牛殺しの社長

◎今月のお仕事 『ジェフリー・ダーマー/死体しか愛せなかった男』(ブライアン・マスターズ 原書房)発売中。


4/1(木)
 闘牛を見に行く。

 内定者拘束のため内定者をワールドカップに連れていった会社があったのを覚えているだろうか? そこが新入社員1300人の入社式に、スペインから牛と闘牛士を呼んで闘牛をやるというのである。で、コネを使って覗きにいった。会場(代々木体育館)前には「捨て猫を守る会」の人が反対のピケを張ってる。いや、期待が高まるよね。
 ところがぎっちょん、なんかやっぱり実際に殺すとヤバイみたいな話があったみたいで、傷はつけるんだけど止めをさすのはなし、で妙にアンチクライマックスな見せ物であった。ま、見たけりゃ本場へ行けってことなのか。

 一番面白かったのは問題の会社、ベンチャーセーフネットの社長で、開場前にはオーケストラの指揮してるわ、マタドールの衣装で出てきて「わたしは(牛を)殺せるんです!」と言い張るわ(あんた、マス・オーヤマかい)、もうとんでもないっす。入社式に出たにもかかわらず、結局この会社が何をしてるのかはわからなかった。「新入社員が1300人いて、全員技術系」だってことだけ。社員の方々はいろいろ大変かと思いますが、めげずにがんばっていただきたい。いやマジで。


4/2(金)
 2時、HDPの山田五郎編集長が来て打ち合わせ。「なんか春になると心の方が……」と言ってました。
4/3(土)
 高田馬場。芳林堂で『悪魔を思い出す娘たち』(ローレンス・ライト 柏書房)、『悪夢の世界』(クリストファー・フレイリング 東洋書林)買う。記憶をでっちあげてしてしまう人々の話ってなんともそそられる。

 ユタに行くと、大森望がビッグボックスの古本市で大量の早川文庫JA(100番まで)を購入してきているので、みんなで検討する。購入書店と読了日時が書き込まれているので、その記述から放出者の素性を当てようという寸法。「死んだな。この年で結婚ってことはないから、死んだんだよ」と言ったのは高橋良平である。

『デヴィッド・リンチ』(フィルムアート社)読む。リンチはシャツを着るとき、ボタンを首までぴっちり閉めずにはいられないらしい。ボタンを開けると、中からおぞましいどす黒いものが流れ出してくるのが恐いんだろう。


4/5(月)
 青山墓地でケイブルホーグの花見。毎年雨、または死ぬほど凍えるケイブルホーグの花見なのだが、今年は暖かくって花見日和。珍しいこともあるもんだ。秘密の仕事のために来日しているアレックス・コックスが来ている。のでしばらく談笑。だがいいかげん酔っぱらったしサッカーもあるので11時ごろ帰る。

 そして体調も整えてテレビの前に座る。ワールド・ユース 日本VSカメルーン あほんだらー! もうね、何も変わってないね、アジア・ユースのときと。おれ、トルシエ派なんだけど、なんかこれ見てると監督誰やっても同じなんじゃないかって気がしてきたなあ。どうしてあんな点の取られかたしちまうわけ? どうして高原くんのシュートは枠に飛ばないの? らららー、ららららー


4/6(火)
 荻窪・湯ーとぴあへ。アレックスと一緒にお風呂につかりに行ったのである。ま、実際には秘密の届けものがあったのだが。風呂につかり、サウナに入り、ビールを飲み、風呂につかり、サウナに入ったら心臓がばくばくしてきた。ヤバイなあ(当たり前だって)。

『星ぼしの荒野から』(ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア ハヤカワ文庫)購入。


4/7(水)
 今月からWOWOWに加入した。なぜかというとUEFAチャンピオンズ・カップを見るため。それに加えてJリーグもあるわワールドユースもはじまるわもういそがしくっていそがしくって。とてもじゃないけど仕事なんかやってるヒマはないねえ。

 つうわけで今日はチャンピオンズ・カップ準決勝。いやあ燃えたなあ。ダヴィッツの足が止まったあとのマンチェスターの波状攻撃のすさまじさ。あんな試合見せられたらまあ引き分けでもいいかって気になるよね。いや本当はいけないんだけどさ。


4/8(木)
『哀れ、ダーリンは娼夫?』(ルパート・エヴァレット 河出書房新社)送ってくる。いや、ありがたいんですけど、でもなぜ? やっぱみんなオレのことカマだと思ってるのか!?

