モーセと山幸彦:
全ての関連エピソード
モーセの出エジプト+ヨシュア(山幸/海幸)+イハレサルゴン誕生モーセ誕生木樵/ヘルメスカヴルサン/友人ヤコブ/エサウアブラハムの僕/リベカイエス/サマリア人イエス/洗礼者ヨハネマリアへの受胎告知ハガル/サライ、及び イシュマエル/ハガル
における並行シーン
http://homepage3.nifty.com/yebis-dycoque-benten/YebisYa/jp/jmy/jprlll/jscn.html

各エピソード名が何を指すかに就いては、「用語(jnom.html)」を参照されたい。

シーン 1: 成人

包括型
シノプシス成人: 故地 において 男性主人公 が成人する。
モーセの出エジプト エピソード シーン番号:1 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス成人: 故地 において 男性主人公 が成人する。
モーセが成人したころのこと、・・・
( 出エジプト記 2:11)
山幸/海幸 エピソード
古事記版 (変異K) シーン番号:1 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス成人: 故地 において 男性主人公 が成人する。
故(かれ)、火照命(ほでりのみこと)は、海佐知毘古(うみさちびこ)として、鰭(はた)の広物(ひろもの)・鰭の狭物(さもの)を取り、火遠理命(ほをりのみこと)は、山佐知毘古(やまさちびこ)として、毛の麁物(あらもの)・毛の柔物(にこもの)を取らしき。
日本書紀版
変異N0 シーン番号:1 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス成人: 故地 において 男性主人公 が成人する。
兄(あに)火闌降命(ほのすそりみこと)、自(おの)づからに海幸(うみさち)有(ま)します。弟(おと)彦火火出見尊(ひこほほでみのみこと)、自づからに山幸(やまさち)有します。
変異N1 シーン番号:1 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス成人: 故地 において 男性主人公 が成人する。
兄(このかみ)火酢芹命(ほのすせりのみこと)、能く海の幸を得。弟(おとと)彦火火出見尊、能く山の幸を得。
変異N2 シーン番号:1 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
変異N3 シーン番号:1 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス成人: 故地 において 男性主人公 が成人する。
兄(このかみ)火酢芹命、能く海の幸を得。故(かれ)、海幸彦(うみのさちびこ)と号(なづ)く。弟(おとと)彦火火出見尊、能く山の幸を得。故、山幸彦(やまのさちびこ)と号(まう)す。
変異N4 シーン番号:1 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス成人: 故地 において 男性主人公 が成人する。
兄(このかみ)火酢芹命(ほのすせりのみこと)、山の幸利(さち)を得。弟(おとと)火折尊(ほをりのみこと)、海の幸利(さち)を得ます、云云(しかしかいふ)。
B型
シノプシスシーン無
サルゴン誕生 エピソード シーン番号:1 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
モーセ誕生 エピソード シーン番号:1 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
G型
木樵/ヘルメス エピソード シーン番号:1 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス登場: 男性主人公 が登場する
ある男が・・・
R型
カヴルサン/友人 エピソード シーン番号:1 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス登場: 故地男性主人公 が居る。
パサムバンコ Pasambangko のカヴルサン Kavulusan が・・・
縮退型
ヤコブ/エサウ エピソード シーン番号:1 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス成人: 故地 において 男性主人公 が成人する。
二人の子供は成長して、エサウは巧みな狩人で野の人となったが、ヤコブは穏やかな人で天幕の周りで働くのを常とした。イサクはエサウを愛した。狩りの獲物が好物であったからである。しかし、リベカはヤコブを愛した。
( 創世記 25:27-28)
参考種
アブラハムの僕/リベカ エピソード シーン番号:1 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
イエス/サマリア人 エピソード シーン番号:1 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
イエス/洗礼者ヨハネ エピソード シーン番号:1 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
マリアへの受胎告知 エピソード シーン番号:1 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
ハガル-イシュマエル群
ハガル/サライ エピソード シーン番号:1 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
イシュマエル/ハガル エピソード シーン番号:1 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無

シーン 1への注

シーン番号:1 [-1], [+1]
  1. モーセの出エジプト山幸/海幸 及び ヤコブ/エサウ の各エピソード (包括型 及び 縮退型 エピソード)は、それぞれ「旧世界」を「新世界」に切り替える役割を果たしている。
    ヤコブ/エサウ エピソードは、最終的にはイスラエル十二部族の誕生に至る物語であり、モーセの出エジプト の背景を形づくるほか、聖書物語にあっては、モーセの出エジプト の先行型にさえなっている。(このことは、説話系統において、必ずしも ヤコブ/エサウモーセの出エジプト の直系の祖型であることを意味するものではない。)
    モーセの出エジプト エピソードにあっては、アブラハム(アブラム)、イサク及びヤコブの族長世界が、ヤハウェの律法と(ヨシュアとその後継者等の)士師/預言者達が支配する国家に転換する。(但し、エリア伝説は別個の考察が必要となろう。)
    日本の場合、神々及び半神達の代々の物語は、山幸/海幸 エピソードを以ってほぼ完結し、大和朝廷の歴代記としての人間の「歴史」に引き継がれる。
    おそらく、モーセの出エジプト 及び 山幸/海幸 エピソード編集当時、男性主人公 は既に伝説上の人物だったのだろう。これに対し、後継者 は、当時の支配機構/家系の始祖として、実在とたと信じられていたか、あるいは、そのように主張されていたのではないか。
    この論考そのものは、(歴史上の実在人物であったとして)モーセが古代エジプトで暮らしていたことも、ホヲリあるいは彼の同格者たちが古代九州に住んでいたことも、主張しないし、否定もしない。エピソードの神話端であるこの部分においては、構造分析から歴史的実在性に就いて何らかの結論を引き出すことは、ほぼ無意味である。しかし、それでも、故地 に対し具体的な地名を比定するのは、説話の歴史端である帰結部での 約束の地 での侵略王朝樹立と対比させる必要があるからである。いわゆる「士師」たちや、初期の大和王朝にとっては、自らが侵略者であることに意味を感じていたのだろう。おそらく侵略の成功が、神の恩寵(統治の正当性)の証明であるというような。
  2. 山幸/海幸 エピソードの後、男性主人公女性主人公 との物語は、二人の別離で終りを告げる。そして、それが、地上と海神郷との交流が絶えた理由とされている。このことは、古代日本人にとり、海神郷が[変装した来世]であった可能性を示唆する。
  3. 包括型 及び 縮退型 エピソードの全ては、男性主人公 の成年を以って幕が開く。( 使徒行伝 7:23-29 は、モーセがエジプト人を殺害してミディアンに逃亡した時、40歳だったと明言しているとはいえ、40と云う数字は、他の聖書物語におけるのと同様、単に「十分な数量」を意味するに過ぎないと思われる。)
    モーセの出エジプト エピソードと異なり、(古事記版 であるか 日本書紀版 であるかを問わず) 山幸/海幸 エピソードでは、男性主人公 の成人は、明示的には言及されていない。しかし、「幸」をもって登場したことは、一個の識別可能な社会的存在として働いていることを示すから、成人していると見なされる。
  4. 海幸彦: 「海」の読みは、「ウミ」で良いのか? 「アマ」又は「ワタ」と読む可能性は無いのか?

シーン 2: [宝=成功供犠]に関わる事件

包括型
シノプシス[宝=成功供犠]に関わる事件: 敵対者 に所属する[ = 成功供犠 ]に関わる事件が起こる。
モーセの出エジプト エピソード シーン番号:2 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス[宝=成功供犠]に関わる事件: 敵対者 その1に所属する[ = 成功供犠 ]に関わる事件が起こる。
具体的には[ = 成功供犠 ]は、敵対者 その1に臣従する人間で、男性主人公 は、その臣民の悪行を見る。
彼は同胞のところへ出て行き、彼らが重労働に服しているのを見た。そして一人のエジプト人が、同胞であるヘブライ人の一人を打っているの見た。
( 出エジプト記 2:11)
山幸/海幸 エピソード
古事記版 (変異K) シーン番号:2 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス[宝=成功供犠]に関わる事件: 敵対者 に所属する[ = 成功供犠 ]に関わる事件が起こる。
具体的には、[ = 成功供犠 ]は、敵対者 に所有される道具であり、男性主人公 は、その道具を使用したいと願う。
しかして、火遠理命、其の兄(いろえ)火照命に、「各(おのもおのも)佐知(さち)を相易(か)へて用ゐむと欲(おも)ふ。」と謂ひて、三度(みたび)乞はせども、許さず。
日本書紀版
変異N0 シーン番号:2 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス[宝=成功供犠]に関わる事件: 敵対者 に所属する[ = 成功供犠 ]に関わる事件が起こる。
具体的には、[ = 成功供犠 ]は、敵対者 に所有される道具である。男性主人公敵対者 は、男性主人公 が所有する道具と、敵対者 が所有する道具([ = 成功供犠 ])とを交換したいと願う。
始め兄弟(あにおと)二人(ふたはしら)、相謂(かたら)ひて曰(のたま)はく、「試(こころみ)に易幸(さちがへ)せむ」とのたまひて、・・・
変異N1 シーン番号:2 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス[宝=成功供犠]に関わる事件: 敵対者 に所属する[ = 成功供犠 ]に関わる事件が起こる。
具体的には、[ = 成功供犠 ]は、敵対者 に所有される道具である。男性主人公敵対者 は、男性主人公 が所有する道具と、敵対者 が所有する道具([ = 成功供犠 ])とを交換したいと願う。
時に兄弟(このかみおとと)、互(かたみ)に其の幸を易へむと欲(おもほ)す。
変異N2 シーン番号:2 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
変異N3 シーン番号:2 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス[宝=成功供犠]に関わる事件: 男性主人公 に所属する[ = 成功供犠 ]に関わる事件が起こる。
具体的には、[ = 成功供犠 ]は、男性主人公 に所有される道具である。敵対者 は、その道具を使用したいと願う。
兄は風ふき雨ふる毎(ごと)に、輒(すなは)ち其の利(さち)を失ふ。弟(おとのみこと)風ふき雨ふると雖(いへど)も、その幸タガはず。時に兄(このかみ)、弟に謂(かた)りて曰はく、「吾(われ)試(こころみ)に汝(いまし)と換幸(さちがへ)せむと欲(おも)ふ。」といふ。
変異N4 シーン番号:2 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
B型
シノプシスシーン無
サルゴン誕生 エピソード シーン番号:2 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
モーセ誕生 エピソード シーン番号:2 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
G型
木樵/ヘルメス エピソード シーン番号:2 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
R型
カヴルサン/友人 エピソード シーン番号:2 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス宝(=成功供犠?)に関わる事件: 敵対者 に所属する (= 成功供犠 ?)に関わる事件が起こる。
具体的には、 (= 成功供犠 ?)は、敵対者 に所有される道具である。男性主人公 は、その道具を使用したいと願う。
パサムバンコ Pasambangko のカヴルサン Kavulusan が海に漁せんとして、鉤がないので[その友より借りる。]
縮退型
ヤコブ/エサウ エピソード シーン番号:2 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス宝に関わる事件: 敵対者 に所属する に関わる事件が起こる。
具体的には、 は、敵対者男性主人公 に対して保持する優位な立場である。男性主人公 は、その立場を手に入れたいと願う。
ある日のこと、ヤコブが煮物をしていると、エサウが疲れきって野原から帰ってきた。エサウはヤコブに言った。
「お願いだ、その赤いもの(アドム)、そこの赤いものを食べさせてほしい。わたしは疲れきっているんだ。」彼が名をエドムとも呼ばれたのはこのためである。ヤコブは言った。
「まず、お兄さんの長子の権利を譲ってください。」
「ああ、もう死にそうだ。長子の権利などどうでもよい」とエサウが答えると、ヤコブは言った。
「では、今すぐ誓ってください。」
( 創世記 25:29-33)
参考種
アブラハムの僕/リベカ エピソード シーン番号:2 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
イエス/サマリア人 エピソード シーン番号:2 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
イエス/洗礼者ヨハネ エピソード シーン番号:2 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
マリアへの受胎告知 エピソード シーン番号:2 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
ハガル-イシュマエル群
ハガル/サライ エピソード シーン番号:2 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
イシュマエル/ハガル エピソード シーン番号:2 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無

シーン 2への注

シーン番号:2 [-1], [+1]
  1. 山幸/海幸 エピソードの諸変異例(古事記版日本書紀版)及びカヴルサン/友人エピソードのそれぞれで、[ = 成功供犠 ] は「道具」である。この「道具」は、[ 広大性 = ]に関わるが、こがエピソード上、本質的かどうかは不明である。
    モーセの出エジプト エピソードでも、[ = 成功供犠 ] (エジプト人)は、敵対者 の「道具」として働いていると見なせる。
    山幸/海幸 エピソード古事記版 (変異K)では 男性主人公敵対者 の道具を使用したいと思う。日本書紀版変異N0 及び 変異N1 では、男性主人公敵対者 とが、それぞれ所有する道具を交換することを企図する。これらに対し、変異N3 では、敵対者男性主人公 の道具を使用したいと思う。また、変異N4 は、シーン 2からシーン 7までを欠く。これは、敵対者 である兄が「山幸彦」で、男性主人公 である弟が「海幸彦」であると云う捻ぢれ現象があるためシーンが成立しえないからである。やや断片的である 変異N2 は、シーン 13から始まる。
    • 男性主人公 及び 敵対者 の両者がともに「海幸彦」であったと云う変異例が存在していたかもしれない。
  2. カヴルサン/友人 及び ヤコブ/エサウ エピソードでも、男性主人公敵対者 (= 成功供犠 ?)を、使用/入手を欲する。
  3. このシーンでは、地母神局面水神局面 が複合している。男性主人公 による の入手に関わる 山幸/海幸カヴルサン/友人 及び ヤコブ/エサウ は、地母神局面 を指向する。その一方で、水神的色彩の強い「道具/呪物」そのものは、モーセの出エジプト山幸/海幸、及び カヴルサン/友人 エピソードに登場する。そして、B型 エピソードでは、このシーンは見られないことにも注目。
    この複合を分解するのは難しいかもしれない。
  4. カヴルサン/友人 で、男性主人公 であったようには見えない。それどころか、バナナの木を所有している。(シーン 35 「失敗者の敗北」)

