろんな方に聞いてみると
避難小屋から先は、進めないとか、下山してきたとか、、、そんなんばっか。
でも、自分が今居る所は心地よいばかりで信じられません。
「今日は,止めた方が良いよ」まで言われ、裏旭のテン場に前夜、泊まった男の子に至っては
「テントポールが折れて、縦走を断念した」とまで言われ、でも、信じられないくらい
本当に快適だったんですってば!、、、だから、「行ける所まで行ってみます」
なんて、台詞も出ちゃうわけなのよ。しかし、、、!!
確かに、姿見が近付くとビックリするぐらいのガスで小屋が見えない、、、
そして、小屋が近付くと風が、、、。う〜ん、ナイスな風ですね〜。
しかし、歩けない風じゃないし、もっと凄い風に遭った事もあるし、、、、
「一服してから、登んべぇ〜」と小屋で休憩を決めこむ私。
しかし、ボロボロになって、小屋に逃げ込んで来た男性3人組みが!
「うえ〜!!凄い風だよ。前になんか進めないって!」「8〜9合目から更に別世界!」
「命、惜しいから帰ってきたよ。せっかく、東京から念願の大雪縦走に来たのに!!」
「何?女の子、一人でこれから行くの?」「いや、今日は止めた方が、いいって!」
なんだか、薄暗い小屋の中に“焚き火”を焚いてるような温度上昇って感じの3人(元気)。
「いや〜、、、行ける所まで、、、と思ったんですけど、皆さんの意見を聞いたら、
さすがに、裏旭まで行くのもヤバイ気がして来て。山頂で止めようかな〜っと」
「そうしなよ。」「あ、メロン食べないかぃ?」「え!!メロン??」
私の目が、♪キラ〜ンと光る。
「そうそう、メロンね!縦走の為の打ち上げ用御馳走に空港で買って来たんだ〜」
「げっ。空港?それって、もの凄く高いのでは?」「いや〜、、、食べるでしょう?」
(ゴクッ)「いいんですか?」「ほら、4人だったら丁度、切りやすいしね。食べて行きなよ」
「じゃ、じゃあ、お言葉に甘えて、、、」「○○さん、ナイフ!」「え?ないよ。」
「え?△△さんは?」「いや、俺も持ってないけど?」一同、し〜〜〜〜〜ん。
「ちょ、ちょっと!どうやって食べるつもりで買ったの?」「いや、誰かナイフ持ってると思って」
「あの、それじゃ、勿体ないから持って帰られたほうが、良いのでは?高級メロンだし」
「いや、ここで食べないと重いじゃない」(でも、それを担いで縦走しようとしていたのでは?)
もう、可笑しくて4人でクスクス笑い出してましたが、フッと、気付くと一緒に笑ってる私が
ナイフを持ってる事を思い出し「これ、、、使って下さい。」と差し出し、やっと無事に
メロンを食べる事が出来たのでした。
3人組みは先に下山して行かれましたが、その後、山頂に向かった私が吹っ飛ばされたのは
言うまでもありません。
後日、3人の中のお一人からメールを頂き、その時のタイトルが【メロン三銃士】と
なっていたのです。
ぴったりだわ〜感心、感心。じゃ、さしずめ私は山頂からデロ〜ンと長い髪を垂らす、
ラプンツェルって感じ?あ、怒りの鉄拳が飛んできそうなので、この辺で、、、