喪中につき


8/1(金)
 シネセゾンで『秘密の子供』。フィリップ・ガレルの映画で、アンヌ・ヴィアゼムスキーがニコの役をやる(ガレルはニコの恋人だった男である)。ところどころ、ものすごく悲痛な部分がある。だけどちょっとやれんなあ、というところもあって、そこら辺が正調ヌーヴェルバーグって感じだ。「説教はしないで。お願いだから小言だけは言わないで」これはきっとニコの言ったこと、そのままだ。
8/2(土)
 4時(過ぎ)に高田馬場・ユタ。SFオンラインのアメコミ特集号のための座談会。出席者はぼく、堺三保、尾之上、川崎、添野(司会)。最後の方でアリバイ的に登場したのが高橋良平。もっぱらぼくと堺で喋りまくっていたような。やはり『ウォッチメン』しかないでしょ!ということで押し切る。
 その後大森望とか来るのでエヴァについて意見交換する。勉強になりました。でもやっぱり病気だと思います。別に好きかどうかと、病気かどうか(もうドドメ色に病んでると思う)というのは別の尺度だと思うんですが。で、あれ見て「病んでる」と思わない人はちょっと考えた方がいいと思います。
 エゴイスティックで自己憐憫がはげしくて他人を傷つけてばかりいる病んだ映画人、というとぼくが思い出すのはファスビンダーなんですが……と考えるとアンノはまさにぼくのためにいる映画監督、ということになるのか? ひょっとして『ラブ&ポップ』でいきなり開き直ってエゴどろどろで最低に落ち込むような映画を作ったらどうしよう。好きかも(やっぱりファンなのかオレって)。ま、そんなことはありえないけどね
8/3(日)
 『ミステリマガジン』の書評用に『子どもを殺す子どもたち』『復讐の家』を読む。『子どもを〜』はリバプール少年殺人のことを書いた本。扱われている事件はそれだけだが、犯人が二人だから『〜たち』でもいいや、ってことになったんだろう。でたらめ。本はまずまずです。『復讐の家』は事件そのものよりも著者(女)が「事件を知って抱いた感想」ばかりをしつこく書いている、いわゆるダメダメな殺人本でした。
8/4(月)
 『フェイス/オフ』を見に行こうと思っていたのだが、なんか気力がなくて昼寝していたら行きそびれる。もう最低にダメ。今年に入ってダメ人間化が著しい。ああ仕事したくないよー。

 という話はさておき、バロウズ様がご逝去なさったので表紙を暗黒仕様にしておく。享年83歳。しばらく喪中です。


8/5(火)
 銀座ポケットパーク(ガスホール下)で妻の演奏があるのでローディーとして出かける。お題は『アルプス颪』(E.v.シュトロハイム)。能を奉納するイベントの協賛企画だとかで、無料イベント。演奏もなぜかボランティア活動だ。
8/6(水)
 バロウズが死んだんで風雲急を告げるバロウズ業界。いや少なくともぼくの書斎周辺では忙しい。とりあえず朝起きると東大図書館へ出かけて『ジョン・ウォーターズの悪趣味映画作法』(こんなタイトルになってしまった、トホホ)のゲラをやる。いくつか不明点を調べてほぼ終了。発売はあいかわらず9月予定。

 2時、青土社のM氏来て『バロウズ・ファイル』について。『ユリイカ』でも追悼特集を組むのでそれに向けてなんか載せるという話。追悼文は断ってしまった(だって月曜に電話してきて火曜にください、って言うんだもん。ぼくそんな能力ないよん)ぼくですが、まあなんかやらんとまずいでしょう。なんかやる。


8/7(木)
 1時、『現代詩手帳』のSと打ち合わせ。これまたバロウズ追悼特集の連絡。完璧にかぶってますな。ちなみにあとは『文藝』も特集をやるらしい(村崎百郎情報)。翻訳作品についてはちょっと決められないんで山形に振る。
8/8(金)
 1時原書房I氏と打ち合わせ。3時半、FOXで『ボルケーノ』試写。LAはビヴァリーヒルズのど真ん中にある日いきなり火山が爆発するというパニック・コメディ(笑)。「あ、ビルがある。よーし倒すぞ」この繰り返しである。ちなみにこの映画の教訓は「火山帯に地下鉄を掘ってはいけない」。あのねえ、LAがこんなだったら日本はどうなんねん? あ、沈没するのか。 5時半。レイン・ツリーで『現代』のM氏と。なんか犯罪についての座談会をしてくれという要望なのだが、来週末予定なのにまだ出席者も決まってないって大丈夫なんでしょうか?? なんか適当に「推理作家の人とかの方がおもしろいですねえ」とか言っておく。これからで日程の都合がつくのかどうかは何も知りません。
8/9(土)
 パリ在住の映画/オタク研究家Stephenが一ヶ月の予定で来日したのでちょっと歓迎会。とりあえず紀伊国屋で待ち合わせして新宿TSUTAYAの場所を教えてあげ、その後西口にまわってレコード屋を案内したり。MONDOで『ヘアススプレー』のLDを買う。その後ぶらぶらと新大久保まで歩き、StephenのGFアンヌを加えてタイ飯。
 オタクな話とかいろいろしていたが、どうも薄いぼくとしては不安になったんで急遽DCIでトーナメントに出ているはずの大森望を召喚。北海道帰りのカラオケ番長も登場して10時半くらいまで。
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Kiichiro Yanashita / 柳下毅一郎 / yanasita@gol.com