これからは“赤い小人”と呼ぶことにしました

◎今月のお仕事 『イグジステンズ』(クリストファー・プリースト 竹書房)発売中。なんか詰めの甘い翻訳。


4/12(水)
『バットマン アーカム・アサイラム』(グラント・モリスン/デイヴ・マッキーン 小学館プロダクション)いただく。いやあこれは……頑張っているのは誰でも認めるだろうが、しかし、やはり無理じゃないかなあ。まあオレも翻訳してくれって言われたらほいほい引き受けるだろうが。

『ハンニバル』買う。パラパラ読んどったが、ものすごい直訳。高見浩って前からこんな訳だったっけか?


4/13(木)
 シネカノンでシネ通では紹介できない映画『赤い小人』を見る。行ったら試写会族は知らぬ者なきテディ・ロビン(フィリピンでは大人気)系映画評論家が来ていた! やっぱ仲間に会いたかったのか? 気になって気になって映画どころじゃ……
 えー、映画の方はなんですよ、殴る蹴る犯す殺すとやたら凶暴すぎるキラー・クラウンの話でした。テディの感想を聞きたかったものである。

 帰り際に本屋で『悪者見参』(木村元彦 集英社)購入。サッカー本ばかり買っておる。


4/14(金)
 ちょっとたまっている試写をこなさなければならなかったので一日2本体制。

 まずは『サイダーハウス・ルール』なんせ原作を読んだのは10年も昔のことだし、その後古本屋に売っぱらってしまって手元にないのですべてがうろ覚えだが、それにしてもこの脚色は凄すぎる。ほとんど別の話と言ってもいいくらい。だいたい、“林檎園のルール”ってそういう意味じゃなかったんじゃないか? 原作者がやるんじゃなければ絶対に許されない脚色だろう。

 その後ヘラルドで『鬼教師ミセス・ティングル』。カンニング未遂をとっつかまった生徒たちがその鬼教師を監禁するって話なんだが……ティングル先生「あんたらみたいな甘えた自己中心的なガキを世間に出すわけにはいかない」って言うんだけど、その通りやんか! どう考えてもこの映画でいちばん正しいのは悪役ティングル先生なのである。ケヴィン・ウィリアムソンって本当に幼稚だよね。


4/15(土)
 本棚に片端から本を詰め込んでいく作業。本当は美的に考えていかねばならんのだが、そんな暇あどこにもねー。

 夜、ユタへ。そこでも高見訳は話題になっていたが、「シリーズの統一感を出すため、菊池光訳に近づけようとしたんじゃないか?」というのが一同一致したところであった。菊池光が下訳したんじゃないかという意見も(笑)。いや、それなりにおもしろかったんですけど、トマス・ハリスに求めていたのはこういうおもしろさではなかったような気が。


4/17(月)
 昼間暖かかったのでTシャツにジャケットで歩きまわってたら、夜になってやたら冷えてきた。

 美学校でクーンツの『ファントム』。中途半端に豪華な感じのするキャストがいかにも低予算ホラーっぽくて素敵だ。ベン・アフレックとローズ・マッゴーワンとピーター・オトゥール。いちばん笑ったのはローズ・マッゴーワンとジョアンナ・ゴーイングの姉妹がすげえ似てたこと。姉妹役であんなに似てるなんて珍しい。
 それにしてもこの公式サイト、アドレスがhttp://ファントム.jp.ioというんだが、やめないかね、こういうのは。

『戦闘美少女の精神分析』(斎藤環 太田出版)いただく。ヘンリー・ダーガーのチンポ少女をオタクの性的欲望と結びつけようという、まあ東浩紀あたりが喜びそうな本だ。ところでぼく自身はダーガーがチンポ少女を書いたのは女性の体の構造を知らなかった(見たことがなかった)からだと信じている。たぶん、アウトサイダー・アートや電波系の研究家はほとんどが同意してくれるだろう。でもだからってこういう評論に価値がないってわけじゃないことぐらいはわかってるからね。


4/18(火)
『ロスト・イン・アメリカ』(稲川方人+樋口泰人編 デジタルハリウッド出版局)いただく。漢字が多い本だ。

GAGAで『ナインス・ゲート』。ポランスキー監督、ジョニー・デップ主演のオカルト古書サスペンス。ほとんど期待していなかったが、なかなか楽しかった。腐ってもポランスキー、というか。地獄の門を開く本を探すとかいうルチオ・フルチみたいな話なんだけど、なんか高級感あるんだよね。デップのファッションも良かったしな。お洒落なGOTH。

 京橋に回ってアキ・カウリスマキの『白い花びら』。なんと20世紀最後のサイレント映画! これほど倒錯した映画は見たことがない。しかし、それが意外と素直だから驚いてしまう。カウリスマキってやっぱ凄いかもしれない。


4/19(水)
 用事があって中野まで。

 タコシェに寄って『大安の日にはアンパンを食べる』(搭島ひろみ 車掌文庫)、『ドッグレッグス大百科』(CDROM三枚組!)購入。大安の日にアンパンを食べるといいことがあるらしい。


