『聖者の行進』ってヤバくない?

『聖者の行進』ってちょっとヤバくない?

◎今月のお仕事 『世界殺人ツアー』絶賛(?)発売中
        別冊宝島の『身の毛もよだつ殺人読本』中で原稿を何本か。


1/26(月)
 朝早く起きてスーパーボウルを見る。「早起きは三文のとくー」とか叫んでいたら普段なら留守電に応対をまかせてしまう0061の勧誘電話を受けてしまった。誰が入るかバカヤロ。

 昼寝したりタイプ叩いたりして、7時半。丸の内ピカデリーで『真夜中のサバナ』。イーストウッドの新作だが地獄のようにつまらぬ。寝不足もあって前半30分くらい寝てしまったが、それでも耐え難い長さ。あれでレディ・シャブリが出ていなかったらどうなっていたことか。まだ前作『目撃』はちゃんと作ってる部分もあったと思うんだが、これはさすがにさすがである。イーストウッド信者たちはなんというのか、とても楽しみ。
 終わってからPSCの石熊、新装『プレミア』編集長のヘンな外人、ライターのWともう一人で飲みに。ぼく以外の全員が『ニル・バイ・マウス』を見ていて、しかも全員絶賛。しまった。新生プレミアの未来についていろいろ話すが、気分悪くなってきたので帰る。


1/27(火)
 起きると高熱。サバナに当たったのか。風邪で完全KO。寝たきり。
1/28(水)
 だいぶましになったけどやっぱり寝ている。

 『キッチュ・シンクロニシティ』(ピーター・ワード アスペクト)、『ホーリー・ファイアー』(ブルース・スターリング アスペクト)届く。でも読めないの。


1/29(木)
 1時半。青山出版社の社長と打ち合わせ。むさ苦しい格好で打ち合わせに出かける。某新作映画関連本翻訳の受注。ああ、2月はメチャ忙しいかも。なおもトロトロ原稿を書きつつ、ビデオを見るなど。『心のくらき川』(ディーン・クーンツ)読む。まあつまらなかったとは言いませんが、これだけの話ならもっと短くしろと言いたい。読み終わったあとに何も残らないもんで、「これなら××を読めば……」とかつい考えてしまうんだな。ま、今回は白石先生の翻訳を勉強するために読んだだけだからいいんだけど。

 『現代思想』の障害者特集を読んでいて、去年〈車椅子バービー〉なるものが出たことを知る。うーむ。欲しい(笑)。


1/30(金)
 1時。「ワールド・サッカー・グラフィック」のワールドカップ増刊から取材を受ける。もーめちゃくちゃ嬉しい。これまで受けたどんな取材よりも嬉しいかも。サッカーの話をして、それが活字になるなんて!「ただのファンですけどいいですか?」とかいいながらなごやかにサッカー談義に興じる。アフリカ人のロングシュートにはサッカーの原初的な悦びがある、とかそういう話。ちなみにインタビュアーの人は南アにサッカー取材に行って、着いて3時間で強盗にあって身ぐるみ剥がれたことがあると言ってました。大使館に行こうにも大使館は隣の町でさあどうしましょう。

 その足でBOX東中野の若松孝二特集。『腹貸し女』見る。なんかマスムラみたいでしたね。中野の古本屋でマンディアルグ買って帰る。安いのにしようかと思ったけど、「500円の差なら生田耕作訳だ!」と思って生田訳にしました。


1/31(土)
 昼間はビデオを2本ばかり見て、タイプを叩く。夜、渋谷のクラブMUで青山正明結婚記念パーティ(を兼ねたところのイベント)。まあ普通のクラブっすよ。12時ごろいってひとしきり踊って4時ごろ出る。きわめて健康的。会場では青山夫妻、木村くん、あと宅八郎にも遭遇する。残念ながら(?)大音量のためにほとんど会話など不可能な状況だったので、挨拶しただけ。吉野屋で牛丼食って帰る。
2/1(日)
 下北沢でアミューズ・ビデオのIの結婚パーティ。業界人でいろいろお話。3時間の立食パーティでいささか疲労した。残念ながら立食なんであまりレアな話が飛び交うわけではない。

 Nick Hornbyの"Fever Pitch"。アーセナル・ファンである文芸評論家のサッカー半生記。アーセナルって名門だし、決して弱いチームじゃないと思うのだが、中にはほとんど勝った話は出てこない。ひたすらスタジアムで「××のマスカキ野郎!」「なんでおまえなんかが週に百ポンドももらってるんだ! おまえなんかのプレーを見せられて、こっちが百ポンド欲しいくらいだ!」と野次る話だけ。つまり、サッカー観戦の(スポーツ一般の、でもいいんだけど)意味は勝利にはないのだ。チームは基本的に負けるものだからである。トーナメントに参加したチームは一チームを残してすべて敗退し、最後に残ったチームもその瞬間に次に負けるときの心配をしなければならなくなる。つまり、チームは不断に負けつづけており、ファンは常にその心配をしているのであり、そのことがわからない人間はサッカー・ファンにはなれないのだ。


