ユーロ終幕

◎今月のお仕事 〈SFマガジン2000/08〉ジョン・スラデック追悼特集を大監修。すんません。
        7/22(土) 中野武蔵野ホールのアルバトロス映画祭でトークショー with佐川一政 問03-3389-3301 ちなみに映画は『グッバイ20世紀』(プレミア)


6/25(日)
 オランダは鬼神のごとき猛攻を見せ、ユーゴを完全粉砕。いくらFIFA公認民衆の敵ナンバー1のユーゴだからといって、あそこまでする必要があったのでしょうか? いやそういうことをいっさい斟酌しないところがオランダのオランダらしいところなんだが……

 ところでSFMのスラデック追悼特集に関してとんでもないミスを発見してしまった! ああ情けない(ちなみに誤訳ではありません−−誤訳はあるに違いないんだけど、それはしょうがない。なんせスラデックだから)。


6/26(月)
 一日ワープロに向かっていたが、3行ほどしか書けなかった。
6/27(火)
 原稿を書いていたら、突如W95がフリーズして再起動。理由がよくわからないまま何度かくりかえしていたんだが、どうやら「あきらか」という文字を打ち込むとブルースクリーンが出るらしい(ちなみにこの日記はマックで執筆中)。理由はまったく不明だが、ATOKまたはWZ Editorの言葉狩りにより「あきらか」の代わりに「明白に」を使うとか、そういうハメに陥ってしまった。どういうことなんだ? なんか呪いのエートックとかそういう感じですか? 新耳袋に投稿するか……

 第一ホテル東京にて推理作家協会賞パーティ。ミステリ系のパーティって、普段見かけないような格好をした女性(ありていに言えば水商売な人たち)がいて面白い。SFに水商売は来ないもんねえ。SF系のパーティで露出の大きな衣装を着ているのはコスプレだけだ(笑)。


6/28(水)
『スナッフ・フィルム追跡』(ヤーロン・スヴォレイ+トマス・ヒューズ 扶桑社ノンフィクション 浜野アキオ訳)いただく。「スナッフ・フィルムは本当にあるんだ!」と叫ぶ本である。おもしろいんだけどね……
6/29(木)
 松竹で『オーガズモ』見る。『サウスパーク』のマット&トレイの出世?作。クズイ製作の日本映画である……これさあ、ここ2年ほど年末の秘宝オールナイトに出してくれって頼んでは断られてたんだよね。で、ようやく見たんだけどさ、これ年末オールナイトでまったく問題ないと思われるんですがどんなもんですか? 中野貴雄とゴッホ今泉が来ていたが、中野監督はいろいろ言いたいことがあるようだった。まあ同族嫌悪とかそういうものではなかろうか。

 準決勝オランダ0(PK1-3)0イタリア あああああーっやれん。まあPKを二本もはずしていては勝てん。それはよくよくわかっている。でも、イタリアの地べたを這いずるような現実主義が勝つことだけはどうしても許せないのだ。オレの美学に反する。もちろん、勝つためにはイタリアのリアリズムの方が効率はいい。それくらいわかっている。勝率だって良かろう。でも、それじゃあダメなんだよな。オレはリアリズムが強いなんてことを教えられるためにサッカーを見てるわけじゃない。やっぱり理想が羽ばたく瞬間を見たいのだ。サッカーに関してだけはオレは一貫してロマン主義者だ(関係ないけどトルシェ支持派はだいたいロマン派だと思う)。だがロマン主義は敗北の美学でもあるわけで、74年の決勝以来、いつも理想が敗北するのを見ては泣いているのである。
 でもよく考えたら、これサッカーに関してだけじゃないかも。


6/30(金)
 夜の試写に行くつもりだったけど、何本か電話しているうちに行きそびれてしまった。
7/1(土)
 明治学院大学の四方田犬彦主催の李香蘭シンポジウムに出かけた妻が、会場で「え、姓は同じでいいんですか?」と聞かれたという。なぜか業界にうちら夫婦が離婚寸前だという噂が流れているらしい?!? そ、そーだったのか? オ、オレの知らないうちに……
7/2(日)
 所沢の友人夫婦と清瀬のそば屋〈篠新〉で飯を食う。なんでこんなところまで来たかと言えば、ここ、元シネセゾンの人が脱サラではじめたという店で、妻とは旧知の仲だ。しかしそんなことには関係なく、食い物はたいそううまかった。お近くにお住まいの方はぜひ。

