◎最近のお仕事 『興行師たちの映画史』(青土社)これから10年のポジション・ペーパーです。サポート・ページもあります。
『ジョン・ウォーターズの悪趣味映画作法』(ジョン・ウォーターズ 青土社)。ついに新装版で復活! 若き映画監督志望者必読!
『ケルベロス第五の首』(ジーン・ウルフ 国書刊行会) なんと再版出来らしいです。編集氏にはさらにご迷惑をおかけしております。勝手に広報部も(勝手に)よろしく。
『ファビュラス・バーカー・ボーイズの映画欠席裁判2』(町山智浩&柳下毅一郎 洋泉社)発売中っす!
『臆病者はひざまずく』(Hands of Orlacのリメイクであるところの自伝!)というのもたいがいすごいんだけど、おまけでついていた短篇Sombra Dolorosaはさらに強烈だった。夫が死んでしまった未亡人が死神El Muertoとルチャ・リブレ対決する。日蝕前に無敵のエル・ムエルトを倒すと、触のあいだだけは死神に言うことを聞かせられるのだ! 死神がなぜかルチャ・レスラーで、相棒レスラーが途中で救援に入ってきたりして、未亡人が勝つとマスクをはぎとられた死神が夫の死体を食う! これがいつものサイレント・スタイルで語られるのである。何ひとつ意味がわからない。すごい。すごすぎるぞガイ・マディン。
その後内覧試写を一本見てからLoft+1でTrash Mountain Event。今回はコフィン・ジョー特集でした。最後のトラマンイベントっつーことで、なんかヤケクソみたいな安値でDVD売ってたのに全然買ってくれなかった。俺たちのセールストークが足りなかったのだろうか。んが。
しかしそんなことにまったく動じなかったのが前の椅子に座っていた大きな荷物を持ったイラン人二人組である。まったく映画を見る様子がなく、しょっちゅう出たり入ったり、ぺちゃくちゃ喋ったり(うるさいので椅子をけっ飛ばした)、電話がかかってきて出ていって後ろの方の席で別なイラン人と会ってたりしてていたのだが、あれ何をやりとりしてたんだ? ホモ痴漢だけでもヤバイのに、イラン人の密売屋まで来ちゃうわけ?
もう一本『スケベすぎる女ども』というのは脚本・やまだないとというので見たが、まあどうということはない映画。
N氏と韓国料理屋で飯を食って別れたあと、銀座で『Mr.インクレディブル』の先行を見る。
ぼく自身は別にイタリア・ホラーにそんなに詳しいわけでもないのですが、トークに引っ張り出されてさあ大変。しかも客席にはぼくよりも百万倍くらい詳しい人たちが控えている。ガクブル。というわけですがしょうがないので高橋洋、中原昌也と一緒に登壇して適当に喋りました。今回の上映会のテーマはフェルナンド・ディ・レオ特集ということなんで、Trash Mountain Videoのディ・レオ作品を見せたりなんかもする。それにしても、フルチのイタリア語無字幕作品(しかもビデオも出ている)なんか見に来る人間、知り合いしかいないだろ!?と思っていたらほぼ満員の盛況でびっくり。シネフィルの力あなどりがたし。で、もう一本ディ・レオの映画(今回の目玉)があったんだが、それはパスして一路新宿へ……
またしてもLoft+1にあらわれてラス・メイヤー追悼イベ。またしても中原昌也と二人で登壇。いやもう、すっかりコンビ活動になっちゃってますね。今回は『恍惚の七分間』を見せたり、Double-D Avengerを見せたりしながらありし日のメイヤーじいさんを偲ぶという感じです。巨乳映画ということで何万回目かわからないけどドリス・ウィッシュマン(チェスティ・モーガン映画)を見せたらやっぱり受けていた。もうさすがに世界中の人が見ただろうと思っていたが、まだ見せたりなかったらしい。これからは何かイベントがあるときには必ず見せるようにしよう。あと、もうちょっと無関係な巨乳映像とかいっぱい持っていけば良かった(思いつかなかったオレが愚かだった)。
フェルナンド・ディ・レオの『ミラノ、カリブロ9』は、マフィアの金30万ドルをネコババした容疑をかけられた男が三年ぶりに出所してきて……というお話。今回の上映会、タランティーノ一押しの映画作家ディ・レオの特集ということなんだけど、これはすごくタイトな脚本で締まったハードボイルド映画なのである。ストリッパーの恋人がバーバラ・ブーシェだったりして、この安い感じがまた……そんな感じで見てると、いきなり最後で仰天する。ラテンの熱い血が炸裂して、ライバルの男が「この男を尊敬しろ!」てな調子で吠えまくるのである。ハードボイルドのかけらもねえ。イタリア人にダンディズムは似合わないね。イタリアは、やっぱ東映だよなあ。「オレは仁義にもとるようなことはできねえ…」「本物の博徒はもういなくなっちまった…」みたいなセリフがいっぱいありました。
終わった後は黒沢清、高橋洋、篠崎誠という三巨頭を囲んで打ち上げ。
その後新宿に出かけ『ハウルの動く城』。なんなんだ? ともかくラストが凄すぎて、他のことはどうでも良くなってしまいましたよ。ジャンプの打ち切りマンガみたいだなあ、と思いましたよ。
東京堂で『願い星、叶い星』(アルフレッド・ベスター 河出書房新社)、『黒い看護婦』(森功 新潮社)、『闘争領域の拡大』(ミシェル・ウェルベック 角川書店)購入。あと別冊宝島で『あなたの隣の指名手配犯!』も買いました。
で、これって結構誉めてる人が多いんだよね。江戸木純なんか絶賛評を書いてたし。ぼくにはどうにも理解できなかったんだけど、いくつか評を読んでるうちになんとなく理解されてきた。あの北村龍平のどうしようもなくダサいギャグとリズムの悪い物語進行が苦にならない人もいるんだなあ。ぼくはそもそも徹底的にハッピーなゴジラ映画なんて見たくもないけど、それを許したとしたって北村龍平のダサいセンスは認めたくないね。
Kiichiro Yanashita / 柳下毅一郎 / kiichiro.yanashita@nifty.com