日米殺人対決!

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        処女映画評論集『愛は死より冷たい』(洋泉社)発売よ!         


8/25(火)
 2時。神保町で會津信吾氏と待ち合わせ。SF大会で殺人企画をすることになったんで、その相談である。とは言っても「別段何を用意するでもないよねえ」と語り合っていただけであった。人殺しとサイテー映画の話をダラダラ。ま、本番もこの調子だよね、ダラダラ。
 それにしても、二人とも全然神保町で待ち合わせる必要などないのに、ここにしてしまうというのが……ま、いちばん勝手知ったる土地だからしょうがないか。
8/26(水)
 徳間ホールでトッド・ヘインズの『ベルベット・ゴールドマイン』。デビッド・ボウイをモデルにしたキャラとイギー・ポップをモデルにしたキャラを中心に描いたグラム・ロック偽史。なんか、ここまでやるなら全部実名にしちゃえばいいのに、とか思った。途中から嘘になっちゃったりするの。小説だと多いのに、映画じゃあまり見ないねえ。映画はオッケー。久しぶりにロック魂を思い出した(と言ってもぼくのロック魂だからだいぶ弱々だけどね)。当然ながら、これも敗北者の話である。

 終わったあと中野貴雄監督、ゴッホ今泉とお茶。ゴッホ今泉が甘味を食べたいと言うので銀座とらやに入る。このあまりの女々しさと映画のカマ臭さから、必然的に男らしさについて論じることに。男らしいブリスターパックの開け方とか、男らしい食い物とか。寿司や蕎麦は男らしい。かまぼこはわりと男らしいけど、板にくっついた部分をこそげるのは男らしくない。しかし、結論は男らしさについて論じるほど男らしくないことはない、ということで。


8/27(木)
 ホテル西洋でピーター・ウィアーのインタビュー。ぼく自身はあまり『トルーマン・ショー』は評価してないんだけど、ピータ・ウィアーは好きなので行った。ウィアーは予想通り静かなインテリでした。『ピクニック・アット・ハンギングロック』は本当に実話なのか?(「私も知らないが、たぶんフィクションだと思うね」というのが返事)とか、オーストラリアにパリなんて本当にあるのか?とかくだらない話ばかり聞く。〈トルーマン・ショー〉のキャスト(トルーマンの家族を演じている俳優たち)にはちゃんと裏設定があって、そのメイキング(ドラマ〈トルーマン・ショー〉のメイキング・フィルム)を作ったという話はおかしかった。説明がものすごく複雑でみんなで混乱してたの。

 その後渋谷で妻と待ち合わせて『オースチン・パワーズ』。なんか久しぶりに見ましたが、やっぱ字幕下手ですねこれ。もしビデオで直せるんだったらもうちょっとわかりやすくしましょう。トホホ。その後パルコブックセンターで『ルーツ・オブ・NYパンク』(クリントン・ヘイリン シンコーミュージック)、『気になる言葉、気が散る日々』(青山南 本の雑誌社)買う。


8/28(金)
 雨が降っているので試写に行く気が失せてしまい、しょうがないんで散髪してきた。『読書人』に切通理作が『愛は死より冷たい』の書評を書いてくれている。OCRのテストも兼ねてテキスト化してみたり。そのままウェブに上げるとまずいだろうから、一部引用。

 著者の姿勢は、三百六十五日映画を見ている奴なんて明るいはずがない、人生の逃避者に決まっているという潔い「まえがき」に表れている。本書の通低音は、世の中には誰にも通じ合わない人間がいるという認識だ。ブラウニングにとってのフリークス、ファスビンダーにおけるサドマゾ的共同体に対するこだわりの示し方は鮮やかだ。

 切通の文章って、精読すると実はつながってなかったりするのね。わりとエモーションでつなげて書いている感じがある。

 テレビ朝日は『レイズ・ザ・タイタニック』のCMにセリーヌ・ディオンの例の曲を使ってる。そりゃいくらなんでも……


8/29(土)
 起床8時。たらたら準備をして9時7分の新幹線に乗る(地震で出発が遅れていたせいで乗ったのは9時10分とかだったが)。なんやかやあって名古屋のSF大会会場に着いたのは11時40分とかそのくらい。とりあえず呼ばれているのでSFセミナー出張版の方面に行って、菊池誠、水玉蛍之丞、山岸真、それにもちろんSFオンラインの人たちなどに挨拶する。12時からのSFオンライン企画でとりあえず挨拶だけして飯。

 戻るとすぐに2時からの〈夏休みSF映画大会〉。出演は大森望SFオンラインから添野、堺の4人。持参の予告編などを見せながら、だらだらと新作SF映画の話をする。二人以上が見ている映画もあまりないんで、盛り上がりに欠けたな。やはり誰も見てない映画のネタばらしをしても受けない、というファビュラス・バーカー・ボーイズの教訓に習うべきだったか。

 しばらくダラダラして(なんか女の子からサインを求められてしまったが、芸のないことで申し訳ないです)6時から會津信吾と〈日米殺人対決〉。例によって適当に流す。どうもSF大会で殺人話をするという立場がよくわからないんで。まあでもご当地向けに若妻惨殺目覚まし時計入れ事件の話とかもしたし良かったのか。コミケの米澤代表が来ていて笑った。