 深夜ワールド・ユース 日本VSアメリカ どうやら「ノーマークのシュートをはずす呪い」は小野くんに移ったらしい。シンジくん、きみはそこにいてもいいんだから(いや、浦和ファンはどういうか知らないが)小さなことを考えずどんどんシュートを打ってくれたまえ。なんかみんなシュートが遅いんだよなあ。高原くん、きみももっと打てばいいと思うよ。
 後半20分過ぎ、完全に足が止まって総殴り状態に陥ったところで、どうして交代しないんだトルシェー!とテレビに向かって怒鳴っていたらやはり点が入ってしまった。でも、今にして思うと2点差だったし、あの状態でどこまで保つか見極めたかったのかもしれないな。あとね、遠藤くんの気弱なバックパスはなんとかして欲しい、と思ったよ。


4/9(金)
 BSで『アルチバルド・デ・ラ・クルスの犯罪的人生』見る。なんか、もひとつ冴えない映画だという印象があったんだけど、やはりブニュエルだけのことはあるよね。それに個人的には惹かれる題材でもある(誘惑されると相手を殺したくなってしまう殺人狂の男の話)。ただブニュエルの暗黒面がユーモアにくるまれず生のまま露出しているので、どうも不安な印象を与えてしまうのかもしれない。ところで、この映画の主演女優ミロスラバ・ステルンは映画の封切り直後に自殺してしまうんだが(映画の中でも、模擬的に殺されたりする)、メキシコに行ったときに彼女の写真集を買った。もちろん死体写真付き
4/10(土)
 詳しくは書けないのだが、わがマンションでひどく面白いことが起きているのが判明する。いや、もう1年以上昔の話なのだが。今日はそのすべてが暴露されて口あんぐり。いやあ、意外と身のまわりにとんでもない話が転がっているもんですわ。
4/11(日)
 「少年Aの父母が書いた本」を買う。仕事仕事。

ワールド・ユース 日本VSイングランド 小田島隆は高原くんのことを「カルパッチオだのテリーヌだのは器用に作るくせに、目玉焼きが満足に焼けない料理自慢の若妻みたいだ」と評していたが、いやまったく。つうか、小野くんのループはそれはそれは見事だったが、その前に2本あった1対1を決めろ、と言いたい。見ていて楽しいチームではあるんだが、勝てるチームかっていうと疑問が残るのはそういう部分だよなあ。それでも、一点取ったあとは小野くんも吹っ切れたみたいで、好プレーを連発していた。決勝トーナメントは期待できるかも、だよ。


4/12(月)
 6月創刊新生〈スターログ〉のF来て打ち合わせ。つーか仕事受ける。とはいっても〈スターログ〉の仕事を受けたわけではないのだった。あー、なんか缶詰になりたい感じ(笑)。でもサッカー見に抜け出しちゃうからダメか。
4/13(火)
『ディスコ2000』(サラ・チャンピオン アーティストハウス)送ってくる。

『π』(これウィンドウズやUNIXで表示されるのかな? 3.141592...っす)の試写。株式市場の動向をパターンで予測しようとしている数学の天才(電波系)が、生命と意識と万物の究極の答えは実は数学にあると「発見」する話。え、でもそんなの今更教えてもらうまでもないよ。SFファンなら知ってるはずだ。答えはもちろん「42」である。


4/14(水)
 新宿で河出書房のNほかと打ち合わせ。以前から懸案になっている仕事を詰める。いや、これ自体は楽しい仕事になりそうだからいいんだけど、何もかもいっぺんに来てるんで死にそうである。なんか、だいぶ鬱が出て、周囲にはご迷惑をかけております。
 ちなみに「ほか」の人は日記既出なのだが、以前のときはなんか流言飛語があったりしたらしく「日記には書かないでくれ」との仰せであった。したがって、その人はいないことになってますんで、そういうことでよろしく。とりあえず『文藝』の最新号をいただく。

  Tower Recordsに寄って『Crumbs Family Comics』(映画『クラム』を見た人ならおなじみ、兄チャールズの狂気のノートが収録されている)と遠藤賢司の『もしも君がそばにいたら何んにもいらない』購入。エンケン、すっかり忘れてた(笑)。ぼくはコーラスで参加してます、つーかエキストラだけど。


4/15(木)
 ワールド・ユース 日本VSポルトガル あー疲れたー。もっとあっさり決めちまわねえかい!って今回はポルトガルを褒めるべきだろうな。カメルーン戦では南くんのせいで負けたんだから、今回は南くんのおかげで勝てたってことでいいでしょう。「小野を替えろ〜」って叫んでいたら妻に「うるさい!」と怒られてしまった。でもあれはPK用に置いておいたのかなあ。 
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Kiichiro Yanashita / 柳下毅一郎 / yanasita@gol.com