4/20(木)
 大雨。にもかかわらず小降りになった夕刻秋葉原へ出かけて買い物にいそしむ。生ROM買って帰ったら、家にまだ一箱開けてない奴があるのを発見した。やれやれ。
4/21(金)
 GAGA試写室で『キャリー2』見る。見ている最中、いったいなんでこんな映画作ったんだろうなあ、という思いがムクムク沸いてくるケツ作だった。ゴス少女とジョック少年の“ロミオとジュリエット”ってネタ自体はわからんでもないが、それをなんで『キャリー』の続編にしなきゃならんのや。エイミー・アーヴィングもスピルバーグからがっぽり慰謝料もらったろうに、今さらこんな映画でブザマな殺され方せんでも……

『時の扉をあけて』(ピート・ハウトマン 創元SF文庫)いただく。白石先生ありがとうございます。


4/23(日)
 三鷹台の友人宅へ遊びに行く。美味しい手料理をごちそうになって、邪悪な話をいっぱいして楽しかった。なんでも小人世界には小さな新聞があって、そこではテディは大映画評論家であるらしい。ウェブサイトとかもあるんだよね。その名もoyayubi.comだって(このネタを考えたのはぼくではありません)。
 本棚を覗けなかったのはかえすがえすも残念。
4/24(月)
 シネカノンで『女性上位時代』を見る。別に川勝さんに含むところがあるわけではないが、川勝/小西系の渋谷系リバイバル路線にはどうもなじめないものを感じている。でも、ぼくが見に行くくらいだからこれは完全なエロ映画。というか、カトリーヌ・スパークのお洒落な映画って最初の2本くらいで、後はえんえんエロ映画ばっかなんですけど。場内は満員でしたが、エロ親父と何もわかってない小娘ライターの両極端(笑)。

『戦闘美少女の精神分析』読了。本が進むにつれてどんどん実証を離れてブンガクになってしまうのだった。つうか、精神分析って結局トートロジーの学問だよなあ、という感想しか浮かんでこないんですけど。「いまや虚構に現実の直接的な反映を見るといった素朴な分析こそが、「虚実混同」の典型的事例なのだ」と言われてしまっては……いや、現実に裏打ちされない虚構にはまったく興味のわかない人間だもんですから。散文的ですいません。


4/25(火)
 UIPで『スティグマータ/聖痕』。『エンド・オブ・デイズ』でサタン様だったガブリエル・バーンが、今度はヴァチカンのオカルト調査員。ま、どっちでも似たようなもんですが。だいたい聖痕ってオカルトでもなんでもないだろうが、演出が完全にホラー演出だもんで本当に無意味なシーンが延々と続くことに。まあハリウッドの人は神の恵みも悪魔の呪いも区別がつかないらしいね。上映中、何度時計見たことか。
4/26(水)
 早川書房に出かけ、塩澤SFM編集長と打ち合わせる。中身はこれから。仕事は5月かな。

 おみやげにSFMの最新号をもらった。ラッキー。これから打ち合わせるときは発売日直後にしよう(笑)。なお、ディック特集は菊池誠のエッセイが良かった。オレもSFはああいう風に読むことしかできない。つーか、オレが書いたのかと思ったよ。

 夜、韓国代表1-0日本代表@チャムシル うーんうーんうーん。韓国がとばしまくった前半を乗り切って、足が止まったところで完全にゲームを支配。退場者も出て……なぜ、そこで点を取られる? こんなことでトルシェがクビとは残念というよりないねえ。あ、交代はちょっと遅かったと思う。遅くとも後半10分までに森島を入れてればだいぶ違ったと思うんだが。


4/27(木)
 GAGAでケヴィン・スミスの『ドグマ』見る。香港の旧正月映画みたいだった。その心はスターはいっぱい出てくるけど中身は何もない。これを見てわかったこと。

 いや、そんなに嫌いなわけじゃないんだよ、実のところ。


4/28(金)
『わが心臓の痛み』(マイクル・コナリー 扶桑社)いただく。ありがとうございます。

 DVDでミッキー・スピレーンの"The Girl Hunters"見る。もちろんマイク・ハマーものなんだが、スピレーン本人がハマー役を演じている珍品。作家多しといえども、こんなことができる人間はスピレーンくらいしかおるまい。
 スピレーンはまさしく「ゴリラのような大男」なんだが、かつぜつがもひとつなもんでセリフがほとんど聞き取れん。それでも面白いって、映画ってなんなんだろうねえ。「女と銃」か? まあ、それだけはたっぷり出てきたが。


4/29(土)
 テレビで鹿島VS神戸の試合見る。柱谷が柳沢について、「技術的には完璧。あそこでもう少しDFに体をぶつけてやればもっとずっと楽にヘディングできるのに」とコメントしていた。そういうことなのかな。そう言えば、柳沢のゴールってすごくきれいなものばかりなような気がする。だからまあ、ファンに期待させちまうんだろうけど。
 そういうわけで、今日もノーゴールの柳沢くんでした。
4/30(日)
 SF研の後輩たちが遊びに来る。現会長を筆頭に4人。会長の女の子が家に遊びに来たいとかいうことでこうなった。ケーキと紅茶ののち、たっての希望で『ミラクル・カンフー/阿修羅』をLD上映してあげる。まあ楽な接待であった。お帰りにスーファミやらペーパーバックやらをいっぱい持たせて帰す。
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Kiichiro Yanashita / 柳下毅一郎 / kiichiro.yanashita@nifty.com