 夜は大森部屋のiMacで遊ぶ。3時就寝。


8/30(日)
 8時に目覚ましをかけたが、起きたのは9時だった(笑)。同宿の添野が朝一で取材だというので一緒に出かける。昨日はなんかいろいろあって忙しかったけど、今日は異常に暇なので企画を覗いたりもする。トンデモ本大賞を見ながらちょっと休憩を取り、ディーラーズルームをぶらついていたら水鏡子につかまり、EXのブースタードラフトをやる羽目に。ドラフトではSoul Warden3枚を中心にライフ回復系のカードを大量に取る。結果、異様に時間ばかりかかるデッキになって1敗2分。やっぱEX3パックというのはバランスが悪いんじゃないですか? もう一泊していくという大森望からは「マウンテンで甘口抹茶小倉スパを食おう」と誘われたのだが、新幹線が止まりそうだったのでさっさと逃げ出してしまったのことよ。

 ところで、ふと思いついてポストペットはじめました。トモダチがいないんで誰かメールください。アドレスはPI5K-YNST@asahi-net.or.jpです。


8/31(月)
 今日は台風のはずだったのにすっかり雨が止んでいい天気になってしまった。つ、つまらん。うちにこもってダラダラ仕事。というかマックで遊ぶ合間にちょっとずつ原稿を書くようなふりをするっていうか。4時、いきなり電話があって白水社のF来る。仕事受注。なんか来た仕事をとりあえず受注してる以上の努力は何もしてない感じだけど、それでも人間なんとか生きていけるもんだなあ。中身はサッカー・ノンフィクションです。趣味の翻訳ですな。

 その後OCRで遊ぶ、など。この調子で行けば来年ぐらいには長年の(本当に長年だが)課題についに目処が着くか? いやもう空手形は切れんな。でもやっぱりもうちょっと性能のいい奴が欲しいところ。マック用OCRの情報お持ちの方は教えて。


9/1(火)
 7時からヤマハホールで『ダーク・シティ』。なんか閉所恐怖症になりそうな映画だった。冒頭にとってつけたようなネタばらしのナレーションがあるんだが、あれさえなきゃなあ。ルックの統一は見事だと思うが、ストーリーがもひとつ弱い、というところがいつものプロヤス節。それにしてもウィリアム・ハートは哀れだった。てっきり最後彼がジェニファー・コネリーとラブラブになって主人公は存在しない過去を追憶する……という弱々オチだと思ったのに(それはオレの願望だ)。

試写には大森、堺、添野、タニグチと数日前にも会ったようなメンバーが来ている。しょうがないんでカレー屋に流れて名古屋の続き。映画はほぼ全員がオッケーという珍しい展開だった。SF大会の映画企画の反省会などやる。あと本の話で、大森からはぼくがこんなに暗いとは知らなかったとのお言葉を頂いたのだが、ぼくに言わせりゃオタクの癖に鬱屈がない方がどうかしてる(笑)。まあぼくほど深く秘かに怒りを溜めこむかどうかは別として……


9/2(水)
 ところでひそかに実用運営中の日記リンクスPPPKにきみは登録したか? 日記猿人にはどうしても登録する気にならないんだけど、神様のとこにはすぐに登録してしまうぼく。

 妻と一緒に文京区の16ミリ映写機操作講習会に通っている。つまらないかと思っていたが、メカニカルなことをいろいろ教えてくれるんでなかなか発見があって楽しい。たとえばショウスキャンと一般映画の関係はフルアニメと3コマ撮りの関係に相当するとか。


9/4(金)
 六本木で平凡社のMと打ち合わせ。一応仕事の受注だが、まだ企画自体通ってない(笑)段階なので、まあ茶飲み話ということかな。うまく話がまとまればコミック関係の翻訳をすることになるかも。M嬢は実はこないだまで平凡社大百科のCDROMを作っていたという。いや、うちでも愛用させていただいております。最近のお勧め映画とか平和な話題で盛り上がって、一段落したと思ったら
「あの、それであの裁判ってどうなってるんですか?
 ってなんでオレに(笑)。アンケートを求められて困惑していたらしいのだが、しょうがないんでオレの知るかぎりのネタを教えて上げました。もちろん公正中立な立場でね!

『フラグメンツ3』(山本直樹 小学館)買う。


9/5(土)
 ユニ勤務のMさんの結婚2次会に出かける。日比谷マハラジャ、と言ってもディスコじゃなくて踊る方だ。業界人多数。なんか耳寄りな話を聞いたんですが、ユーロスペースは今世紀をしめくくるにあたってヨーロッパきっての変態監督2連発の大特集を組むんだって? まあ、昔から『アウトワン』をやるとかいろんな話はあったもんな。まあ『四季を売る男』ではじまった会社なんだから、×××で終わるのもいいかもしれんね(無責任な噂をばらまくわけにもいかないんでちょい検閲)。あとシネマテンには16ミリ映写の免許を持っている人間がいないことが判明したので、今度映写技師として雇ってもらうことにした(笑)。

 あと大森日記も読んでいるアスミックのTと話したり。日記を読んでわからないところに頭をひねっているようだったが、項目によっては対象読者:1人なんて部分もあるんで大丈夫なんだよ。ま、しょせんは日記ですし。ビンゴで酒を当てて勝利。早々に引き上げる。    


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Kiichiro Yanashita / 柳下毅一郎 / yanasita@gol.com