エロいぜマスムラ
◎今月のお仕事 SFマガジン2000/12月号にジーン・ウルフの短編「ユニコーンを愛した女」訳載。
『マリ&フィフィの虐殺ソングブック』(中原昌也 河出文庫)解説。自分で言うのもなんですが、なかなか傑作だと思うんで立ち読みでもしてやってください。
11/7(火)〜8(水)
栃木・北温泉に。お気に入りのハードコア温泉で、ここに行くのは何度目だろうか。今回はLAから来ているTosh&Lun'na夫婦と一緒に出かけたんだが、4人のうち髪が黒いのはアメリカ人1名だけだった。
脳味噌のしわがすべてほどけるほど湯につかり、帰りは宇都宮で途中下車してみんみんで餃子食って帰る。あ、みんみん駅ビルに入ってるじゃないですか!
11/9(木)
1時、後楽園で某社をもうすぐやめる編集者と打ち合わせ。最近、読者が多くて滅多なことを書けないが、この某社についてはいろいろ書きたくてたまらん。
夕刻、渋谷にてTITLEの編集者と会い、次号の特集についてなんかダラダラと話をする。〈文藝春秋〉の最新号をもらえてちょっと嬉しい。
11/10(金)
1時。幻のブータン映画、『ザ・カップ/夢のアンテナ』見る。なんと生き仏様がお作りになった映画である。ありがたやありがたや。中身はワールドカップを見たくてたまらないラマ僧の話であった。『そして人生はつづく』みたいだ。ジダンのゴールも見られるぞ!
帰るとアマゾンから巨大な段ボール箱が届いている。開けてみるとそこには"Clean
Breast"すなわちラス・メイヤー自伝が! まさかこんなものすごい本だとは思わなかったぞ。なんとA4判3巻全1200頁。いや、オレは全然後悔してない。350ドルの価値はあっておつりが来ると思う。でも……誰かテキストだけ抜き出して海賊版作ってくれねえか? じゃないと読めん。
11/12(日)
ToshとLunnaを招いてホームパーティ。寄せ鍋っつーか闇鍋ですか? オレもおよばずながら肉団子こねたりしてお手伝いする。パーティでは女の子(ちと誇張的表現)ばっか呼んだらかしましいのなんのって。
あ、ちなみにToshは最近ジョン・C・ライリーとダチになったらしいぞ!
11/13(月)
午後、打ち合わせをひとつこなしたあと大井町の明理書店に出かける。先日、何気なしにウェブ検索をしていたところ、ここ数年の探求書ベスト1だった小野悦男(冤罪のヒーロー)著『でっちあげ』(社会評論社)がひっかかったからである。喜びのあまり送ってもらうのすらもどかしく自分で出かけることにしてしまった。ついに悦ちゃんのすべてがオレのものに! るんるん。
ついでに『ディープスロートの日々』(リンダ・ラブレイス 徳間書店)と『アメリカン・バイオレンス』(レナード・シュレーダー 講談社)までゲット。いやあ、本なんて意外と簡単に手に入っちまうもんだなあ。ありがとう明理書店。あ、勘違いされてはいけませんが、この三冊、いずれも珍しくもないし価値もありません。単にオレが探してたってだけ。
その後渋谷でユーロスペースの増村特集『赤い天使』。中原昌也はこの映画を「エロい『プライベート・ライアン』」と評していた。なんのこっちゃと思うだろうが、いや、まったくそのとおりとしか言い様のないしろものである。「西が……勝ちました……」オ、オレにも勝ってくれませんか? んでもってコスプレとかしてくれませんか? ああ、オヤジすぎる。オヤジの欲望をかなえる増村保造特集は1/12まで。
11/14(火)
久しぶりにeBayをチェックしてたたら『愛は死より冷たい』のオリジナル・ポスターが出ている。おお!と思って入札者を見たらお友達だった(笑)。いやあ、eBayにハマってるとは聞いていましたが、なるほどねえ。えー、該当者はこれを見てましたら、そのポスター、オレに譲ってください(笑)。
11/15(水)
『奪回者』(グレッグ・ルッカ 講談社文庫)いただく。どうもありがとうございます。
11/16(木)
東和で『シックス・デイ』見る。いろいろと頭を使っている様子はあるのだが、しかしどんなに頑張っても所詮はシュワルツェネッガー映画なのだった。あのなんとかいう不気味な人形は良かったな、あれがいちばんディックっぽい。
丸の内線に乗ってたら「あっ柳下さん!」の声が。顔をあげるとそこにいたのは中原昌也だった(笑)。なんでも『回路』を見た帰りだったらしい。なんか、オレよりだいぶいい暮らししてる感じ。しかも「あぶく銭入りましたから」とか言ってコーヒーまでおごられちまったよ。おごってもらった手前、中原の時間つぶしにつきあって間抜けなシンクロニシティのことなどしばらく話す。
夜、東京に来ている宮崎映画祭の人々が来訪する。しばらく談笑、そして来年に向けての悪巧み少々。
11/17(金)
忙しい。ユーロスペースで増村特集を2本。『刺青』と『痴人の愛』。ところで二本見ていて思ったが、増村と谷崎って相性いいのかもしれんなあ。お笑いスレスレまでキッチュなところ。エロエロ。それにしてもムチムチな二人(若尾文子と安田道代)。
夜、なぜか乾貴美子嬢とデート。嘘。不思議な事物の巡り合わせにより、某氏と三人でお食事をすることになったのだった。乾嬢におかれましては両手に花? いや美女と野獣二匹か。
