アニータがんばる
◎最近のお仕事 『興行師たちの映画史』(青土社)これから10年のポジション・ペーパーです。サポート・ページもあります。
『ジョン・ウォーターズの悪趣味映画作法』(ジョン・ウォーターズ 青土社)。ついに新装版で復活! 若き映画監督志望者必読!
『ロボット・オペラ』(瀬名秀明編 光文社)にジョン・スラデック『ロデリック』の一部を訳出。
『ケルベロス第五の首』(ジーン・ウルフ 国書刊行会) ようやく発売になりました。すべてわたしの不徳のいたすところであります。お待たせしました。勝手に広報部も(勝手に)よろしく。
『ファビュラス・バーカー・ボーイズの映画欠席裁判2』(町山智浩&柳下毅一郎 洋泉社)発売中っす!
9/1(水)
アテネ・フランセのピンク特集にてサトウトシキの『ロスト・ヴァージン やみつき援助交際』。なんと70分もあってびっくりしましたが、これディレクターズ・カットということで長くなってると思っていいんでしょうか? 佐々木日記は何本か見ましたが、やっぱりこれがいちばんいいような。
映画が終わってから同じく見に来ていた佐々木浩久監督と飲みに行き、最近の仕事とか深く静かに進行しているゴミ映画の話とか聞く。これで三夜連続の飲み。さすがにどっと疲れが出る。
9/2(木)
にもかかわらず早くに起きてイメージフォーラムで朝11時からの試写に出かける。10月におこなわれるアトム・エゴヤン映画祭の試写で『ファミリー・ビューイング』。エゴヤンの87年作品で、すごく時代を感じる。このころ、エゴヤンはものすごくカナダ的な監督という感じでした(マクルーハン/クローネンバーグ/ノーマン・マクラレン的なメディア環境にとりつかれた監督という意味で)。なんか映画祭でトークをしなければならないらしいんで、その予習です。さらにマクルーハンとかを復習の予定。トークは10/23(土)。
新宿に寄ってビデオ返却。
9/3(金)
門仲天井ホールで妻のCD発売記念イベント。『豪傑児雷也』『諧謔三浪士』の二本立てである。伴奏はピアノ+三味線(鶴澤慎治)+サックスという編成(これに弁士もつく)なんだけど、ちょっとうまく合っておらず、分担してしまっているのがもったいなかった。ただ、合っている部分は素晴らしかったね(とりわけ『豪傑児雷也』)。三味線+ピアノというのはありかなあ、と強く思いましたよ。今後の研究課題ではないでしょうか。
映画の方だけど、『諧謔三浪士』はすごく面白かった。知恵蔵は偉大だ。
9/6(月)
汐留FSホールで『バッド・サンタ』。テリー・ツウィゴフの新作はシネマライズのクリスマス映画である。最前列に座ってふと横を見ると隣が田野辺映画秘宝編集長、その向こうがギンティ小林、その先が高橋ヨシキ、さらに先が中原昌也というわけで秘宝ギャング勢揃い。ケタケタ笑ってたんですが、気がつくと笑ってるのオレたちだけだったりして。
中身はっつーとビリー・ボブ・ソーントンがBooze, Brute,
Butt-fuckの3B好きな最低最悪のサンタに扮し、ケタケタ笑わせて最後はホロリとさせる正しいクリスマス映画だった。終了後、中原くんは飲みに行き、残りのメンバーで茶飲んで帰る。
9/7(火)
ヴァージン六本木ヒルズで『ディープ・ブルー』。最近飲み過ぎて心身ともに疲れているので、ちょっぴり癒されるだろうかと思ったのである。ところが見てみたら癒し系というよりは『世界残酷物語』。今にも「モア」が流れてきそうな感じで描かれる弱肉強食の自然界の掟。もう食われる食われる。小魚は大変だ。
つうわけでいろんな海の殺し屋が出てくるわけだけど、中でもすごいのはシャチ。オルカ最凶。デカイは凶暴だわ頭はいいわ、しまいに陸にまで上がってくる。
「パパ〜 シャチとアシカの子供が遊んでるよ。あ、尻尾で放りあげてるよ。たかいたかーい」
「坊や。あれはね、猫が獲物のネズミを弄んでるようなもんなんだよ」
てなもんです。
ひとつ難を言えば、元がテレビの総集編だけあって、ちょっと食い足りない部分があることですね。これなら深海魚だけで一時間とか、ペンギンだけで一時間とかそういう感じで見たかった。
あ、でも、そうなると
「パパ〜 シャチとペンギンが追いかけっこしてるよ。あ、シャチが追いついたよ。今度はペンギンが鬼だね」
「坊や。ペンギンが鬼になる番は永遠に来ないんだよ」
とか……
その後またも汐留FSホールで『スーパーサイズ・ミー』見る。見終わると、なんか猛烈にマクドナルドを食いたい気分だったので、高橋ヨシキ、田野辺秘宝編集長と一緒に新橋のマクドに行き、ビッグマック(もちろんポテトとコークはL)をむさぼり食う。田野辺「γGDBが250とかでビビってるなんてただのヘタレですよ! ぼくなんか400超えてますよ!」いやそれは別に自慢じゃないから。
