High and Low life in LA

◎今月のお仕事 特に…… 


7/29(土)
 成田から全日空便でLAへ。久しぶりの大名旅行なんで、なんとビジネスクラスである。全日空のビジネスなんて、自分の金じゃあ絶対に乗れないな。成田ではラウンジを使いまくり。いかにも舞い上がった貧乏人的行動である。で、飲み過ぎて飛行機で泥酔したりするんだよね。

 LAではフォーシーズンズに宿泊。いやもう、ソニー様々である。さっそくアメニティをガメることからはじめるあたり、いかにも貧乏人らしい……だってなー、こんなとこ二度と来られないよ。自分の金じゃあ。8時からビヴァリー・センターの映画館で『インビジブル』試写。終わったあと飯を食い、明日のジャンケットに向けて質問を整理して、就寝二時。


7/30(日)
 朝飯後、新聞を読んだり、原稿を書いたりしながらのんびり過ごす。なんか時間が中途半端すぎてなんもやることがない。豪華なホテルでも、外に出られないというのは欲求不満だね。しかたないんでぼーっとテレビを見る。MTVでトム・グリーン・ショーをやっているのでつい見入ってしまう。史上最低のコメディアン、トム・グリーンについて知りたい人は、洋泉社近刊の『アメリカ横断TVガイド』(町山智浩著)を買おう! ほれ、宣伝しといてやったからな。

 3時からプレス・ジャンケット。日本からの同行は渡辺麻紀、杉谷伸子、山口直樹。あとは通訳ということで比較的のんびりした感じである。そんな中で異様に騒がしかったのがポール・バーホーベン。一言聞くと五分くらい息継ぎなしで喋りまくるもんで、ほとんど何も聞けなかったような。

 終了後、ビヴァリーヒルズの〈スパーゴ〉で晩飯。いやあ、自分の金じゃあ一生行けないようなとこばっか行ってるなあ。まあ高い金ふんだくるだけあって、食事はなかなかのもんだった。なんか時差ボケが来てうつらうつらしちゃってましたが。

 寝る前にテレビを見てたらE!にジェイムズ・ヘイヴンが出ている。アンジェリーナ・ジョリーとの近親相姦を噂されている兄である。相姦ネタを交えながら、なかなか軽妙なトークで素敵だった。いや、ヘンタイはヘンタイみたいなんだけどね。


7/31(月)
 秘宝次号エクスプロイテーション特集のため来LAのウェイン町山が瑪碯ルンナさんの車でホテルに到着。さっそく昼飯を食いに行く。ちなみに取材の方だが、出てくる連中みんなキチガイばかりで大変なことになってるらしい。秘宝次号をおたのしみに。

 昼食後、ソニーのスタジオへ。ソニーのSFXスタジオで働いている日本人ハッカーの取材なのである(完全なSEでもないけれど、CG描いてる人ではない)。まあ、取材してたのは一行のうち約一名のみですが。その人はケン・ラルストンのサインをもらって有頂天、すでにバーホーベンのことも忘れてしまったみたいですよ。

 ホテルに戻ると町山とルンナさんはビデオに見入っている。LA一の狂ったレンタル・ビデオ屋と噂されるモンド・ヴィデオで借りてきたお宝ブラックスプロイテーションを鑑賞していたのだ。そこで観ていたのがルディ・レイ・ムーア主演の『ショーリン・ドールマイト』! なんだかこれがもう……みなさんにもこの魅力をお伝えしたいとは思うのだが、オレのつたない筆力ではとてもとても。物語を要約することすらできない。話につまると出てくる新キャラ。一人やたら下品な言葉使いの黒人カンフー鐘つき。そしておっぱいビンタ! 観ているうちにみんなすっかりトリップしてあっちへ行ってしまったよ。「今年のベスト1だ!」と叫ぶ町山なのであった。


8/1(火)
 ジャバールやカメラマンを呼んでフォーシーズンズで一人20ドルの朝飯をおごる。もう一人20ドルだからほっぺたが落ちそうなくらいうまい。一杯5ドルのコーヒーなんかとても喉を通らないほど……って今書いてて思ったけど、これ日本の物価換算だととんでもなさがつたわらないかも。しかし、いずれこの王侯貴族暮らしも今朝までで、今日からはChateau Bermanの女中部屋で寝泊まりだ。

 とりあえずハリウッドのハスラー・カフェでお茶したあと、ジャバールくんを運転手にして町山と一緒にハリウッドへ向かう。LA在住のジャバールは道を歩いていてロイド・カウフマンと出くわし、トロマに就職したという素晴らしい経歴の持ち主である。ボ、ボンクラすぎる。ハリウッドでは以前サンタモニカにあった謎のポスター屋Backlot Movie and Postersへ。ジジイが一人でやってて土曜のみ営業とかいう店だったんだが、なんとハリウッド・ブルヴァードに進出していたのだ! 驚いて見に行ったが、埃っぽいのはあいかわらず。ただし一律20ドルだったレア・ポスターはだいぶ抜かれてそれなりの値段になってました。残念。オレとしては前回買いそびれたメイミー・ヴァン・ドーレンのポスターが入手できたから良かったけど(でも、値段はだいぶん上がってたんで、『秘宝』で特集を組むという野望はおあずけ)。

