駒場デビュー

◎今月のお仕事 SFマガジン2000/11月号にニール・ゲイマンの短編「聖杯とお茶」訳載。ところでSFMは次の号にも翻訳が載る予定なんですが……
        『マリ&フィフィの虐殺ソングブック』(中原昌也 河出文庫)解説。自分で言うのもなんですが、なかなか傑作だと思うんで立ち読みでもしてやってください。


10/3(火)
『Making of King Kong』がAmazonより届く。

 高田馬場に出かけて、SFオンラインの次号特集向けに対談に参加。お題はアメコミ。なんですがぼくは最近のアメコミなどまったく読んでいないのですけれども。で、しかたなく状況論ばかりになってしまったんですが、こればっかりはねえ。オレとしては『ダークナイト・リターンズ』を訳せた時点でもうアメコミへの妄執はすべて果たしたような気分なんで、今後は後進の人たちにおまかせしたい感じなのだ。あ、でも"From Hell"ならやってもいいかな。あと"Sin City"の続きか。あと……

 添野、堺、海法と飯を食って帰る。


10/4(水)
 2時、原書房のIくんと打ち合わせ。Iくんはレッズ・サポーターなので、人生の不条理を今かみしめまくっているところである。というわけで会ってから仕事のことなどすっかり忘れ、とりあえず1時間ばかり人生の不条理について語りあう。レッズ・サポにとっては毎日翌日の新聞を見るのが恐くてしょうがない状態に違いない。いや、なんかオレも最近さ……それにしたってケンゾーはねえよな……
 最後、仕事のことを思いだしてあわてて30分ほど話をする。

 そのあと犯罪者の名言集を作りたいという編プロの女の子とちょっと話をする。話すうちに元ちゃん(埼玉愛犬家殺人)の娘と同級生だったということが判明! いきなり口調が変わっちゃったりして。 

 夜、道玄坂ホテル街の中にあるシネカノン本社(通称シュリ・ビル)に入ってる韓国料理店にて会食。シネカノン中心に、映画会社と編集者とウェブサイトの人と……ちなみになぜか同じ店に川本三郎を中心にキネ旬なんかも混ざったグループがいたもんで、ぼくが「だいたいあんな雑誌誰が読んでんだよお」とか言いだすとみんな「おねがい声低くして〜」となだめられてしまったのだった。


10/5(木)
 FOXにて『ホワット・ライズ・ビニース』試写。かつて、黒沢清は「ヒッチコックが30秒でやることを、フライシャーなら1分で、ゼメキスは3分かけてやる」と言ったものである。で、そのころ4分クラスだった黒沢清はいつのまにか1分半くらいの世界に突入しているのだが、ゼメキスはと言うとすっかり5分くらいかかるようになってしまっているのだった。
 しかしまあ、ゼメキスにも同情の余地はある、以前、『Xメン』のときに予告編を見てあまりのネタばらしぶりに呆然としたのだが、映画を見て二度びっくり。詳しくは書かないが、ゼメキスとしてはこれ、ヒッチコック・タッチのサスペンスとして作ったものなのに、どうも世の中にはそのことがわかる人がどこにもいなかったらしい。映画業界の総痴呆ぶりもここまで来たかと……
10/6(金)
 ふと思いついて中野に出かける。ブロードウェイをちょっと流してたんですが、人気のない四階に何やら怪しいものが……あ、これってひょっとして特撮界のアンタッチャブルと言われているグリフォンの『ノストラダムスの大予言ドラマCD』って奴じゃないの!? まだ売ってたんかい。うーむ。たまたまタコシェで叩き売りした古本の清算をしたばかりだったので、お金があったのが運の尽きだ。また、つまらぬものを買ってしまった……

