パム様とデート(椅子を使え!)

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2/21(土)
 渋谷のアート・スペースでAKIRAの本『COTTON100%』のサイン会。数年前、NYで会ったアーティストの人に「こないだまで日本人ですごい人がいたんだけどねえ。気が狂ってウンコで絵とか描くようになっちゃって」という話を聞いて「ウヘエ」とか思っていたのだった。それから数年してひょんなところでその当人に会ってびっくりしたのだが、今日はそのシット・ペインティングが見られる! というんで行きましたよ。
 まずはAKIRAが本から朗読をラップで決める。これが面白かったんで即買っちゃった。その後佐川くん(本当は見沢知廉とのトークだったらしいんだけど、見沢氏が整体師に首を折られて入院しちまったんで一人で)のトーク、川西杏の歌(初めて見た)とあってその後AKIRAの血のサイン会。なんでも本を買うと、注射器で抜いた自分の血でサインしてくれるんだって。うう恐い。ぼくは血を見ると卒倒する体質なので早々に逃げ出してしまいました。ごめんね。

 日経リサーチから来信。なんかMt:Gに対するアンケートがあったんだけど、その賞品。中身は〈ナラスニ・ドラゴン〉でした。もちょっと奮発して欲しかったなあ。


2/22(日)
 マリ・エージェンシーから"Science Fiction Eye"送ってきました。これいつ出たもので、いつ以来なんだろう? にしてもこんなものを読んでたんだから、ぼくも向上心あったんだねえ、昔は。あと、敵の多い人は同人誌を作っちゃいけないなあ、とか思ったよ(別に特定の人のことを指して言っているわけではありません。自戒だよ)。
2/23(月)
 9時半に起きて帝国ホテルへ。今日はパム様とデートである。『ジャッキー・ブラウン』で来日したパム・グリアのインタビュー。掲載誌はもちろんエスクァイアなのだが、編集者Tが留守なのを幸い、パム様命のボンクラをいっぱい集めてしまった。というわけで中野貴雄監督、イラストのゴッホ今泉、妄想編集者滝本誠という一行で乗りこむ。といってもインタビューはぼく一人で、あとの人たちはただついてきただけという完全下僕状態。パム様は映画より全然美しかった。どうしてあんなにきれいなんだろうかね。あと意外と小さかったな。インタビューの方はというともう喋る喋る喋る。解決!熟女なんとかって感じでした。「ファンレターはいっぱい来るわよ週に何百通もね。写真送ってきてサインしてくれとかね。みんな返事は書いてるけどでもときどき返信用切手入れてこないのがいるのよね。あれは困るわ」だそうです。みなさん、返信用切手は忘れずに。『残酷女刑務所』の話も嫌がらずにしてくれました。いちばん笑ったのは「ところで、タフさを試そうとする男とかいませんでした?」って尋ねたら「いるわよ。そういうときはね、椅子を使うのよ椅子を」さすがすぎる。圧倒されてサインもらう暇もなかったっすー。

 終わった後4人で食事。ゴッホ今泉は『白鯨』にはまっているのだそうな。あと水谷ケイが新しい戦隊ものの女幹部をやるとかで、中野監督が喜んでいたのだった。1時半からの記者会見には中原昌也(VOG)、川勝正幸が来ている。というわけでさらにボンクラ度が増した5人でその後さらにお茶。ひたすらパム様についてのくだらない話で盛り上がったとさ。 


2/24(火)
 また帝国ホテル。中原くんがポール・バーホーベンにインタビューするというんでおまけでくっついて来てみたのだった。やっぱ会いたいでしょ、バーホーベン。『危険な愛』やら『女王陛下の戦士』やらのビデオを持っていって並べといたら、目敏く見つけて「うーんこれは何分のバージョンかね? アメリカじゃあカットされちゃったんだよ」インタビューの方はバーホーベン政治を語るって感じで、はっきり「あの映画はアメリカの帝国主義に対する皮肉だよ」と言ってました。さらにイラク情勢とか政府が過去恥部を隠す話(日本の教科書がどうとか言ってましたが、そんな話知ってるのかなあ)とかもう語りまくり。30分じゃあ短すぎた。なお、人を怒らせることにかけてはプロ級の中原くんは「道徳とか屁とも思ってない(ところがクール)ですよね」と言ってバーホーベンに一瞬顔色を変えさせてました。まあ最終的には受けてたみたいだけど。
 バーホーベンの名言「映画にモラルを求めるな! そんなのは教科書の仕事だ」「映画は曖昧でなければならない。芸術は曖昧なものだ」「〈ワシントン・ポスト〉は政府の御用新聞だから、『スターシップ・トルーパーズ』をファシスト呼ばわりしたのもためにする攻撃だね」
 終わったあと中原くんとちょっとお茶。やはりバーホーベンは偉大すぎると盛り上がる。どうして誰も彼の研究書出そうとしないんでしょう。今更タランティーノや宮崎駿の本作るよりずっと面白いと思うんだが。

 『魔法の猫』(ドゾア他編 扶桑社)来ている。ぼくはジーン・ウルフを一編だけ翻訳している。あと『BACHELOR』、『Escquire』。『ゲームラボ』をつい買ってしまう。


2/25(水)
 3時。青山出版社の編集者来る。例の某映画関連本の翻訳原稿渡す。順調にいけば連休前には出るようだ。地獄の仕事月間第一関門は突破か? でもまだ終わったわけじゃないのよ。しばらく雑談。青山出版社ってあんだけ本を出してるくせに編集者3人しかいないらしい。普通死ぬぞ。まあフリー編集とか入ってるみたいだけど。

