天使たちの夜

◎今月のお仕事 『サンドマン#4』(ニール・ゲイマン インターブックス)は11/20発売。
        『車掌#18』41大特集では柳下家の秘密がすべて暴かれる! 


11/8(日)
 渋谷公会堂で英国映画祭の特別上映/マイケル・パウエル特集。『ヒズ・ロードシップ』『赤い靴』。もっぱら『赤い靴』の美しいテクニカラーを鑑賞する。こういう立派な映画にはあまり感想がございません。

 パルコブックセンターのベストセラー・リストでは中原の本が2位になっていた。オノレ。


11/9(月)
 飯田橋の東京大神宮で元ケイブルホーグのSの結婚式。なぜか披露宴に出席する。いろいろ映画音楽を使っていたのだが、最後が『タイタニック』だった。いやそりゃ確かに門出の歌だし愛のテーマなんだけど、なんかなー。でもきっと今頃日本中で『タイタニック』のテーマを使った結婚式がおこなわれてるんだろうなあ。

 ところで検索のログが残ることってみんな理解してるよねえ。なかなか妙な検索があっておもしろい。「乾貴美子」ってどういうつもりなんだろう? それにしてもニュースステーションの女の子の選び方って、なんか独特のものがあるねえ。


11/10(火)
 昼ごろ起き出してきて、ちょっと仕事してたらもう夜。トホホ。パンテオンでジャッキー・チェンの『ラッシュアワー』試写。そもそもジャッキー自体がもう体動かなくなってるうえに、『フィフス・エレメント』のオカマ黒人が共演でこいつが喋りまくるもんでさらにジャッキーの時間が削られるというかなり情けないことに。物語の根本的設定がよくわからないとか、根っこのところから問題を抱えた映画なのだが、まあジャッキーは死ぬまで付き合うつもりなんで、今後も見続けます。もちろんジャッキーが死ぬまで、だよ。

 終わってから秘宝のタノベくん、大森望とお茶。映画祭の話と、もう数日しないと書けない大物映画評論家の話。


11/11(水)
 夜、イマジカで『スネーク・アイズ』。デ・パルマの新作でニコラス・ケイジが暗殺事件に巻き込まれるスチャラカ警官になる。これは『ミッドナイト・クロス』の再来だ!と言ったら誉めすぎかしら。にしてもデ・パルマはどうしても「俺デパルマ」を語りたくなるという意味でも興味深い作家だと思う。じゃあ「俺デパルマ」はどういうのかって言うと、それは『ミッドナイト・クロス』で最後ナンシー・アレンの悲鳴をリピートしつづけるトラボルタであり、『ファントム・オブ・パラダイス』で恋人がヤられてるのを窓から覗きこむファントムなのだ。つうわけで、この映画での話になるんだけど、やはりケイジにはさっさと売っぱらって欲しかったね。20万ドルくらいで(以上、見ていない人にはまったく意味不明の話ですいません)。
 それにしても、試写にセーラー服の女子高生が二人来ていたのはなんだったんだろうか。

 上映前にTHXのデモ・フィルムを流すと言うんで、音が飛び交うのかな?と楽しみにしてたら、ルーカスフィルムの名場面集(キスシーンとか、爆発シーンとか、テーマ毎につないだもの)だった。で、ルーカスフィルムだから『スター・ウォーズ』とインディと、あとおまけで『ウィロー』(笑)。ほとんどSW名場面集って感じだった。あんなもん7分も見せるんなら、サービスで新三部作を1カット入れとくとかそういうのはないの?

 妻はラピュタ阿佐ヶ谷のオープニング・パーティに出かけている。あそこの大変さはBOX東中野山ちゃん日記にも断片的に記されているんだが、いやあもう予想以上に凄いみたいである。ふゅーじょん・ぷろだくとって大丈夫なのかね。


11/12(木)
 渋谷のパルコでイエジー・スコリモフスキーのインタビュー。スコリモフスキーはたいそう好きな監督ですが、でも映画は3本くらいしか見ていません。しかも『早春』はテレビで一回見ただけでほとんど何も覚えてない。こんなんでいいのか? いいのか。しかし、映画雑誌がどこもインタビューしてないとは驚いた。『キネ旬』とかやらないでいいのかなあ。
 大学時代の話とかいろいろ聞く。おかしかったのはクリスピン・グローヴァーの話で、なんでも有機食品しか食べないんでポーランド・ロケでは苦労したそうな。ちなみにスコリモフスキーはサッカー・ファンだそうで、「ヨーロッパ選手権予選でポーランドはブルガリアに3-0で勝ったんだ!」とか言って喜んでいた。「日本はポーランドに5-0で勝ったことあるぞ」と言いたいとこだけど、やめときました(笑)。記事は「COMPOSITE」に掲載されます。

