人はみな悲しきエド・ウッド
初出・『エド・ウッド』劇場用パンフレット
ウエイン町山 知る人ぞ知る流浪の映画漫才師ファビラス・バーカー・ボーイズでございます。えー、今日のお題は流浪の映画バカ一代エド・ウッド! ということで、このティム・バートン監督の映画に隠された裏話を語るわけだけど……よかったなあ、今までずっとエド・マニアやってて。
ガース柳下 自慢じゃないスが、僕、なんせ日本でいちばんエド・ウッドについてくわしいッスから。
ウェイン エド・ウッドのファンなんて自慢になるかい。
ガース いやいや、あのデヴィッド・リンチだって大ファンですよ。でしょ、ジョン・ウォーターズ、サム・ライミ、それにもちろんティム・バートン……。
ウェイン んー変な奴ばっかり(笑)。でも、ティム・バートンもようやく念願がかなったわけか。
ガース いや、脚本家コンビのスコット・アレクサンダーとラリー・カラツェウスキーなんですがね。最初はジョン・ウオーターズのとこに持ち込んだけど、断られた。
ウェイン え? だってファンじゃないの?
ガース 「きみたち、ぼくは『ピンク・フラミンゴ』からここまで来るのに二十年かかったんだ。エド・ウッドなんかやらせて、またカルト監督からやり直せってつもりかい?」
ウェイン (笑)で、バートンに?
ガース USC時代の同級生マイケル・レーマンのとこに持ち込んだ。レーマンはやりたかったんだけど、自分で監督した『ハドソン・ホーク』がアメリカでは大コケしたんでスタジオから信頼されてない。で、スタジオ受けするエクゼクティヴ・プロデューサーをつけようとした。
ウェイン それが盟友ティム・バートン。じゃあ、最初はレーマン監督でバートン製作だったんだ。
ガース バートンは企画を気に入りすぎて自分でやりたいと言いだしちゃったわけ。で、しょうがないからレーマンの方がプロデューサーに回ることになった。
ウェイン オタクはハマるからなあ(笑)。でもさあ、そこまでハマらせるエド・ウッドの魅力って何なのかな。だって本当にヘタッピなんだろ。
ガース ヘタッピなんてもんじゃない。なにしろ史上最低ですから。
ウェイン 日本の××××ぐらい?
ガース (笑)いや、もっとレベル低い。学生の8ミリ以下でしょう。もうヒドイもヒドイ。同じシーンのなかで昼になったり夜になったりするのなんか序の口。セットはボール紙だし、UFOは吊ってる糸が見える。ベッドルームの家具はポーチの使いまわし。
ウェイン それはヘタっていうよりビンボーなだけじゃないの?
ガース いやいや、セリフは大げさでアホみたいだし、失敗したカットも平気で使っちゃうし、借りてきた記録映画や戦争のニュース映画のフィルムをやたら使って、主人公が興奮すると牛の大群が暴走したり、ムチャクチャ(笑)。でも、そこがいいんですよ!
ウェイン お前みたいな変態がいるおかげでエドは歴史に残って良かったね。
ガース いや、『プラン9』がカルト映画になったのは彼が死んでからですよ。
ウェイン でも、バートンの映画は、最後は力作『プラン9』が完成してめでたしめでたしで終わってるけど。
ガース 本当はあの後が地獄。プロデューサーは『プラン9』持って全米をまわったんだけど、結局、誰も買い手がつかなくて、疲労と失望で死んでしまう。
ウェイン 人一人死ぬほどヒドイ映画(笑)。
ガース エドはそれで自信をなくし、酒びたりになって、みじめに死んだんです。
ウェイン そういえばジョニー・デップも、こないだ酔っぱらってNYのホテルの部屋破壊してニュースになったりしてたなあ。でも、おかしいね。それまでは自信があったんだ(笑)。
ガース そこが悲しいんですよ。彼には自分の映画がヒドイものだということさえわからなかった。
ウェイン でも、俳優とかスタッフはわかってただろ。なのに、なんでつるんでたのかね。
ガース エドが人当たりがよくて憎めない男ってこともあるんですけど、やっぱり、他に行くところがないような連中ばかり集まってるんですよ。
ウェイン 麻薬中毒患者に落ちぶれた往年のスター、ベラ・ルゴシとか。
ガース エドは本当にルゴシの大ファンで、自分のアイドルに仕事をあげるってかたちだったみたい。
