サラ金参り

◎今月のお仕事 『コリン・マッケンジー物語』(デレク・スミシー パンドラ)発売中。特殊翻訳稼業の神髄を見せてやるぜ。
        『子供の森・完結編』(もりしげ オークラ出版)に解説を書きました。子供は読まないように。犯罪だから。


11/15(月)
 阿佐ヶ谷のラピュタ阿佐ヶ谷に出かける。先日、なんの気なしに『ぴあ』をめくっていたら若松考二の新作を封切っているのに気づいたからである。タイトルは『飛ぶは天国、もぐるが地獄』。製作はふゅーじょん・ぷろだくと。音楽J・A・シーザー 出演室井佑月、高橋源一郎それに月触歌劇団。
 聞いてないぞ。
 なんだかキナ臭いものを感じたので行ってみることにした。入場料1000円というのも怪しい。上映がはじまると……それはビデオ映画だった。中身は雪の中でマイクロバスがエンコして、雪の中を歩いていくと“世界の果て”に着いてどうみても女の“美少年”と「ほんとうのやさしさってなに?」「きみは本当は傷つきたくないだけなんだね」てな調子の問答をくりひろげるという……いつフェンシングが始まるんだろうと思っていたら、室井佑月がおっぱいふり乱してゾンビを切りまくりはじめたよ。

 いい経験したよ。きっと二度と見られないもんね。

 オークラ出版から『子供の森・完結編』(もりしげ)と『哀錠物語』(北原武志)送ってくる。あと京極夏彦の新刊を購入。


11/16(火)
 三軒茶屋のシアター・トラムで篠井英介の一人芝居『女賊』を見る。乱歩の『黒蜥蜴』を橋本治が脚色・演出したもの。妻が篠井英介のファンなので行った。ら場内女だらけ。もう緑一点状態。しかるに第一部、うつらうつらしてたもんで妻激怒、とか。
 まあしかし、黒蜥蜴というのはあらゆる女形、そして女装した女にとっての理想の役なのかもしれない、と思ったよ。あと、部下が全員半ズボンだったのは橋本治の趣味なのだろうか。
11/17(水)
 今季Jリーグ最高?の盛り上がりを見せた浦和VS市原をTV観戦。中西の自爆で浦和がなんとか勝利をものにしたが、なんか浮かれすぎてて次が心配だ。だいたい、どっちも全然サッカーになってないし(ある意味では一人多くてチャンスを作りまくったのにシュートが枠に飛ばない浦和の方が、市原より病は重いかもしれない)。決勝点はあまりにオフサイドっぽかったが、なんかサービスされちまったみたいな……試合前から発煙筒をたいてる浦和サポが負けたらどうなるのかちょっと見たかった気もするが、ま、それは今後の楽しみってことで。
11/18(木)
 午後、メンクラのOに会って写真を渡す。その後銀座にまわってニュー東宝シネマで『サラリーマン金太郎』見る。ドラマはどうしようもなくテレビなんでさすがの三池監督にもどうしようもなかったみたいだ。でもヤクザが出てくると急に画面が生き生きしてくるあたりはさすがである。クライマックスはすべて省略されている、というのも凄い(手抜きかも)。
 なんかやたら子供のお話なんだが(後先考えずに啖呵きって、本当に窮地に追い込まれるとパパが助けてくれる)、本宮ひろ志自体が子供なんで、しょうがないのか。

 その後試写でジョニー・デップの『ノイズ』。宇宙SF版『ローズマリーの赤ちゃん』なんだが、邦題や宣伝がまるっきりそれを理解してないもんで微妙なニュアンスもクソもない感じ。まあ映画本体もなんのヒネリもなかったけど。むかしはこういう映画がよくあったような気がする。SFXのないSF映画って、ちょっとかしこいような気がしたもんだ。