9/8(水)
東大に出かけて『心霊写真は語る』(一柳廣孝 青弓社)購入。brosの書評をやめてから、こういう意味不明の本を買わなくなっちゃったよなあ、とちょっと反省しているので買ってみた。ざっと目を通してみたが、やはり意味不明。あとamazonからJason
Kerstenの"Journal of the
Dead"など送ってくる。こいつはガス・ヴァン・サントの『ジェリー』の元ネタになった事件について書いた本。
9/9(木)
夜、日劇にて『コラテラル』。トム・クルーズが悪役を演じるというのが話題らしいんだが、なんでこう映画学校の卒業製作みたいな脚本がそのまま映画になってしまうんだろうねえ。本当に不思議だ。フランク・ダラボンが製作だったりするんだから、「アイデアだけでは脚本にならないんだよ」と一言言ってやればいいんじゃないかと思うんだが、というかそれもしないでダラボンが製作してる意味ってあるの?「いいかね、きみが書いたのは脚本の出発点にあるアイデアでしかない。洒落た会話ばかり考えるんじゃなく、物語のダイナミズムをどこで生むかを考えるんだ」……とオレなら言う。でもオレはダラボンではないので、オレが何を言おうとなんの意味もないのです。
9/10(金)
一時からメディアボックス試写室で『ハッスル!』原題は全然違うんだけどね。Los
Debutantesとかいうの。「チリ人芸者」ことアニータ・アルバラード出演のチリ映画。
どうしてオレってこういう映画になると見ずにいられないんだろうかねえ。自分でもどうかしてると思うよ。でも文化村で公開されるフランス映画には金をもらって行く気はしないのに、こういう映画だと頼まれなくても見に行っちゃうんだよなあ。
で、映画だけど、そういうきわもの的期待とは別に、意外とよくできているのである。おそらくスポンサーから押し込まれたのであろうアニータ出演場面も映画を壊さないようにうまく処理していたり、ラショーモン化して「意外な真相」を見せるとか、監督の才気を感じるね。まあちょっとばかし才気があったからって、どうなるような話でもないわけだが……
アニータは巨乳(つうかたれ乳)をほりだして「あたし? 17歳よ!」とか言いながらハッスルしてました。口でゴムつけるとか日本で鍛えたテクをいろいろ見せてくれるんで、シネパトスの観客は大満足ということで。
その後よみうりホールで『AVP』。いやー、ははは。はは。まーなんつーか、プレデターさんが出てくると映画がなごむね。エイリアンさんは殺伐とした恐い人だが、プレデターさんはユーモアを解するナイスガイだからな。
9/11(土)
珍しく上野オークラで三本見たらとっても疲れた。『食堂のお姉さん 淫乱にじみ汁』、『人妻の秘密 覗き覗かれ』、『夫婦交換前夜 私の妻とあなたの奥さん』の順番で見たんだけど、これ『夫婦交換前夜〜』から見ればいつでも出られたのにな。三本目がいちばん面白いときって前の二本が……学生時代ならいいんだけどね。
で、荒木太郎作品は脚本があまりにも……ハプニング・バーでキーボードを弾き狂ってるカリスマ・ピアニストって?とか大月から東京に上京(!)するのに陰毛剃ってプレゼントする女子高生?とか……???で頭がいっぱいになってしまうのであった。麻田真夕は今にも折れそうな腕がとっても良かったりするんで好きな女優ですが、悪いこと言わないから正常位の濡れ場は撮らないであげてくれ。『夫婦交換前夜』は何よりも夏目今日子が素晴らしく、ダメ男コメディである中盤のコミカルなやりとりもいいんだけど、待たせに待たせたあげくに登場する最後の濡れ場でそれまででいちばん美しい姿を見せてくれるのである。
その後吉祥寺バウスシアターで『悪魔の刑事まつり』初日を見に行く。〈ぴあ〉を見たらバウスでやるみたいになってたんで「すげえな……」と思って出かけてみたらやっぱりジャヴの方だった(笑)。映画はやはりこうやって並べると井口昇の天才ぶりが際だつ仕掛けになってしまっている。今回はゲロまみれの純愛。なんか〈刑事まつり〉シリーズ自体が井口昇をブレークさせるために仕組まれた壮大な仕掛けなのではないかという気さえしてくるのである。終了後、久しぶりに山さんに会ったりしたんで打ち上げに行こうかとも思ったが、ここで飲み出すと確実に朝帰りのような気がするので心を鬼にして諦める。
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Kiichiro Yanashita / 柳下毅一郎 /
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