シーン 3: [宝=成功供犠]の転移

包括型
シノプシス[宝=成功供犠]の転移: [ = 成功供犠 ]は、敵対者 の管理下から 男性主人公 の管理下に転移する。
モーセの出エジプト エピソード シーン番号:3 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス[宝=成功供犠]の転移: [ = 成功供犠 ]は、敵対者 その1の管理下から 男性主人公 の管理下に転移する。
具体的には、[ = 成功供犠 ] が、男性主人公 により殺害される。
モーセは辺りを見回し、だれもいないのを確かめると、そのエジプト人を打ち殺して・・・
( 出エジプト記 2:12)
山幸/海幸 エピソード
古事記版 (変異K) シーン番号:3 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス[宝=成功供犠]の転移: [ = 成功供犠 ]は、敵対者 の管理下から 男性主人公 の管理下に転移する。
具体的には、[ = 成功供犠 ] が 男性主人公 により借りられる(敵対者男性主人公 の道具を借りる)。
しかあれども、遂に纔(わず)かに相易(か)へ得つ。
日本書紀版
変異N0 シーン番号:3 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス[宝=成功供犠]の転移: [ = 成功供犠 ]は、敵対者 の管理下から 男性主人公 の管理下に転移する。
具体的には、 [ = 成功供犠 ] が 男性主人公 により借りられる( 敵対者 も、男性主人公 の道具を借りる)。
[始め兄弟(あにおと)二人(ふたはしら)、相謂(かたら)ひて曰(のたま)はく、「試(こころみ)に易幸(さちがへ)せむ」とのたまひて、]遂(つひ)に相易(あひか)ふ。
変異N1 シーン番号:3 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス[宝=成功供犠]の転移: [ = 成功供犠 ]は、敵対者 の管理下から 男性主人公 の管理下に転移する。
具体的には、 [ = 成功供犠 ] が 男性主人公 により借りられる( 敵対者 も、男性主人公 の道具を借りる)。
故(かれ)、兄(このかみ)、弟(おとのみこと)の幸弓(さちゆみ)を持ちて、山に入りて獣覓(ししま)ぐ。・・・弟、兄の幸鉤(さちち)を持ちたまひて、海に入りて魚(いを)を釣る。
変異N2 シーン番号:3 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
変異N3 シーン番号:3 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス[宝=成功供犠]の転移: [ = 成功供犠 ]は、敵対者 の管理下から 男性主人公 の管理下に転移する。
具体的には、 [ = 成功供犠 ] が 男性主人公 により借りられる( 敵対者 も、男性主人公 の道具を借りる)。
弟、許諾(ゆる)して因りて易ふ。時に兄、弟の弓矢(ゆみや)を取りて、山に入りて獣(しし)猟(か)る。弟、兄の釣鉤(ち)を取りて、海に入(のぞ)みて魚(いを)を釣る。
変異N4 シーン番号:3 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
B型
シノプシス誕生: 男性主人公 は、守護者 により出産される。
サルゴン誕生 エピソード シーン番号:3 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス誕生: 男性主人公 は、守護者 により出産される。
私は、偉大な王、アガデ(アッカド)の王サルゴンである。
私の母は、エニトゥという女神官で、私の父を私は知っていなかった。
私の父の兄弟は、山に住んでいた。
私の市(まち)は、エウフラテス川の岸にあるところのアズピラヌである。
エニトゥである私の母は、私を孕み・・・私を産んだ。
モーセ誕生 エピソード シーン番号:3 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス誕生: 男性主人公 は、守護者 その1により出産される。
ファラオは全国民に命じた。「生まれた男の子は、一人残らずナイル川にほうり込め。女の子は皆、生かしておけ。」
( 出エジプト記 1:22)
レビの家の出のある男が同じレビ人の娘をめとった。彼女は身ごもり、男の子を産んだが、・・・
( 出エジプト記 2:1-2)
G型
木樵/ヘルメス エピソード シーン番号:3 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
R型
カヴルサン/友人 エピソード シーン番号:3 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス宝(= 成功供犠 ?)の転移: (= 成功供犠 ?)の管理者は、敵対者 から 男性主人公 に転移する。
具体的には、 (= 成功供犠 ?)が、男性主人公 により借りられる。
(パサムバンコ Pasambangko のカヴルサン Kavulusan が海に漁せんとして、)鉤がないのでその友より借りる。
縮退型
ヤコブ/エサウ エピソード シーン番号:3 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス宝の横領: は、男性主人公 により 敵対者 から横領される。
エサウは誓い、長子の権利をヤコブに譲ってしまった。ヤコブはエサウにパンとレンズ豆の煮物を与えた。エサウは飲み食いしたあげく立ち、去って行った。こうしてエサウは、長子の権利を軽んじた。
( 創世記 25:33-34)
ヤコブは、父のもとへ行き、「わたしのお父さん」と呼びかけた。父が、「ここにいる。わたしの子よ。誰だ、お前は」と尋ねると、ヤコブは言った。「長男のエサウです。お父さんの言われたとおりにしてきました。さあ、どうぞ起きて、座ってわたしの獲物を召し上がり、お父さん自身の祝福をわたしに与えてください。」
( 創世記 27:18-19)
ヤコブが近寄って口づけをすると、イサクは、ヤコブの着物の匂いをかいで、祝福して言った。
「ああ、わたしの子の香りは
主が祝福された野の香りのようだ。
どうか、神が天の露と地の産み出す豊かなもの
穀物とぶどう酒を
お前に与えてくださるように。
多くの民がお前に仕え
多くの国民がお前にひれ伏す。
お前は兄弟たちの主人となり
母の子らもお前にひれ伏す。
お前を呪う者は呪われ。
お前を祝福する者は
祝福されるように。」
( 創世記 27:27-29)
参考種
アブラハムの僕/リベカ エピソード シーン番号:3 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
イエス/サマリア人 エピソード シーン番号:3 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
イエス/洗礼者ヨハネ エピソード シーン番号:3 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
マリアへの受胎告知 エピソード シーン番号:3 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
ハガル-イシュマエル群
ハガル/サライ エピソード シーン番号:3 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス関与と離反: 故地 において、(女性)主人公 は、 敵対者 により登場させられ、ついで 敵対者 から離反する。
アブラムの妻サライは、エジプト人の女奴隷ハガルを連れて来て、夫アブラムの側女とした。アブラムがカナン地方に住んでから、十年後のことであった。アブラムはハガルのところに入り、彼女は身ごもった。
ところが、自分が身ごもったことを知ると、彼女は女主人を軽んじた。
( 創世記 16:3-4)
イシュマエル/ハガル エピソード シーン番号:3 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス誕生と非行: 男性主人公 は、守護者 その1によりに出産され、敵対者 の怒りをかうような行為をする。
エジプトの女ハガルがアブラハムとの間に産んだ子が、イサクをからかっている・・・
( 創世記 21:9)

シーン 3への注

シーン番号:3 [-1], [+1]
  1. 山幸/海幸 (古事記版日本書紀版とも)及び ヤコブ/エサウ は、双方とも 敵対者男性主人公 が所有する何かとが交換されるというモチーフが見られる。特に、山幸/海幸 エピソードの諸変異例には、シーン 3 がもともと存在しない 変異N2 及び 変異N4 を除くと、共通して 敵対者 (道具)と 男性主人公 が所有する道具とが交換されるというモチーフが見られる:
    • 山幸/海幸: たとえば、古事記版では、ホデリ(海幸彦)のサチ(釣り竿と釣り鉤)とホヲリ(山幸彦)のサチ(弓矢)
    • ヤコブ/エサウ: {エサウの長子権+イサクの祝福}とヤコブ(及びリベカ)の料理
    この交換は何を意味するのか?
    敵対者 に 貸与された 男性主人公 の所有物は、エピソードの以後の展開に寄与しない。敵対者 から 男性主人公 に転移することだけが、後につながる。男性主人公 の所有物に意味がないことには意味があるのだろう。
    つまり、山幸/海幸ヤコブ/エサウ で本質的なのは 敵対者 から別れて、男性主人公 のもとに至ることである。このことを B型 に当て嵌めると( つまり、敵対者守護者 に置き換え、男性主人公 に置き換えると )、男性主人公守護者 から分離して、独立した人格として成立することに変換される。つまり、守護者 による 男性主人公 の分娩を意味するはずである。
  2. 一般に 守護者敵対者 (そして実は、女性主人公 も)とは、本来は同一登場人物(地母神)であったと推定される。守護者 は、慈母 の特殊な形態であるはずである。また、敵対者 は、鬼母神 の転形した姿かもしれない。
  3. 何故サルゴンは、自分の父を知らないのか?
    「父を知らない」ことは、サルゴンが処女生誕により生まれたことを意味しうる。さらに言い換えるなら、これは「処女なる母」により結びつけられた「父」と「子」の象徴的同格性に至る。
    サルゴンの父の兄弟達が「山に住んでいた」ことにはどのような意味があるのか? 可能な答えの一つは、サルゴンが「山の(あるいは天の)神の子」であったことだ。
    このことは、植物神 としてのサルゴンに関係するか?
    エピソード外においてであるが、日本神話では、男性主人公敵対者 兄弟の母であるコノハナサクヤの夫ホノニニギは、自らの父性を否定して、兄弟が「国つ神」の子であると主張している。また、ヨセフは、イエスの父と看做されていない。
  4. モーセ誕生 エピソードにおけるファラオの幼児虐殺命令には何らかの背景があるかもしれない。
    夫婦にその初子(男の子?)を神、特に水神、に捧げよとする慣習を持つ古代社会があったのかもしれない。水神に捧げられる場合には、赤子は水中に抛り込まれるか、或いは、水に浮く容器に入れられて送り出された可能性がある。
    サルゴン誕生 エピソード自体、古代祭儀において男性乳幼児が犠牲に供されたと云う背景を有していたかもしれない。
    ただし、モーセ誕生 エピソード及び サルゴン誕生 エピソード双方で、男性主人公 が、棄てられた後に拾われていることに注意。古代人の間に、「真の王者」は(水中に)棄てられた後、そこから無事に取り戻されると云う試練をくぐっていなければならないと云う信念があった可能性が有る。
    創世記 22:1-14 では、アブラハムの独り子であるイサクが犠牲にされかかっている。
    いわゆる「過越」も、想定されるこの慣習の観点から考察されねばならない。
    日本の「ナマハゲ」も、検討することになるかもしれない。
    カナン人は、どうやら水によってではなく火によってではあるが、子供を犠牲に捧げていたらしい。申命記 12:31 及び 18:10 には、こうした慣習について「異教徒」を非難している。しかし、こうした攻撃が、乳幼児犠牲に向けられていたのだろうか、それとも手段として火を用いていたことにのみ向けられていたのだろうか?
    • 日本神話では、イザナギ・イザナミの初子(男性)であるヒルコが葦船に入れて流されていることは、極めて興味深い。
    • 日本における、特定の水域に近づいた恋人同士には、弁天の嫉妬による別離が訪づれると云う「弁天伝説」検討する予定である。また、拾い子は元気に育つ」と云う俗信についても扱うかもしれない。
    • 「橋」の上、又は、たもとで誰かに会うと云う説話パターンにも留意すべきだろう(例: 豊臣秀吉蜂須賀小六)。特に「橋姫」型説話の中には、橋のそばで会った女から赤子を預かる形のものがある。この赤子は、抱かれている間に非常に重くなる。これは、聖クリストファー伝説を連想させる。
  5. B型 エピソードに関連して マタイ 1:18-19 及び 2:16 を参照。
    イエス・キリストの誕生の次第は次のようであった。母マリアはヨセフと婚約していたが、二人が一緒になる前に、聖霊によって身ごもっていることが明らかになった。夫ヨセフは正しい人であったので、マリアのことを表ざたにすることを望まず。ひそかに縁をきろうと決心した。
    ( マタイ 1:18-19)
    さて、ヘロデは占星術の学者たちにだまされたと知って、大いに怒った。そして、人を送り、学者たちに確かめておいた時期に基づいて、ベツレヘムとその周辺一帯にいた二歳以下の男の子を、一人残らず殺させた。
    ( マタイ 2:16)
    • 「男の子」は如何なる方法で殺されたのか?
    • 子供の年齢を数えるのに如何なる方法が用いられたか?
    • ヘロデは、モーセ誕生 でのファラオに似ている。
    • ヨセフは、実質上彼のイエスに対する父性を否定している点に注意。
  6. ヤコブは、エサウから長子権を買い取るのに彼の料理を、そして、イサクを騙すのに母の料理を利用した。( 創世記 27:14-16)
  7. このシーンの ヤコブ/エサウ エピソードは、若干わざとらしく、また、冗長である。それは、単にその後の展開--ヤコブが、父の意向に反してその後を継ぐ--をぎこちなく正当化しているに過ぎないようにみえる。そのために、エサウは愚か者として描かれている。
    長子権の獲得だけでも十分に、その後のヤコブの成功の伏線となる。しかし、これは形式上正当な取引であるため、何故エサウがヤコブを憎むようになったのかと云うことが素直に説明できない。そこで、純然たる詐欺行為であるイサクの祝福の獲得の出番となる。それは、ヤコブがエサウに憎まれて逃げ出さざるをえなくなるために必要だったのだ。
  8. 出エジプト記 2:12 の宗教的意味合いは、モーセがエジプト人としての自分自身を殺害したことにあるのかもしれない。
  9. ハガル/サライ エピソードでは、女性であるハガルが、男性主人公 の役割を演じていることに注意。

シーン 4: [宝=成功供犠]併呑さる

包括型
シノプシス[宝=成功供犠]併呑さる: [ = 成功供犠 ] は、広大性 に呑み込まれる。
モーセの出エジプト エピソード シーン番号:4 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス[宝=成功供犠]併呑さる: [ = 成功供犠 ] は、広大性 に呑み込まれる。具体的に、広大性 は砂である。
モーセは・・・死体を砂に埋めた。
( 出エジプト記 2:12)
山幸/海幸 エピソード
古事記版 (変異K) シーン番号:4 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス[宝=成功供犠]併呑さる: [ = 成功供犠 ] は、[ 広大性 = ]に呑み込まれる。具体的には、[ 広大性 = ]は海である。
しかして、火遠理命、海佐知(うみさち)以(も)ちて魚(な)釣らすに、かつて一つの魚(うを)も得ず、亦其の鉤(ち)海に失ひたまひつ。
日本書紀版
変異N0 シーン番号:4 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス[宝=成功供犠]併呑さる: [ = 成功供犠 ] は、[ 広大性 = ]に呑み込まれる。具体的には、[ 広大性 = ]は海である。
各(おのおの)其の利(さち)を得ず。[兄悔いて、乃(すなは)ち弟(おとと)の弓箭(ゆみや)を還して、己(おの)が釣鉤(ち)を乞ふ。]弟(おとのみこと)、時に既に兄の鉤(ち)を失ひて、訪(とぶらひ)覓(ま)ぐに由(よし)無し。
変異N1 シーン番号:4 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス[宝=成功供犠]併呑さる: [ = 成功供犠 ] は、[ 広大性 = ]に呑み込まれる。具体的には、[ 広大性 = ]は海である。
[故(かれ)、兄(このかみ)、弟(おとのみこと)の幸弓(さちゆみ)を持ちて、山に入りて獣覓(ししま)ぐ。]終(つひ)に獣の乾迹(からと)だも見ず。[弟、兄の幸鉤(さちち)を持ちたまひて、海に入りて魚(いを)を釣る。]殊(こと)に獲(う)る所無し。遂に其の鉤(ち)を失ふ。
変異N2 シーン番号:4 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
変異N3 シーン番号:4 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス[宝=成功供犠]併呑さる: [ = 成功供犠 ] は、[ 広大性 = ]に呑み込まれる。具体的には、[ 広大性 = ]は海である。
倶(とも)に利(さち)を得ず。空手(むなで)して来(きた)り帰る。・・・時に弟、已に鉤(ち)を海(わた)の中に失ひて、訪(とぶら)ひ獲(もと)むるに因無(よしな)し。
変異N4 シーン番号:4 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
B型
シノプシスシーン無
サルゴン誕生 エピソード シーン番号:4 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
モーセ誕生 エピソード シーン番号:4 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
G型
木樵/ヘルメス エピソード シーン番号:4 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス成功供犠併呑さる: 成功供犠 は、男性主人公 に所有される道具である。男性主人公 は、その道具を使用している。成功供犠 に呑み込まれる。具体的には、 は、川である。
ある男が川の側で木を伐っていて、斧を飛ばしてしまった。斧が流されたので、・・・
R型
カヴルサン/友人 エピソード シーン番号:4 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス宝 (=成功供犠?)併呑さる: (= 成功供犠 ?)は、[ 広大性 = ]に呑み込まれる。具体的には、[ 広大性 = ]は、海である。
彼は小舟で海に出で釣りをする。まもなく魚がくいつく。しかし、これを手繰り上げようとするとき、糸が切れて、鉤がなくなってしまう。
縮退型
ヤコブ/エサウ エピソード シーン番号:4 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
参考種
アブラハムの僕/リベカ エピソード シーン番号:4 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
イエス/サマリア人 エピソード シーン番号:4 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
イエス/洗礼者ヨハネ エピソード シーン番号:4 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
マリアへの受胎告知 エピソード シーン番号:4 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
ハガル-イシュマエル群
ハガル/サライ エピソード シーン番号:4 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
イシュマエル/ハガル エピソード シーン番号:4 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無

