いつもより余計に回っております

◎今月のお仕事 処女映画評論集『愛は死より冷たい』(洋泉社)絶賛発売中!
        映画秘宝『レトロ・ヘル! '70s』で対談アーンドHal Ashby論。         


9/14(月)
 ATOK11ってどうもネスケとの相性が良くないみたい。しょうがないんで8に戻す。

 夜、エイガ・コムの件でデジタルプラスの人々と打ち合わせ。といっても原稿を全然引き受けずに飲み食いしてきただけだ。ええんか?


9/15(火)
「愛のトマホーク」だって。でもきっとあのおっさん早いと思うな。それにしても我孫子さんの日記で紹介されてからすごいカウンタのまわりっぷりである。
9/16(水
 1時。第一ホテル東京で『ベルベット・ゴールドマイン』の監督トッド・ヘインズの記者会見。普段はあまり記者会見になど行かないが、どうしても顔を見ておきたい監督&俳優にインタビューできないときはしょうがないんで行きます。で、見てきました。オレンジ色のシャツ着てた。もうゲイなんだから。
 終わったあと秘宝コレクション次巻の発売を控える滝やん、シュプールの編集者とお茶する。三留まゆみも久しぶりに会ったのでお茶に誘ったが、「まだ××の原稿やってないしなー」とか言ってエビ走りで逃げていったのことである。ウディ・アレンについてひとしきり盛り上がる。なんでも川勝正幸氏製作のパンフは、『世界は女で回ってる』『ワイルド・マン・ブルース』の2冊組で、両方読まないと文章が完結しなかったりするらしい。なんとアコギな商売。やっぱり不道徳な映画作ってる奴の方がマジメなんだなあ、という話。アレンの人非人ぶりには誰もかなわん。

 帰ると、創元社から『殺す』(J.G・バラード 山田順子訳 1300円)が届いている。ぼくは解説(無題)を書きました。でもこのタイトルはどうなんですかねえ。


9/17(木)
 NFTで〈逝ける映画人を偲んで1997〉。『0課の女・赤い手錠』『不良番長』。フィルムセンターでこういうのを見るのってわりと快感。ところで、中野貴雄監督が『オースチン・パワーズ』ネタで言っているのが、杉本美樹が冷凍されて、25年後に地球の危機を救うために解凍されるというギャグ。真夏でも炎天下でもつねに赤のレインコートを身にまとって汗ひとつかかず、まわりが何をやってもくすりともせず「くだらないね……」と呟くだけ。あまりの寒さにみんな凍りつく……くだらないね。

 上映合間の休み時間にフラン・オブライエンの『第三の警官』(筑摩書房)を読了。うーんこれは傑作。『スゥイム・トゥ・バーズにて』は教科書的なポストモダン小説でもひとつだったけど、『第三の警官』は爆笑必至。謎の文学者ド・セルビイのギャグがどんどん効いてくるんだよね。

 帰り道、ふと思いついて近藤書店まで歩く。『塗仏の宴・宴の始末』ゲット。わーい。


9/18(金)
 2時、『鳩よ!』の取材。「お買い得な本」とかいうので、本にお買い得などない! おもしろい本ならすべてお買い得だし、つまらない本なら高い買い物だ! だいたい値段が高くったって、その本以外で読めない内容なら値段などつけられないものだろう……などとひとしきりまくしたてる。ライターの人は「町山にも川勝さんにも会ったので、あとは中原(昌也)さんだけ」とか言ってる。そんなに珍しいもんかね。

 新宿でビデオを返し、髪を切る。


9/19(土)
 9時起床。10時からヘラルドでトッド・ヘインズのインタビュー。インターFMとエイガ・コムと日経NetNavi共同とかで本当はやりたくないタイプのお仕事である。まあ急遽決まった話なんでしょうがない。『スーパースター』(バービー人形を使った人形アニメでカレン・カーペンター物語をやった幻の処女作)がらみで「人形コレクションしてるの?」と聞いたら『スーパースター』のとき作ったカレン・バービー(拒食症を表現するために頬を削ったりしたそうな)一式はブロンクスで盗まれてしまったという。「いやあ、どっかのヒスパニックの娘かなんかがあの人形で遊んでてくれるといいねえ」これ、ひょっとして問題発言?

