中原くんと一緒日記

◎最近のお仕事 『興行師たちの映画史』(青土社)サポート・ページもあります。
『ケルベロス第五の首』(ジーン・ウルフ 国書刊行会)勝手に広報部も(勝手に)よろしく。
『アヤックスの戦争』(サイモン・クーパー 白水社)を翻訳しました。第二次世界大戦とユダヤ人の運命とサッカーに関する本です。はっきり言って、ニッチです。
『トカジャングル』(戸梶圭太 講談社)で戸梶さんと対談してます。
『Out Limit』(戸梶圭太 徳間文庫)の解説を書きました。
『サバイバー』(チャック・パラニューク 早川文庫NV)の解説を書きました。
『たまもの』の音声コメンタリーにいまおかしんじ監督、林由美香さんと一緒に参加しています。


2/1(火)
 松竹試写室で『PTU』見る。ジョニー・トー。これは泣けた。なんかジョニー・トーの自主映画ってみんな泣けるな。なんでだろ?

 その後『クローサー』の試写。これ、試写状見ても監督も物語も何もわからないというかなり強烈な状態です。わかるのはただひとつ、ナタリー・ポートマンがストリッパー役をやっている オレがこの映画について知っている情報はマジでそれだけ。でもそれでも見に行ってしまった。ああ情けない。
 で、そのストリッパー、ポートマンはちっちぇえなあ、というのが感想。ちっちゃくて童顔な人がストリッパーとかやってると、往々にしてリッチ様とか安達祐実みたいなフリーキー感がかもしだされるものなんですが、ポートマンはあまりそういうのなかった。スタイルがいい(顔がちっちゃい)からかな? その分、オレ的にはもひとつ不満足。
 映画の感想としては、馬鹿が馬鹿な選択をした結果不幸になるというまったく同情できない、というか本当にどうでもいい話でした。


2/2(水)
 ブエナビスタ試写室にて内覧試写。中原昌也から聞いて見に行ったんだけど、中原くんはこの映画にたいへん入れこんでいて、試写があるたびに通っているらしい。で、この日ももちろん来ていました。映画の後は中原くんと、中原くんの友達と一緒に飯食って、そのあと洋泉社に行くっていうことで、「行く?」って言われたんで、なんとなくついてったわけですよ。

 そしたらちょうど大森望から電話があって、「今晩誕生会やるから来ないか?」って言うわけ。関口苑生の誕生会も兼ねてやるからっていうから、「じゃあ、中原くんも一緒に行かない?」って誘って、なんとなく一緒に行くことになったわけですよ。中原はあまり関係なかったわけだけど。まあ、行ったら誰かしら知り合いはいるんじゃないの?ってことで。某音楽ライターの人とか大林千茱萸とかもいるっていうんで。

 洋泉社での用事が終わったあと、大久保のホテル街の中にある隠れ家みたいな韓国料理屋でたらふく食って−−しかしあれだね、大久保のホテル街ってゴーストタウンみたいになってるんだね、すべて慎太郎閣下のおかげですな、さっさと死ね!−−そのあとみんなはカラオケに行くっていうわけ。でもぼくは仕事もあるし、カラオケ興味ないから、「じゃあ、帰ります」って言って、そしたら中原くんも「同じ方向だし、ぼくも帰ります」 というんで一緒に帰りました。

 いや、ぼくら、別につきあってませんから!


2/3(木)
 アップリンクXにてトークショー。『ソドムの市』のリ・ロードショーに合わせて安里麻里監督の『独立少女紅蓮隊』もやるということになったんで、安里監督と高橋洋監督のトークショーっつーことです。安里さんは初トークショーだって。処女トーク。あ、いや。
 トークでは「これって映画美学校の話ですよね」と言ったら高橋さんが「あー、そっか。そうだよな〜」とか本気で感心していたのがおかしかった。安里さんも清水(崇)さんも、一般には高橋さんの教え子と思われているわけですが、実際には何も教えてないけど勝手に育ったってことがわかりました。

 その後打ち上げで飲みに行ってたら、突然映画秘宝の田野辺くんから電話が!
「今タワーにいるんですけど! 川口浩ボックス押さえましたから!
 え!探検隊ボックス!?そりゃあこないだ編集部に遊びに行ったときに「みんなで買って、取材に行くときは水曜スペシャルで行こうぜ〜」って言ったけどさ。
「制服だって言ったじゃないですか!お金はあるから大丈夫です!」
 というわけで飲んでいるところへ水曜スペシャル川口浩ボックス(初回限定版)が届けられてしまいました。なんとなく『ファイト・クラブ』の最後で「マジでやんの?オレ?」と思っているタイラー・ダーデンみたいな気分です。