ウェイン バートンが『シザーハンズ』にヴィンセント・プライス、『バットマン』にマイケル・ガウを引っ張り出したのと同じだね。
ガース 「エドの気持ちはよくわかる」ってバートンが言うのも当然。やってることはほとんど同じなんだもん。ベラ・ルゴシが最期までドラキュラ・スター気取りなのが悲しかったッスね。タコと格闘させられて「わしはフランケンシュタインじゃない!」って怒ったりね。
ウェイン フランケンシュタインがタコと闘ったのは東宝の『フランケンシュタイン対地底怪獣』だけなのに(笑)。だいいち、ボリス・カーロフで大当たりした『フランケンシュタイン』は最初ルゴシがやるはずだったんだよ。でも、あまりに演技がオーバーで、スクリーン・テストで失笑を買って降ろされたんだ(笑)。ついでに言うと、ルゴシは43年の『フランケンシュタイン対狼男』でしっかりフランケンの怪物をうがーって演ってるんだけどね。
ガース 麻薬注射するたびに「白鳥の湖」がかかるのも大げさで笑いましたね。
ウェイン あれはルゴシの『魔人ドラキュラ』の主題曲なんだって。
ガース ルゴシの「白鳥の歌(死に際に見せる芸術)」って意味もあるんでしょうね。
ウェイン しかし、マーティン・ランドーも、一時はホラー映画の狂人役ばっかりで落ちぶれてアル中だって言われてたけど、これでついにアカデミー賞取ったね。
ガース リック・ベイカーがメイクしてるとはいえ、ジャンキーの演技がホントにリアルで。
ウェイン なんたって『スパイ大作戦』じゃ、変装の名人やってた人だからなあ。アカデミー受賞式では「娘と共演できて幸せだった」って言ってたね。
ガース よりによって「液体にアレルギーの女」ロレッタ・キング役(笑)。
ウェイン 映画で言ってたように本当に水を飲まなかったの?
ガース わからない。この映画、「それでどうした」ってオチがないんスよ。全部本当の話だから。そうそう、マーティン・ランドーって本物のヴァンパイラと昔友達だったんですって。
ウェイン あのアダムズ一家の母さんみたいな女ね。
ガース テレビで古い怪奇映画を放映するとき、その前説をやって人気が出た。
ウェイン 数年前のホラービデオ・ブームのときに似たような女がいたっけな。
ガース エルヴァイラでしょ。ヴァンパイラはエルヴァイラを盗作だって訴えてますもんね。ヴァンパイラ役のリサ・マリーは、今、バートンの女房。
ウェイン 何やってる人?
ガース ……バートンの女房でしょう。ともかく、ヴァンパイラって昔はジェームズ・ディーンの追っかけだったんですって。マーティン・ランドーと会ったのもそのころらしい。若手俳優遊び人グループで。で、ヴァンパイラはクリズウェルとも知り合った。
ウェイン クリズウェルって見るからにいかがわしいよね。あの『死霊の盆踊り』でオバケのストリップの前説やってるんだ。『エド・ウッド』の冒頭でも棺桶から出てきて「あなたのご覧になる物語は」って大げさにやってたね。
ガース あれってエド・ウッドの未公開作品"Night of the Ghouls"のパロディなんですよ。
ウェイン 未公開なら日本じゃわかんないよ。
ガース いや、アメリカでも未公開。というより、現像所にお金を払えなかったんで、フィルムを差し押さえられちゃった(笑)。結局公開されたのはウッドの死後(笑)。
ウェイン それにしても吹き溜まりみたいな連中ばかりだね。
ガース でもトー・ジョンソンはプロレスやってた頃より有名になった。
ウェイン キャラクターが全部あの顔してるコミックがあるよね。それにハロウィーンになると、いまだに売上のトップはニクソンとこの人のマスクなんだ。
ガース 顔は誰でも知ってる。元の映画は知らなくてもね。トー役を演じた“ジ・アニマル”スティールもマスクのことは知ってたって。この人もプロレスラーなんだけど、試合会場の前のオモチャ屋でトーのマスクを売ってるのを見て、勝手に俺の顔で商売しやがって、と思ったんだって(笑)。
ウェイン そっくりだもん。そっくりといえば、エドの最初の恋人と、最後にいっしょになる奥さんがそっくりなのがおかしかったな。オチはないけど(笑)。
ガース 最初の奥さんだったドロレス・フラーも有名な作詞家になりましたよ。別れてからだけど。
ウェイン 「私って馬づら?」の人ね。あの人って何? 女優?