 いったん家に帰ってJリーグの試合を見てから馬場へ。Mind Over Matterを使ったプリズンを作ってみたんで大森望とちょっとデュエル。負け負けくんである。あとで確認したらランドが17枚しか入ってなかった(笑)。


9/20(日)
 最近よく、東京ドームの前であめ玉をくばっているおねーちゃんがいる。黙ってキャンデーを差し出すだけなのですごく不気味なのだが、おもしろいのでもらってみた。「純潔キャンデー」だった。どうも原理(統一教会)の魔力がこめられたものらしいよ。

 終日仕事。角川で復刊されたウェストレイクの『ホット・ロック』を読む。なんか20年ぶりくらいだ。たしか中学のときに友達から借りて読んだっきり、だと思う。


9/21(月)
 シネセゾン渋谷で『中国女』。この日のために用意してあった『毛沢東語録』を読みながらでかける。劇場でも読み上げちゃったりとかして。ジャミラがどうした、とかってセリフが出てきて「おお!」と思ったりするが、それは順序が逆だろう(笑)。このころのゴダールは本当に軽くっていいねえ。
 パンフは超大判の豪華本で1500円もするんだが、格好に気を配るのもいいけどまず校正をきちんとやれ、と言いたい。ちょっと見ただけで2ヶ所もミス見つけたぞ。
9/22(火)
 『バチェラー』11月号送ってくる。おそらくどんな雑誌よりも豪華だろうと思われる『ブギーナイツ』特集が載ってる。でもこういう雑誌って、やっぱり写真命だからなあ。西洋の白人巨乳に憧れるという趣味自体がすでに終わったものであるので、構造的に辛いものを感じずにはいられないね。でも今月号ではダクタリ・ロレンツ(『ネクロマンティック』の主演男優)がグラビアを撮っててびっくり。前会ったときはデザイナーになりたい、とか言ってたと思ったが。

 メタローグから「ホラー映画ベスト10」とかの依頼。これ、原稿依頼の手紙に
原稿を引き受けます
引き受けません
見本誌を送ってください
要連絡
 てなことが書いてある葉書が同封してあるんだが、「引き受けません」と「見本誌くれ」をチェックして返送したらそれで雑誌一冊もらえるのかな? だいたい、今年公開されたホラー映画10本もあったっけ?


9/23(水)
 神保町で新刊チェック。何も買わず。古本屋で旺文社文庫の実録裁判シリーズのミセス・メイブリック事件の奴を見つけて悩む。持ってるかどうか思い出せなかったのだ。悩んだんだが、まあどうせ300円ほどだから、と買う。家に帰ってみるとやっぱりダブっていた。
9/24(木)
 ヘラルドで『ヴァンパイア/最期の聖戦』。監督・音楽ジョン・カーペンター。どうしようもなくあめりかーん。600年生きてるヴァンパイア様があまりにもお間抜けで、最後にはプロレス勝負を挑むってあたりがあまりにカーペンター。でもま、それが彼の魅力なんだからしょうがないんだけど。「おい、てめえおったてるか!」が口癖のジェームズ・ウッズはほとんどカート・ラッセルのようである。つうか、カート・ラッセルって本当にアメリカーンだね!

『SFマガジン』、『escquire』など届く。夜、『ニルヴァーナ』のビデオを見るが眠くて眠くてトホホ。


9/25(金)
 起きて飯食って布団を家のことをちょっとやってたらもう2時半。あわてて出かけて銀座のユニで『ラブゴーゴー』という台湾のインディーズ映画……え? なんで? 実は別の映画を見るつもりだったんだが、場所を間違えていた(本当はTCCに行かなければならなかった)。試写会場を間違えるなんて久しぶりのことである。おかげで試写状ももらってない映画を見てしまった。で、肝心の中身だけど、誰にも誕生日を祝ってもらえない気弱なセールスマンが、ビルの屋上にタイルで「HAPPY BIRTHDAY TO ME!」と書くような映画だった。つまり、インディーズだ。
 上映前、隣でクロとテディ・ロビン(フィリピンでは大人気)が大声でくっちゃべっていたんで、つい寝たふりして耳ダンボ。残念ながら、特に新事実は判明しませんでした。

 6時から帝国ホテルで江戸川乱歩賞の授賞式。ま、ただ飯を食いに行く。とりあえず食い物を腹に詰め込んでから、我孫子大森といった見知った顔を捕まえて匿名座談会問題の成りゆきを聞くとか。ところで、二人の話によれば、どこかの新聞に「インターネット上ではスター報告書の超訳も流通している」といったような記事が載っていたらしいのだが、目撃した人がいたら教えてください。二人は互いに目撃責任を押しつけあって、ちっとも詳しいことがわからないのだった。帰り際に大森望から山口雅也氏を紹介される。これで本を読まなければならなくなったではないか(笑)。山口氏自体は以前から気になっていたんでまあいいんですが。


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Kiichiro Yanashita / 柳下毅一郎 / yanasita@gol.com