ウド・キアーに……日記

◎最近のお仕事 『興行師たちの映画史』(青土社)これから10年のポジション・ペーパーです。サポート・ページもあります。
『ジョン・ウォーターズの悪趣味映画作法』(ジョン・ウォーターズ 青土社)。ついに新装版で復活! 若き映画監督志望者必読!
『ケルベロス第五の首』(ジーン・ウルフ 国書刊行会) なんと再版出来らしいです。編集氏にはさらにご迷惑をおかけしております。勝手に広報部も(勝手に)よろしく。
ファビュラス・バーカー・ボーイズの映画欠席裁判2』(町山智浩&柳下毅一郎 洋泉社)発売中っす! 


11/11(木)
『大統領の理髪師』見る。ムン・ソリとソン・ガンホという韓国を代表する二大演技派男女優の激突である。ムン・ソリってそんなに好きなわけじゃないんだけど、気がつくと見ているなあ。今回、この映画を見ていて、大竹しのぶにちょっと似てるかも、と思った。立ち位置だけじゃなく、顔の話。
11/13(土)
 渋谷で『血と骨』見る。濱田マリがすげえとみんな言うわけでして、いや実際すごいんだけど、それは濱田マリだからってことがあるわけで(あしたま)単純に映画だけだとは最初の愛人(未亡人)の方がすごかったです。あーうー(あしたま)とかなって大変なことに。

 その後ユーロスペースで『たまもの』公開記念今岡慎治特集。『彗星まち(獣たちの性宴 イクときいっしょ)』。良くも悪くも処女作って感じの映画。一生に一度しか撮れない類の映画である。


11/15(月)
 内覧試写。言われるがままに何か原稿を書く。
11/16(火)
 夜、ユーロスペースの下にある東芝エンタテイメント試写室にて『マシニスト』。クリスチャン・ベールが30キロ痩せたとかいう映画である。いや、結構面白かった。特に何が凄いってわけじゃないんだけど、普通にいい映画だ。画面デザインとかしっかりしていて、悪くない。
 中でちょっと面白かったのがお化け屋敷。主人公がGFの子供と一緒に乗る場面で出てくるんだけど、これがかなりヤバめ。不気味さと不謹慎がほどよくないまぜになってる感じで、ホラーでもない一般映画に出てくるお化け屋敷としてはちょいと出色。

 その後ユーロで今岡慎治特集『痴漢電車 感じるイボイボ』。ああ、これは良かった。林由美香がまた素晴らしい。テロに対するロマンチシズムって(サリンと9・11以降)もうありえないものとされてしまうわけなんだけど、本当にそうなんだろうか? などと思う。なお、本作は諸般の事情でソフト化不可能なのだそうです。


11/17(水)
 朝から吉祥寺へ出かける。先週に中原くんから電話をもらって、中原が出演中の青山真治の新作でライヴ・シーンのエキストラを頼まれたのである。朝7時吉祥寺駅集合なんで6時起き。2時間ぐらいしか寝てねえ。眠い眠い。
 しかしこのくらいで眠いとか言っていてはいけないわけで、スタッフは昨日から徹夜で作業しており、中原もすでにライヴ・シーンを3テイク撮っているという。映画のスタッフはタフだなあ。しかるにこっちはと言えば中原+浅野忠信という豪華なユニットのノイズを聞きながらふーら、ふーらといい感じに横ノリ……
 中原組エキストラは各文芸誌編集者を筆頭にミクってる知り合いばかりでしたわ。

 午前中いっぱいかかって終わったころ、ちょうど国書刊行会の編集者Tから呼び出しの電話がある。『ケルベロス第五の首』がついに増刷となりましたんで、その直しの件。これ幸いと気になる箇所を直しまくったんで、「これは再版の直しとかそういうレベルじゃないです……」と泣きが。まあそういうわけでおかげさまで再版することが出来ました。「このミス」とか「SF読み」とかで少しでも上位に入って、一冊でも売れてくれればいいなあ、と思います。

 夜、Loft+1の〈しろはた〉プレゼンツ鬼畜まつり。オレ、要らない子だったかも。いや、本田くんとかのプレゼンは面白かったんですけどね。オレはあの世界には要らない人間だった。安田RIOさんが持ってきた天使ちゃんビデオが素晴らしすぎて一同ガクブル。全長版見たい。


11/20(土)
 久しぶりにプールに行って泳ぐ。疲れた。

 その後上野オークラで『女子アナ(秘)局責め』m@stervisionが★★★★つけているので慌てて見に行った。m@sさん、ちょっと加藤義一には甘すぎるんじゃないか、と思われ。
 脚本は大いに問題で、ヒロインが天然ボケなのか計算高くズル賢い女なのかがよくわからない。というかそこんところをきちんと詰めずに適当に書き飛ばしてないか? それにしてもタイツフェチはないだろタイツフェチは。まあラバーとかレザーとかにする金がない、というのはわかるけどね。


11/21(日)
 FILMEX開幕。いえ本当はもちろん土曜日開幕ですが、オレ的には今日から。

 本日はボーディ・ガーボル特集で二本。『アメリカン・ポストカード』『ナルシスとプシュケ』。『ナルシスとプシュケ』は凄かった。ハンガリーで一年かけて撮影されたという国家事業的作品である。200年にわたる不毛な愛のドラマがエログロ満載で語られるのである。ものすごい量のエキストラと豪華絢爛たるセットが蕩尽される。いろんな意味で考えられない作品。この主演がウド・キアーで、今回来日となりました。
 終了後、篠崎誠さんから声をかけられ、ウド・キアーと飲みに行くことになってしまった。いきなりその場でインタビューして、いきなり飲みに行くことになってパニックだったんだけど、ものすごく気さくな人だったんで、なんとかなりました。 「Dr.NavicのCMが打ち切られてしまったのは『ユナイテッド・トラッシュ』が公開されたせいだ!」と言うので「すいません、それ公開しろって言ったのぼくです……」「おまえか! おまえのせいで大金持ちになりそこなったのか!」とぶたれました。
 で、飲んでるとき隣に座ってたら手を握られちゃったんですけど、これってやっぱり……ウホッ?


11/22(月)
 今日もFILMeX。本日はガイ・マディンで『世界で一番悲しい音楽』。それにボーディ・ガーボルの三本目『ドッグス・ナイト・ソング』。今日はガイ・マディンが素晴らしかったですね。というか、これ、カズオ・イシグロ原作ということなんですが、カズオ・イシグロって本当にこんな話書いてるんですか? アンピュティーと近親相姦と〈世界で一番悲しい歌〉コンテストの出てくる話を? 『日の名残り』ってそんなんじゃなかったよね? でももしそうなんだったら、カズオ・イシグロ読んでみてもいいかも、とちょっと思いました。

 今日はその後、映画美学校でウド・キアーの特別講義があるというんで、それを覗いてきましたよ。ウドさん主演の英国製短編映画というのを上映したあと、ウドさんが生徒からの質問に答えるという寸法です。ウドさん、サービス精神旺盛すぎますよ! 今日もそのあと飲みに行きました。なんとなくキケンな気がしたので妻を連れて……


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Kiichiro Yanashita / 柳下毅一郎 / kiichiro.yanashita@nifty.com