あけまして
◎今月のお仕事 『ファビュラス・バーカー・ボーイズの地獄のアメリカ観光』洋泉社より絶賛発売中!
1/1(金)
起きたのは11時。今年は天皇杯に行くのだ! いやフリューゲルスの活躍を見ていたらこりゃ行くしかないでしょ、という気になったのである。で、シネカノンのAと国立へ。天皇杯決勝を見るのははじめてのことである。メチャクチャ寒い。もう骨まで冷える。
試合の方は両チームともすばらしいサッカーを見せて燃える好ゲーム。前半は完全にエスパルスのゲームで、あれで2点目が入っていれば会心の勝利だったろう。そこを同点で折り返してしまったもんで、後半フリエの猛攻を堪えきれなかった。残念でした。沢登はすばらしかった。あとケンタ。全盛期の出来だったねえ。
……とエスパルスの話ばかり書いているが、実際エスパルスは素晴らしくきれいなサッカーをしていて、すっかりファンになってしまった。あと応援が素晴らしい! なんかみんな楽しそうに踊ってる感じで、殺気だった「応援」じゃないところが。なんかチーム・カラーを反映しているなあ。
いったん帰ってから、所沢の友人宅へお年始に出かける。12時過ぎに池袋駅を歩いているとそこに江戸木純先生が!(実家に年始に行った帰りらしい) あけましておめでとうございます。ところで去年は当たるをさいわいボロ儲けと思われた江戸木先生だが、最後ジャパンミックスの倒産をかぶって「めでたさも中位なり」って感じらしいよ。
1/2(土)
正月らしいことをする。実家に帰ったり。TVで『浮草』。小津の映画は本当に美術品を鑑賞している気にさせられる。麻薬のようで、別に面白くないのに止められないのである。そう、白状するけど実はぼくは小津が大好きでほとんど見ている。guilty
pleasureって奴だ。
1/3(日)
飯田橋ギンレイホールで『TAXI』と『ブギー・ナイツ』の二本立て。正月なので、めでたい映画を見ようと思って久しぶりに妻と一緒に名画座に出かけた。場内は超満員でびっくり。ケツが痛くなったのもずいぶん久しぶりである。『ブギー・ナイツ』はもう何度も見てるんで、もっぱらディテールをチェック。ところで、この映画に出てくる人はみんな仕事をはじめる前に自分の名前が輝いている映像を見る(ダーク・ディグラーは「オレの名前がネオンで輝いてるのが見えるんだ」って言うわけ。まだ映画に出もしないうちに)んだが、これもボンクラの定義のひとつと言えるのではないか。
『TAXI』の方はクレジット・タイトルに"Miserlou"(『パルプ・フィクション』のテーマ)がかかる時点でもうダメな感じ(笑)。まあ、志の低いのさえ我慢すれば、そう不愉快な映画ではない。
ところでAGENT(使用マシン)でTuringOS; Turing Machine;
0.0ってのがあったんだけどこれなんですか? やはり冗談なのだろうか。
1/4(月)
一応仕事はじめ。トロトロと仕事する。
『夢のなか』(宮崎勤 創出版)読む。これが『ゴーマニスト・パーティー』に触発されて世に出た、というのには大笑い(あれを見て「なんだ、自分では何も書かなくても本が出せるんだ」と思ったらしい)。小林よしのりも世間に役立つことしてるじゃん(笑)。中身はほとんどエド・ゲインにそっくりである。
1/5(火)
図書館へ。本を数冊借りる。読むヒマはあまりなさそうだが。
1/6(水)
亀有名画座で〈女囚さそりVS女ドラゴン〉特集。『女必殺拳』、『女必殺拳・危機一発』、『女囚さそり・第41雑居房』。実は志穂美の悦ちゃんの方を見に行ったのだが、『第41雑居房』の伊藤演出にKOされちまった。なんせ松島ナミ(梶芽衣子)は最初独房にいて、その後すぐ脱走しちゃうので、最初から最後まで一度も雑居房には入らないのだ! 伊藤俊也は「普通」人の偽善を告発し、それに比べれば少なくとも女囚たちは正直だ、とする。だから女囚たちはみな、男社会の罪を背負わされているのだ。まあ言いたいことはわかるんだけど、あまりに観念的だよね。そんなだから「中国に行ったときは行軍中でも催したらすぐその場でクーニャンつかまえて銃剣つきつけて犯したもんだが」なんて言ってる「真っ当な」男たちが脱獄した女囚を輪姦して殺す、てな(きわめて真っ当な)シーンを撮ってた奴が『プライド』なんて映画を撮るようになっちまうんだよな。