 ユーロ決勝ではまたしてもありえざるデウス・エクス・マキナの介入があってフランス優勝。まあイタリア負けてざまあみろ、つーか。


7/3(月)
 東京国際フォーラムのPFFへ出かける。一日いて、<LOVE&SEX>の特集3本を見る。『ボブ・フラナガンの生と死』『ステイシー・バレンタインThe Girl Next Door』『アナベル・チョンのことSEX:The Annabel Chong Story』の3本である。ボブはSMアーティストで、生前に一度会ったことがある。追悼文はココ。あとの二本はそれぞれポルノ女優の伝記映画。
 『ボブ・フラナガン』は危ないシーンをすべてカットした(文字どおり切り落としてある)という驚異の不完全上映。90分の映画が80分になっちまうんだからなあ、見ない方がマシだった、とまでは言わないけどちょっと参った。あと2本だけど、アナベル・チョンというのはセックス世界記録(一日で251本!)を樹立した女で、その実像を探るみたいな話である。なんかしみじみ思ったけど、どうしてドキュメンタリーってみんな「人物像に肉薄」しようとするかね? いくら迫ったって何もない奴は何もないままだよ。まあそれはさておき、アナベル・チョンはまるで黒木香のようでした。でも黒木香の方がおもしろいと思う。

 終わってからBOXのO、プロデューサーの安岡氏らと飲むが……まさかそんな……じゃどーなるのよ! というわけで今年は年末オールナイトの開催があやぶまれてたりなんかして……


7/4(火)
 東和で『シャンハイ・ヌーン』。ジャッキー・チェンの性的倒錯はひどくなる一方なんだが、それにしたってこれはないんじゃないかい。今回は「便利使いする妻」、「聖母」、それに「娼婦」ときれいに女の役割を分けてしまってるんだが、中でも「妻」の扱いが酷いんだ。ほとんどサベツでしょ、これ。最近体が動かない分、暗黒面だけはバリバリのジャッキーなのでした。

 メディアボックスまでの移動でちょうど雷雨にあい、全身びしょぬれ。それで見たのが『カノン』なんだが……いやもう、気分悪くなったよ(マジで)。本当、何度途中で出ようかと思ったかわからんのだが、仕事だから……と思って我慢した(たぶん金払って見に行ってたら途中で逃げ出してた)。いや、いろいろ考えさせられたなあ。この映画、一言で言えば下品なんだが、オレは下品許容度は結構高い方だと思うんだよね。でもなんでこれに限ってはヘドが出るほど嫌いなのか……下品な癖にアートぶってるからか? やっぱフランス人だからかな?


7/6(木)
 『Flawless』見る。ロバート・デ・ニーロがマッチョな元警備員で、フィリップ・シーモア・ホフマンが同じマンションに住むドラァグ・クイーン。こうしてジョエル・シュマッカーの愛するふたつのもの、オカマの世界とマッチョの世界が結ばれるわけだね。
 なんか自主映画みたいである。それより、見ているさいちゅう、オレの頭の中には「映画紋切り型辞典」という言葉がピカピカ点滅していたのだった。

 喫茶店でちょっと仕事をしたのち、オーチャードホールで〈東京の夏音楽祭〉のオープニング上映。今年は映画と音楽ってテーマで、無声映画の生演奏つき上映とかあります(うちの妻は出演しませんが)。
 オープニングは斎藤寅次郎の『爆弾花嫁』とロシア映画『新バビロン』。『爆弾花嫁』はおもしろかったけど、なんか音楽が全然関係ないもので参った。あんな音楽をつけられちゃ、全然笑えないっす。


7/7(金)
 雨の中、久しぶりに駒場へ行く。川勝さんのポップ・カルチャーゼミの最終回、滝本誠のリンチ話を聞くためである。話はまったりと、特に盛り上がりも結論もないままに続いていたが、これが滝本節というものであろう。滝本撮影の秘蔵リンチ邸探検ビデオがおもしろかった。なんか姑息に盗み撮りしてる感じが。

 終わったあと、どしゃぶりの中渋谷へ移動し、映画会社*2、編集者*2、ライター*2、芸能人*1、女子大生*1というメンバーで飲む。芸能人というのは昔黒沢清の映画に主演していた人だよ。「最近は出してくれないんだよね……」と言っていたので黒沢さん、またいぬちゃん使ってあげてください。


7/8(土)
 ウィリアム・ギブソンの『フューチャーマチック』読む。つまらなかった。三部作の中でいちばんつまらなかった。思えばスプロール三部作でも後になればなるほど加速度的につまらなくなっていった。どう考えてもこれは偶然ではあるまい。なんか物語が進むにつれて思わせぶりの底が割れてくだらない落ちがついちゃうんだよね。中編くらいがいちばんおもしろい、というのもそこら辺に理由があるのか。

いくつか巡回先


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Kiichiro Yanashita / 柳下毅一郎 / kiichiro.yanashita@nifty.com