腐る

腐る


1/28(火)
 10:50。銀座のホテル西洋へ。今日はティム・バートンのインタビューである。ウキウキ。ところで、ぼくがかなり力を入れて作ったのであるところのプレスだが、本国の許可を得ていない部分があるというので持ってきてはいけないとのお達しがある。ここですでに腐っている。で、ホテルに行くと劇場用パンフがあって、その中にぼくの書いたプレス原稿がかなり使われている。ぼくのまったくあずかり知らぬところで。さらに腐る。ワーナーにはそれなりに協力して、『マーズ・アタック』の宣伝にはそれなりに尽力したつもりだったのだが、その返礼がこれかよ。これじゃまるで**のデータマンじゃねえかよ。

 まあ、気をとりなおしてインタビュー。通訳は戸田奈津子先生(笑)・・・というので当然英語で質問する。わずか30分で2誌共同(エスクワイアとぴあ)という厳しいものなので、固有名詞中心にバンバン聞く。「やっぱ『三大怪獣・地球最大の決戦』だよねー。週5回見たこともあるなあ」などという発言も出たからよしとしましょう。
 なお、専属スタイリスト リサ・マリーのおかげか、バートンはだいぶあか抜けた感じになってました。


1/29(水)
 「エスクワイア」はあれで終わりなのだが、「ぴあ」の方はリサ・マリーのインタビューもするという。というんで今日もホテル西洋詣でだ。リサ・マリーはわりと小柄で、目がびっくりするほど大きい。まさしくヴァンパイラみたいっていうか。おかしかったのはヴァンパイラ(本人)に会ったときの話。ヴァンパイラはウェストを細くするために、ウェストにマンゴーを巻いてその上からゴム・バンドでギリギリ締めつけてたんだと。「"Queen of Blood"は見た?」と聞いたら、「ああいうの見ていると、集中力なくなってふーっと気分があっち行っちゃうのよね」その横で一心不乱に画面を見つめるバートン。どこにでもあるオタクの風景。
1/30(木)
 THE GINZAでヘンリー・ダーガーの展覧会。知恵遅れの病院の掃除夫で、死ぬまでチンポのある少女たちがたわむれる一大ファンタジー絵図を描いてたおっさんの展覧会。思ってたよりうまかった。どうもイラストとかを写しとっていたらしい。モノマニアックな恐怖を味わいたい人は、是非足を運ばれるように。やはり、全体の復刻版に目を通してみたい。できたら翻訳なんかもできるといいなあ。

 3時15分、TCCでクリストフ・シュリンゲンズィーフ2本立て。字幕チェックも兼ねている。『ドイツ・チェンソー大虐殺』『テロ2000年』さすがに三度目ともなるとかなり疲れる。面白いのは『テロ2000年』の方なんだが、これ単独じゃあ上映しにくいのが辛いところ。引きがあるのは『チェンソー』だもんね。


2/1(土)
 フィルムセンターで『牝犬』。昔アテネで見ていたような気はしていたのだが、やっぱり見ていた。ラング版(『スカーレット・ストリート』)との違いが興味深い。ルノワールの映画では、登場人物が圧倒的にしたたかで、生を楽しんでいる。誰も事件を真面目に受けとめたりはしない。ラングははるかに深刻で、悲劇的だ。ぼくの心に響くのは、もちろんラング版
2/2(日)
 FCでのルノワール版『小間使の日記』は見逃してしまったのだが、原作を古本屋で見つけたので買って読む。ルノワール版とブニュエル版の違いがどこにあるのかを知りたかったからである。驚いたことに、ちゃんと靴フェチの老人が出てくる! ブルジョワの偽善を告発する、という小説なんだろうが、少女強姦殺人犯を、それと知りつつ(知っているがゆえに?)惹かれていくヒロインの心情が興味深い。こんな読み方をしてるのはぼくだけかな。ミルボーじうようでしょう、やっぱ。

 一部で流行っているとおぼしきcubicの性格判定テストをやってみた。こんなの。「思索性と社会性を兼備し、一見すると冷たく、とっつきにくいとの印象を他人に与えてしまうことがありますが、深く付き合ってみると以外と俗っぽさもあり、心やさしい人柄であると思われます」聞いたかね? 心やさしい人柄なんだよ。バレちゃったなあ。


2/3(月)
 『宮崎勤精神鑑定書』(瀧野隆浩 講談社)読む。一時資料としてはたいへん貴重なんだが、精神科医も、著者も、宮崎の精神病と自分との連続性を認めようとしないのが残念だ。やはり、ぼくとしては彼のどこが自分とつながっているかを知りたい。それが一番興味深い点であろう。あと、ぼくは多重人格という診断は間違いだと思います。エド・ゲインと同タイプの重度の分裂病でしょう。
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Kiichiro Yanashita / 柳下毅一郎 / yanasita@gol.com