パリ編
◎今月のお仕事 3/13(土)7:00PM- BOX東中野にて『R.I.P.』レクチャー。with香山リカ
3/23(火)ロフトプラス1出演
。with佐川一政、森達也(『A』監督)
2/22(月)
ベルリンを朝立ってエア・フランスでパリに着く。パリは二度目、いい町だとは思う。フランス人さえいなければね。ホテルにチェックインしてなんやかんや用意してたらもういい時間になってしまったんで、とりあえずピカソ美術館へ。その後パリでプルースト研究をしている東大の院生の女の子と会ってヴェトナム飯。『失われた時を求めて』のあらすじを教えてもらおうと思ってたんだけどすっかり忘れてました。寝る前にホテルの近くの映画館でビリー・ワイルダーの『情婦』を見る。
2/23(火)
朝一だと封切りが安いというので、わざわざル・アールまで来て新作を見る。『ヴェリー・バッド・シングズ』はバチェラー・パーティでラスヴェガスに出かけ、娼婦を買ったらそれが事故で死んじゃうんでしょうがなしに砂漠に埋めに行く話。ラスヴェガスで売春婦を買ったりしてると、たとえキャメロン・ディアスと婚約してたとしてもロクなことにならないよっていう教訓的な映画でした。身に覚えのある人は気をつけるように。クリスチャン・スレーターが自己啓発セミナーに通ってポジティヴ・シンキングな殺人鬼になっちゃうのは笑えた。「オレたちの目標を達成するためにはこの障害を取りのけなければならない!」とか言ってどんどん人を殺してくの。
そのあとは妻に引っ張り回されてシテ島を渡りサンジェルマン・デュ・プレからオデオンまで歩く。気づくと午後3時をまわっていて、もう死ぬほど疲弊する。なぜ妻の人はパリを歩くのがあんなに楽しいのでしょうか。その後ぼくの趣味で医学史博物館へ行って、『戦慄の絆』に出てきそうな中世の医療器具(ほとんど拷問具のようだったが)を見物したりもするが、すでに疲労困憊で何も覚えてないです。もうわしは年じゃよ。
2/24(水)
ホテルをチェックアウトして3区の友人宅に。ホテル代節約のためである。ここは日米のハーフとカナダ人夫婦のおうち。旦那の方は日本映画オタクで、大学で映画論の講義を持っている。しばらくつもる話をしたのち、以前から見たいと思っていたトッド・ソロンツの『Happiness』に出かける。『ウェルカム・ドールハウス』(たしかベスト10に入れたはずだ)の監督の第二作なんだけど、前作のラストでは「高校に入ったらちょっとはましになる?」という女主人公に、ギークな兄貴が「いつまでたったって一緒だよ! 一生いじめられ続けるんだよ!」と夢も希望もない言葉を投げつけていたが、今回はそのまま大きくなったけどいじめられ続けてひたすら不幸な人たちが登場する。しあわせの青い鳥はどこにいるんだろう? そんなのいるわけねーだろ!
映画館の近くにビデオ屋があって、ついラス・メイヤーの処女作『いけないティーズさん』を買ってしまう。
2/25(木)
昼間は居候先に連れられて何軒かビデオ屋やコミック・ショップをまわる。買ったのはイギリスのビデオでクライブ・バーカーの自主製作映画。あとボリス・ヴィアンの『墓に唾をかけろ』これはジャケ買い、つーかジャケットが欲しいだけで買った。だってすっごくかっこいいんだもん。欲しいものはみんなイギリスからの輸入品だったりするんで高い。フランス語のものはわからんし。
そのままリュクサンブールの劇場でヴィンセント・ギャロの『Buffalo
'66』を見る。バッファローというのはバッファロー・ビルズのことで、なんせ4年連続でスーパーボウルに敗退してるから、おかげで人生が狂った人もたくさんいるわけだ。ざらついた画面にひどく惹かれる。寒々とした風景がなんというか、ニューシネマ的な感じなのだ。出てくるのも美男美女じゃなくて、どっちかといえばフリークに近いクリスティーナ・リッチとすぐ切れるバカ、ヴィンセント・ギャロ。なんか懐かしい感じの映画である。全然違うんだが、なぜか増村の『遊び』を思い出した。そんな感じの映画だ。しかしスコット・ノーウッドは……可哀相にねえ(自業自得だけど)。
ほかにも、これまで誰も試みたことがない不思議なカットなど、語るべき点は数多い。とりあえず今年のベスト1。
2/26(金)
午前中は身を切るような寒さ。妻に連れられて市場をまわり、その後オデオン近くのエロティカ書店へ行く。しかしまあ、欲しいものはだいたい持っていることに気づいた。持ってないものはバカバカしく高いので手が出なかったり。イタリアや英国の本だったりするので買うのが馬鹿馬鹿しかったり。結局もう一軒まわったBD屋でエンキ・ビラルの展覧会カタログを買っただけ。夜の飛行機で帰る。
2/27(土)
……で、着いたのが土曜の夜。なんか一日損した気がするなあ。とりあえず留守中の新聞をチェックして、郵便物の整理。定期刊行物(〈ぴあ〉、〈TVBros.〉、〈エスクァイア〉)以外は『トーキングヘッズ#13 アン・ライスとヴァンパイア・ジェネレーション』が届いていただけで、あまりたいした量ではなかった。留守電もパンクしてなかったし。思ったほどではなかったな。ウェブをちょろっと覗いて、メラトニンを飲んで寝る。
2/28(日)
薬が効きすぎたのか起きたら12時45分。ピンチ! 一時半からドゥ・マゴ(なんでパリから帰って翌日パチモンのドゥ・マゴに行かにゃならんのか?)で香山リカと打ち合わせである。あわてて荷物をまとめて飛び出すが当然遅刻、でもリカちゃんも遅れてきたのでオッケーでした。今日はもちろん変装用の眼鏡はなしです。残念、なのか? よくわからん(ぼくは眼鏡フェチではあるんですが、リカちゃんに関しては素顔の方が美人だと思うのでした)
打ち合わせは3/13にやる『R.I.P.』にまつわるレクチャーの内容について。つっても(ぼくが彼女を指名したこともあって)ぼくがやりたい話をざっと説明しただけ。リカちゃんはある有名な殺人犯について美味しい話を聞かせてくれたが、それはここには書けない。いやここだけじゃなくて絶対に人には言えません。申し訳ない。あとは脳死問題の話。つうか、どこかのテレビ局でコメントを収録していたらしいのだが、みんなすっかり浮かれちゃって大変だったとか。
そのまま本屋をチェックし、漫画喫茶に寄って留守中の漫画雑誌を読む。これでやっと世間に追いついて、明日から平常営業再開(の予定)。
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Kiichiro Yanashita /
柳下毅一郎 / yanasita@gol.com