シーン 4への注

シーン番号:4 [-1], [+1]
  1. 山幸/海幸 エピソード( N2 及び N4 を除く)の 水神局面 及び 木樵/ヘルメスを見るならば、
    男性主人公 が自分の所有する 成功供犠 を水中に落とすことで 水神 に捧げた結果、その返礼として 水神 の持つ 呪物 を、成功供犠 そのものとともに受け取る。
    と要約できる。この観点からするなら、本シーンの 山幸/海幸 のモチーフは、男性主人公水神 への供犠である。モーセの出エジプト についても、モーセがエジプト人の死骸を砂の中に隠したのは、水神 への供犠の変形と考えることができよう。
    先回りすることになるが、失敗者 の場合には、そのモチーフは、
    失敗者 は、自分の所有する 失敗供犠 を水中に落とすことで 水神 に捧げるが、その返礼を受け取ることは出来ない。そして 失敗供犠 は失われる。
    となる。
  2. 山幸/海幸 及び カヴルサン/友人 で、釣り鉤は、それぞれ 男性主人公 の性器を仄めかしているかもしれない。男性器を呑み込む魚と云うモチーフは、オシリス/イシス神話に遡りうる。
    木樵/ヘルメス の「斧」も男性器象徴でありうる。
    シーン 3 ([宝=成功供犠]の転移)では、 は、男性主人公 に対応していた。これに対し、本シーン 4([宝=成功供犠]併呑さる)では、 は、男性主人公 の性的部分である性器又は精液を含意する。
    これに対応して、モーセの出エジプト での「エジプト人」がモーセの男性器を象徴している可能性もある。その場合、「エジプト人」を「砂」中に埋めたことは、地母神信仰上の儀式を連想させる。
  3. カヴルサン/友人 では、カヴルサンが魚を釣るため小舟に乗って海上に出ているが、山幸/海幸 エピソードは、男性主人公 が魚釣りのために船を用いたかどうかについては沈黙している。
    後に、男性主人公 が海岸で 守護者 に遭うことは参考にしてよいだろう。
  4. カヴルサンが乗った船は、地母神 の子宮を象徴しているかもしれないし、していないかもしれない。している場合、この物語は、本来から 短共通シノプシス 型伝説の一部のみをカヴァーしていたのではなく、むしろ、全体から崩れた形である可能性のほうが高いだろう。

シーン 5: 敵対者との接触

包括型
シノプシス敵対者との接触: 男性主人公 は、敵対者 と接触する。
モーセの出エジプト エピソード シーン番号:5 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス敵対者との接触: 男性主人公 は、敵対者 と接触する。正確には、男性主人公 は、敵対者 その2と接触する。
翌日、また出て行くと、今度はヘブライ人どうしが二人でけんかをしていた。モーセが「どうして自分の仲間を殴るのか」と悪い方をたしなめると、
( 出エジプト記 2:13)
山幸/海幸 エピソード
古事記版 (変異K) シーン番号:5 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス敵対者との接触: 男性主人公 は、敵対者 と接触する。具体的には、男性主人公 は、以前遭った 敵対者 と二度目の接触をする。
ここに、其の兄(いろえ)火照命、其の鉤を乞ひて曰く、「山佐知も、己が佐知佐知、海佐知も己が佐知佐知、今は各(おのもおのも)佐知を返さむと謂(おも)ふ。」といふ時、・・・
日本書紀版
変異N0 シーン番号:5 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス敵対者との接触: 男性主人公 は、敵対者 と接触する。具体的には、男性主人公 は、以前遭った 敵対者 と二度目の接触をする。
兄悔いて、乃(すなは)ち弟(おとと)の弓箭(ゆみや)を還して、己(おの)が釣鉤(ち)を乞ふ。
変異N1 シーン番号:5 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス敵対者との接触: 男性主人公 は、敵対者 と接触する。具体的には、男性主人公 は、以前遭った 敵対者 と二度目の接触をする。
是の時に、兄、弟の弓矢を還して、己(おの)が鉤を責(はた)る。
変異N2 シーン番号:5 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
変異N3 シーン番号:5 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス敵対者との接触: 男性主人公 は、敵対者 と接触する。具体的には、男性主人公 は、以前遭った 敵対者 と二度目の接触をする。
兄則(すなは)ち弟の弓矢を還して、己(おの)が釣鉤(ち)を責(はた)る。
変異N4 シーン番号:5 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
B型
シノプシス秘密の出産: 守護者 は、男性主人公 の出産を秘密にする。
サルゴン誕生 エピソード シーン番号:5 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス秘密の出産: 守護者 は、男性主人公 の出産を秘密にする。
(エニトゥである私の母は、私を孕み、)ひそかに私を産んだ。
モーセ誕生 エピソード シーン番号:5 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス秘密の出産: 守護者 その1は、男性主人公 の出産を秘密にする。
(彼女は身ごもり、男の子を産んだが、)その子がかわいかったのを見て、三か月の間隠しておいた。
( 出エジプト記 2:2)
G型
木樵/ヘルメス エピソード シーン番号:5 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
R型
カヴルサン/友人 エピソード シーン番号:5 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス接触: 男性主人公 は、敵対者 と接触する。具体的には、男性主人公 は、以前遭った 敵対者 と二度目の接触をする。
カヴルサンは、心をいためて家に帰り、その友に・・・
縮退型
ヤコブ/エサウ エピソード シーン番号:5 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
参考種
アブラハムの僕/リベカ エピソード シーン番号:5 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
イエス/サマリア人 エピソード シーン番号:5 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
イエス/洗礼者ヨハネ エピソード シーン番号:5 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
マリアへの受胎告知 エピソード シーン番号:5 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
ハガル-イシュマエル群
ハガル/サライ エピソード シーン番号:5 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
イシュマエル/ハガル エピソード シーン番号:5 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無

シーン 5への注

シーン番号:5 [-1], [+1]
  1. モーセの出エジプト: 何故、モーセは翌日現場に戻ってきたか?
    その際に遭った「悪い方のヘブライ人」は、第二の 敵対者 として、第一の 敵対者 (ファラオ その1)と同一視すべきである。
    従って、このシーンにおける基本問題は、「何故、男性主人公敵対者 と再接触するのか (すぐに逃亡しなかったか)?」と云うことになろう。
  2. ストーリー展開上、このシーンには、B型 エピソード(サルゴン誕生 及び モーセ誕生)と包括型 及び R型 のエピソード(モーセの出エジプト山幸/海幸 及び カヴルサン/友人)との間に、興味深いモチーフの対照が見られる。
    • B型: 守護者男性主人公 の誕生を秘匿する。
    • 包括型 及び R型: を失った 男性主人公敵対者 と再接触する。
    B型 エピソードにおいて、赤子の誕生を秘密にするのは、一旦分娩された(母から分離された)赤子である 男性主人公 が再び 守護者 の庇護のもとに引き戻されることを意味する。他方、包括型 ( モーセの出エジプト 及び 山幸/海幸 ) 及び R型 (カヴルサン/友人 )では、男性主人公 は、敵対者 から離れている(だからこそ、 の転移が起こりえた)。これらのエピソードでは、あたかも の代わりのように、男性主人公敵対者 もとに戻る。
    ここで、モーセの出エジプト において何故モーセは翌日現場に戻ってきたかと云う疑問に対する答えが得られる。つまり、男性主人公 の流離は、守護者/敵対者 のもとから始まらねばならないからだ。特に、モーセの出エジプト では、モーセは、敵対者 自身に「送り出される」べく、殺人後すぐには逃亡しなかったのだ。
    ただし、これが、山幸/海幸 エピソードにおける「道具の交換」と関係するかどうかは、今の所断定できない。「道具の交換」は、山幸/海幸 エピソードに本質的であるかどうかも不明である。
  3. モーセ誕生 において、赤子モーセは、母親に3ヶ月間隠された。ここで、我々は美少年の一時的失踪が、植物神の死と再生の神話である アドニス/(アフロディテ+ペルセポネ) エピソードの重要な特徴であることを想起すべきだろう。アドニスがアフロディテとペルセポネとの間を行ったり来たりすると云うことに留意すること。
  4. モーセの出エジプト では、男性主人公敵対者 その2に接近するが、山幸/海幸 エピソードでは(古事記版 又は 日本書紀版 に関わらず) 敵対者男性主人公 に接近してくる。

シーン 6: 敵対者の認識

包括型
シノプシス敵対者の認識: 敵対者 が、[ = 成功供犠 ]の失踪を知る。
モーセの出エジプト エピソード シーン番号:6 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス敵対者の認識: 敵対者 が、[ = 成功供犠 ]の失踪を知る。
具体的には、敵対者 その2、ついで、敵対者 その1が、[ = 成功供犠 ]の失踪を知る。
「誰がお前を我々の監督や裁判官にしたのか。お前はあのエジプト人を殺したように、この私を殺すつもりか」と言い返したので、モーセは恐れ、さてはあの事が知れたのかと思った。ファラオはこの事を聞き、・・・
( 出エジプト記 2:14-15)
山幸/海幸 エピソード
古事記版 (変異K) シーン番号:6 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス敵対者の認識: 敵対者 が、[ = 成功供犠 ]の失踪を知る。
其の弟(いろど)火遠理命答へて曰(の)らさく、「汝(いまし)の鉤(ち)は、魚(な)釣りしに一つの魚(うを)も得ずて、遂に海に失ひつ。」とのらす。
日本書紀版
変異N0 シーン番号:6 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
変異N1 シーン番号:6 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
変異N2 シーン番号:6 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
変異N3 シーン番号:6 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
変異N4 シーン番号:6 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
B型
シノプシス秘匿の限界: 守護者男性主人公 を隠しきれなくなる(モーセ誕生)。
サルゴン誕生 エピソード シーン番号:6 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
モーセ誕生 エピソード シーン番号:6 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス秘匿の限界: 守護者 その1は 男性主人公 を隠しきれなくなる。
しかし、もはや隠しきれなくなったので、・・・
( 出エジプト記 2:3)
G型
木樵/ヘルメス エピソード シーン番号:6 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
R型
カヴルサン/友人 エピソード シーン番号:6 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス敵対者の認識: 敵対者 が、 (= 成功供犠 ?)の失踪を知る。
カヴルサンは、・・・その友にできごとを物語る。
縮退型
ヤコブ/エサウ エピソード シーン番号:6 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス敵対者の認識: 敵対者 が、男性主人公 による の横領を知る。
イサクは言った。「お前の弟が来て策略を使い、おまえの祝福を奪ってしまった。」エサウは叫んだ。
「彼をヤコブとは、よくも名付けたものだ。これで二度も、わたしの足を引っ張り(アーカブ)欺いた。あのときはわたしの長子の権利を奪い、今度はわたしの祝福を奪ってしまった。」
( 創世記 27:35-36)
参考種
アブラハムの僕/リベカ エピソード シーン番号:6 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
イエス/サマリア人 エピソード シーン番号:6 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス敵対者の認識: 敵対者 が、男性主人公 の非行を知る。
さて、イエスがヨハネよりも多くの弟子をつくり、洗礼を授けておられるということが、ファリサイ派の人々の耳に入った。
( ヨハネ 4:1)
イエス/洗礼者ヨハネ エピソード シーン番号:6 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
マリアへの受胎告知 エピソード シーン番号:6 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
ハガル-イシュマエル群
ハガル/サライ エピソード シーン番号:6 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
イシュマエル/ハガル エピソード シーン番号:6 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス敵対者の認識: 敵対者 が、男性主人公 の非行を知る。
サラは、エジプトの女ハガルがアブラハムとの間に産んだ子が、イサクをからかっているのを見て、・・・
( 創世記 21:9)

シーン 6への注

シーン番号:6 [-1], [+1]
  1. モーセの出エジプト で、モーセがによるエジプト人殺しの目撃者がいなかったにも関わらず、何故、モーセの犯罪は露見したのか?
    同様に、モーセ誕生 で、何故 守護者男性主人公 を隠しきれなくなったのか?
    ここでも、こうした謎の根底にあるのは、アドニス/(アフロディテ+ペルセポネ) 神話と思われる。秘密とその曝露とは、時間の経過(季節の移り変わり、又は、死と再生の繰り返し)を概念化したものなのだろう。
  2. モーセの出エジプト:「悪い方のエジプト人」は、何故モーセが監督や裁判官にされていないことを指摘したのか? 監督及び/又は裁判官を任命する慣習がヘブライ人にはあったのか?
  3. 日本書紀版山幸/海幸 エピソードでは、シーン 6(敵対者の認識)は、表立っては見られないが、文脈中に含意されている。