 それにしてもザ・グルはすばらしい。もう連日テレビにかじりつきっぱなしである。早いとこ名古屋の喫茶店にも行かなければ。ちなみにSPGFのサイトはココ


11/19(金)
 あまりにトラブルが多いので、システムを8.5に入れ替える……とこれまで苦しんでいたシステム・ダウンがきれいさっぱり失せて嘘のように快適。しかもファインダ操作も早いし。なんだったのあの苦労は。
11/20(土)
 エースのジョーに会いに出かけた。
 明治学院大学で四方田犬彦の映画講座にからんで、宍戸錠のトーク&映画のもよおしがあったのである。妻は四方田先生に気に入られているので、こういうもよおしものの案内を頂いたりする。オレはただのオマケだ。
 まず『拳銃は俺のパスポート』をビデオで上映(宍戸錠のフェイバリット作品、ということらしい。あまりに切れの良すぎる映画)し、そのあと宍戸錠の登場。ちゃんと衣装に着替えて寸劇を披露してくれたりするあたりがスター、なのである。その後四方田犬彦とアーロン・ジェローが話を聞く格好なのだが、宍戸錠は勝手に自分のしたい話を語っているだけなので全然かみあっていないのだった。残念ながら。

 その後渋谷にまわって東大SF研の駒祭コンパに。今回は新会長を決めるということだったんだが、長い机の向こうの方で現役と位の低いOB(オレはもちろん位の高い方のOBである)が勝手に盛りあがって決めていたのだった。どーゆーことやねん。しかももらった会誌を見たら、そこにはすでに「新会長」として登場しているのだった。これはヤラセか? ちなみに新会長は1年生の女の子であった。なかなか可愛い子だったんで、これからいろいろ仕込んであげようかと思う。

 その後久しぶりに麻雀を打つ。SF研は子供麻雀なので勝っても名誉を得るだけである。とりあえず野口杯初代王者の面目は保ったっつーか、大人麻雀ならいい小遣い稼ぎになったんだがっつーか。


11/21(日)
 草月ホールのラテン・アメリカ・スタディーズでアルトゥーロ・リプステインの『夜の女王』。いや、これはなかなかすごい世界だった。登場人物がみんなエゴイストで、人の信頼を裏切るようなことばっかりして、まったく反省というものがない。ほとんどすべてミドル・ショットの長回しで、なぜか男のケツばかり写る。ちょっと覚えておきたい名前である。来年、イメージフォーラムが作る劇場で公開される予定(なのでイメージフォーラムの人が来ていた)。
11/23(火)
 神保町で堺三保と待ち合わせて"Blair Witch Project"のDVDを借りる。あと『ブレア・ウィッチ完全調書』(D・スターン アーティストハウス)を購入。完全一夜漬け状態。

 さっさと家に帰ると録画しておいた清水VS横浜の試合を見る。すごい雰囲気だった。行きたかったなあ。それにしてもアレックスはすばらしい。ボールが渡ると必ずチャンスになるのである。アレックスが切れすぎていて、深澤がファウルじゃないと止められないんだからキックオフ前にすでに勝負はついていた。現代サッカーはサイドアタッカー、とぼくは信じているのだが、その点19歳の市川と22歳のアレックスを抱えた清水は強いよ。


11/24(水)
 新宿に出かけて中原昌也と対談。お題は『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』で、なんか解読本みたいなムックに掲載される(朝日出版社)。原稿を頼まれたんでさっさと断ってしまおうとしたんだが、「中原さんが柳下さんとの対談ならいいっておっしゃってるんで……」ってそれで断ったらなんかオレが悪いみたいじゃねえかよ。ハメられたかな?
 で、適当に喋りたおす。無自覚の破綻を愛する中原にしてみれば、すべてを計算しているところが嫌だったみたいだよ。オレはまあ、そういう部分を含めてアイデアを評価すべきって立場。なんか同じ話を何度もくりかえしている。これからもまだくりかえす予定。あー、いやだいやだ。

 紀伊国屋に寄って『ファイト・クラブ』(チャック・パラニューク 早川文庫)購入。


11/25(木)
 いい天気なので図書館に出かける。

 その後日劇で『エンド・オブ・デイズ』完成披露試写。
 なんじゃこりゃあ!
 史上最低映画コンテストのノミネート作品である。ここまでひどい映画、ホント見たことないよ。笑えもしない。


11/26(金)
 ラフォーレ原宿へResfestなるデジタル・フィルム・フェスのために出かける。アメリカではそれなりに権威あるものらしいんだが、なんか胡散臭いマルチメディア系のイベントとしか見えない。まことに残念なことである。なんで出かけたかと言うと、LAのAMOK BooksのStuart Sweezyがプロデュースした映画が上映されるというからだ。映画は"Better Living through Circuitry"というレイヴ・カルチャーを扱ったドキュメンタリー。クラフトワークの人の語りが異様におかしかった。
 終わったあと、スチュアートに誘われてResfestのオープニング・パーティに出かけ、しばらく話しこむ。

