ゴジラは我々の中にいる

◎今月のお仕事 2/15 ロフト・プラスワンにてFBB!(それで、町山は?)
        『映画秘宝』ベスト10号が大好評発売中!


1/13(木)
『暗黒アジアンハッカーズ』(クーロン黒沢他 太田出版)いただく。実は編集は木村くんだ。アジア系パチモン販売業のみなさんの人物伝がおもろい。
1/14(金)
 ソニー試写室で『スリーピー・ホロウ』。なんかいきなり一昨日くらいに2月公開と決まって、急遽試写をやることになったらしい。もうムチャクチャ。ティム・バートンの新作がこんな捨て公開されてしまうようじゃ、もう本当に映画界終わりかも。
 肝心の中身だけど、ビジュアル的には完璧(撮影は本当にすばらしい)なんだけど魂がこもってないっていうか……渡辺麻紀は「ティムくん、はやくリサ・マリーと別れて不幸にならなきゃ駄目」と言っていたがまさにそのとおり(ちなみにリサ・マリーとジョニー・デップができちゃって、恋人と親友をいっぺんになくす、というのが最高のシナリオだそうな。邪悪すぎる)。リッチはとてもとても美しかった。あんなフリーキーなものをあそこまで美しく撮れるのはティム・バートンだけだろう。

 秘宝の面々とお茶して今後の対策を練ったのち、下北沢でエイガ・コムの忘年会。執筆者を中心に10人ほど。渡辺麻紀はすでに今年のベストは『アイアン・ジャイアント』に決まったそうで、そんならオレは『マグノリア』だ! と早すぎるベスト1対決。あと三輪ひとみにインタビューした人から話聞いたりとか。なんかオリジナル脚本はもっとすごかったみたいで、撮影中は生理とまったりもしたけどあれに比べれば楽だった……ってじゃあなんでそもそも出演したんだろうなあ。やっぱ次の秘宝のカバーガールにどうかね?

 11時前に中座してシネマ下北沢へ行く。『映芸』主催で朝まで足立正生監督作品五本立てという狂気の試写会があるのだった。やっぱり飲んでから行ったのはまずかったか、四本見たところでリタイアして帰る。なお会場はゴールデン街がそのまま引っ越してきたような世界で、なぜか宮台シンジも来ていた。


1/15(土)
『ちびっこ広告図案帳』(おおこしたかのぶ編 オークラ出版)、『コンプエクス』(荒木元太郎 オークラ出版)いただく。なんかフィギュアの写真集らしい。
1/16(日)
 朝起きると高熱。そのまま一日寝こむ。
1/17(月)
 風邪ひきのつづき。
1/18(火)
 いつまでも寝てはいられないのでそろそろ社会復帰……と試写に出かける。ペドロ・アルモドバルの『オール・アバウト・マイ・マザー』。去年のカンヌで監督賞を取った奴だ……なんじゃこりゃ? こんなもんでクローネンバーグに誉めてもらおうと思っとったんか? 何がおもしろいのかオレにゃあ全然わからん。まあ女性にはちょっとばかり受けてるらしいがね。

 このまま隠居を決めこもうかと思ってたんだが、いっぱい電話かかってきて大変だ。やっぱり仕事をしなくちゃ世間は許してくれないらしい。まあ生活費稼がないとなあ。


1/19(水)
 ちょっと事情があって先日から実家で寝泊まりしてるんだけど、マンションの隣の部屋に住んでいるのがララベルさんという。魔法の国の人か?

 中野まで出かけてタコシェで『畸人研究#12』購入。


1/20(木)
 もう公開が終わってしまうということなので、新宿へ『ゴジラ2000』見に行く。なんでって? いや、なんか見とかないといけないような気がしちゃってね。観客の数をかぞえていたのだが、15人を越えてあたりで特殊学……いや養護学校の生徒が五人ばかり集団で来て、映画がはじまる。
 思っていたよりおもしろかったな。いや、ずいぶん笑えたし。えっと、なんか言ってる人がいるな。そもそも映画を見て「最低だ!」って怒ってるのはなにがしかの期待があるからだ(で、『ゴジラ』の新作に期待があるわけ? どこかに?)。つまり、最低映画はすべて相対的なものである。絶対的に駄目な映画なんて、考えること自体無意味だ。金にも才能にも頭にも運にも不自由な人が作った駄目な映画なんかいくらでもある。そんなの一々怒るわけないじゃない。でも、オレの『エンド・オブ・デイズ』に対する怒りは真摯なものなのよ。あの笑いとばすことすらできない中途半端さ、延々と続く退屈、金の無駄使いと客を舐めきった態度に怒ったんだ。だからあれは最低なの。じゃあ『エンド・オブ・デイズ』と『ノイズ』のどっちがくだらないかって? どっちも最低なんだよ!

 高田馬場で共同通信の記者から取材を受ける。クリスティーナ・リッチの魅力について。え、魅力?

 その後渋谷にまわり、パンテオンで『マグノリア』。早くも決めた今年ナンバー1作品。三時間以上の映画なので、試写が終わったのは11時ごろだった。帰ろうとしたが石熊につかまって西麻布に拉致される。そのまま石熊、大林千茱萸(視聴率10パーセントの女)、芝山幹郎、ヘラルドTというメンバーで朝3時まで。町を歩いていてスターバックスを見ると“カフェラテ作戦”を決行したくなる我々なんだけど、芝山さんは「そんなもん、殴ってやればいいんだ」と言いきってしまう世代なのだった。それにしても視聴率10パーセントの女に「ご本人様ですか?」攻撃をする−−はたいした会社である(オレだけだと思っていたよ)。早いとこ潰れちまえ! あと松竹と東宝もな!


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Kiichiro Yanashita / 柳下毅一郎 / kiichiro.yanashita@nifty.com