ガース いちおう女優だったみたい。エド・ウッドの映画以外にも出演作があるし。似たような安物映画ばっかりですけどね。
ウェイン この映画だと『グレンかグレンダか』を見るまでエドの女装趣味を知らなかったことになってるよな。
ガース これはさすがに創作。同棲してりゃそれくらいわかりますよ。エドって奥さんにもアンゴラ・セーター着せるのが趣味だったらしいし。最後に我慢できなくなって別れるのは本当だけど。
ウェイン 最近アメリカで出たエドのドキュメントのビデオが「Look Back In Angora」で笑ったな。「Look Back in Anger(怒りをこめてふり返れ)」のパロディなんてわからないっての(笑)。で、もう一人の嫁さん、キャシーは?
ガース この人はエドに最後まで添い遂げた。なんでもバートンがこの映画撮ってるとき、偶然セットに現れたんだそうです。町を歩いてたら《『エド・ウッド』撮影中》って看板を見て「あら、旦那の映画だわ」って(笑)。ちょうどそのときジョニー・デップの女装シーンで、カツラはずれてるわ、口紅ははみ出してるわって状態だったのに、それ見て「あらまあ、エドにそっくり」だって(笑)。
ウェイン どういう夫婦生活だったんだ(笑)。それにしてもキャシー演じてるパトリシア・アークェットって、こういう役ばっかりだね。『トゥルー・ロマンス』では空手映画とマンガのオタクと駆け落ちする役だったし。
ガース オタクの女神様っスね。
ウェイン 神様と言えば、エドが崇拝するオーソン・ウェルズと出会う場面、一見、史上最低の監督と最高の監督の出会いに見えるんだけど、ウェルズも実はこの頃、ハリウッドではホサれて追放同然だったんだよ。おまけにその後、金のために数え切れないほどのクズ映画安物映画に出まくってなあ。
ガース そんな人が「映画は自分の夢を作れ」って教えるのは意味深ですね。(笑)。
ウェイン 結局、ティム・バートンのいつものテーマになっちゃうんだよ。『ナイトメア・ビフォー・クリスマス』だってそうだった。あれもラストで主人公が「みんなを喜ばせる仕事は僕にはできない。僕は僕のやれることをやれればいい」って開き直るからね。そもそもエド・ウッドってバットマンそっくりじゃない?
ガース 自分は大マジメに自分はヒーローだと信じてるんだけど、周りから見ればアホ以外の何物でもない(笑)。
ウェイン デップも昔、テレビのアイドルだった頃にウィノナ・ライダーとつきあってて、腕に「ウィノナ命」って刺青して、見せびらかしてたっけね。
ガース あれも恥ずかしかったスね。ウィノナと別れてから刺青どうしたんだろ。
ウェイン そうやって考えていくと、エドのまわりに集まった奴も恥ずかしいし、この映画に集まった連中も似たようなものだと(笑)。そうすると、なんでみんなあんなにエド・ウッドが好きなのか、わかる気がするね。
ガース じゃあ結論は声をそろえていきましょうか。
二人 人はみな、多かれ少なかれエド・ウッドである!
エド・ウッド(映画監督/脚本家/俳優)
本名エドワード・D・ウッドJr 1924年10月10日生まれ。エドは生涯で6本以上(正確な本数は不明)の監督作品を残し、1978年に死亡した。映画界入りする前は巡業カーニバルで働き、男/女の芸をしていた。エドはエロール・フリンばりのハンサムで、陽気で、巧みな弁舌で出資者を魅了して映画の金を出させるのが得意技だった。要は自覚のない詐欺師である。『プラン9』で大敗北してからは覗き部屋用の8ミリ映画を撮ったり、女装マニアが出てくるポルノ小説を書いたり、不遇だったとか。
デヴィッド・リンチ(映画監督・画家)
『ツイン・ピークス』で一大ヒットメーカーと化したハリウッドきっての変態監督。最愛のエド映画は『グレンかグレンダか』だそうな。
ジョン・ウォーターズ(映画監督・作家)
アレクサンダー&カラツェウスキーは最初ウォーターズのところに企画を持っていった。ジョニー・デップにエド・ウッドのことを教えたのはウォーターズだそうな。
サム・ライミ(映画監督・スタントマン)
「グルーチョ・マルクスのTVショーに出演したときのトーのマネ」という宴会芸を持つ(誰にもわからん)。その他ウッドマニアの映画監督にはジョー・ダンテ、クエンティン・タランティーノなどがいる。
ティム・バートン(映画監督)
最初にこの企画の話を聞いたとき、バートンはウッドの故郷ポーキプシーにいた。バートン本人は『メリー・ライリー』の準備に入る前の短期間で撮りあげてしまうつもりだったが、結局『メリー・ライリー』は他人に任せることになった。バートン曰く「エド・ウッドの仲間達は、二〇年代パリにばっこしていたおかしなシュルレアリストたちのパロディみたいな存在なんだ」
