骨粗鬆症について
はじめに】
骨粗鬆症人口は約1100万人と推測されています。女性では50歳以上で約25%、70歳以上で約50%、男性では80歳後半で約50%に骨粗鬆症があ るとされています。
骨粗鬆症そのものでは特に目立った症状はないのですが、骨痛、身長の低下を認めることがあります。骨粗鬆症が原因となって、骨折が引き起こされると生活の質(quality of life、QOL)の低下がもたらされます。
実際、骨折は寝たきりの三大原因(脳血管疾患、高齢による衰弱、骨折・転倒)のひとつにあげられています。
骨粗鬆症の分類・原因】
原発性 若年性
閉経後
男性
続発性 副腎皮質ホルモン過剰
関節リウマチ
不動性・無重力
甲状腺機能亢進症
治療の目的】
治療の目的は骨折を予防することです。骨折すると、入院、手術やギプス固定などを必要とし、治癒後も可動制限や筋力低下など生活の質の低下を来たすようになるからです。一度骨折すると、続いて骨折するリスクが上昇するために最初の骨折を予防することが大切です。
骨折の危険因子】
危険因子として以下のことが重要と考えられています。
転倒(外傷)
骨密度(bone mineral density、BMD)低下
骨折既往
喫煙
ステロイド使用
骨折の家族歴
体重増加
栄養不良
運動不足
骨粗鬆症に伴って起こりやすい骨折】
脊椎椎体骨骨折
大腿骨頸部骨折
橈骨遠位端骨折
上腕骨近位端骨折
日常生活について】
上記の骨折の危険因子を減ずることが必要です。特に転倒のリスク(下肢筋力の低下、歩行能力の低下、バランス障害、運動能力制限、視力障害等)を減らすことが重要です。
骨密度の低下や筋力の低下を防ぐために、バランスのとれた食事や骨粗鬆症治療薬の内服が有用です。肥満は膝に負担をかけたり歩行を不安定にするため、減量が必要です。転倒し骨折することを予防するためには適度な運動、バランス訓練、筋力強化を行うことも有用です。また、向精神薬 (睡眠薬、安定剤)が効きすぎるとフラフラして転倒することもあり、これらは適正に使用する必要があります。
運動】
1)立位で行う自分の体重のかかる動作
2)水平方向への移動動作
速歩、リズム運動(前後左右へのステップ)等
3)垂直方向への振幅の大きい動作
階段昇降、椅子・床からの立ち上がり、太極拳等
これらを、気楽に、気持ちよく、楽しく、続けて行うことが大切です。
検査・診断】
1)骨の状態の判定
腰痛や背部痛の有無、身長の低下、レントゲンでの脊椎骨の変形のチェックします。
2)骨密度の測定
骨量をレントゲン、超音波等で検査します
3)骨代謝の測定
各々の骨は、日々破壊・形成され形を保っています。血液・尿中の骨吸収マーカー、骨形成マーカー等を測定することで、この骨代謝のバランスを判定します。つまり、骨破壊が亢進している状態(骨吸収マーカーが高い)が骨粗鬆症の進行を示します。
薬について】
1)カルシウム製剤
骨の原料となるカルシウムです。
2)エストロゲン製剤
閉経後のホルモン補充療法として使用されます。骨折予防効果はあるが、乳癌や心血管系のリスクが増大することがあります。
3)カルシトニン製剤
骨折予防効果を認めます。投与方法(注射)に制約があります。
4)活性化ビタミンD3製剤
カルシウムの吸収を高める作用。カルシウムが不足する症例においては骨折予防効果が認められます。筋力増強効果、転倒抑止効果も報告されています。
5)ビタミンK2製剤
カルシウム製剤よりも骨折予防効果は上とされています。
6)ビスフォスフォネート製剤
骨を壊す働きを抑えます。現在、一番強力な骨粗鬆症の薬剤といえます。骨折の予防効果が認められています。 しかし、服用に際し注意(早朝服用、食道炎のリスク等)が必要です。
7)ラロキシフェン製剤
骨を壊す働きを抑える。骨折予防効果を認めます。閉経前、男性には使用しません。静脈血栓の副作用があります。
まとめ】
偏食を避け、栄養をとり適度に運動を行い、骨の老化を予防することが大切です。