今日のハイライトは『地獄のアメリカ観光』にも紹介されているLSD
Museumのマイク。宇川くんに教わった住所に行ってみるが、看板はおろか表札すら出ていない。恐る恐るドアをノックすると、びっくりまなこの白人が出てきて、「イエス?」
「あのー、日本にいる友達から聞いてきたんですけど……」
「おー! おまえ友達がいるのか。そりゃいい。サイコーだ」
これ別に皮肉じゃないってところが凄すぎる。中には部屋一杯のアシッド・ペーパー。こっちの素性も聞かずに中に入れてくれ、ひととおり説明してくれたうえ、煙草までまわしてくれるんだからもう……いるあいだにも何人か客が来てソファを我がもので占拠していた(うち一人は『ファビュラス・ファリー・フリーク・ブラザーズ』の作者)が、ラリった目で見ているビデオはなぜか『セーラームーン』なのだった。
夜はアルカトラズ島に出かける。刑務所跡地はウォークマンを聴きながらのツアーでまわれるのだが、このテープがなかなか傑作。なんせナレーションがすべて元囚人と看守。有名な“アルカトラズ暴動”について当時の刑務所長が「バカな奴らだ。逃げられるわけがない。最後は死ぬんだよ、どんなやり方でもな」なんてコメントしてしまうのだ。格好良すぎる。
帰りの船は満天の星に桑港の百万ドルの夜景、背後にはアルカトラズ灯台のサーチライト。映画のように美しい。
その後同じくヴァレンシアのビデオ屋Leather Toungeってとこを覗いたけど、ここはなかなか。デヴィッド・リンチの初期作品(8ミリ)なんかも置いていた。そう言えばパイ投げのビデオもあったが、といっても秘宝の人たちが出てくるわけではない。
今回の取材では、いろんなマンソンおたくに話を聞いてみようと考えて連絡をとってみた。おかげでマンソン・アンダーグラウンドとでもいうべき犯罪マニアのネットワークに足を半分くらい踏みこんでしまった。これがまた深く、複雑に絡みあっていて、信じがたい偶然とシンクロニシティが横溢する世界なのである。これもマンソンの魔力かなあ、と言いたくなってしまうのはやはり幻想にとらわれているからなのか。
メルローズのNecromanceという店を取材。GothなおねーちゃんがやってるGothな店である。動物の標本とか、頭蓋骨とか、死体写真とか、そういうものを売っている。もう9年間もやっているというのに、この取材まで存在を知らなかった。不思議だ。最初にLAに来たときに行っててもよさそうなもんなんだが。
「有名人のお客とか来た?」と聞いたら「こないだマリリン・マンソンが来たわ」って言ったのには笑った。もっと意外性のある行動しろっての。取材が終わったあと、「ねえ、ひとつ頼まれていい? 荷物降ろして欲しいんだけど」と言うんで何かと思ったら、電気椅子の模型だった。店のディスプレイに使うらしい。
いつものようにAMOKを表敬訪問したあと(今回はパトリシア・ハースト関係の本を大量購入)、シルバーレイクのトッシュ&ルンナ・バーマン邸に出かけ、マジック・ランタン・サイクル鑑賞大会。一応準備にこしたことはない。
5時からケネス・アンガーのインタビューである。映画評論家人生にあって、これほど自分に深い影響を与えた人に会うこともないだろう。しかも相手はアングラの帝王で悪魔主義者、いったいどんなことになるかわかったもんじゃない! というんで緊張しながらバーマン邸で準備をしている。カメラマンと編集者はフィルムを買うためにお出かけ。と! 外に出てみるとそこにアンガー爺さんが立っているではないか(予定より1時間も早いのに)! 一人でタクシーに乗って来たらしい。というわけでアンガーの解説つきで『真夏の夜の夢』(マックス・ラインハルトの奴)を見るという超豪華な経験をすることになったのである。アンガーは上機嫌で喋りに喋り、結局ムッソ&フランクでのディナーまで4時間にわたってボビー・ボーソレイユからリン・チン・チンまでありとあらゆる有名人についての信じがたい逸話を聞かせてくれた。ああ、楽しかった。
ちなみに内容については8/10発売の〈ホットドッグ・プレス〉で紹介されるでしょう。問題はHDPの読者にはこのありがたみがまったく理解できないだろうってことだな。
時間があまったのでサンディエゴで飯を食い、Museum of Death。どんなのかと思っていたが、要するに死体写真と連続殺人鬼のアートワークを飾ってあるものだった。こういうのは得意である。異様にハイなオーナーの二人と連続殺人話で盛りあがる。要するに連続殺人鬼メモラビリア・コレクターで、自分のコレクションを展示しているということらしい。マンソンから囚人服をもらったこともある、と言っていた。好きな殺人鬼は?「ベラ・キス」そりゃまたマイナーな。まあそう言われてわかる方もわかる方なんですがね。
今回行ったところはどこも人があまり訪ねていかない僻地である。必然的にみな話し相手に飢えていて、どこへ行っても大歓待されてしまうのであった。
というわけでかけずりまわっている編集者やカメラマンを尻目に、たっぷり朝寝してからラスヴェガス美術館に出かける。ま、普通ラスヴェガスに来る人は美術館なんか行かないわけで、必然的にあるのはものすごく遠いところ。バスの運転手に聞いても「え? そんなのないよ」とか言われてしまう。いざ乗って行ってみたら一時間くらいかかった。もう大変なものである。
そんな思いまでして行ったのはEnd Is
Near!という企画展。世紀末を祝うにあたって地獄の底を開けたようなアーティストを集めてみましたという感じである。ぼくはジョー・コールマンを見たくて出かけたのだが、他にも円盤に発信器をインプラントされてタイム・マシンの設計図を描いてる人とか、黙示録を壁画にしている人とかいて、もう大変な感じである。みんな、世界の浄化を待ち望んでいるんだなあ。心に残ったのはノーバート・コックスの(やはり)黙示録絵。
ギフトショップで働いているおばさんが「みんなねえ、立派な方たちばかりですわよ。でもネガティヴなことばかり描くのがどうもねえ。こういう(と言って受胎告知の絵を指す)ポジティヴな絵も描いていただきたいですわよねえ」とか言ってておかしかった。