 あとでタノベくんに話したら、タノベくんにまでバカにされてしまったよ……


10/7(土)
 ペトロ引退、鳴尾記念二連発、ケンゾー総監督就任、暫定3位転落と立てつづけに不幸のつるべ落としに見まわれているレッズを見ているうち、どうにもやばい感じがしてきたので、一度J2浦和を見に行っておこうと思った。これにはもうひとつ理由があって、新しい埼玉県営スタジアムが完成したら、家からはとっても便利なのでもうレッズ・サポーターになる予定なのである。ま、でもいきなりそんなこと言っても誰も仲間に入れてくれないだろうから、とりあえず駒場に行って不幸のどんぞこにあえぐレッズを見てこよう、と思ったのだよ。いやこれでまた負けたりしたらどうなるんだろう、という好奇心が心の底にあったことは否定しません。
 というわけでIくんと浦和駅で待ち合わせ。3時駒場スタジアム。浦和1v-0仙台 名にしおうレッズ・サポーターですが、まとまりと迫力では仙台に負けていたような気がする。観戦場所が悪かったのかな(メインスタンド・アウェイ側)。ともかく、ぼくの座っていた席だと仙台サポの歌の方がよく聞こえていて、わりと迫力負け。
 レッズ不振の原因ですけど、なまじボール持てちゃうもんで、全然走らなくなってるのが悪いんじゃないかなあ。なんかすっごく足元サッカーなんだよねえ。でもそんなことはとっくにわかってるはずなのに、なぜ直らないのかねえ。あと小野君はね、いらないよこのチームには。

『生き地獄極楽』(雨宮処凛 太田出版)いただく。


10/9(月)
 朝方、落雷で起こされる。体育の日は晴れの特異日じゃなかったのか。
10/10(火)
『SCARED#4』いただく。

高田馬場でトーキングヘッズ次号特集のため高橋良平、三村美衣とざだんかーい。でーもー。なーんかー。だーらだーら喋ってるだけでー。なーんも結ろんがなかったーーーんですけーどー。いーんーですかー?ーーあんなんでー


10/12(木)
 午後一番で試写。川勝正幸、ミルクマン斎藤、中原昌也といった人と会う。で、何かと思ったらキネ旬襲撃ビデオを延々と見せられる羽目に(←いい加減にしなさい)

 6時から恵比寿のウェスティン東京でアミューズ・ビデオ10周年記念パーティ。冨田靖子ははいたが福山マサハルも三宅裕次もいなかった。まあ立場がしのばれることである。全体に食い物は多かったが友人は少ないパーティだった。背広のおっさん組をかきわけてひたすら飯を漁る。

 その後テアトル新宿に出かけて誰もが待っていた三池祟史監督待望の新作『Dead or Alive2〜逃亡者』試写! 会場には哀川翔も竹内力もいる。ついでに二人の子供時代を演じた子役もいる。いやがおうにも期待は高まるぞ。で、どうなんだ、今度は? オーストラリアが舞台なのか?……(1時間40分経過)……まあ、もうちょっとマジメにやってくれてもバチはあたらんだろう、と思ったよ。三池祟史、調子に乗りすぎじゃねえか? 終わったあと、大森望と一杯だけ飲んで帰る。


10/13(金)
 終日仕事。
10/14(土)
 九段下・成山画廊ふたたび。今日は世界最小の手品師マメ山田先生のコミックショーなのだ! ちっちゃっくってとってもキュートなマメさんのことが大好きな妻と大林千茱萸の三人で行く。
 なんつーか、懐かしいテーブル・マジックを見せていただいて、とてもほのぼのした気分になったのだった。ちなみに会場には乾喜美子がいた。マメさんにキスまでされていた。うらやましい。小人好きなのか?

 ところで、フリー編集者のTさんも誘ったんですが、「わたし、小人好きなんかじゃありません! 人をヘンタイみたいに言わないでください!」と怒られてしまったのでした。そういうわけですので、みなさん、これからTさんを“小人好き”とは呼ばないであげてください。Tさんはただ「小人って可愛いじゃないですか」って言ってただけです。

アジア杯開幕 日本4-1サウジアラビア 名波かっちょいいなあ。うーん惚れるぜ。なんか、パスもシュートも圧倒的にシャープだった。あれならまたヨーロッパじゃねえのか?