シーン 7: 敵対者の虐待

包括型
シノプシス敵対者の虐待: [ = 成功供犠 ] の失踪が原因となって、敵対者 は、男性主人公 を虐待する。
モーセの出エジプト エピソード シーン番号:7 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス敵対者の虐待: [ = 成功供犠 ] の失踪が原因となって、敵対者 その1は、男性主人公 を虐待する。
ファラオは・・・モーセを殺そうと尋ね求めたが、
( 出エジプト記 2:15)
山幸/海幸 エピソード
古事記版 (変異K) シーン番号:7 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス敵対者の虐待: [ = 成功供犠 ] の失踪が原因となって、敵対者 は、男性主人公 を虐待する。
しかあれども、其の兄(いろえ)強(あなが)ちに乞ひ徴(はた)る。
故(かれ)、其の弟(いろど)御佩(は)かせる十拳劒(とつかつるぎ)を破り、五百鉤(いほち)を作り、償(つくの)ひたまへども取らず。亦、一千鉤(ちち)を作り、償ひたまへども受けずて、「猶其の正本(もと)の鉤得む。」と云ひき。
日本書紀版
変異N0 シーン番号:7 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス敵対者の虐待: [ = 成功供犠 ] の失踪が原因となって、敵対者 は、男性主人公 を虐待する。
故(かれ)、別(こと)に新(にひ)しき鉤を作りて兄に与ふ。兄受け肯(か)へにして、その故(もと)の鉤を責(はた)る。弟(おとのみこと)患(うれ)へて、即ち其の横刀(たち)を以て、新しき鉤を鍛作(かた)して、一箕(ひとみ)に盛りて与ふ。兄忿(いか)りて曰はく、「我が故(もと)の鉤に非ずは、多(さは)にありと雖(いふと)も取らじ」といひて、益(ますます)復(また)急(せ)め責(はた)る。
故(かれ)、彦火火出見尊、憂へ苦(くるし)びますこと甚深(ふか)し。
変異N1 シーン番号:7 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス敵対者の虐待: [ = 成功供犠 ] の失踪が原因となって、敵対者 は、男性主人公 を虐待する。
弟(おとのみこ)患(うれ)へて、乃(すなは)ち所帯(はか)せる横刀(たち)を以て鉤に作りて、一箕(ひとみ)に盛りて兄(このかみ)に与ふ。兄受けずして曰く、「猶(なほ)吾(あ)が幸鉤(さちち)欲(ほ)し」といふ。是に、彦火火出見尊、求むる所を知らず。
変異N2 シーン番号:7 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
変異N3 シーン番号:7 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス敵対者の虐待: [ = 成功供犠 ] の失踪が原因となって、敵対者 は、男性主人公 を虐待する。
故、別(こと)に新(にひ)しき鉤(ち)数千(ちぢ)を作りて与へたまふ。兄怒りて受けず。故(もと)の鉤を急責(せめはた)る、云云(しかしかいふ)。
変異N4 シーン番号:7 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
B型
シノプシスシーン無
サルゴン誕生 エピソード シーン番号:7 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
モーセ誕生 エピソード シーン番号:7 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
G型
木樵/ヘルメス エピソード シーン番号:7 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
R型
カヴルサン/友人 エピソード シーン番号:7 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス敵対者の虐待: (= 成功供犠 ?)の失踪が原因となって、敵対者男性主人公 を虐待する。
友は「わたしの鉤は、もとどおり返してくれねば困る。ほかの鉤を十くれても受けとらぬぞ」といって承知しない。
縮退型
ヤコブ/エサウ エピソード シーン番号:7 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス敵対者の虐待: の横領が原因となって、敵対者男性主人公 を虐待する。
エサウは、父がヤコブを祝福したことを根に持って、ヤコブを憎むようになった。そして、心の中で言った。「父の喪の日も遠くない。そのときがきたら、必ず弟のヤコブを殺してやる。」
( 創世記 27:41)
参考種
アブラハムの僕/リベカ エピソード シーン番号:7 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
イエス/サマリア人 エピソード シーン番号:7 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
イエス/洗礼者ヨハネ エピソード シーン番号:7 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
マリアへの受胎告知 エピソード シーン番号:7 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
ハガル-イシュマエル群
ハガル/サライ エピソード シーン番号:7 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス敵対者の虐待: (女性)主人公 の離反が原因となって、敵対者(女性)主人公 を虐待する。
サライはアブラムに言った。
「わたしが不当な目に遭ったのは、あなたのせいです。女奴隷をあなたのふところに与えたのはわたしなのに、彼女は自分が身ごもったのを知ると、わたしを軽んじるようになりました。主がわたしとあなたとの間を裁かれまように。」
( 創世記 16:4-5)
アブラムはサライに答えた。 「あなたの女奴隷はあなたのものだ。好きなようにするがいい。」
サライは彼女につらく当たったので、・・・
( 創世記 16:6)
イシュマエル/ハガル エピソード シーン番号:7 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス敵対者の虐待: 男性主人公 の非行が原因となって、敵対者男性主人公 を虐待する。
アブラハムに訴えた。 「あの女とあの子を追い出してください。あの女の息子は、わたしの子イサクと同じ後継ぎとなるべきではありません。」
( 創世記 21:10)
このことはアブラハムを非常に苦しめた。その子も自分の子であったからである。神はアブラハムに言われた。
「あの子供とあの女のことで苦しまなくてもよい。すべてサラが言うことに聞き従いなさい。あなたの子孫はイサクによって伝えられる。しかし、あの女の息子も一つの国民の父とする。彼もあなたの子であるからだ。」
( 創世記 21:11-13)

シーン 7への注

シーン番号:7 [-1], [+1]
  1. このシーンで初めて本質的な意味が出てくることだが、敵対者男性主人公 よりも家族内・社会内での地位が高い。
  2. ヤコブ/エサウ で、何故、エサウは父の喪の日まで復讐を延期したのか? 何故、エサウは、カインがそうしたように、弟をすぐに殺さなかったのか? 「イサクの祝福への遠慮」と云う理由は、的を外しているように見える。おそらく、正しい理由は、敵対者 の役割が、守護者 のそれと同様、男性主人公故地 から 異郷 (つまり、次の成長段階)へと送り出すことにあるからだ。
    エサウの言葉( 創世記 27:41)に反して、イサクは長生きし、ヤコブが帰ってきた後に亡くなった。( 創世記 35:28-29).
  3. 創世記 21:11-13の記載に関らず、イシュマエル/ハガル エピソードで後に実際に イシュマエル( 男性主人公 )とサラ( 守護者 )を放逐するのは、アブラハムである( 創世記 21:14)。このことは、敵対者 としてのアブラハムの存在が、敵対者 としてのハガルにより霞んでいるように見えるとは言え、彼の方が彼女よりも重要であることを暗示する。
  4. モーセの出エジプト では、モーセは、自分の行為の重大性に気づいていた。だから、後のシーンで彼は逃げ出したのだ。これに対し、山幸/海幸 では、敵対者 にとり失われた鉤はかけがえのないものであったことに 男性主人公 が気づいていなかったようだ。むしろ、男性主人公 は、失われた釣り鉤は、十分な数の新しい鉤でもって弁償されるべきである、或いは、弁償可能であると考えていた。
    山幸/海幸 で、男性主人公 の釣り鉤は骨製であったが、彼が 敵対者 に提供した鉤は金属製であったように見える。
    N0 及び N1 で、鉤の数の多さを形容するのに、「箕」が用いられていることに注意。これは、個々の鉤の価値を貶める効果がある。
    山幸/海幸 に関する限りでは、男性主人公 の行為は、現代の人間にとっては刑事犯罪となりえない。我々にとって、借りた釣り鉤を紛失することは、ちょっとした災難と云うのでなければ、民事事件を形成するに過ぎず、弁済可能である。しかし、敵対者 にとって、釣り鉤は「サチ」 、つまり、豊漁と良き漁師としての彼の社会的地位との象徴であった。その紛失は、彼の成人男性性又はアイデンティティの喪失を意味した。従って、敵対者 の怒りは全く正当である。
    アイデンティティにしろ、験の良い呪物にしろ、一旦失われた自己象徴は、再発見されたときには、恐ろしい怪物になっている可能性が高い。それが齎しうる災厄から「自己」を守るには、それを管理するか、或いは場合に応じて破壊しなければならなかった。
    後における 男性主人公 の呪いは、敵対者 が先ず以て避けねばならないことだった。
    こうした過度に演劇的な内容は、演出として「外部」から持ち込まれた可能性がある。
  5. 男性主人公 が「謝罪」を試みるのは、山幸/海幸 エピソード(古事記版日本書紀版 とも)の特徴であり、モーセの出エジプト には見られない。男性主人公 の謝罪を 敵対者 が拒絶する回数は、変異K 及び 変異N0 では2度、変異N1 及び 変異N3 では1度である。
  6. 山幸/海幸 エピソード 古事記版 では、男性主人公 は「五百鉤(いほち)」を作るために一度目の謝罪で剣を壊す。二度目では、何から「一千鉤」を作ったのか言及されていない。変異N0 では、一度目の「新しき鉤」が何によったのかが言及されておらず、二度目については剣から作ったとされている。変異N1 では、剣から作ったとされている一方、変異N3 では、何から作ったのかが明解でない。剣から鉤を作ることに何らかの意味があるのか?

シーン 8: 困惑

包括型
シノプシス[広大性=水]の辺で困惑: 男性主人公 は、[ 広大性 = ]の辺で困惑している。( 山幸/海幸 )
モーセの出エジプト エピソード シーン番号:8 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
山幸/海幸 エピソード
古事記版 (変異K) シーン番号:8 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス[広大性=水]の辺で困惑: 男性主人公 は、[ 広大性 = ]の辺で困惑している。
ここに、其の弟(いろど)、泣き患(うれ)へて海辺(うみへ)に居ます時、・・・
日本書紀版
変異N0 シーン番号:8 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス[広大性=水]の辺で困惑: 男性主人公 は、[ 広大性 = ]の辺で困惑している。
行きつつ海畔(うみへた)に吟(さまよ)ひたまふ。
変異N1 シーン番号:8 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス[広大性=水]の辺で困惑: 男性主人公 は、[ 広大性 = ]の辺で困惑している。
但(ただ)憂(うれ)へ吟(さまよ)ふことのみ有(ま)す。乃ち行(ゆき)きつつ海辺(うみへた)に至りて、彷徨(ただず)み嗟嘆(なげ)きます。
変異N2 シーン番号:8 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
変異N3 シーン番号:8 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス[広大性=水]の辺で困惑: 男性主人公 は、[ 広大性 = ]の辺で困惑している。
是の時に、弟(おとのみこと)、海辺(うみへた)に往きて、低(うなだ)れ徊(めぐ)りて愁へ吟(さまよ)ふ。
変異N4 シーン番号:8 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス[広大性=水]の辺で困惑: 男性主人公 は、[ 広大性 = ]の辺で困惑している。具体的には、[ 広大性 = ]は海である。
弟(おとのみこと)、愁へ吟(さまよ)ひて海辺(うみへた)に在(ま)す。
B型
シノプシスシーン無
サルゴン誕生 エピソード シーン番号:8 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
モーセ誕生 エピソード シーン番号:8 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
G型
木樵/ヘルメス エピソード シーン番号:8 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス(水辺で困惑): (男性主人公 は、 辺で困惑する。)
(斧が流されたので、)土手に坐って嘆いていると、・・・
R型
カヴルサン/友人 エピソード シーン番号:8 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
縮退型
ヤコブ/エサウ エピソード シーン番号:8 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
参考種
アブラハムの僕/リベカ エピソード シーン番号:8 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
イエス/サマリア人 エピソード シーン番号:8 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
イエス/洗礼者ヨハネ エピソード シーン番号:8 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
マリアへの受胎告知 エピソード シーン番号:8 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
ハガル-イシュマエル群
ハガル/サライ エピソード シーン番号:8 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
イシュマエル/ハガル エピソード シーン番号:8 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無

シーン 8への注

シーン番号:8 [-1], [+1]
  1. 山幸/海幸 エピソードで、男性主人公 は失われた[ = 成功供犠 ]が原因で二度苦しむ。一度目は、このシーン 8(困惑」)においてであり、二度目はシーン 23(「苦悩」)においてである。「困惑」は、男性主人公故地 から 異郷 へと流浪する切掛けとなり、「苦悩」は 男性主人公異郷 から 故地 に戻る切掛けとなった。
  2. 木樵/ヘルメス エピソードでは、男性主人公 の「困惑」(シーン 8)は「苦悩」(シーン 23)と解釈することもできる。

シーン 9: 守護者との接触

包括型
シノプシス守護者との接触: 男性主人公守護者 と接触する。( 山幸/海幸 )
モーセの出エジプト エピソード シーン番号:9 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
山幸/海幸 エピソード
古事記版 (変異K) シーン番号:9 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス守護者との接触: 男性主人公守護者 と接触する。
塩椎神(しほつちのかみ)来て、問ひて曰く、「何(なに)そ、虚空津日高(そらつひこ)の泣き患(うれ)へたまふ所由(ゆゑ)は。」といふ。
日本書紀版
変異N0 シーン番号:9 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス守護者との接触: 男性主人公守護者 と接触する。
時に塩土老翁(しほつつのをぢ)に逢ふ。老翁(をぢ)問ひて曰(まう)さく、「何の故(ゆゑ)ぞ此(ここ)に在(ま)しまして愁へたまへるや」とまうす。
変異N1 シーン番号:9 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス守護者との接触: 男性主人公守護者 と接触する。
時に一(ひとり)の長老(おきな)有りて、忽然(たちまち)にして至る。自ら塩土老翁(しほつつのをぢ)と称(なの)る。乃ち問ひて曰さく、「君(きみ)は是(これ)誰者(たれ)ぞ。何の故か此処(ここ)に患(うれ)へます」とまうす。
変異N2 シーン番号:9 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
変異N3 シーン番号:9 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス守護者との接触: 男性主人公守護者 と接触する。
時に川鳫(かはかり)有りて、羂(わな)に嬰(かか)りて困厄(たしな)む。即ち憐心(あはれとおもふみこころ)を起して、解きて放(はなち)ち去(や)る。須臾(しばらく)ありて、塩土老翁(しほつつのをぢ)有りて來(まうき)て、
変異N4 シーン番号:9 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス守護者との接触: 男性主人公守護者 その1と接触する。
時に塩筒老翁(しほつつのをぢ)に遇ふ。老翁(をぢ)問ひて曰はく、「何(なに)の故(ゆゑ)ぞ、若此(かく)愁へます」といふ。
B型
シノプシスシーン無
サルゴン誕生 エピソード シーン番号:9 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
モーセ誕生 エピソード シーン番号:9 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
G型
木樵/ヘルメス エピソード シーン番号:9 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
R型
カヴルサン/友人 エピソード シーン番号:9 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
縮退型
ヤコブ/エサウ エピソード シーン番号:9 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
参考種
アブラハムの僕/リベカ エピソード シーン番号:9 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス守護者との接触: 男性主人公守護者 と接触する。
アブラハムは家の全財産を任せている年寄りの僕に言った。
( 創世記 24:2)
イエス/サマリア人 エピソード シーン番号:9 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
イエス/洗礼者ヨハネ エピソード シーン番号:9 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
マリアへの受胎告知 エピソード シーン番号:9 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
ハガル-イシュマエル群
ハガル/サライ エピソード シーン番号:9 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
イシュマエル/ハガル エピソード シーン番号:9 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無

シーン 9への注

シーン番号:9 [-1], [+1]
  1. 本シーンを形成する 山幸/海幸 及び アブラハムの僕/リベカ の2エピソードを例外として、守護者 が登場するエピソードでは、その役を演ずるのは、男性主人公 の「母」である。
    包括型 に「母」が登場しないことは注目して良い。これには、次のような説明が可能である。
    守護者 の基本的役割は、男性主人公 を産むこと( 守護者 が女性の場合)と、故地 から 異郷 へ送り出すことである。敵対者 の基本的役割は、男性主人公故地 から追い出すことである。しかし、男性主人公 の成人を以って始まる 包括型 エピソードでは、(女性) 守護者男性主人公 出産と云う機能を発揮することができないので、敵対者 と「 男性主人公 の送り出し」と云う機能で競合することになる。もし、敵対者 のキャラクターが「濃い」場合には、守護者 の影は薄くなるか、或いは、(特に母としては)存在しえなくなる。
  2. 山幸/海幸 (K, N0, N1, N3, N4)における疑問がある: 守護者 はどこから現れたのか? しかし、これは、愚問である。守護者 としての母が登場しない以上、その代理人が必要だから彼は現れたので、「どこから」は、問題ではない。
    しかし、この一般論とは別に、守護者 が、神格 (水神)の「前駆者」としての役割を果たしていることに注意すべきである。このため、このシーンには 男性主人公神格 との接触(シーン 24))のような雰囲気が出ている。
  3. 山幸/海幸変異K で、シホツチは、ホヲリのことを、文脈とは無関係にみえる「ソラツヒコ」と云う呼び方をしていることに注意。変異K では、守護者男性主人公正体 を知っているのに対し、変異N1 では、知らない。
  4. 古事記版 でも、日本書紀版 でも、山幸/海幸 エピソードでは、男性主人公守護者 とが出会うのは、海岸であることに注意。これは、女性主人公水源 の傍にいた 男性主人公 に近づいてくることに対応する。また、女性主人公男性主人公 の息子を海辺で出産することにも類似の要素が含まれているかもしれない。
  5. 山幸/海幸-変異N3 では、男性主人公守護者 と出会う前に、「川鴈」を助けている。これは勿論「昔話」の[浦島太郎]を連想させる。ただし、[万葉集]、[日本書紀]や[丹後風土記](逸文)に見られる[浦島子]伝説には、この動物を助ける情景はないことに注意。