 実は今やってる映画はどれもたいしたことないんだけど、今週末から公開されるのがジェリー・ブラッカイマーの"Coyote Ugly"。『カクテル』女版というハイ・コンセプトに基づいて作られた映画なんだが、どうよ、これ。つーか、はっきり言って今いちばん観たい映画なんですけど。それは町山も同じで……いや問題はこれブラッカイマーだし、絶対面白いわけがない(ブラッカイマー作品でいちばん面白いのは予告編である)ってのはわかりきっているんだけど、それでも観たいし、たぶん観てしまうのだ。これはなぜなんだ? それが男というものなのか? それが『コヨーテ・アグリー』なのか? ああ、『コヨーテ・アグリー』の恐ろしさよ。というわけで『コヨーテ・アグリー』に心を残しながらも、町山はコロラドの妻子のもとへ帰っていったのだった。


8/2(水)
 以前から行ってみたかった映画芸術科学アカデミーの図書館へ突撃! するも水曜定休ということでお休み。ガックリ。しかたないんで映画へ行く。"But I'm a Cheerleader"は『アメリカン・パイ』のナターシャ・リオン主演のレズビアン・コメディ。金髪碧眼でチアリーダーのオール・アメリカンなナターシャが、ある日いきなりレズビアン疑惑をかけられてゲイ・レズ矯正キャンプに送り込まれる。「で、でも……あたし、チアリーダーなのに!」というわけでタイトル。
 笑うのはナターシャの両親がバド・コートとミンク・ストールだってこと。この両親でストレートな子供が生まれたらその方がスキャンダルである。で、矯正キャンプのトレーナーがルポールだったりして大笑い、みたいな。
 しかしいちばん驚くべきはこれが実話に基づく映画化だってことだろうね。

 いろいろ遊びたかったんだけど、飯を食ったとたん強烈な眠けに襲われ、バーマン邸に帰ってすぐ爆睡。


8/3(木)〜8/4(金)
 またもビジネスで帰宅。思うに、ビジネス・クラス最大の利点はチェック・インや搭乗時に待たずに済むことじゃなかろうか。イラチの身としては特にそう思う。でも、それならマイレージ・プログラムの上級会員になればいいだけなのか?
8/5(土)@パシフィコ横浜
 帰宅即SF大会。新宿に寄ってから出かけたので着いたのは12時前だ。今回は俺の都合で〈秘宝〉を巻きこんじまったんで、責任を感じてお手伝いすることにした。とりあえず今日はディーラーズのブースに座って売り子をつとめる。

 やってて思ったけどこれもなかなかいいね。みんな一度くらいはディーラーズ覗きに来るし。知り合い捕まえて話してるだけなら、座ってられる分いいかも。というわけでなんかまったりとしたSF大会参加でした。企画は新幹線を降りそこなって名古屋まで行ってしまったという噂の香山リカ講演のみ聞いた。中身? いや、朝早く起きて横浜まで行ったもんでちょっと……

 総勢40人近い大所帯で飯を食ったあと、横浜宿泊組と別れて添野と二人寂しく帰る。ちなみにディーラーズではゴア・ヴィダルの『大予言者カルキ』を購入。なんでヴィダルってこんなに邦訳出てるんだろうね(どこかにファンがいるのか? んなわけねーか)。


8/6(日)
 今日もパシフィコ横浜。ただし今日は企画がある。12時から〈秘宝の部屋〉ということで、まずは中野貴雄と大畑晃一両氏をお迎えして〈世界バカ映画決定戦ライヴ〉。大畑監督はメキシコ産聖書物語と韓国TVドラマダイジェスト、中野監督は香港ドイツ合作の七人の金髪ドラゴンほか(『リスとヤマアラシ』を他でやられてしまったのが不満だったみたいな)でした。中野監督「オレはこの映画を見るために生まれてきたのだ!」とかって燃えまくってたのが効いたのか、結果は……詳しくは、秘宝次号でレポートされます。

 休憩をはさんで秋冬の新作SF映画予告編集。えーと、なぜか(笑)『タイタンAE』とか『Xメン』とかはありませんでしたが……まあ『スペース・カウボーイ』とか貴重だったんじゃないですか(オレははじめて観た)。最後は『インビジブル』で。

 第三部はアルバ叶井を迎えて中原とトークショー。とは言ってもほとんどオレが突っ込みをいれてたんで中原の出番はあまり……今、映画業界でいちばんSFな男、叶井俊太郎の魅力はみなさんにも充分につたわったんじゃないでしょうか? まああまりにレアな、というか普通オフレコにするだろうみたいな話が多すぎて、これ聞いてた人は美味しかったですよたぶん。

 というわけで来てくれた人はそれなりに満足してたんじゃないでしょうか。ま、叶井の話聞くために2万円払うかって言われたら考えるだろうけどさ。来年は……知らんわ。

 企画終了後は挨拶もそこそこに会場を抜け出し、恵比須ガーデンプレイスへ。ガーデンプレイスではこの夏の特別企画として中央広場で映画の無料上映会をおこなっている。マツダ映画社が参画してるんで無声映画中心で、まあうちの妻にもお鉢がまわってきたってわけ。
 今日は『散りゆく花』。もうこれまでに何回見たかわかりませんが、何度観ても感動の名作である。演奏の方はかなり力の入った泣かせで、あれでキーボードがもうちょっと良ければかなりの好演だったんじゃないかな。とりあえず来てくれた人には好評だったみたいだけど(となりでボロボロ泣いてる女の人とかいたらしい)。次は8/27(日)、『チャップリンの街の灯』です。

 終了後、見に来てくれた添野夫婦(ご近所在住)と飯を食って帰宅。


8/7(月)
 ああっこんなんあったんか。別に著作権がどうしたとかつまらんことは言いたくないが、一言くらいあってしかるべきとちゃうやろか(まあペヨトルが何もしなかったって可能性はある)。芝居のほうってよく知らんけど、こんなんスか?

 知ってたら見に行ったのに、残念なことである。


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Kiichiro Yanashita / 柳下毅一郎 / kiichiro.yanashita@nifty.com