 帰ると『ウェディング・マニア』(香山リカ 筑摩書房)、『カラサワ堂怪書目録』(唐沢俊一+唐沢なをき 学陽書房)が届いている。あと『ブレア・ウィッチ完全調書』(D・スターン アーティストハウス)が。いらねえってばよ。


11/27(土)
 仕事やんなきゃなんないんだけどさ。

 ついBSで浦和VS広島戦を観戦。見る前から市原は勝ち、福岡は負けるだろうと思っていた。つまりすべては浦和次第。しかし浦和はガチガチになっていて、高くて強い広島のセンターバックにまともに突っ込んで行くのみ。ロクにチャンスも作れない。はっきしいって、広島の方が決定的チャンスは多かった。
 それにしても福田を後半35分まで出さないア・デモスは浦和サポの心をわかってないと思う。どんなに福田がダメでも、福田で負けたんならサポーターは納得するのだ。福田というのはそういう選手である。テレビの中継も前半からベンチに座ってる福田の顔ばっか写してた。で、最後も福田の悔し涙。福田って世界一涙の似合うサッカー選手だね。

 こうなるとJ2の方がJ1より観客動員多くなっちゃったりして。

 FOXから『ファイト・クラブ』プロモーショングッズ詰め合わせセット送ってくる。中には石鹸も(といってもまさかアレじゃないんだろうが)。


11/28(日)
 6時、オークラでスチュアートと待ち合わせ。延々列車に乗って××駅まで。スチュアートを佐川一政に紹介するためである。ずいぶん以前からAMOKでは佐川くんの本を出したいとかいう話をしている。翻訳者募集中。佐川くん、体調不良ということで地元まで出かけることになった。
 ステーキを食べながら談笑。

 いったんホテルに戻ってから、スチュアートの友人をまじえて西麻布のクラブへ。そこでスチュアートがWild Palms Readerを編集していたと知って二度びっくり。ぼくがブルース・ワグナーの小説を翻訳した、と言ったらスチュアートも驚いてたが。イッツァスモールワールド!

注:『ワイルド・パームス』はオリバー・ストーンが製作したサイバーパンクTVドラマで、(一瞬だけ)ポスト『ツインピークス』の候補に挙げられていた。で、ご多分に漏れず『ツイン・ピークスの歩き方』みたいな本も出ていて、それが"Wild Palms Reader"。TVシリーズの原作・脚本をつとめたのがブルース・ワグナーで、その後何冊か本を書いている。


11/29(月)
 1時、新宿で大森望と対談。Love&Playstation用。「いいの? オレなんかで? プレステも持ってないのに(VGSはある……よけいマズイわい)」とか思ったが、基本的に簡単な作りで、ときどき有名人も出るというページらしい。お題はまたも『BWP』。いろいろ話したけど、結論は「生きているブレア・ウィッチ、それはフミキだ!」ってことで(笑)。

 どうでもいいんだけど、このページ、担当しているのが元宝島社のK。昔からマニアックな方面に人気がありそうな体型で有名だったんだけど、会ったら妊娠中だった。さらにマニアック度が増したっていうか、そんな強烈なシャドー入れるとあの女優にそっくりっていうか……いやあもう。

 その後フィルムセンターでハワード・ホークス映画祭『教授と美女 Ball of Fire』の試写に引きつづきレセプション。フィルムセンターの岡島氏の挨拶がまるでハスミ総長が書いたようなレトリックで笑えた。お偉いさんばかりのパーティで隅の方に隠れていたら、そこにひときわめだつ謎のカップル……と、あかね雲ちゃんでおなじみ元SFAの関氏ではないか! なんでこんなところにいるのだ? あ、そう言えば河原畑寧先生からは『コリン・マッケンジー物語』のネタが分かりにくすぎる、とお叱りをいただいてしまったのであった。


11/30(火)
 徳間ホールでアトム・エゴヤンの『フェリシアの旅』。映画はまあまあだと思うんだが、こっちの体調が最悪でぐっすり熟睡しちゃった……ってここで書くこっちゃないねえ。 
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Kiichiro Yanashita / 柳下毅一郎 / yanasita@gol.com