シーン 10: 守護者の認識

包括型
シノプシス守護者の認識: 守護者 は、男性主人公 の困惑を認識する。(山幸/海幸)
モーセの出エジプト エピソード シーン番号:10 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
山幸/海幸 エピソード
古事記版 (変異K) シーン番号:10 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス守護者の認識: 守護者 は、男性主人公 の困惑を認識する。
答へて言(の)らさく、「我、兄(いろえ)と鉤を易へて、その鉤を失ひつ。ここに其の鉤を乞ふ故に、多(あまた)の鉤を償(つくの)へども、受けずて、『猶、其の本(もと)の鉤得む』と云ふ。故(かれ)、泣き患之(うれ)ふ。」とのらす。
日本書紀版
変異N0 シーン番号:10 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス守護者の認識: 守護者 は、男性主人公 の困惑を認識する。
対(こた)ふるに事(こと)の本末(あるかたち)を以てす。
変異N1 シーン番号:10 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス守護者の認識: 守護者 は、男性主人公 の困惑を認識する。
彦火火出見尊、具(つぶさ)に其の事(あるかたち)を言(のたま)ふ。
変異N2 シーン番号:10 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
変異N3 シーン番号:10 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
変異N4 シーン番号:10 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス守護者の認識: 守護者 その1は、男性主人公 の困惑を認識する。
火折尊、対(こた)へて曰(のたま)はく、云云(しかしかいふ)。
B型
シノプシスシーン無
サルゴン誕生 エピソード シーン番号:10 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
モーセ誕生 エピソード シーン番号:10 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
G型
木樵/ヘルメス エピソード シーン番号:10 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
R型
カヴルサン/友人 エピソード シーン番号:10 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
縮退型
ヤコブ/エサウ エピソード シーン番号:10 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス守護者の認識: 守護者 は、敵対者 その1の 男性主人公 殺害の意図を認識する。
ところが、上の息子エサウのこの言葉が母リベカの耳に入った。
( 創世記 27:42)
参考種
アブラハムの僕/リベカ エピソード シーン番号:10 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
イエス/サマリア人 エピソード シーン番号:10 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス男性主人公の認識: 敵対者男性主人公 を虐待しそうであると、男性主人公 が認識する。
(さて、イエスがヨハネよりも多くの弟子をつくり、洗礼を授けておられるということが、ファリサイ派の人々の耳に入った。)イエスはそれを知ると、
( ヨハネ 4:1)
イエス/洗礼者ヨハネ エピソード シーン番号:10 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
マリアへの受胎告知 エピソード シーン番号:10 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
ハガル-イシュマエル群
ハガル/サライ エピソード シーン番号:10 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
イシュマエル/ハガル エピソード シーン番号:10 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無

シーン 10への注

シーン番号:10 [-1], [+1]
  1. 山幸/海幸
    • 古事記版 にあっても、日本書紀版 にあっても、男性主人公 の困惑の内容を、男性主人公 自身が直接 守護者 に伝えている。
    • 古事記版 での「鉤を易へて」は、文脈と異なってホデリの鉤とホヲリの鉤との交換が行なわれたように受け取られる。
  2. ヤコブ/エサウ
    エサウは「心の中で言った」だけなのに、何故、リベカはエサウの企てを知りえたのか?
    これも、守護者敵対者 が、同一祖型(扶育する地母神)の異なった様態であると考えれば説明がつく。いうなれば、リベカとエサウとは協動して、ヤコブを流離の旅へと送り出したのだ。

シーン 11: 守護者の助言

包括型
シノプシス守護者の助言: 守護者 は、男性主人公 に逃亡するよう助言する。( 山幸/海幸 )
モーセの出エジプト エピソード シーン番号:11 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
山幸/海幸 エピソード
古事記版 (変異K) シーン番号:11 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス守護者の助言: 守護者 は、男性主人公 に逃亡するよう助言する。
具体的には、守護者 が、男性主人公 に逃亡先と、そこで何をすべきかを教え、そしてそこで何が起こるかを予言する。ただし、その予言は若干間違っている。
しかして、塩椎神云はく、「我(あれ)、汝命(いましみこと)の為に、善き議(はかり)なさむ。」といひて、即ち无間勝間(まなしかつま)の小船(をぶね)造り、其の船に載せて教へて曰く、「我(あれ)、其の船を押し流さば、差暫(ややしま)し往(いでま)せ。味(うま)し御路(みち)有らむ。乃(すなは)ち其の道に乗りて往(いでま)さば、魚鱗(いろこ)の如く所造(つく)れる宮室(みや)、其(それ)綿津見神(わたつみのかみ)の宮そ。其の神の御門(みかど)に到りなば、傍(かたはら)の井上(ゐのへ)に、湯津香木(ゆつかつら)有らむ。故(かれ)、其の木の上(うへ)に坐(いま)さば、其の海神(わたのかみ)の女(むすめ)相議(はか)らむそ。」といふ。
日本書紀版
変異N0 シーン番号:11 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス守護者の助言: 守護者 は、男性主人公 に逃亡するよう助言する。
老翁の曰(まう)さく、「復(また)な憂へましそ。吾(われ)当(まさ)に汝(いましみこと)の為に計(たばか)らむ」とまうして、乃ち無目籠(まなしかたま)を作りて、・・・
変異N1 シーン番号:11 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
変異N2 シーン番号:11 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
変異N3 シーン番号:11 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス守護者の助成: 守護者 は、男性主人公 の逃亡に助成する。
乃(すなは)ち無目堅間(まなしかたま)の小舟(をぶね)を作りて、・・・
変異N4 シーン番号:11 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス守護者の助言: 守護者 は、男性主人公 に逃亡するよう助言する。
具体的には、守護者 その1が、男性主人公守護者 その2を紹介する。そして、守護者 その2が、男性主人公 に逃亡先と、そこで何をすべきかを教える。
老翁(をぢ)の曰(まう)さく、「復(また)な憂へましそ。吾、計(たばか)らむ」とまうす。計りて曰(まう)さく、「海神(わたつみ)の乗る駿馬(すぐれたるうま)は、八尋鰐(やひろわに)なり。是(これ)其の鰭背(はた)を堅(た)てて、橘(たちばな)の小戸(をど)に在り。吾当(まさ)に彼者(かれ)と共に謀(はか)らむ」とまうして、乃ち火折尊を将(ゐ)て、共に往きて見る。
是の時に、鰐魚(わに)策(はか)りて曰さく、「吾(あれ)は八日(やか)の以後(のち)に、方(まさ)に天孫(あめみま)を海宮(わたつみのみや)に致(いた)しまつりてむ。唯(ただ)し我が王(きみ)の駿馬(すぐれたるうま)は、一尋鰐魚(ひとひろわに)なり。是(これ)当(まさ)に一日(ひとひ)の内(うち)に、必ず致し奉りてむ。故、今(いま)我(やつかれ)帰りて、彼(かれ)をして出(い)で来(こ)しむ。彼に乗りて海(わた)に入(い)りたまへ。海に入りたまふ時に、海の中に自(おの)づからに可怜小汀(うましをはま)有らむ。其の汀(はま)の隨(まにま)に進(い)でまさば、必ず我が王(きみ)の宮(みや)に至りまさむ。宮の門(かど)の井(ゐ)の上(ほとり)に、当(まさ)に湯津杜樹(ゆつかつらのき)有るべし。其の樹の上(うへ)に就(ゆ)きて居(ま)しませ」とまうす。言(まう)すこと訖(をは)りて即ち海(わたなか)に入りて去(ゆ)きぬ。
B型
シノプシスシーン無
サルゴン誕生 エピソード シーン番号:11 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
モーセ誕生 エピソード シーン番号:11 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
G型
木樵/ヘルメス エピソード シーン番号:11 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
R型
カヴルサン/友人 エピソード シーン番号:11 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
縮退型
ヤコブ/エサウ エピソード シーン番号:11 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス守護者の助言: 守護者 その1は、男性主人公 に逃亡するよう助言する。
具体的には、守護者 その1は、男性主人公 に逃亡先を教え、そしてそこで何が起こるかを予言する。ただし、その予言は若干間違っている。
彼女は人をやって、下の息子のヤコブを呼び寄せて言った。「大変です。エサウ兄さんがお前を殺して恨みを晴らそうとしています。わたしの子よ。今、わたしの言うことをよく聞き、急いでハランに、わたしの兄ラバンの所へ逃げて行きなさい。そして、お兄さんの怒りが治まるまで、しばらく伯父さんの所に置いてもらいなさい。そのうちに、お兄さんの憤りも治まり、お前のしたことを忘れてくれるだろうから、そのときには人をやってお前を呼び戻します。一日のうちにお前たち二人を失うことなど、どうしてできましょう。」
( 創世記 27:42-45)
参考種
アブラハムの僕/リベカ エピソード シーン番号:11 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス守護者の命令: 守護者 は、男性主人公 に、目的地を教え、守護者 の息子の花嫁を探す旅に出るよう命令する。
(アブラハムは家の全財産を任せている年寄りの僕に言った。)
「手をわたしの腿の間に入れ、天の神、地の神である主にかけて誓いなさい。あなたはわたしの息子の嫁をわたしが今住んでいるカナンの娘から取るのではなく、わたしの一族のいる故郷へ行って、嫁を息子イサクのために連れてくるように。」
( 創世記 24:2-4)
イエス/サマリア人 エピソード シーン番号:11 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
イエス/洗礼者ヨハネ エピソード シーン番号:11 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
マリアへの受胎告知 エピソード シーン番号:11 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
ハガル-イシュマエル群
ハガル/サライ エピソード シーン番号:11 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
イシュマエル/ハガル エピソード シーン番号:11 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無

シーン 11への注

シーン番号:11 [-1], [+1]
  1. 中心キャラクターが、敵対者 から 守護者 に代っているとはいえ、シーン 9からシーン 11までは、シーン 5からシーン 7までと同一パターンを有するように見える。この場合、シーン 7における 「敵対者の虐待」は、シーン 11における 「守護者の助言」に対応する。
    中心キャラクター 敵対者 守護者
    シーンの内容 5: 男性主人公敵対者 と接触する。 9: 男性主人公守護者 と接触する。
    6: 敵対者男性主人公 の非行を認識する。 10: 守護者男性主人公 の困難を認識する。
    7: 敵対者男性主人公 を虐待する。 11: 守護者男性主人公 に助言する。
  2. 山幸/海幸 (古事記版):
    シホツチは「海神之女(むすめ)、見て相議(はか)らむそ」と述べたとされている。しかし、この「予言」は二つの点で実現しなかった。
    • 一つめは、実際にホヲリを「発見」したのは、海神の王女の侍女であった。
    • 第二には、「相議(はか)らむ」が、釣り鉤をホデリに返却するのを助けることに就いてホヲリを助けることを指すとするならば、それは王女のほうではなく、父海神の計らいに力があった。この食い違いは何に由来するのか? そして、なによりも、何故シホツチは、こうしたことを予言できたのだったか?
  3. ヤコブ/エサウ:
    • リベカは、ほとぼりが冷めた頃、人をやってヤコブを呼び戻すと言ったが、何故そうしなかったのか。また何故、リベカは、「一日のうちにお前たち二人を失う」などと言ったのか?
    • ヤコブは、自らの行為が詐欺であることを承知している(参照: 創世記 27:11-12)。にもかかわらず、ヤコブは、母リベカに告げられる迄、エサウの憎しみを無視していたか、或いは気が付いていなかったごとくである。
  4. マタイ 2:13を参照。
    占星術の学者たちが帰って行くと、主の天使が夢でヨセフに現れて言った。「起きて、子供とその母親を連れて、エジプトに逃げ、わたしが告げるまで、そこにとどまっていなさい。ヘロデが、この子を探し出して殺そうとしている。」
    ( マタイ 2:13)
  5. 山幸/海幸 エピソード 変異N4 では、守護者 が塩筒老翁( 守護者 その1)と八尋鰐( 守護者 その2)とに分裂している。