10/15(日)
 眠いぞ。

 夜中になるとアジア杯を見ながら仕事。イラン、タイ相手に大苦戦。やっとのことで引き分け。いやあ、イランがこんなていたらくだと、もはや今大会は日本の一人勝ちか? 平均得点4、失点1くらいで全勝優勝とか……疲れてるのかな、もう寝よう。
 なお、イラクVSレバノンはなかなか楽しい試合だった。つうか、全身黒装束で満員の観客を敵にまわして戦うイラクはヒールの魅力充分であった。アジア杯も妙な魅力があって、見てると病みつきになりそう。やっぱ試合のレベルでしかサッカーを語れない人は不幸である。


10/16(月)
 韓国VSクウェート。うーむ韓国弱すぎ。いつまでもミョンボ兄いに頼ってんじゃねえ。こんなんで2002年大丈夫なんかい……って他の国の心配をする余裕があるんだから、まあ偉くなったもんやで。
10/17(火)
 1時。白水社のF氏と打ち合わせ。ひいひいひい。『ゴールの見えない物語』(サイモン・クーパー編 ザ・マサダ)いただく。本屋で見かけて思わず頭をさげてしまった本である。

 11時よりアジア杯日本8-1ウズベキスタン 4点目ぐらいまではマジメに応援してたが、そこら辺でばからしくなって仕事やりながらモードに。試合終了後のウズベク監督の呆けた顔が印象的であった。まあ2、3年前までいい試合してた相手にこんなゲームされちゃあ、そうなる気持ちもわかる。1次予選じゃないんだからねえ。
 しかしこれなら本当に平均得点4点とか可能な感じである。


10/18(水
 風邪を引いてしまった。

 松竹でラース・フォン・トリアーの本年度カンヌパルム・ドール作品『ダンサー・イン・ザ・ダーク』見る。ともかくミュージカルの作り方としては完全にまちがっている。主人公は徹底的にブスだし、どうしようもなく画面は汚いし。そもそもビョークの歌って変拍子だから、ミュージカルには合わないだろ? 加えてデジタル・ビデオ撮影である。オレ、ビデオ撮影の映画は大嫌いなのだ。あんなものを許してはいけない、とさえ思う。
 というわけでやたら欠点だらけの映画なんだけど、なぜか気に入ってしまった。なぜだろう? やっぱりゾンビが踊るからか?


10/19(木)
 吉祥寺スターパインズ・カフェでアルチューラン公演。アルチューランは関西方面で活躍中の切り絵とダンスとバンド演奏を一緒にしたユニットだということであるが、まさにそのとおりのものだった。ゲストに石川浩司(たま)が来ていた。だからつまりそういうものだ。
“アルチューラン”とはもちろんキャサリン・ダンの『異形の愛』に出てくるアザラシ少年アルチューロの身体損傷カルトの名前である。そこにちなんでユニット名をつけた、ということなので、まあ見に行ってみたわけだ。なかなか楽しかった。切り絵がね。

中国VSクウェート見てたが、中国にはチンコウって選手がいるんだね。「壁のチンコウにボールが当たりました! チンコウ痛そうです」とか。韓国はあいかわらず駄目そうだ。


10/20(金)
『リアル・ベティ・ペイジ』(リチャード・フォスター UPLINK/河出書房)いただく。

夜、池袋で有名ウェブ作者と会う。呼び出しておいて、くだらぬ話をしただけだった。深夜日本B代表1-1カタール 名波からシンジ、西沢とわたった得点は、全員アウトサイドキックというたいそうテクニカルなパス交換だった。痺れる。韓国人にもイラン人にも、この快感だけは味わえないだろう。


Back to INDEX Diary INDEX

Kiichiro Yanashita / 柳下毅一郎 / kiichiro.yanashita@nifty.com