アレクサンダー&カラツェウスキー(脚本家)
大ヒットを飛ばした『プロブレム・チャイルド/噂の問題児』(90)だが、批評家には叩かれまくった。そこから「エド・ウッドを笑いものにしないで映画化しよう」と思ったとか。「協力を惜しまない」と書かれたヴァンパイラからの手紙を「偽造」して、企画書と一緒に持ってまわっていたというから立派だ。
マイケル・レーマン(映画監督・脚本家)
バートンの『バットマン・リターンズ』で脚本。『エド・ウッド』を降りて撮った『ハードロック・ハイジャック』(94)は日本じゃ結局2週間打ち切りだった……傑作だったのに(バカ映画の)……結局のとこ、いまだに「『ヘザース』(89)の」という形容詞から抜けられないようである。
ジョニー・デップ(俳優)
昔アイドル、今は……泣き虫の不良少年(『クライ・ベイビー』(90))、人造ハサミ人間(『シザーハンズ』(90))、チャップリンもどきの無口な青年(『妹の恋人』(93))、知能遅滞の弟と怪物的肥満の母を抱えた青年(『ギルバート・グレイプ』(94))。まあ、デップくらい明朗快活な若者が似合わない俳優もいない。ウィノナ・ライダーと別れた(フラれた?)後の恋人はスーパーモデルのケイト・モス。なお、女装については、バートンから「リッキー・レイクみたいにやればいいんだ」とのアドバイスをもらったとのこと。
『プラン9・フロム・アウター・スペース』
地球人に戦争をやめさせようとしてやってきた宇宙の支配者たちは、大統領に面会を求めるがかなわず、しょうがないんで死体を甦らせて地球を征服しようとする(なんでだ?)。一見してわかるように『地球が静止する日』からのパクリだが、完成した映画を見るかぎり、そんなことはみじんも感じられない。ベラ・ルゴシが撮影中に死んだという説は誤りで、ルゴシの出演シーンは、撮りかけて中断した他の映画のためのもので画面がストップ・モーションになったかと思うと「キー、ガシャン」と音がして、ルゴシは死んだことにされてしまう。その後、ゾンビになるが顔を隠してスタンドインやってるのはエドのカイロプラクティスの医師。なお、『プラン9』の主役グレゴリー・ウォルコットは『エド・ウッド』にも顔を出している。
ベラ・ルゴシ(俳優)
1888年10月20日ハンガリー生まれ。ブダペストで舞台俳優として大活躍、元々はロミオ役者だった! 21年にアメリカに渡り、31年に舞台の当たり役ドラキュラの映画化『魔人ドラキュラ』で大スターとなる。つまり、舞台の方が先だった。ちなみに『フランケンシュタイン対狼男』で狼男を演じたロン・チャニイJr.の『電気人間Man Made Monster』(42)は、エドの『Bride of Monster』とそっくりである。たぶんエドがパクったんだろう。なお、ルゴシは遺言に従ってドラキュラの衣装で埋葬されたので、いつかはきっと甦って来ることであろう。
ヴィンセント・プライス(俳優)
ロジャー・コーマンのポー映画などで有名な怪奇俳優で、ティム・バートンの幼年期からのアイドル。バートンの処女作はその名も『ヴィンセント』(短編)。プライス本人がでナレーションをつけている。『シザー・ハンズ』ではマッド・サイエンティストを演じた。また、バートンはプライスが死ぬまで暇を盗んでキャメラを回しており、現在"Conversations with Vincent"なるドキュメンタリーを編集中。
マーティン・ランドー(俳優)
1931年6月20日生まれ。漫画家から転身して俳優に(!)。『北北西に進路を取れ』(59)の悪役で名を上げるが、なんと言っても代表作はTVの『スパイ大作戦』。その後、イギリスで、放射能廃棄物のゴミためが核爆発して月が宇宙の彼方に飛び去ってしまうというムチャクチャなTVシリーズ『スペース1999』に夫婦そろって出演。ランドー本人も忘れたかったらしく「イギリスでテレビをやってるあいだに、わしが役者だってことをみんな忘れちまった」と語っている。『タッカー』(88)でアカデミー賞ノミネートを受け、カムバックを果たしたのは御同慶の至り。
ジュリエット・ランドー(女優)
すごく似てる(笑)。
ロレッタ・キング(女優)
詳細不明。ウッドによれば、彼女は大富豪で、出資するかわりに映画に出演したということである。映画オタク・ショップ〈ハリウッド・ブック&ポスター・カンパニー〉のオーナーの叔母さんとも言われている。
