底抜けW杯日記1次リーグ編(1)

◎今月のお仕事 『パニック・ルーム』(ジェームズ・エリソン ソニー・マガジンズ)発売中。映画のお供に。
         『ファビュラス・バーカー・ボーイズの映画欠席裁判』(洋泉社) 町山の生活を助けるために、買ってやってください。


5/31(金)
 ついに開幕。しかし仕事が全然終わらないのだよ明智くん。今日はとりあえず打ち合わせ二つ。いろんなものが間に合うのかという重大な疑問にかられているが、それはまあ置いといて。

 開幕戦 フランス0-1セネガル@ソウル ジダンがいないからって選手個々の実力を見れば負けるようなチームじゃないはずなのだ。でもやっぱりジダンがいないせいだとしか言いようがない。ジョルカエフのところで攻撃のスピードががくんと遅くなってたもんな。逆説的な言い方をすれば、ジダンがいなくなったせいで逆にジダンに頼ってしまった(ジダンの位置に入ってるジョルカエフを必要以上に気にしてしまった)ってことかな。それでもやっぱり負けるはずはなくて、実際トレゼゲのポストを叩いた奴か、アンリのヘッドかどっちか入ってればフランスの楽勝だったはずだよね。サッカーってわからんわ。
 まあ、ぼくはフランスは優勝できないと思ってるので、実を言えばこの結果にはそんなに驚かなかった。優勝予想? イタリアVSドイツの準々決勝でイタリアが勝てばそのまま優勝。ドイツが(PK戦で)勝てばブラジルVSアルゼンチンの勝者、ということでどうでしょう?


6/1(土)
 ドイツ8-0サウジアラビア@札幌 はたしてサウジは何をしたかったのだろうか? ドイツの鬼のようなフィジカルの前に何も(もう、本当に何も)出来ずじまい。スピードでも、当たりでも、球捌きでも全部負けてるんだからどうしようもない。ヤンカーのポストプレイが本当に鬼のようだったな。後半に入ってドイツがかなりファールとられてたけど、ほとんど正当なチャージだったと思う。サウジはまったく無気力で、ただ見てるだけ。
 ほとんどドイツのフォーメーション練習のようだった。ある意味、サッカーの教本。ところで25歳のバラックが「若手」扱いされていることに誰も突っ込まないのはなぜなんだ。全然若くねえぞ。あと、フェラー監督的にはビアホフに点を取らせたかったみたいだけど、ドイツの現状からいくとリッケンとかケールとか使ってみるべきだったんじゃないかと思うが、いかがか?
6/2(日)
 ナイジェリア0-1アルゼンチン@鹿島 たいへん疲れた。ワールドカップ観戦は若者のものだろうか、と真剣に思った。今日の行動を書いてみる。朝8時半起床。9時半東京発の臨時列車で鹿島神宮駅へ。12時前についたのでちょっと歩いて鹿島神宮前の喫茶店で飯を食い、シャトルバスで会場へ。小一時間ほどで入場できる。席につく。バックスタンド端の上の方。お陽様を正面から受けるんですげえ暑い。
 試合。いやあ面白かった。4時半試合終了。バスを待つのは嫌なのでトロトロ歩いて駅へ向かう。当然のごとく入場制限などあって、待たされたあげく6時発の快速に乗る。錦糸町で乗り換え、帰宅8時半。電車では往復4時間立ちっぱなし。およびスタジアムから駅まで歩いたのも入れると……いや普段ならラッシュを避けるためどっか入って暇つぶしてくるんですけどね。鹿島だと何も……
 すぐ後ろの席に気合いの入ったアルゼンチン人サポがいて、!Puta! !Charro!と叫びまくって異常に面白かった(意味は辞書引いてください)。終わったあとにはもちろん握手してきたよ。国際交流、国際交流。
 で、そのアルゼンチン人(おっさん)からもたいへん愛されていたオルテガだけど、あれどうなんですかね? 実はオルテガをはずした方が強くなるんじゃないかって気はするんだけど、ああいう選手は10年に一度くらいものすごい仕事をするんで、置いとかざるを得ないんだよなあ。
 なんにせよ、そんなことが気にならないくらいアルゼンチンは素晴らしかった。ナイジェリアのキーパーがシーマンか川口だったら3-0くらいになってたはずだ。

 イングランド1-1スウェーデン@埼玉 もともとイングランドは好きな国なんだが、どうも今回のチームに応援の気合いが入らないのはなんでかなあ。やっぱりミーハー人気の高さに嫉妬してるのか?と思ったが、わかったよ。今回のチームはどうも若すぎる。イングランド伝統のおっさん選手がいない。やっぱシアラーとかガッザみたいなのがいないとイングランドって感じがしないよねえ。とはいえ、G・ネヴィルが抜けてミルズが入るというのは正しいおっさん化だし、オーウェンも早くもおっさん化の徴候を示しつつあるので、2006年には期待できるのではないかと思った。
 しかし、この引き分けは致命傷になりそうな予感。次、アルゼンチンに負けたら終わりだよ?


