峠を越えてもまた一山
◎今月のお仕事 『ジェノサイドの丘』(フィリップ・ゴーレイヴィッチ WAVE出版)好評発売中
『殺人マニア宣言』(ちくま文庫) 文庫になって復活! よろしくです。
『SEE
YOU NEXT
SATURDAY』(ぴあ) 思えば〈ぴあ〉の連載は5年以上になるのでしたよ。
9/16(火)
社会復帰。いやあ、長かった。まだラッシュが終わったわけではない(たぶん年内いっぱいは続きます)んだけど、ようやく二山越えてこれからは普通の登り坂となります。ツール・ド・フランスみたいな長い長い坂だが、まあ他の仕事を何もしなければ映画くらいは見られるかな。休止期間中、いろいろ本などいただいておりましたがそこら辺は落ちついて思い出したらまた。
日劇3で『S1M0NE』。いろいろ突っ込みどころはあるけど、オレがいちばん気になったのはアル・パチーノ監督の作っている映画がかなりすさまじくトラッシュっぽいことだ。デルフィーヌ・セイリグの出てたバンパイア映画を思いだしたなあ。あと、5インチフロッピーにもびっくり。
9/17(水)
いつか予告を見て死ぬほど怒った『偶然にも最悪の少年』がついに公開となったので見に行く。こういうタイトルつける人って、いったい何考えてるんだろうねえ。だって、こんなの、誰がどうしたって「必然的に最悪な映画」って言われるに決まってるじゃないか。しかしこんな映画を退治するためにお金を払って見た上にパンフまで買ってしまったオレ。オレって映画を愛してるなあとしみじみ思う瞬間だ。客は20人くらい。映画ですか? オレはね、こういう人間に在日を名乗らせておいていいのかと思ったよ。こんなのが在日の代表でいいわけ? オレは関係ないけどさ。あと早いとこ中性子爆弾を開発してください。土曜の夜に渋谷で爆発させてこいつら皆殺しにしてきますんで。
夜『ミッション・クレオパトラ』。モニカ・ベルッチ様のクレオパトラ役を堪能するコスプレ映画。
『学ぶ』(根本敬 テレグラフファクトリー/星雲社)いただく。『映画に毛が3本!』(黒田硫黄 講談社)、『映画を観ながら成功する方法』(中谷彰宏 PHP研究所)買う。この本(『映画を観ながら〜』)はヤバイです。読むだけで死にそうです。
9/18(木)
洋泉社から『子どもは判ってくれない』(内田樹 洋泉社)送ってくる。後書きになんか書いてあるぞ。
洋泉社は私が唯一定期購読している雑誌である『映画秘宝』の版元であり、私が敬愛してやまない二人の傑出した映画批評家(ウェイン町山とガース柳下)のホームグラウンドであるので……出版のオッファーを頂いたときにはたいへんにうれしかった。
マ ジ で す か?
9/19(金)
ぴあに出かけて取材。と思ったらもう本が出来ていた! はええなあぴあ。さすが週刊誌を出しているだけのことはある。
というわけで『SEE YOU NEXT
SATURDAY』は9月末頃本屋に並ぶ予定です(ジョン・ランディス・トリュビュート)。
その後帝国ホテルにて江戸川乱歩賞受賞パーティ。いろんな人といろいろ話した。なんか話してばっかであまり飯を食わなかったな。オレにしては珍しいことだ。結論としてはジーコに傷をつけないようにコーチとか選手とかみんな頑張ってくれ、みんな『アイデンティティ』を見てあの落ちが「アリ」なのか「ナシ」なのか教えてくれ、そして大森望は『偶然にも最悪の少年』よりも『マナに抱かれて』の方が最悪だと考えている、ということである。
9/20(土)
新宿コマ東宝にて『ドラゴンヘッド』。ま、そんなに悪い映画でもなかったかな……つまらないってことをのぞけば。
ちょっと真面目に書くけど、飯田譲治という人は映画がエモーションのつながりだということをまったくわかってないと思う。「主人公に好感が持てない」ことと「主人公に感情移入をさせない」のは違うのだ。具体的に言うと、たとえば妻夫木くんがヘリから飛ばされる最大のクライマックス・シーン。ここで「はずれる手」「驚く妻夫木くんのアップ」「絶叫するSAYAKA」と来たとき、次になぜ「落ちて小さくなって消えていく妻夫木くん」のカットになるのか。この映画は妻夫木くん地獄巡りの巻だったはずだ。だとしたらここは妻夫木くんがみるみる遠くなるヘリを見送る→暗転とならなければならないのではないか。そうじゃないと次のカット、妻夫木くんの目覚めに話がつながらない。一事が万事この調子なので、観客は「妻夫木くんと一緒に地獄巡りをする」のではなく「地獄巡りする妻夫木くんを見ている」だけになってしまうのだ。
本屋に行くと戸梶圭太が二冊も出ていた……毎月2冊ずつ出ていないか?『トカジャクソン』(戸梶圭太 光文社)、『さくらインテリーズ』(戸梶圭太 早川書房)買う。DVD欲しいよお。
9/22(月)
東大生協で『独裁者の言い分』(リッカルド・オリツィオ 柏書房)買う。なんせアミンとボカサのインタビュー入りでっせ。翻訳者はちょっとユーモアありすぎでしょう(これはもって自戒としたい)。
9/24(水)
シネカノン試写室にて『昭和歌謡大全集』。プレスを見たらこんなことが書いてあった。
「これは殺しがテーマの殺伐とした作品ではない」と考えた鈴木プロデューサーが、本作の監督として白羽の矢を立てたのは、『はつ恋』の篠原哲雄だった。
あのー、これすでに間違ってるような気がするんですが。これってブラック・ユーモアな殺人コメディじゃねえの? なんか基本的に演出と脚本の狙いが間違ってるような気がしました。なお、原田芳雄だけはちゃんと物語の意味を理解していて、彼の出演場面だけは素晴らしかった(しかしいつもの原田芳雄だっただけかも)。
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Yanashita / 柳下毅一郎 / kiichiro.yanashita@nifty.com