2/2(月)
 3時半、ヘラルドでゲイリー・オールドマンの『ニル・バイ・マウス』。電話に向かって一人芝居するところとかすごく嫌。ああいう内面描写がなければずっとよくなるんだけどなあ。まあこっちの調子が悪いせいなのかもしれない。『HEAD+』のUにビデオ渡してちょっと世間話など。
2/3(火)
 洋泉社へ。タノベくんと6月刊行予定のオレの映画本について打ち合わせ。実は100枚ほど原稿を書けばいいだけだということが判明した。なーんだ楽勝じゃーん(どこがだよー)。ちなみに映画秘宝次々号は〈映画に出てくるバカ100人〉とかそういう特集だそうな。もちろんパイ投げ大好き!(ああ、また余計な刺激を与えそうな気が……)当然バーカー・ボーイズで登板します。
 なんでか知らないがスン・イー・アレンの話になる。タノベ「なんかあの顔って『未来世紀ブラジル』のお面みたいじゃないスか? あの顔丸囲みにして背表紙に入れたいなあ」まあ絶対に自分を脅かさない相手を選んだらああなった、ってことなんだろうがね。「それにしてもホップ(ダイアン・キートン)、ステップ(ミア・ファロー)のあとのジャンプがあんな大ジャンプだとは」

 ひさしぶりに神保町を歩く。矢口書店で『キネ旬別冊・エロティシズム美学』『キネ旬別冊エキサイティング・性の文学と愛の映画』買う。こういうくだらないものだと意外と安いのね、矢口でも。まともな本は高い癖に。あと『畸人研究』(畸人研究学会 アスペクト)、『マーヴルズ』(小学館プロダクション)、ねこぢるのインド旅行の本など買う。『畸人研究』おもしろいっす。

 帰ってから、詳述すべからざる手段で入手した"Civilization II"でサルのように遊ぶ。うーんスパイを送りこんで町を乗っ取るのがたまらなく楽しい。


2/4(水)
 別冊宝島の『身の毛もよだつ殺人読本』届く。もう飽きたね、こういう本は。デルモンテとやった対談はそれなりにおもしろいと思う。あとは巻頭のキラー・フィクションかな。そこだけ読めばあとはどうでもいいでしょう。
2/5(木)
 11時、新宿高野5Fで滝本誠、エスクァイアのTと待ち合わせる。『ジャッキー・ブラウン』の記事に関して打ち合わせをするってことになったら、滝本のダンナが「男だけでは入れないんで、女性がいるときに行きましょう!」と強く希望したのでデザート・バイキング。でもどうもバイキングって落ちつかないんだよね、何度も席立って食事取りにいくから。で、くだらない雑談しながら一通り食べたところで、オヤジ「じゃあ場所を変えてちゃんとした打ち合わせしますか」なんだったんだよこれは(笑)。で、場所変えてエスクァイアの打ち合わせ。結局終わったのは2時半ごろだった。

 紀伊国屋でベルリンに行くというTに『世界殺人ツアー』を買わし、その足で久しぶりに新宿昭和館で勝プロ三本立て。『座頭市御用旅』『子連れ狼・死風に向かう乳母車』『御用牙』。まったく勝新と小池一夫ってベスト・カップルだね。これに天才・三隅が加わればもう無敵すぎる。勝新ってなんか子供じみた仕掛けを作るのがすっごく好きだよね。かみそり半蔵のチンポ鍛えマシーンとか、たまらん。勝プロの研究書ってないのかなあ。

 帰ってビデオで『オースチン・パワーズ』うーん、イカシてんじゃん、ベエビイ。


2/6(金)
 11時、同朋舎のMと打ち合わせ。オルタナなガイド本シリーズの執筆依頼。なんかロンドン編でってことだが、殺人関係は『世界殺人ツアー』に書いてしまった以上のものは何もない(というか、あれ以外のもんはないよねえ、普通)。ハンター博物館とか中世医学博物館系で書くことにする。

 2時。小川町の小学館プロダクションへ。フランク・ミラーの"Dark Knight Returns"翻訳受注。ああ、翻訳家やっててよかった。これはもう腕によりをかけて決めます。やりたくってたまらなかった本を訳せるときほど嬉しいことはない。なんだけど5月刊行ってことはこれから毎月のように本を出さないといけないってこと? しかも翻訳がたまってるとかそういう状況じゃなくて? 死ぬかもしれんな。

 『ハレンチ学園』を読もうと思って漫画喫茶に行ったらなんもねえでやんの。ちぇっ。


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Kiichiro Yanashita / 柳下毅一郎 / yanasita@gol.com