しかし話せば話すほど謎が深まる×××なのだったよ。
『メルキールの惨劇』(平山夢明 ハルキ・ホラー文庫)いただく。やっと出たね。
11/18(土)
アテネ・フランセへラース・フォン・トリアーのドグマ映画『イディオッツ』の有料試写会に出かける。boid.net主催なので映画のあとはちょっと漢字の多そうなディスカッションのおまけつきだ。映画はまあまあって感じ。トークでは安井豊氏の言ってることがオレ的にはいちばん納得がいった。一方で凄かったのが稲川方人。いきなり「プロキノ」だもんなあ。ううむ、プロレタリア映画運動としてのドグマ'95
終わったあと、某女性誌編集者T氏を家に招いて、ピザの晩御飯。風が強くて寒かった。
11/19(日)
朝日新聞に『コリン・マッケンジー物語』の書評が載っていた
……さらに鼻行類をフィルムに収めたニュージーランドの映画監督の資料が発見されたという『コリン・マッケンジー物語』(D・A・スミシー著、パンドラ)もある。しかもこの監督、世界に先駆けてトーキーや画期的なカラー技術を独自に開発、密林の中に巨大なセットを造って大作撮影に取り組んだ、という。豊富な写真が、それを証明しているのだが。
よく気づいていただきました。嬉しい書評。
1時からテレビ埼玉で浦和VS鳥栖を見る。鳥栖は名古屋から来た二人が豊富な運動量と高いテクニックで中盤を完全に支配。特に三原は素晴らしい出来だった。あれで前線のシュートがもうちょっと正確だったら、今頃浦和の街は焼け野原になっていたことだろう。最後は土橋の100本打って1本入るかみたいなすばらしいまぐれ当たりシュートで決まったが、いやもう……
とりあえず、さいたまスタジアムのこけら落としが埼玉ダービーにならなくて良かった。
11/20(月)
出かけようと思っていたが、雨が強いのでやめ(張り子の虎)。
9時になったのでインターネットTVでアジアユース選手権を見る。20kbpsくらい。こんな画面です。カメラが動かないと何やってるかくらいはわかるね(カメラ・アングルが変わると全部描き直さないといけないんで止まってしまう)。どうも中盤を支配されて何もできないでいることだけはわかった。
面倒になったんで途中からは2ちゃんの中継を読んでいたよ。
11/21(火)
午後、原書房のIと打ち合わせ。レッズについて語り合ってるだけで1時間過ぎていた。いや、一応仕事の話もしたよ。鬼が笑う奴を。
さらにたらたらと原稿を書く。さて、どうかな?
古本で購入したHarry Stephen Keelerの"The Tiger
Snake"が届く。Harry Stephen
Keelerは、たぶん翻訳が一冊もないミステリ作家である(詳しいことは、ミステリに詳しい人に聞いていただきたい)。詳しく経歴を書いてもいいが、たぶん冗談だとしか思われないだろうから書かない。ミステリ界のエド・ウッド、とここには書いてある。
彼の本は冗談のような値段で取引されているのでこれまで一冊も手に入れられなかったのだが、たまたま普通の値で出ているのを見つけた。ちなみにキーラー・マニアは彼の本を電子テキスト化して配布していたりもする。
11/22(水)
夜、アテネ・フランセで妻の演奏。今日は『散りゆく花』のオリジナル音楽の演奏ということだったんだが、楽譜に追いつくのがやっとって感じで演奏的にはもひとつだったかも。
10時過ぎにロフト・プラスワンの東雲会に顔を出す。もっぱら裏通りで某新聞社社員(ゴスっ娘)と盛り上がっていた。いろいろここには書けないネタを仕入れる。そしてここに書けない話をだいぶいっぱいいろいろ放言したような気もするなあ。
11/23(木)
『バットマン マッドラブ』(小学館プロダクション)いただく。
ところでふだんぼくはたいへん良識派として人望厚い人間なのだが、今日はちょっと人買い気分である。なんかどうしても秘宝に紹介してくれと頼まれたので、秘宝に人を連れていったのだ。いや、オレは止めたんだぜ。でも奴隷になりたいって人も世の中にはいるんだからしょうがないなあ。
11/24(金)
エスクァイアのアメリカ映画特集で樋口泰人と対談する。エスクァイアって、前号は日本映画特集じゃなかったっけ? なんだかなあ。
対談は和気藹々と、適当に。樋口氏が頭の良さそうなことを言ってくれるんで、適当に茶々を入れていたら対談が完成してしまった。二人とも「アメリカ映画は終わった……」と考えている人間なので盛り上がらないことおびただしい。「『スリーピー・ホロー』どうなのよ? 正直なとこ」などというヤバげな発言もあったが。
11/25(土)
上野の西洋美術館に〈死の舞踏〉を見に出かける。ちょっとここまで……もうバス停一個……とか歩いていたらいつのまにか上野公園まで来ていた。さすがに疲れたぜ。てんでひと休みしておでんの屋台で冷やを一杯。あーああ、何しに来たんだっけ?
眠い目をこすりながら展覧会を見る。やはり近世あたりのものが圧倒的にいいですね。最近のはわりとどうでもいい感じ。
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Yanashita / 柳下毅一郎 / kiichiro.yanashita@nifty.com