 帰ると『サンドマン#4』届いている。必笑の連続殺人鬼大会の回があります。そっちマニア必読なり。


11/13(金)
 マイケル・ウィンターボトムの新作『アイ・ウォント・ユー』試写。ウィンターボトムの美点は話を中途で断ち切ってしまうことだ。いつもオープン・エンドのまま、え、ここでいいの?ってとこで終わる。この映画でも、あの姉弟はどうなってしまうんだろうなあ、というところで終わるのがすばらしい。それにしてもあの盗聴野郎、なんであんなに都合良くどこにでもいるんだ(笑)。

 その後とってもきれいな映画美学校試写室まで歩いて『アインシュタインの脳』見る。アインシュタインおたくの杉元近大教授が40年前に行方不明になったアインシュタインの脳味噌を探しに行く話なんだけど、抱腹絶倒の出来で前々回の山形でも大人気だった奴。で、とやかくあって杉本教授はカンサス州ローレンスへ行く。と、そこに出てくるのはバロウズ爺さん!? なんでバロウズ爺さんが出てくるのか全然わかんないし、しかもテレビ屋の親父とかいう役なのだ(なんでドキュメンタリーに「役」があるのか)。謎。

 終わってから三留まゆみ、配給元のBとお茶する。


11/14(土)
 いちんちじゅう、サッカー見ながらキーボードを叩いていた。さすがに疲れた。
11/15(日)
 表参道で中原昌也の出版記念パーティ。川勝(遅く来て早く帰った)、滝本らいつものメンバに加えBOXの山崎さんとかアップリンクとか森園みるく村崎百郎とか。いくつか商談したり、あとは淀長の話(とてもじゃないがここには書けないネタばかり)。おばちゃまの話。例によって秘宝のタノベくんと密談。きっとなんとかなるでしょう。
11/16(月)
 テレビをつけたら『ファーゴ』をやっていたのでつい見てしまった。セリフのリズムだけはやっぱりいい。妻と二人で「オー、ヤー」「ヤー」と『ファーゴ』ごっこに興じる。何を言われても「ヤー」と答えなければならないというのがポイント。ヤー。
11/17(火)
 2時。マガジンハウスで滝本オヤジと。タノベくんの司会でお互いの本にエールを贈りあう対談。例によってポツポツとどうでもいいことを語りあう。オフレコっつーか絶対に書けない話多数なんだかタノベくんどう処理するんでしょうか? 「日記がいいよね」と滝本氏。なんでもgooだかinfoseekだかで「滝本誠」を検索するとこの日記ばかりが出てくるという。滝本誠滝本誠滝本誠。

 サ店でちょっと原稿を書いて、6時半からNFTで『女囚701号・さそり』見る。やっぱフィルムセンターでこんな映画を見るチャンスは逃せない、ような気がして。伊藤俊也はやっぱりダサイなあ。日の丸で初めて日の丸でシメ、とか。でもピカピカのプリントで「恨み節」も聞けたからいいです。その後銀座でコナリー古澤を迎撃するイタ飯宴会に滑りこむ。小浜、三村、大森、さいとう、白石ほか。「え、商品券なんて誰かくれるの?」とか「海ほたるって食べ物?」とかSF界の未来を憂えたくなるような発言が乱発されていたというのは内緒である。この発言が誰のものか、というのも内緒。

 帰って、ちょっと仕事してから屋上にあがって流星雨を眺める。屋上には先客が数名いたが、みんな上を見上げてぼーっと立ってるんで、『シティ・オブ・エンジェル』の天使みたいでした(笑)。


11/18(水)
 全国的に寝坊なので平和に惰眠をむさぼっていたら、いきなり町山から電話が入っていた。さっそく召集がかかったんで代々木上原のplank事務所まで出かける。木村くん、町山としばらく本の構成に関して相談。バタバタ。あーなんか町山が帰ってきた途端にせわしなくなってるよー。

 6時、銀座。TVbrosのTとお茶して打ち合わせ。いろいろネタ出す。いや、オレ責任を負わないでいいならいくらでもネタ出るんですよ。contributing editorとかそういうのにしてくれると悪くない仕事もできると思うんだけど。ま、でもほとんど実現不能なネタかもしれないが。今のままじゃブロスの天下もいつまで続くかわかんないもんなー。

 やはり言ってはいけない真実だったか。でもオレって葬式でギャグをかましたくなるタイプなんでなー。言うなと言われるとついなー。


11/19(木)
 昼間適当な原稿書きと電話の応対してたらほとんど終わってしまった。なんか最近原稿依頼多くないか? あ、年末進行だからか。

 いい時間になったんで祖師谷に出かける。PSCのIがこの辺で見つけた店で禁断のワンワンを食わせてくれるというので、久しぶりに精つけようかと思ったのだ。で、町山誘ってくりだす。あといつも麻雀組のヘラルドTとか総勢5人。韓国の店にありがちなサービス過剰さで、例によってゲップが出そうになるまで食う。店に着くまで何が出てくるか知らなかった人が約一名いましたが(笑)まあ元気に食ってたから。町山がひたすら飛ばしていました。奥さん置いてきて単身帰国なので、「これ食ってオレにどうしろっていうんだよー」とか言ってました。そんなの知りませんわ。 


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Kiichiro Yanashita / 柳下毅一郎 / yanasita@gol.com