◎今月のお仕事 『ファビュラス・バーカー・ボーイズの映画欠席裁判』(洋泉社) 町山の生活を助けるために、買ってやってください。
『変態性欲ノ心理』(R・v・クラフト=エビング 原書房) 抄訳です。
『ロバート・クラムBEST』(ロバート・クラム 河出書房新社)編・訳。少々お高いですが、その価値はあると思います。
『地球礁』(R・A・ラファティ 河出書房新社) やっと本になったよ! 最初に訳を手がけてから20年くらいかかったんじゃなかろうか。
見た映画
24 Hour Party
People
マイケル・ウィンターボトムによるかつてのインディーズの雄ファクトリー・レコード創設者の伝記映画。ギャガ配給で今冬公開になります。モロ青春時代で、買い漁っていたレコードがバンバン出てくるんでたいへんハマリました。まあ、若い者はハシエンダがどうしたとかハッピー・マンデーズがとかいうことになるんでしょう。ぼくにとってはジョイ・ディヴィジョンとヴィニ・ライリー(本人が出ている!)だ。
で、大変良かったんでサントラを買おうと思ってCD屋に行ってみたんだが、収録曲を見て驚いた。A
Certain
Ratioが入ってない! これ、映画を見た人にはわかるんだけど、あまりな仕打ちである。映画であれだけネタにしといてサントラに入れないかねえ。たいへん悲しい気分になったのでサントラは買わずじまい。
The Great Nickelodeon Show
サンフランシスコのカストロ・シアターでやっていた。映画草創期のニッケルオデオンを再現しようというもの。今書いている評論にもかかわってくる話なので、興味深く拝見する。いまだ長編映画なぞない時代なので、短編をいくつか上映し、合間にスライドショーや奇術の実演なんかが挟まる。スライドショーは彩色のもので、歌に併せて上映。最後には観客全員が歌詞に合わせて歌うsing-alongという趣向である。映画には舞台袖からのvoice-overがつく。数人がそれぞれ役を振られているので日本の弁士とは違うんだが、やはり活弁はあったんだなあという感じ。なかなか楽しかったっす。
他にもサイレント映画はいくつか見ました。
Lost in La Mancha
テリー・ギリアムの『ドン・キホーテ』(ドン・キホーテを殺した男)制作顛末記。というか、unmaking
of the
filmだそうで、要するにメイキングを作るつもりでスタッフが入っていたら、映画が無期限中断に追いこまれてしまったんで、とうとう本編のないままメイキングだけを発表することになってしまったのである。ヨーロッパ資本だけで作られた史上最大の映画として製作が始まった『ドン・キホーテ』だが、主役の怪我と嵐によるセットの崩壊というダブルパンチに見舞われて哀れ製作中止に。見ていて思ったが、はっきり言ってこれは自業自得である。普通の映画監督なら、主役が背中に故障を抱えていて馬に乗れないかもしれない、という時点で交代を考えはじめるはずだ。だって、無理矢理強行しても一週間ほどしかフィルム回してないんだぜ! でも、ギリアムは妥協しない。つねにオール・オア・ナッシングを相手にせまる。それがギリアムのだだっこ戦術なのである。『ブラジル』のときも『バロン』のときもこうだったんだろうね。製作者も別に好きこのんで製作を中止したわけじゃないんだろうが、ギリアムがあまりに非妥協的なので、出資者に追加出資を求める雰囲気ではなくなってしまうのである。
ギリアムは脚本の権利を保険会社から買い戻そうとしているらしい。永久革命、という言葉を思い出した。
買った本
The Wonderful Scheme of Mr. Christopher Thorne by Harry
Stephen Keeler
グレンデールになかなか素敵な古本屋があると聞いたので行ってみた。SF&ミステリの中レアくらいの本がずらりと並んでいる。一冊百ドルとかいう本はあまりなくて、だいたい7ドル〜25ドルくらいの値つけになっている。なかなかうまい。このくらいの値段だと、つい、ま、いいかと思って買っちゃうんだよね。で、気がつくと100ドル超してたりとか……でも、このクラスの本だと、欲しい作家に関してはだいたい持っているので、それほど悲惨なことにはならなかった。ダスト・ジャケットのない三刷りのキーラーとGene
WolfeのCastle of Otterをそれぞれ25ドルで購入。Castle of
Otterは読むだけなら他で読めるんだけど……
店の一角にはガラス・ケースがあって、そこにはもうちょっと高いものが並んでいる。中にダスト・ジャケットつき美本のキーラーが何冊かあったので見せてもらった。値段は350〜500ドル。ううむ。買ってませんよ、もちろん。John
SladekのBlood and Gingerbreadすら買わなかったんですから。
Now Dig This; the Unspeakable Writigs of Terry Southern ed.
by Nile Southern and Josh Alan Friedman
テリー・サザーンのノンフィクションとか半端物とかを集めた落ち補拾い作品集。『博士の異常な愛情』のメイキングについて書いたものとか、『アイズ・ワイド・シャット』へのシーンの提案(これ、おかしいんだけどな)とか、映画関係のものが結構あるんで買ってみた。
Apocalypse Culture 2 by Adam Parfrey
なぜか買いそびれていたようだ。相変わらず面白いが、きちんと読む暇がない。これ、1と合わせてベスト版を作って訳すというのはどうだろう?
Crossing Over by Ruben Martinez
ルベン・マルティネスは『すべてのリズムで踊れ』の作者である。残念ながらもひとつ話題になってくれなかったけど、結構気に入っていた翻訳だ。今度の本では不法移民としてメキシコから国境を越え、カリフォルニアからアーカンソーまで旅をするメキシコ人一家を追いかけている。いくつかベスト10に選ばれたりしており、それなりに注目された本らしい。結構長いんで、訳されるかどうかはわかりません。