シーン 12: 流離

包括型
シノプシス流離: 男性主人公故地 から 異郷 に流離する。
モーセの出エジプト エピソード シーン番号:12 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス流離: 男性主人公故地 から 異郷 に流離する。
モーセはファラオの手を逃れてミディアン地方にたどりつき、
( 出エジプト記 2:15)
山幸/海幸 エピソード
古事記版 (変異K) シーン番号:12 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス流離: 男性主人公故地 から 異郷 に流離し、そこにある にたどり着く。
具体的には、異郷 は、[ 広大性 = ]により 故地 から隔てられている。男性主人公 は、守護者 により 流離搬送者 に入れられて、送り出され、接近路 により に導かれる。
しかして、塩椎神云はく、「我(あれ)、汝命(いましみこと)の為に、善き議(はかり)なさむ。」といひて、即ち无間勝間(まなしかつま)の小船(をぶね)造り、其の船に載せて教へて曰く、「我(あれ)、其の船を押し流さば、差暫(ややしま)し往(いでま)せ。味(うま)し御路(みち)有らむ。乃(すなは)ち其の道に乗りて往(いでま)さば、魚鱗(いろこ)の如く所造(つく)れる宮室(みや)、其(それ)綿津見神(わたつみのかみ)の宮そ。・・・」といふ。
故(かれ)、教(をしへ)の随(まにま)に少し行(いでま)ししに、備(つぶさ)に其の言(こと)の如し。
日本書紀版
変異N0 シーン番号:12 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス流離: 男性主人公故地 から 異郷 に流離し、そこにある にたどり着く。
具体的には、異郷 は、[ 広大性 = ]により 故地 から隔てられている。男性主人公 は、守護者 により 流離搬送者 に入れられて、送り出されて 異郷 にたどり着き、そこで 接近路 により に導かれる。
彦火火出見尊を籠(かたま)の中に内(い)れて、海に沈む。
即ち自然(おのづから)に可怜小汀(うましをはま)有り。是(ここ)に、籠を棄てて遊行(い)でます。忽(たちまち)に海神(わたつみ)の宮に至りたまふ。
変異N1 シーン番号:12 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス流離: 男性主人公故地 から 異郷 に流離し、そこにある にたどり着く。
具体的には、異郷 は、[ 広大性 = ]により 故地 から隔てられている。男性主人公 は、守護者 により 流離搬送者 に入れられて、送り出されて 異郷 にたどり着き、そこで 接近路 により に導かれる。
老翁、即ち嚢(ふくろ)の中の玄櫛(くろくし)を取りて地(つち)に投げしかば、五百箇竹林(いほつたかはら)に化成(な)りぬ。因りて其の竹を取りて、大目麁籠(おほまあらこ)を作りて、火火出見尊を籠(こ)の中に内(い)れまつりて、海に投(い)る。
副変異
一(ある)に云(い)はく、無目堅間(まなしかたま)を以て浮木(うけき)に為(つく)りて、細縄(ほそなは)を以て火火出見尊を繋(ゆ)ひ著(つ)けまつりて沈む。
副変異
所謂(いはゆる)堅間(かたま)は、是(これ)今の竹の籠(こ)なりといふ。
時に、海(わた)の底に自(おの)づからに可怜小汀(うましをはま)有り。乃ち汀(はま)の尋(まにま)に進(い)でます。忽(たちまち)に海神(わたつみ)豊玉彦(とよたまびこ)の宮に到ります。
変異N2 シーン番号:12 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
変異N3 シーン番号:12 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス流離: 男性主人公故地 から 異郷 に流離し、そこにある にたどり着く。
具体的には、異郷 は、[ 広大性 = ]により 故地 から隔てられている。男性主人公 は、守護者 により 流離搬送者 に入れられて、送り出されて 異郷 にたどり着き、そこで 接近路 により に導かれる。
火火出見尊を載せまつりて、海(わた)の中に推し放つ。
則(すなは)ち自然(おのづから)に沈み去る。忽(たちまち)に可怜御路(うましみち)有り。故、路(みち)の尋(まにま)に往(い)でます。自(おの)づからに海神(わたつみ)の宮(みや)に至りたまふ。
変異N4 シーン番号:12 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス流離: 男性主人公故地 から 異郷 に流離し、そこにある にたどり着く。
具体的には、異郷 は、[ 広大性 = ]により 故地 から隔てられている。男性主人公 は、守護者 その2の教示により 流離搬送者 に乗って 異郷 にたどり着き、そこで 接近路 により に導かれる。
是の時に、鰐魚(わに)策(はか)りて曰さく、「吾(あれ)は八日(やか)の以後(のち)に、方(まさ)に天孫(あめみま)を海宮(わたつみのみや)に致(いた)しまつりてむ。唯(ただ)し我が王(きみ)の駿馬(すぐれたるうま)は、一尋鰐魚(ひとひろわに)なり。是(これ)当(まさ)に一日(ひとひ)の内(うち)に、必ず致し奉(たてまつ)りてむ。故、今(いま)我(やつかれ)帰りて、彼(かれ)をして出(い)で来(こ)しむ。彼に乗りて海(わた)に入(い)りたまへ。海に入りたまふ時に、海の中に自(おの)づからに可怜小汀(うましをはま)有らむ。其の汀(はま)の隨(まにま)に進(い)でまさば、必ず我が王(きみ)の宮(みや)に至りまさむ。・・・」とまうす。
言(まう)すこと訖(をは)りて即ち海(わたなか)に入りて去(ゆ)きぬ。故(かれ)、天孫(あめみま)、鰐魚(わに)の所言(まうし)の隨(まにま)に留まり居(ま)して、相待(あひま)つこと已に八日(やうか)なり。久しくして方(まさ)に一尋鰐(ひとひろわに)有りて来(きた)る。因りて乗りて海(わたなか)に入る。
B型
シノプシス流離: 男性主人公故地 から流離する。
男性主人公 は、守護者 により 流離搬送者 に入れられて、接近路 により運ばれる。
サルゴン誕生 エピソード シーン番号:12 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス流離: 男性主人公故地 から流離する。男性主人公 は、守護者 により 流離搬送者 に入れられて、接近路 により運ばれる。
かの女は藺の籠の中に私をいれ、瀝青でかの女は私の扉を閉じた。
かの女は、私(の身の丈)に達しない川に私を投げ入れた。
川は私を支えて、私を潅漑人(水利人)アッキのところに運んだ。
モーセ誕生 エピソード シーン番号:12 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス流離: 男性主人公故地 から流離する。男性主人公 は、守護者 その1により 流離搬送者 に入れられて、接近路 により運ばれる。
パピルスの籠を用意し、アスファルトとピッチで防水し、その中に男の子を入れ、(ナイル河畔の葦の茂みの間に)置いた。
( 出エジプト記 2:3)
G型
木樵/ヘルメス エピソード シーン番号:12 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
R型
カヴルサン/友人 エピソード シーン番号:12 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス流離: 男性主人公 は ( 流離搬送者 に乗って?) 故地 から 異郷 へと流離し、そこで にたどり着く。
具体的には、異郷 は、[ 広大性 = ]により 故地 から隔てられている。異郷 において、男性主人公 は、接近路 により に導かれる。
カヴルサンは失いたる鉤を求めて再び海に引きかえし、そのなくしたところで海中に没する。ただちに彼は、海底に一つの道がついてあるのを発見し、それについてゆくと、一つの村に達する。その村の一軒の家に・・・
縮退型
ヤコブ/エサウ エピソード シーン番号:12 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス流離: 守護者 その2に送り出されて、男性主人公故地 から 異郷 へと流離する。
ヤコブはイサクに送り出されて、パダン・アラムのラバンの所へ旅立った。ラバンはアラム人ベトエルの息子で、ヤコブとエサウの母リベカの兄であった。
( 創世記 28:5)
ヤコブは旅を続けて、東方の人々の土地へ行った。
( 創世記 29:1)
参考種
アブラハムの僕/リベカ エピソード シーン番号:12 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス探求: 守護者 に送り出されて 男性主人公 は、故地 を離れて、異郷 に向かう。
そこで、僕は主人アブラハムの腿の間に手を入れ、このことを彼に誓った。僕は主人のらくだの中から十頭を選び、主人から預った高価な贈物を多く携え、アラム・ナハライムのナホルの町に向かって出発した。
( 創世記 24:9-10)
イエス/サマリア人 エピソード シーン番号:12 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス流離: 敵対者 から迫害を受けるかもしれないため 男性主人公故地 から 異郷 へと流離する。
(イエスは)ユダヤを去り、再びガリラヤへ行かれた。しかし、サマリヤを通らねばならなかった。それで、ヤコブがその子のヨセフに与えた土地の近くにある、シカルというサマリアの町に来られた。
( ヨハネ 4:3-5)
イエス/洗礼者ヨハネ エピソード シーン番号:12 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス流離: 男性主人公 は、故地 から 異郷 へと流離する。
洗礼者ヨハネが荒れ野に現れて、罪の赦しを得させるために悔い改めの洗礼(バプテスマ)を宣べ伝えた。ユダヤの全地方とエルサレムの住民は皆、ヨハネのもとに気て、罪を告白し、ヨルダン川で彼から洗礼を受けた。
( マルコ 1:4-5)
そのころ、イエスはガリラヤのナザレから来て、・・・
( マルコ 1:9)
マリアへの受胎告知 エピソード シーン番号:12 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
ハガル-イシュマエル群
ハガル/サライ エピソード シーン番号:12 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス流離: (女性)主人公故地 から 異郷 へと流離する。
(サライは彼女につらく当たったので、)彼女はサライのもとから逃げた。主の御使いが荒れ野の泉のほとり、シュル街道に沿う泉のほとりで彼女と出会って、
( 創世記 16:6-7)
イシュマエル/ハガル エピソード シーン番号:12 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス流離: 男性主人公 は、故地 から 異郷 へと流離する。彼は、流離搬送者 に背負われ、守護者 その2に送り出され、そして 接近路 により運ばれる。
アブラハムは、次の朝早く起き、パンと水の革袋を取ってハガルに与え、背中に負わせて子供を連れ去らせた。ハガルは立ち去り、ベエル・シェバの荒れ野をさまよった。
( 創世記 21:14)

シーン 12への注

シーン番号:12 [-1], [+1]
  1. 本シーンでのエピソードの特徴を表にしてみると:
    エピソード 守護者 故地 流離搬送者 異郷 接近路
    モーセの出エジプト 古代エジプト ミディアン
    山幸/海幸-K シホツチ 古代九州 无間勝間 海神郷 味し御路 海神宮
    山幸/海幸-N0 シホツツ 古代九州 無目籠 海神郷 可怜小汀 海神宮
    山幸/海幸-N1 シホツツ 古代九州 大目麁籠又は無目堅間 海神郷 可怜小汀 海神宮
    山幸/海幸-N3 シホツツ 古代九州 無目堅間 海神郷 可怜御路 海神宮
    山幸/海幸-N4 シホツツ+八尋鰐 古代九州 一尋鰐 海神郷 可怜小汀 海神宮
    サルゴン誕生 アズピラヌ ユーフラテス川
    モーセ誕生 両親の家庭 母+(ナイル)川
    カヴルサン/友人 パサムバンコ 小舟? 海底 海底の家
    ヤコブ/エサウ カナン パダン・アラム
    アブラハムの僕/リベカ 主人 主人の家庭 無(ラクダ?) アラム・ナハライム
    イエス/サマリア人 ユダヤ サマリア
    イエス/洗礼者ヨハネ ナザレ 荒れ野
    ハガル/サライ 主人の家庭 荒れ野
    イシュマエル/ハガル 父+母 父の家庭 荒れ野
    フロイトに倣って、「流離搬送者 (籠及び小舟)」が、男性主人公 の「母」(又は 地母神 )、特にその子宮を代表することが推定できる。
    接近路 の役割は、男性主人公 を、女性主人公/代行者/ にまで、彼が迷わないようにして送り届ける/導くことにある。その機能は、流離搬送者 のそれを補完するように見える。流離搬送者 の中心像が小舟又は籠であるように、接近路 の中心像は、川である。
    山幸/海幸 エピソード 変異N1 では、流離搬送者 として、無目堅間(まなしかたま)だけでなく、大目麁籠(おほまあらこ) もまた別伝として示されている。おそらくは、これは、無目堅間(まなしかたま)では、海中に簡単には沈みえないように思われることに対する後生での合理化である。
  2. 古事記版にあっては、流離搬送者 の役割と、接近路 の役割とは区別が付きがたい。
  3. 山幸/海幸 エピソードのどの変異例でも、家長/女性主人公/代行者 が登場する前に、 が出てくるのに注意。次シーンで分かるように、水源 (井戸)は、この家の門前にある。
    カヴルサン/友人 でも、同様に、家長 又は 女性主人公 より前に、 が出てくる。
    女性主人公 の属性であるのか、家長 の属性であるのかは、今のところ確定できない。
    また、家長 は、女性主人公 から分岐したキャラクターであると強く推定されるから、 が物語に入り込んだ機構も解明される必要がある。
    また更に、神格 の属性である可能性もある。その場合、海神宮は、モーセの出エジプト における「燃え上がる木」に対応することになろう。ただ、ヨリあったであろうことは、MY シノプシスにおける 男性主人公 の流離から顕現までが、モーセの出エジプト における 男性主人公神格 との遭遇シーンに変形して詰め込まれたと云うことである。
    精神分析学的には、 は、「子宮」、「墓」、又は「地獄」を意味しえよう。
  4. 包括型 にあっては、接近路異郷 内にあるように見える。
    これに対し、B型 エピソードでは、接近路 の実現形式が、包括型 とは異なる。
    例えば、モーセ誕生 において、モーセを運んだのは、接近路 としての彼の母親である。これに対応して、男性主人公 を入れた籠は水に浮いて流れ出たことはないようにみえる。
    ただし、後で、ファラオの王女が「水の中から私が引き上げた」 ( 出エジプト記 2:10 )と言っていくことにも注意。おそらく、この言葉には、単にモーセの名前の由来をこじつける以上の意味がある。従って、(ナイル)川にも、接近路としての性格があると推定して良い。
  5. よく知られているように、フロイトは、B型 エピソードの流離に介在する を羊水の象徴と見做した(「モーセと一神教」)。しかし、それによって、この の象徴性が十分闡明されたとは、私は思わない。
  6. この は、後のシーンにおける 水源 にほかならないことに注意。
  7. 出エジプト記 はモーセがエジプトからミディアンに流離する際に用いた手段を特定していない。ヤコブの移動手段もやはり不明である。これに対し、山幸/海幸 (K, N0, N1, N3)では、男性主人公 が、海神郷への旅をするのに小舟 (むしろ竹で編んだ籠)に入れられることになった経緯があからさまに叙述されている。
  8. 何故、モーセは他の土地ではなく、ミディアンに逃亡したのか? 歴史上のモーセ(実在したとして)は、ミディアン人の勢力範囲内にいたことがあるのか?
    • 水神局面 内では、異郷 とは水神郷のことである。この場合、敵対者 との葛藤は無視できるから、男性主人公 が失った貴重な何物/何者かは、水神への供犠と見做しうる。そして、男性主人公故地 から逃亡したのではなく、水神郷に招待されたことになるだろう。
    • 木樵/ヘルメス には、男性主人公異郷 へ旅するモチーフはない。しかし、それでも、水神局面 にそうしたモチーフがもともとなかったと云うことにはならない。日本における橋姫伝説及びシェークスピアのハムレットに注意。
    • ヨリ深い意味では、異郷 は、男性主人公 の母(或いは、地母神 )の生地であるかもしれない。
  9. カヴルサン/友人 にも 守護者 は現れず、また籠も出てこない。ただし、文脈上、カヴルサンは「小舟」(ほぼ確実に植物製)を使って、海に出ているはずである。
  10. 山幸/海幸サルゴン誕生 及び モーセ誕生 では、流離搬送者守護者 が提供すると云うモチーフが見られる。
  11. イシュマエル/ハガル においては、守護者 である父が、実質上、主人公母子を追放しており、敵対者 としても働いている一方、追放の際に世話を焼いている。
  12. 山幸/海幸 エピソード 変異N4 で、男性主人公 が八尋鰐に乗らずに「八日」間待たされてから一尋鰐に乗る構成になっているのは何故か?
  13. 赤子モーセは、水の中に投げ込まれそうになったのに対し、赤子サルゴンは「実際に」投げ込まれた。ホヲリ及びカヴルサンは、釣り鉤を海中に失った後、自ら海底へと向かった。そして、全員とも地上に復帰している。
  14. サルゴン誕生 の引用テキスト2行目は、「かの女は、私(の身の丈)に達しない川に私を投げ入れた。」となっている。同様に、"THE ANCIENT NEAR EAST" by Amélie Kuhrt (ISBN 0-415-18762-0, Routledge, London, 1995) vol.1, p.48. では、"She cast me into the river which did not rise over me;" とされている。
    しかし、http:puffin.creighton.edu/theo/simkins/tx/BirthSargon.html (translated by B.R. Foster, The Context of Scripture:8 Canonical Compositions from the Biblical World, Vol.1, ed. by W. W. Hallo; Leiden: E. J. Brill, 1997) では、"She left me to the river, whence I could not come up," (彼女は、私を川に置き去りにした。そこから、私は抜け出せなかった。)と訳されている。
  15. 我々は、新約聖書に登場する飼葉桶中の長男である赤子のことを思い出すべきだろう。( ルカ 2:4-7).
    ヨセフもダビデの家に属し、その血筋であったので、ガリラヤの町ナザレから、ユダヤのベツレヘムというダビデの町へ上って行った。身ごもっていた、いいなずけのマリアと一緒に登録するためである。ところが、彼らがベツレヘムにいるうちに、マリアは月が満ちて、初めての子を産み、布にくるんで飼い葉桶に寝かせた。宿屋には彼らの泊まる場所がなかったからである。
    ( ルカ 2:4-7)
    馬/飼葉桶と水神との親和性について議論することがあるかもしれない。
    マリア又はヨセフが飼葉桶に入れたイエスを川又は海等の水中に放すと云う伝説が見いだされる可能性は低い。
  16. マタイ 2:14を参照。
    ヨセフは起きて、夜のうちに幼子とその母を連れてエジプトへ去り、・・・
    ( マタイ 2:14)
  17. 流離搬送者 に関連して、日本その他の国々の説話・民話・神話を解析する必要が起るだろう: 桃太郎、一寸法師、かぐや姫、うりこ姫、ヤマトタケル、源氏、大国主、オイディプス、ディオニソス、ペルセウス、昔脱解、オシリス/イシス、マハーバーラタ。