『高い城・文学エッセイ』(スタニスワフ・レム 国書刊行会)やっと読了。いやあ、しかしこれは面白かった。『高い城』は本当に凄い! レムは過去の記憶から世界を作っていくんだけど、世界を探索する幼きレムの姿はまるで人間精神の謎を探究するソラリスの海のようである。そして小学校時代のレムが夢中になっていたという架空の身分証明書製作はまるで『完全なる真空』ではないか! 自伝でありながらレムの小説そのものの世界が展開するのである。


2/5(土)
『新日本珍道中・西日本の巻』@NFT。新東宝創立十周年記念映画ということで、新東宝オールスター総出演映画。鹿児島から表日本(高島忠夫)と裏日本(宇津井健)の二チームが各地の美人をチェックしながら東京へ向かうレースをくりひろげるというゆる〜い映画。高倉みゆきが出てるんでカメラマンが近づくと、そこにアラカンがやってきて「あ!天皇!今度はなんの戦争ですか?」てなことを言う。そういう映画だ。
 たぶん、前も一度見たことがある。たぶん、そのときも「逝ける映画人を偲んで」特集だった。
2/8(火)
 夜、思いついてラピュタ阿佐ヶ谷に『若い貴族たち・13階段のマキ』見に行く。志穂美悦子が胸に「13」って文字の入ったTシャツを着て戦うアレ。
2/9(水)
 昼間、日仏学院でゴダールの新作Notre Musiqueの試写。打ちのめされる。今でもこういう「大きな」映画を作れるということに、そしてこんな傑作の前では自分はただのチンピラにすぎないということを思い知らされ、深く頭を垂れざるを得ない。
 会場には中原昌也や阿部和重、その他いろんな人が来ていたが、打ちのめされたので挨拶だけしてとっとと帰る。

 ついにはじまりましたドイツW杯最終予選日本2-1北朝鮮@埼玉スタジアム。テレビ観戦。
 いやーなんかオマーン戦のリプレイを見ているようだった。まあ勝ててよかったけど……本当に結果オーライ、というか結果しかないチームだなあ。四チーム中二位に入ればいいわけだし楽勝、という声が強いようですが、なかなかどうして最後まで楽しませてくれるとみたよおいらは。


2/11(金)
 上野オークラにて『欲情喪服妻 うずく』『桃色ガードマン カラダ張ります!』『新人バスガイド くわえ上手な唇』と三本見る。
『欲情喪服妻〜』は橘瑠璃がともかくエロくてエロくて参った。そして主演のまんたのりおが異常なテンションで面白すぎ。『新人バスガイド〜』は加藤義一+岡輝男のいつものコンビ作の中では水準作かな。宇能鴻一郎的な頭の弱くてハッピーなヒロインというのが、このコンビにはいちばん合ってる感じがする。山口玲子の巨乳をばっこんばっこん窓ガラスに押しつけるのを外から撮るとか、濡れ場に工夫が感じられるのも素晴らしい。どうせ風間今日子を出すならお姉さん役にキャスティングしちゃえば良かったのにねえ(そしたらなかみつせいじとの濡れ場が作れたのに)。
2/12(土)
 午後、『悪魔のいけにえ』ドキュメンタリーパックのDVDコメンタリー収録。ぼくは『ファミリー・ポートレート』の方で、お相手は高橋洋さん。高橋さんは初コメンタリーということだったんだけど、いざはじまったらぼくはほとんど相づち打ってるだけでオッケーでした。なお、本編抜きのメイキング二本というある意味弱い商品だけに、コメンタリーやおまけ映像、ブックレットなどには異常に力が入っており、Jホラー・オールスターズという感じです。ここでは書けませんが、乞うご期待。

 夜はアップリンク・ファクトリーで加藤賢宗さんと岸野雄一さんのトークがあるというので中原と一緒に遊びに行く。映画美学校製作のビデオ映画の上映イベントということで、なごやかに喋り、その後は監督とかも入れてなごやかに飲み、さらに店を変えて中原と二人でしばらく飲む。四時頃帰宅。まあいつもの生活ですね。

 ドナルド・ウェストレイク『我輩はカモである』とリチャード・スターク『悪党パーカー/電子の要塞』送ってくる。『我輩〜』ってひょっとして三度目の文庫化?こういうのも珍しいね。資源の無駄って気もするが……


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Kiichiro Yanashita / 柳下毅一郎 / kiichiro.yanashita@nifty.com