ヴァンパイラ(女優/TVパーソナリティー/モデル)
1921年生まれ。本名マイラ・ヌルミ。フィンランドの伝説的ランナーの姪っ子なので、母国では知らぬ者なき有名人のはずである(日本で言えば前畑絹子の姪とか……)。モデルをしていた50年代にハワード・ホークスに呼ばれてハリウッド入りし、マーロン・ブランド、アンソニー・パーキンス、ジェームズ・ディーンらと浮き名を流す。ホラー映画の解説役で人気者になったあと、"Sex Kittens Go To College"(59)他数本のセックス映画に出演している。『プラン9』に出演したとき、彼女は赤狩りでパージされ、ちょうど仕事がなかった。彼女にマルクスがわかるとは思えないのだが。
リサ・マリー(女優)
バートンは家ではひたすら彼女の写真を撮ってばっかりいるらしい。先日バレエの練習中、転んで足を折った。胸がでかすぎてバランスを崩したとも言われている。
クリズウェル(予言者)
もとはTVキャスターだったが、ある日時間があまったので「今日のニュースはもう終わりましたので、明日起こることを申し上げましょう」と予言をはじめた。これがバカ当たりしたためテレビ予言師に転身。完全なスーダラ野郎である。クリズウェルの主な予言には◎1999年8月18日世界が消える◎1975年にカニバリズムが大流行 などがある。
『ナイト・オブ・ザ・グールズ』
インチキ霊楳ドクター・アキュラは、死者を甦らすふりをして金を巻き上げているが、ある日偶然本当にゾンビを甦らせてしまう。トー・ジョンソンがまたしてもロボット役で出ているが、ヴァンパイラは出演依頼を断った。ウッドはすかさずヴァンパイラの偽物をキャスティングした。
トー・ジョンソン(俳優/プロレスラー)
“スウェーデンのスーパー天使”の名で知られた体重166キロの人気プロレスラー。ウッド以前から映画には出演していたので、別にウッドにスターにしてもらったわけではない。主に怪物役をつとめたが、珍しく科学者役の『ユッカ・フラットの野獣』(61・日本未公開)は結局放射能で怪物になってしまう。この映画は「これに比べたら『プラン9』は芸術映画だ」と言われるほどのすさまじい駄作だとか。見たい。
ジョージ・スティール(プロレスラー)
よくこんな奴がいたなあ、本当にトーそっくり。なお、今はレスリングは引退し、WWFの役員として働いているそうな。
ドロレス・フラー(女優/作詞家)
女優としてはZ級だったが(エド作品の他、"Mesa of Lost Women"(52)などに出演)、作詞家としてはA級だった。詩を提供したアーティストはエルヴィス・プレスリー、ナット・キング・コール、ペギー・リー、タニヤ・タッカーなど多数。あの『ロッカフラ・ベイビー』も『アイ・ガット・ラッキー』も彼女の曲!
『グレンかグレンダか』
エド・ウッドが始めて完成させた長編映画。精神科医から性倒錯について話を聞かされる記者が、自分の女装趣味を恋人に言い出せなくて悩む男の話と、デンマークで性転換手術を受けた海兵隊員の話を聞かされる。悪魔や神が跳梁ばっこするところがエドの心象風景か? ありもののフィルム(嵐やバッファローの暴走)をつなぎまくったため、ブニュエルみたいなシュールな映画になってしまった。
キャシー・ウッド(変態の妻)
最後までエドに忠実に尽くした人。金持ちでもなかったし、映画に出たかったわけでもないようだから、本当にエドのことを愛してたんだろう。天然の人かもしれない。
パトリシア・アークェット(俳優)
『ホーリー・ウェディング』でも12歳の少年と結婚する役であるからして……息子の名前はエンゾというんだが、これはおそらく姉ロザンナの代表作『グラン・ブルー』から取ったんだろうなあ。
オーソン・ウェルズ(映画監督/俳優/プロデューサー)
弱冠26歳で『市民ケーン』を撮った天才だが、それでおちょくった新聞王ハーストに目をつけられ、おまけに現場でわがままばかり言ってハリウッドからオミットされる。その後は死ぬまで、金さえもらえばなんでもやる人でもあった。だいたいが『市民ケーン』だって三面記事の映画化だしな。詐欺師や悪魔の役が多く、趣味も手品。『オーソン・ウェルズのフェイク』にもっとも本質があらわれていたような気がする。
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Garth Yanashita / ガース柳下 / PDE01513@niftyserve.or.jp