6/3(月)
 今日はちょっと休みです。

 シネマライズ渋谷にて『アメリ』……なんで? いや、アルバ叶井からチケットもらっちゃったもんで、妻と見に行きました。ところでこの映画だけど、叶井が脚本だけ読んでホラー映画だと思って買ったというのは本当なのだろうか。
 アメリやばいっていうのはすでに言い尽くされてると思うけど、男の方もなあ、そこでヤルなよ!とか思いました。アメリが中性的じゃなくて、妙にグラマー(肉感的)なのもヤバイ感じ。

 その後よみうりホールにて『ウィンドトーカーズ』。ジョン・ウーの第二次大戦もの。日本軍、弾薬と糧食がありすぎ。ものすごい弾幕と火薬の嵐だった。しかしニコラス・ケイジの演技だけはなんとかして欲しいと切に願ったよ。


6/4(火)
 朝、例によってBSフジに出演。その後喫茶店で仕事をしてから秋葉へ出かけて生DVDを購入。今夜のイベントに備える。で、斎戒沐浴して6時を待ち……

 ベルギー2-2(+1)日本@埼玉 ぐわわわわーっ。悔しい。ものすごく悔しい。完全に勝てる試合だったのに。小野くん絶不調。ミスパスばかりで全然ボールが落ちつかない。やはり盲腸明けではあかんのか? 一方で稲本くんは絶好調。オレは信じてたよ、きみならできるって。そして後半、ものすごく悪いかたちで点をとられたあと、鈴木が一生に一度みたいなシュートを決めて、そしてついに覚醒した稲本くんがワールドクラスのパワーを見せつけて、ベルギーのDFはバテバテで、3点目は時間の問題となって、ここでもう一点取れば試合は終わりだったのに……そこで森岡が怪我しちゃった。
 それにしても悔しい。稲本くんの3点目のドリブルシュートもワールドクラスの強烈な得点だったのになあ。どこがファールやねん。ふざけんなコラ。
 あとねえ、柳沢は倒れすぎ。倒れるのはここぞっと時だけにしないとPK取ってもらえないよ。それとパスを出したあと足を止めるなっつーの。柳沢だけはどうしても覚醒してくれんなあ。

 韓国すごいゲームをしてるなあ。というかこのスタジアムはマジすげえ。歓声を内側に閉じこめて反射させる構造になってるんだね。


6/5(水)
『アメリカン・コミックスへの旅』(三浦節子 冬樹社)という本を探していたのだが、ウェブで検索して神保町の古書店にあるのを発見、買いに行く。まあ便利になったもんだわ。

 ポルトガル2-3アメリカ@水原 シドニー五輪の決勝トーナメントでアメリカと当たったとき、アメリカ人の非フットボール的姿勢にはほとほと閉口した。つまり、連中はサッカーには流れというものがあって、チャンスの後にはピンチがあり、盛り上がりがあれば盛り下がるときもあり、決まった試合はベッカムのCKでもないかぎり動かない、などというサッカーをやっている者にはあまりにも常識であることがまったく理解できず、どんな状況でもただひたすら一本調子に攻めてくるのである(ドイツのワンパターンとはまた別の意味で)。だからもう負けてるんだから止めとけって何度思ったことか。あの相手がイタリアかブラジルだったなら、日本は決してあそこで敗退することはなかったろう。
 で、今日もそんな感じの試合だった。ポルトガルとしては「まあ初戦だからゆっくり暖めてくか」とフットボールの常識的対応をしてたら、いきなりガンガンに来られてわけわかんないうちに3点取られてた、みたいな。これだから野蛮人は困るぜ。

 ドイツ1-1アイルランド@鹿島 前の試合、ほとんどやることがなかったカーン様が大活躍だったのでなかなか楽しく見ていたが、あそこで同点にされるようじゃいかんなあ。というより、本当は後半のヤンカーのシュート(枠をはずした)のところで試合を決めてしまわなければならなかった(アイルランドはフットボール国家の人間だから、そこで試合が終わったことは理解したはずだ)。あそこで決められないあたりが今回のドイツの弱いところである。
 しかし、こうなるとマジでサウジに対する点取り競争がはじまりそうで、ある意味注目かも。「あと一点」コールとか起きたりして。


Back to INDEX Diary INDEX

Kiichiro Yanashita / 柳下毅一郎 / kiichiro.yanashita@nifty.com