 『キリング・フォー・カルチャー』(ケレケス他 フィルムアート社)が届いている。よく出したねえこんな本。ぼくの書いたスナッフ原稿は一部これを元ネタにしています。もうパクれねえなあ。中身はひたすらオタク話でおもしろいんだけど、いずれにしてもフィルムアート社で出す本じゃねえよな。だって、「アート」としての「フィルム」からこれほど遠い中身もないよ。

 詳述すべからざる方法で入手したVirtual PCを動かしてみるのだが、Win95をインストールするとセーフモードでしか起動しない。何故だ。やはりPPC601/100では無理なのか(笑)


2/27(金)
 9時に起こされて眠い目をこすりながら松竹へ出かける。『オースチン・パワーズ』の字幕入り初号試写。本をやってから見ると、字幕はだいぶおとなしい感じで、もっとメチャメチャにした方がよかったかもしれない。でもものすごく字幕の多い映画なんで、普通に読むだけでも辛いかもね。社内試写だったせいもあってクスリともしない不気味な雰囲気だったんけど、遅れてきた中原昌也くん(なんか今週ずーっと一緒にいるような気がするなあ)一人ゲラゲラ笑っていました。終わったあとちょっとお茶して字幕について。なお、字幕に関して、ぼくがギャグを考えたんじゃないかと思われそうなんだけど、駄洒落関係はほとんど何もやっていません(最後のギャグだけは考えた)。もっぱらセリフをバカっぽくする作業をやってたわけで、〈バカ考証・柳下毅一郎〉とでもクレジットしてもらえばよかったかな。

 飯食って1時からヘラルドで『キスト』。カナダのインディペンデント映画で、女性のネクロフィルと彼女に恋した男のメロドラマ。んーいかにもカナダのインディペンデントって感じで出来は悪くないけど閉じていて広がりがない。ネクロフィルの女の子がすごくマトモで精神も安定していて、男の方が情緒不安定というのがヘンでおかしかった。でも途中ウトウトしたからいちばんおもしろいところを見逃しているかもしれない。不安だ。


2/28(土)
 映画を見に行こうと思っていたのだが、なんか午後になったら急に熱が出てきて頭が痛くなってきたんでバタンQ。寝る。
3/1(日)
 朝起きて町山に電話してちょっと喋る。まあ大魔人に怒りを鎮めていただくってゆーか。

 2時からダイナスティ杯日韓戦テレビ観戦。BSの解説はカモシュー前代表監督。アナウンサーから「この交代はどうでしょうか?」と聞かれて「まあ……」と口ごもってしまう加茂。加茂に交代の話はマズイだろ、やっぱ。試合自体はよくもなく悪くもなく淡々と勝ってしまったという感じ。まあ実力通りって感じかな。でも平野のFKは良かったな。


3/2(月)
 大魔人の怒りは全然鎮まらないらしい。オレって巫女失格。

 ノートブックの上にお茶をこぼしたらreturnの後にmを勝手に打つようになってしまった。改行すると次の行はMから始まるの。ああ鬱陶しい。あとカーソルキーが勝手にバックスペースになってカーソル移動した先の文字をどんどん消していく! がっでむ! もうアキア不許可! 新しいの買おうかなあ。


3/3(火)
 3時半。東和で『反撥』。もちろんロマン・ポランスキーの名作リバイバル。田舎臭いカトリーヌ・ドヌーヴがいいんだが、でもこれって今見直すと『イレイザーヘッド』への影響ってすごいものがあるね。幻想シーンなんかはすっかりホラー映画のクリシェになっちゃってるんで新鮮味はないんだけど、逆になんでもない部分、今にも不安で破れそうな日常の描写は古びない。姉がセックスしている物音をドヌーヴが聞いてるところとかすごくいいよなあ。でもセックス恐怖症だからって壁の割れ目に執着するってのはちょっとフロイト的過ぎないか(笑)。ポランスキーりすぺくとっす。

 その後『ぴあ』へ回って打ち合わせ。4月ごろから連載をしようかとかそういう話。ほとんど役立たずなものになるでしょう。なんでかしらんが『けっこんぴあ』をもらってしまったよ。もって帰ったら妻が喜んで読んでいる。なぜか不安。


3/4(水)
 ハウフルスから電話で『タモリ倶楽部』への出演依頼があるが、内容も聞かずに断る。あの番組にはあまりいい思い出がないもんで。まあそれどころじゃないのも事実ですが。

 妻と大倉山で待ち合わせをし、飯食ってからバスで新横浜へ。ダイナスティ杯の日本VS香港観戦である。ぎりぎりの時間に新横浜に着いて、スタジアムに向かって歩く歩く歩く。スタジアムが見えてからただりつくまでが長いんだ。でも横浜国際はなかなか見やすい(思ったよりグラウンドが近い感じ)し新しくてきれいでいいスタジアムでした。アウェー側ゴール裏に座る。試合は楽すぎる勝利。以下
 小村のポジショニングがなんかすごく中途半端だった。マリノス最強FWなんだからもっとどんどん上がってけばいいのに。城はやっぱり決めないとね。あとちゃんとPKを止められてハットトリックを逃す中田にはどうしてもヒーローになるまいとする強い意志を感じた。

 『新潮45』と『FOCUS』を買う。なんかすっかり新潮社の営業戦略に乗せられてるなあ。


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Kiichiro Yanashita / 柳下毅一郎 / yanasita@gol.com