場内は中野貴雄で満員、かと思いきやガラガラですげえ寒かった。ちなみに亀有もすでにカウントダウンに入ってますんで、ここが潰れると都内で日本映画は見られなくなる。まあ日本映画を作る映画会社もなくなるんじゃないか、と言われてますが。
帰りに洋泉社に寄ってちょっとムダ話など。
1/7(木)
早起きして松竹で『シン・レッド・ライン』。テレンス・マリックの3本目、20年ぶりくらいの新作だ(その間、精神病院に入ってるとか浮浪者になったとかソルボンヌの教授だったとか、いろんな説があった)。太平洋戦線最大の激戦地、ガダルカナル上陸作戦の映画である。なんせテレンス・マリックだから映像はうっとりするくらいきれい。南太平洋の酷暑地獄なのに、日がジリジリ照りつける場面がひとつもないのだ(笑)。
映画は難解だった。別にテーマがとかじゃなくて、主人公が誰かとか、俳優の顔が全部同じように見えるとか、モノローグが多すぎて誰が喋ってるのかわからんとかそういった映画作りの基本的なレベルでの難解さなのである。まあ、マリックって哲学者だからな。字幕がついてからもう一度見よう。
町山、中原とお茶。近藤書店で『映画は頭を解放する』(R・W・ファスビンダー ケイ草書房)、『アジアの奇祭』(さの昭、石川武志 青弓社)購入。ファスビンダーはマスト・バイ。家に帰るとペヨトルから『夜想#34 パペット・アニメーション』、『ゲンズブールX2ノワール』(セルジュ・ゲンズブール)届いている。なんかこれ見て思ったけど、ミルキィ・イソベの装幀って十字架多くない?
1/8(金)
寒い。寒いよおよお。
にもかかわらず懲りずに大井町へ出かける。大井町武蔵野館で『やさぐれ姐御伝・総括リンチ』。石井輝男の幻の傑作って触れ込みだったんだが、もうワケわからんよ。まるっきりその場の思いつきで作ってるような映画だった。ヒロインが危機に陥ると謎の男に救われて、その謎の男が謎の女に助けられ……みたいな話なのだ。人生の一時間半を浪費してしまった。ま、別に有意義なことに時間を使ったりはしないんだからどっちみち同じなんだけど。
1/9(土)
『モンスター・ショー』(デイヴィッド・J・スカル 国書刊行会)、『ドラキュラ戦記』(キム・ニューマン 創元推理文庫)買う。スカルの本、5000円もするんでやんの。書評するかどうかを決めるために買ったんだが、こんなもん書評でも書かんと元が取れんやんけ。それにしても、最近本を読んで「この人とは友達になれそうな気がする」という感想を抱くことが多い。ニューマンともスカルとも、マブダチになれそうな気がするんだが、どうか。
1/10(日)
仕事。
1/11(月)
なんもなし。ひたすら仕事。
1/12(火)
1時、原書房のIと打ち合わせ。またしても原書房の仕事で地獄を見る羽目になってしまった……っていい加減真面目に仕事しろよー。
1/13(水)
7時、洋泉社。エイガ・コムのために町山とアカデミー賞予想対談。もうお互い相手が何を言うかわかりきってるから全然話す必要なんかないんだけど(笑)。飯食いながら10時ごろまでくっちゃべるが、中身は何もなかったなあ。最後は「じゃ、テキトーによろしく」ってじゃあいったいなんのために時間とってんだかって感じだけど、ま、これも大事な儀式なのよ。1/29日とかに掲載予定。
1/14(木)
考えてみたら全然試写に行っとらん。こりゃちとまずいんじゃねーの、と思ったんで『ロリータ』に出かける。監督エイドリアン・ラインなんで、いきなりロリータがスプリンクラー浴びて濡れTシャツになったりする。もうどうしようもない感じ。ところで、中身は驚いたことにほとんど原作そのままだった。キューブリック版よりも原作に近い。
どうだろうかと思っていたが、ジェレミー・アイアンズのワンパターン演技(でも、これが結構見てられるんだよね。やっぱうまいなあ)のおかげもあって最後まで退屈しないで見られる。それにしてもアイアンズってこんなんばっかやなあ。他にないんか。ないのか。終わったあと、映画ライターのお姉さまたちとお茶。見てない新作のネタをちょっと仕入れる。
『日本一の男の魂#3』(喜国雅彦 小学館)が送られてくる。ラッキー。しかしこれで前の2冊を買わなければならなくなってしまった(って買ってないのかよ!)
back to INDEX Diary
INDEX
Kiichiro Yanashita /
柳下毅一郎 / yanasita@gol.com