シーン 13: 水源での停留

包括型
シノプシス水源での停留: 男性主人公 は、異郷 にある 水源 の傍にとどまる。
モーセの出エジプト エピソード シーン番号:13 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス水源での停留: 男性主人公 は、異郷 にある 水源 の傍にとどまる。
とある井戸の傍らに腰を下ろした。
( 出エジプト記 2:15)
山幸/海幸 エピソード
古事記版 (変異K) シーン番号:13 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス水源での停留: 男性主人公 は、異郷 にある 水源 の傍にとどまる。
具体的には、水源 は、 の門の前にある。水源 の傍には 植物 が生えており、男性主人公 は、その 植物 に登って、そこに留まる。
・・・塩椎神・・・其の船に載せて教へて曰く、「・・・乃(すなは)ち其の道に乗りて往(いでま)さば、魚鱗(いろこ)の如く所造(つく)れる宮室(みや)、其(それ)綿津見神(わたつみのかみ)の宮そ。其の神の御門(みかど)に到りなば、傍(かたはら)の井上(ゐのへ)に、湯津香木(ゆつかつら)有らむ。故(かれ)、其の木の上(うへ)に坐(いま)さば、・・・」といふ。
故(かれ)、教(をしへ)の随(まにま)に少し行(いでま)ししに、備(つぶさ)に其の言(こと)の如し。即ち其の香木(かつら)に登りて坐(いま)しき。
日本書紀版
変異N0 シーン番号:13 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス水源での停留: 男性主人公 は、異郷 にある 水源 の傍にとどまる。
具体的には、水源 は、 の門の前にある。水源 の傍には 植物 が生えており、男性主人公 は、その 植物 の傍らにとどまる。
その宮は、雉(たかがき)ヒメガキ整頓(ととのへそなは)りて、台(たかどの)宇(や)玲瓏(てりかかや)けり。門(かど)の前に一(ひとつ)の井有り。井の上(ほとり)に一(ひとつ)の湯津杜樹(ゆつかつらのき)有り。枝葉(えだは)扶疏(しきも)し。時に彦火火出見尊、其の樹の下(もと)に就(ゆ)きて、徙倚(よろほ)ひ彷徨(たたず)みたまふ。良(やや)久しくして・・・
変異N1 シーン番号:13 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス水源での停留: 男性主人公 は、異郷 にある 水源 の傍にとどまる。
具体的には、水源 は、 の門の前にある。水源 の傍には 植物 が生えており、男性主人公 は、その 植物 の傍らにとどまる。
其の宮は城闕(かきや)崇(たかく)華(かざ)り。楼台(たかどのうてな)壮(さかり)に麗し。門(かど)の外(と)に井(ゐ)有り。井の傍(ほとり)に杜樹(かつらのき)有り。乃ち樹(こ)の下(もと)に就(つ)きて立ちたまふ。良(やや)久(ひさ)にありて・・・
変異N2 シーン番号:13 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス水源での停留: 男性主人公 は、異郷 にある 水源 の傍にとどまる。
具体的には、水源 は、 の門の前にある。水源 の傍には 植物 が生えており、男性主人公 は、その 植物 に登って、そこに留まる。
門(かど)の前(まへ)に一(ひとつ)の好井(しみづ)有り。井(ゐ)の上(ほとり)に百枝(ももえ)の桂樹(かつらのき)有り。故(かれ)、彦火火出見尊、跳(をど)りて其の樹に登りて立ちたまふ。
変異N3 シーン番号:13 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
変異N4 シーン番号:13 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス水源での停留: 男性主人公 は、異郷 にある 水源 の傍にとどまる。
具体的には 水源 は、 の門の前にある。水源 の傍には 植物 が生えており、男性主人公 は、その 植物 に登って、そこに留まる。
是の時に、鰐魚(わに)策(はか)りて曰さく、「・・・宮の門(かど)の井(ゐ)の上(ほとり)に、当(まさ)に湯津杜樹(ゆつかつらのき)有るべし。其の樹の上(うへ)に就(ゆ)きて居(ま)しませ」とまうす。
毎(ことごと)に前(さき)の鰐の教(をしへ)に遵(したが)ふ。
B型
シノプシス水源への到着: 男性主人公 は、水源 中か(サルゴン誕生)又はその近くにいる(モーセ誕生)。
サルゴン誕生 エピソード シーン番号:13 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス水源への到着: 男性主人公 は、水源 中にいる。男性主人公 は、流離搬送者 の中に留まっている。
川は私を支えて、私を潅漑人(水利人)アッキのところに運んだ。
モーセ誕生 エピソード シーン番号:13 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス水源での停留: 男性主人公 は、水源 の近くにいる。男性主人公 は、流離搬送者 の中に留まっている。水源 の傍らに 植物 が生えており、流離搬送者 は、その内に置かれる。男性主人公 は、離れた所から 守護者 その2により見守られている。
ナイル河畔の葦の茂みの間に置いた。
( 出エジプト記 2:3)
その子の姉が遠くに立って、どうなることかと様子を見ていると、・・・
( 出エジプト記 2:4)
G型
木樵/ヘルメス エピソード シーン番号:13 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
R型
カヴルサン/友人 エピソード シーン番号:13 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
縮退型
ヤコブ/エサウ エピソード シーン番号:13 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス水源での停留: 男性主人公 は、水源 に辿りつき、そこにとどまる。
ふと見ると、野原に井戸があり、・・・
( 創世記 29:2)
ヤコブはそこにいた人たちに尋ねた。「皆さんはどちらの方ですか。」「わたしたちはハランの者です」と答えたので、・・・
( 創世記 29:4)
ヤコブが彼らと話しているうちに、・・・
( 創世記 29:9)
参考種
アブラハムの僕/リベカ エピソード シーン番号:13 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス水源での停留: 男性主人公 は、水源 に辿りつき、そこに留まる。
女たちが水汲みに来る夕方、彼は、らくだを町外れの井戸の傍らに休ませて、祈った。 「主人アブラハムの神、主よ、どうか、今日、わたしを顧みて、主人アブラハムに慈しみを示してください。わたしは今、御覧のように、泉の傍らに立っています。・・・」
( 創世記 24:11-13)
イエス/サマリア人 エピソード シーン番号:13 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス水源での停留: 男性主人公 は、水源 に辿りつき、そこに留まる。
そこにはヤコブの井戸があった。イエスは旅に疲れて、そのまま井戸のそばに座っておられた。正午ごろのことである。
( ヨハネ 4:5-6)
イエス/洗礼者ヨハネ エピソード シーン番号:13 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス水源への到着: 男性主人公水源 に辿りつき、その水の中に漬かる。
(そのころ、イエスはガリラヤのナザレから来て、)ヨルダン川でヨハネから洗礼を受けられた。
( マルコ 1:9)
マリアへの受胎告知 エピソード シーン番号:13 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
ハガル-イシュマエル群
ハガル/サライ エピソード シーン番号:13 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス水源への到着: (女性)主人公 は、水源 に辿りつく。
主の御使いが・・・シュル街道に沿う泉のほとりで彼女と出会って、・・・
( 創世記 16:7)
イシュマエル/ハガル エピソード シーン番号:13 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス水源での停留: 男性主人公 は、水源 に辿りつき、そこに留まる。
水源 の傍には 植物 が生えており、男性主人公 は、その下に置かれる。男性主人公 は、離れた所から 守護者 その1により見守られている。
革袋の水が無くなると、彼女は子供を一本の潅木の下に寝かせ、「わたしは子供が死ぬのを見るのは忍びない」と言って、矢の届くほど離れ、子供の方を向いて座り込んだ。彼女は子供の方を向いて座ると、声をあげて泣いた。
( 創世記 21:15-16)
神がハガルの目を開かれたので、彼女は水のある井戸を見つけた。
( 創世記 21:19)

シーン 13への注

シーン番号:13 [-1], [+1]
  1. モーセの出エジプト山幸/海幸 (K, N0, N1, N2, N4)、ヤコブ/エサウアブラハムの僕/リベカイエス/サマリア人、及び イシュマエル/ハガル では、男性主人公水源 の傍に到着後、そこに留まっていることに注意。
  2. モーセ誕生イシュマエル/ハガル では、守護者水源 の傍に横たわる 男性主人公 を離れてではあるが見守っている。
    本論考が英語聖書語句を引用している "THE NEW JERUSALEM BIBLE (Standard Edition)" © 1985 by Darton, Longman & Todd Ltd (ISBN 0-232-51650-2) では、ハガルが潅木下のイシュマエルを見守ることが明記されていない。これに対し、日本語聖書引用部分が基づいている 「聖書 新共同訳 旧約聖書続編つき」 © 共同訳聖書実行委員会 (1987年)。発行所: 日本聖書協会 (1989年)。(ISDN 4-8202-1038-6) では、「子供の方を向いて」と、訳されている。
    これは、実際該当語を含んでいるマソラ・テキストの解釈に際し、「わたしは子供が死ぬのを見るのは忍びない」と云うハガルの言葉との整合性を重視するか否かが反映されたのではないかと推定される。
    ちなみに、欽定訳聖書(King James Version Bible)、"New Revised Standard Version" 及び "New American Bible" では、ハガルがイシュマエルの方を向いていたことが訳されている。
  3. 山幸/海幸 における「井(ゐ)」は、「泉」とも解釈しうる。もっともどちらにしろ、人々が水を汲む場所( 水源 )であることに変わりはない。
  4. 山幸/海幸 変異K変異N2 及び 変異N4 では、男性主人公水源 の傍にあった 植物 に上り、そしてそこにしばらく留まった。変異N0 及び 変異N1 では、男性主人公植物 の傍らに留まる。
    何故、男性主人公 はそうしなければならなかったのか? これについては、当面二つの回答案が考えられる:
    • 植物神 として、男性主人公 は、樹木と象徴的に同化、或いは少なくとも、樹木に取り囲まれねばならなかった。
    • 男性主人公 は、まず、井戸の水に映った姿として 女性主人公/代行者 に発見されねばならなかった。(シーン 15)
  5. モーセの出エジプトヤコブ/エサウ 及び アブラハムの僕/リベカ は、井戸( 水源 )近くの木( 植物 )については何も語らない。
    ただし、これらの三つのエピソードのすべてで、水源 の傍に以下の通りの 水受領者 又は、それに類するもの(ヤコブ/エサウ の場合)が留まってあるのが見られる。
    • モーセの出エジプト: 水ぶね (シーン 14: [女性主人公/代行者]の登場)
    • ヤコブ/エサウ: 羊の三つの群れ
    • アブラハムの僕/リベカ: 水槽 (シーン 16: 水受領者)
  6. サルゴン誕生 では、以前 接近路 であった「ユーフラテス川」が、本シーンでは 水源 に変化している。
  7. 木樵/ヘルメス にはシーン 13 ([水源での停留])がない。しかし、水( 川 )と木の組み合わせは見られる。
  8. ハガル/サライ は、泉のそばの木について言及しないが、イシュマエル/ハガル は、井戸のそばに「潅木」があったことを示している。
    イシュマエル/ハガル でハガルがさまよったのが「ベエル・シェバの荒れ野」であることを考えると、この「潅木」は、アブラハムが「永遠の神、主の御名」を呼びかけた「ぎょうりゅう」である可能性がある(創世記 21:33)。
    ちなみに、アブラハムは木の礼拝者だった。創世記 12:6-7, 13:18, 18:1 参照。
  9. モーセの出エジプト のマソラテキストでは、「(モーセがミディアン地方に) たどりつき 」として用いられているヘブライ単語と、その直後に「(井戸の傍らに) 腰を下ろした 」として用いられているヘブライ単語とは、同一である(וַיֵּשֶׁב)。これに関連して、この単語は、「留まる、住む」と云う意味あることに留意すべきだろう。
  10. アブラハムの僕/リベカ 及び イエス/サマリア人 では、男性主人公水源 に到着した時刻が特定されている。
    ヤコブ/エサウ でも、 創世記 29:7 に到着時刻への手がかり(「こんなに日は高い」)がある。
  11. 山幸/海幸 エピソードで、 の「門」に意味があるかどうかと云う問題は未解決である。
  12. 「エデンの園」にも[植物と水]と云う特徴の組み合わせが見られるが、本試論の主要な関心からは外れているように見える。

シーン 14: [女性主人公/代行者]の登場

包括型
シノプシス[女性主人公/代行者]の登場: 水源 に、女性主人公/代行者 が、水受領者 用具で水を汲み出すためにやって来る。
モーセの出エジプト エピソード シーン番号:14 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス女性主人公の登場: 水源 に、女性主人公 が、(水受領者 用具で)水を汲み出すためにやって来る。
水源 の傍には、水受領者 槽があり、女性主人公同格者 を伴っている。
さて、ミディアンの祭司に七人の娘がいた。彼女たちがそこへ来て水をくみ、水ぶねを満たし、父の羊の群れに飲ませようとしたところへ、・・・
( 出エジプト記 2:16)
山幸/海幸 エピソード
古事記版 (変異K) シーン番号:14 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス代行者の登場: 水源 に、代行者 が、水受領者 用具で水を汲み出すためにやって来る。
しかして、海神(わたのかみ)の女(むすめ)、豊玉毘売(とよたまびめ)の従婢(まかだち)、玉器(たまもひ)持ちて水酌(く)まむとする時、・・・
日本書紀版
変異N0 シーン番号:14 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス女性主人公の登場: 水源 に、女性主人公 が、水受領者 用具で水を汲み出すためにやって来る。
一(ひとり)の美人(をとめ)ありて、闥(とびら)を拝(おしひら)きて出づ。遂に玉鋺(たまのまり)を以て、来たりて・・・
変異N1 シーン番号:14 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス[女性主人公/代行者] の登場: 水源 に、女性主人公/代行者 が、水受領者 用具で水を汲み出すためにやって来る。女性主人公 は、同格者 を伴っている。
一(ひとり)の美人(をとめ)あり。容貌(かほ)世に絶(すぐ)れたり。侍者(まかたち)群れ従ひて、内(うち)よりして出(い)づ。将に玉壺(たまのつぼ)を以て・・・
副変異
一(ある)に云はく、豊玉姫の侍者(まかたち)、玉瓶(たまのつるべ)を以て・・・
変異N2 シーン番号:14 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス女性主人公の登場: 水源 に、女性主人公 が、水受領者 用具で水を汲み出すためにやって来る。女性主人公 は、水源 に、水受領者 用具を持参してきている。
時に、海神(わたつみ)の女(むすめ)豊玉姫、手に玉鋺(たまのまり)を持ちて、来たりて・・・
変異N3 シーン番号:14 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
変異N4 シーン番号:14 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス代行者の登場: 水源 に、代行者 が、水受領者 用具で水を汲み出すためにやって来る。代行者 は、水源 に、水受領者 用具を持参してきている。
時に豊玉姫の侍者(まかたち)有りて、玉鋺(たまのまり)を持ちて・・・
B型
シノプシス[女性主人公/代行者]の登場: 女性主人公代行者水源の傍らにいるか(サルゴン誕生)、女性主人公水源 がやってくるか(モーセ誕生)する。
サルゴン誕生 エピソード シーン番号:14 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス女性主人公の登場: 女性主人公代行者水源の傍らにいる。代行者 は、水を汲むための 水受領者 用具を持っている。
潅漑人アッキは、彼の水差を近づけて(水に漬けて)・・・
モーセ誕生 エピソード シーン番号:14 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス女性主人公の登場: 女性主人公水源 がやってくる。
そこへ、ファラオの王女が水浴びをしようと川に下りて来た。その間、侍女達は川岸を行き来していた。
( 出エジプト記 2:5)
G型
木樵/ヘルメス エピソード シーン番号:14 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
R型
カヴルサン/友人 エピソード シーン番号:14 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
縮退型
ヤコブ/エサウ エピソード シーン番号:14 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス女性主人公の登場: 水源女性主人公 がやってくる。彼女は、水を飲ませようとして 水受領者 獣を連れている。
ヤコブが彼らと話しているうちに、ラケルが父の羊の群れを連れてやって来た。彼女も羊を飼っていたからである。
( 創世記 29:9)
参考種
アブラハムの僕/リベカ エピソード シーン番号:14 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス女性主人公の登場: 水源女性主人公 がやって来る。
女性主人公 は、水を汲み出すための 水受領者 用具を持っている。
僕がまだ祈り終わらないうちに、見よ、リベカが水がめを肩に載せてやって来た。彼女は、アブラハムの兄弟ナホルとその妻ミルカの息子ベトエルの娘で、際だって美しく、男を知らない処女であった。彼女が泉に下りていき、水がめに水を満たして上がって来ると、・・・
( 創世記 24:15-16)
イエス/サマリア人 エピソード シーン番号:14 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス女性主人公の登場: 女性主人公水源 にやって来る。
女性主人公 は、水を汲み出すための 水受領者 用具を持っている。
サマリアの女が水をくみに来た。
( ヨハネ 4:7)
女は、水がめをそこに置いたまま・・・
( ヨハネ 4:28)
イエス/洗礼者ヨハネ エピソード シーン番号:14 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス代行者の登場: 代行者水源 の傍にいる。
そのころ、イエスは[ガリラヤのナザレから来て、]ヨルダン川でヨハネから洗礼を受けられた。
( マルコ 1:9)
マリアへの受胎告知 エピソード シーン番号:14 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス女性主人公の登場: 女性主人公 が登場する。女性主人公 は、水を汲むための 水受領者 用具を持っている。
さて彼女は水がめを持って水汲みに出ました。
( 原福音書 XI.1)
ハガル-イシュマエル群
ハガル/サライ エピソード シーン番号:14 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
イシュマエル/ハガル エピソード シーン番号:14 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス代行者の登場: 代行者水源 の傍にいる。代行者 は、水を入れる 水受領者 用具を持っている。
ハガルは立ち去り、ベエル・シェバの荒れ野をさまよった。
革袋の水が無くなると、彼女は子供を一本の潅木の下に寝かせ、「わたしは子供が死ぬのを見るのは忍びない」と言って、矢の届くほど離れ、子供の方を向いて座り込んだ。彼女は子供の方を向いて座ると、声をあげて泣いた。
( 創世記 21:14-16)
神がハガルの目を開かれたので、彼女は水のある井戸を見つけた。・・・
( 創世記 21:19)

シーン 14への注

シーン番号:14 [-1], [+1]
  1. モーセの出エジプト山幸/海幸 (K, N0, N1, N2, 及び N4)、モーセ誕生ヤコブ/エサウアブラハムの僕/リベカイエス/サマリア人 の全てにおいて、水源 (井戸/泉又は川)に到着した 男性主人公 が、水源 の傍に留まっている所に 女性主人公/代行者 が後から登場する。
    • 山幸/海幸 エピソードでは、変異N3 を除いた全ての変異例で、水源 に辿りついた後に 男性主人公 がしたのは、単に海神の王女及び/又は彼女の侍女が彼を発見するのを待つことだけだった。
    • 変異N3 は、シーン 18(「家長の登場」)で、到着したばかりの 男性主人公 を、海神自らが出迎えたとしている。このために、女性主人公 にとり重要なシーン 14及びシーン 15が存在しなくなっている。
    代行者 が、あらかじめ 水源 の傍にいる サルゴン誕生 では、男性主人公水源 の「傍」には留まらない。ただし、このことがどれほどの意味があるかは不明である。
    イシュマエル/ハガル における以前のシーンでの 守護者 ハガルは、このシーンでは 代行者 に変身する。
  2. モーセの出エジプト エピソードにおいて、ミディアンの祭司の娘達のうちツィポラ以外の6人には格別の役割がない。そして、姉妹の総数は、よく知られた聖数である「七」である。こうしたことから、この数自体には、複数であることが女性的な何物かを強調しているかもしれないということを除けば、重要性がない。ツィポラ以外は、ツィポラと等価と言える。
    ヤコブ/エサウ において、水源 の傍で 男性主人公 と出会う女性はただ一人ラケルのみである。ただし、ヤコブはラケルの前に「ハランの者」に遭っている( 創世記 29:4-8)。彼らは、ラケルの 同格者 とも 代行者 とも言いがたいが、それでも、男性主人公水源 の傍で 女性主人公 に遭う前に別の登場人物と遭っていたことは注意してよい。
    一番単純に考えるならば、代行者 は、地母神 が抱えきれなくなった [矛盾した諸性格] の比較的まとまった一部を引きうけるために必要となったのだろう。同格者 も、本来 代行者 であったものが、退化したとも考えられる。
    「ハランの者」も、実はもともとは 代行者 であったものから退化してきたのかもしれない。
  3. 水受領者 の幾つかの例では、水源 の傍に位置するため、植物 に似通う。
  4. 本シーンが存在する全ての 山幸/海幸 エピソード変異例(N3 にはシーンが無い)には、水を汲む道具と云う特徴が存在する。英語では "beatiful" と訳されている「玉」は、「宝石」又は「生命」(又は「活力」)をも意味しうることに注意。
  5. モーセの出エジプト には 水受領者 用具に就いて特段の事は述べていないとはいえ、それは文脈上必要である。
  6. ラケルは、ヤコブの交差いとこ(ヤコブの母の兄弟ラバンの娘)である。
  7. 女性主人公/代行者 は水神ではないが、水神的特徴を纏いうる。
  8. モーセ誕生 には、水受領者 は現れない(ただし、女性主人公 が「侍女達」を引き連れていることに注意)。その代わりに、男性主人公 を水から引き上げる道具として「パピルス籠」が代替的な働きをしているように見える。
  9. シーン 14 からシーン 17(シーン 18?)までの モーセの出エジプトヤコブ/エサウアブラハムの僕/リベカ 間の並行性は既知である。("THE NEW JERUSALEM BIBLE, Standard Edition p.82." 参照。)

シーン 15: 顕現

包括型
シノプシス顕現: 女性主人公/代行者 の水汲みは 妨害者 により妨げられる。女性主人公男性主人公 に気づく。
モーセの出エジプト エピソード シーン番号:15 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス顕現: 女性主人公 の水汲みは 妨害者 により妨げられる。女性主人公男性主人公 に気づく。
具体的には、男性主人公 が、水源 近くで 女性主人公 の前に姿を現わし、妨害者 を排除する。
羊飼いの男たちが来て、娘たちを追い払った。モーセは立ち上がって娘たちを救い、
( 出エジプト記 2:17)
山幸/海幸 エピソード
古事記版 (変異K) シーン番号:15 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス顕現: 女性主人公 の水汲みは 妨害者 により妨げられる。代行者男性主人公 に気づく。
具体的には、男性主人公 は、象徴的に 水源 中にあって 妨害者 となる。
井に光有り。仰ぎ見れば、麗しき壮夫(をとこ)有り。甚(いと)異奇(あや)しと以為(おも)ふ。
日本書紀版
変異N0 シーン番号:15 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス顕現: 代行者 の水汲みは 妨害者 により妨げられる。代行者男性主人公 に気づく。
具体的には、男性主人公 は、象徴的に 水源 中にあって 妨害者 となる。
[当(まさ)に水を汲まむとす。]因(よ)りて挙目(あふ)ぎて視(みそなは)す。乃ち驚きて・・・
変異N1 シーン番号:15 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス顕現: 女性主人公/代行者 の水汲みは 妨害者 により妨げられる。女性主人公/代行者男性主人公 に気づく。
具体的には、男性主人公 は、象徴的に 水源 中にあって 妨害者 となる。
将に玉壺(たまのつぼ)を以て水を汲む。仰ぎて火火出見尊を見つ。便ち驚き
副変異
一(ある)に云はく、豊玉姫の侍者(まかたち)、玉瓶(たまのつるべ)を以て水を汲む。終(つひ)に満つること能はず。俯(ふ)して井の中を視れば、倒(さかしま)に人の咲(ゑ)める顏映(て)れり。因りて仰ぎ観れば、一(ひとはしら)の麗(かほよき)神有(ま)して、杜樹(かつらのき)に倚(よりた)てり。
変異N2 シーン番号:15 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス顕現: 女性主人公 の水汲みは 妨害者 により妨げられる。代行者男性主人公 に気づく。
具体的には、男性主人公 は、象徴的に 水源 中にあって 妨害者 となる。
将(まさ)に水を汲まむとす。正(まさ)に人影(ひとのかげ)の、井の中に在るをみて、乃(すなは)ち仰ぎて視る。驚きて鋺(まり)を墜(おと)しつ。鋺(まり)既に破砕(われくだ)けぬるに、顧(かへり)みずして
変異N3 シーン番号:15 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
変異N4 シーン番号:15 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス顕現: 代行者 の水汲みは 妨害者 により妨げられる。代行者男性主人公 に気づく。
具体的には、男性主人公 は、象徴的に 水源 中にあって 妨害者 となる。
当(まさ)に井の水を汲まむとするに、人影(ひとのかげ)の水底(みなそこ)に在るを見て、酌み取ることを得ず。因りて仰ぎて天孫(あめみま)を見つ。
B型
シノプシス顕現: 女性主人公/代行者 の水汲み(サルゴン誕生)、又は、水源 中での水浴び(モーセ誕生)は、妨害者 により妨げられる。
男性主人公 は、実際(サルゴン誕生)、又は、象徴的(モーセ誕生)に水源 の中にいる。
サルゴン誕生 エピソード シーン番号:15 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス顕現: 代行者 の水汲みは、妨害者 により妨げられる。男性主人公 は、水源 の中にいて、妨害者 となる。
潅漑人アッキは、彼の水差を近づけて(水に漬けて)私をとり出した。
モーセ誕生 エピソード シーン番号:15 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス顕現: 女性主人公 は、男性主人公 の気づき、水源 での水浴びを妨げられる。男性主人公 は、象徴的に 水源 の中にいて、妨害者 となる。
王女は、葦の茂みの間に籠を見つけたので、仕え女をやって取って来させた。開けてみると、赤ん坊がおり、しかも男の子で、・・・
( 出エジプト記 2:5-6)
王女は・・・こう言った。「水の中からわたしが引き上げた(マーシャー)のですから。」
( 出エジプト記 2:10)
G型
木樵/ヘルメス エピソード シーン番号:15 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
R型
カヴルサン/友人 エピソード シーン番号:15 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
縮退型
ヤコブ/エサウ エピソード シーン番号:15 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス顕現: 女性主人公 の水汲みは 妨害者 により妨げられる。男性主人公 は、女性主人公 の前に現れ、 妨害者 を排除する。
[野原に井戸があり、]そのそばに羊が三つの群れになって伏していた。その井戸から羊の群れに、水を飲ませることになっていたからである。ところが、井戸の口の上には大きな石が載せられてあった。まず羊の群れを全部そこに集め、石を井戸の口から転がして羊の群れに水を飲ませ、また石を元の所に戻しておくことになっていた。
( 創世記 29:2-3)
ヤコブは、伯父ラバンの娘ラケルと伯父ラバンの羊の群れを見るとすぐに、井戸の口へ近寄り石を転がして、・・・
( 創世記 29:10)
参考種
アブラハムの僕/リベカ エピソード シーン番号:15 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス顕現: 男性主人公 は、水源 から水を汲んでいる 女性主人公 の前に現れて、自身が 妨害者 となる。
[彼女が泉に下りていき、水がめに水を満たして上がって来ると、]僕は駆け寄り、彼女に向かい合って語りかけた。
( 創世記 24:17)
イエス/サマリア人 エピソード シーン番号:15 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス顕現: 男性主人公 は、水源 に水を汲みにやってきた 女性主人公 の前に現れて、自身が 妨害者 となる。
[サマリアの女が水をくみに来た。]イエスは、[「水を飲ませてください」と言われた。]
( ヨハネ 4:7)
イエス/洗礼者ヨハネ エピソード シーン番号:15 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス顕現: 男性主人公 は、水源 の中から 代行者 の前に姿を表わす。
そのころ、イエスは・・・ヨルダン川でヨハネから洗礼を受けられた。水の中から上がるとすぐ、・・・
( マルコ 1:9-10)
マリアへの受胎告知 エピソード シーン番号:15 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス顕現: 男性主人公 が 水汲みをする 女性主人公 に呼びかけて、自身が 妨害者 となる。
するとどうでしょう、声があって言いました。「よろこべ、恵まれし女よ、主汝とともに在す。汝は女の中で祝福されしもの」彼女はどこから声がするのかと右左を見回しました。そして恐くなって・・・
( 原福音書 XI.1)
ハガル-イシュマエル群
ハガル/サライ エピソード シーン番号:15 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
イシュマエル/ハガル エピソード シーン番号:15 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無

シーン 15への注

シーン番号:15 [-1], [+1]
  1. このシーンは出産のメタファか?
  2. サルゴン誕生 で、「水差」( 水受領者 用具)は、その中に 男性主人公 が入ったとみなせるから、女性主人公 の子宮を象徴すると考えるべきだろう。
  3. モーセ誕生 で赤子モーセは「(水辺の)葦の茂みの間」( 出エジプト記 2:5)で見つかった。これは、K, N2, 及びN4男性主人公 が井戸の傍の「ユツカツラ」又は「モモエノカツラ」の上に居るところを発見されるのと対応する。
    注記: ブッダと蓮華はどうか?
  4. 古事記版山幸/海幸 エピソードにおいて、侍女はホヲリの姿に見とれたため、水を汲みそこねたはずである。(ただし、後になって彼女はホヲリに器に入れた水を手渡しているが。)
    日本書紀版の場合、N0 及び N1 主文 では、女性主人公/代行者 が、男性主人公 の姿に驚いたと記されており、水汲みは失敗したと推定される。また、N1sub, N2 及び N4 では、水汲みがうまくいかなかったことが明示されている。
    モーセの出エジプト にも、ミディアンの祭司の娘達が水を汲むのを邪魔する「羊飼い」が現れる。
    サルゴン誕生 では、アッキがサルゴンを拾い上げたために、水を汲めなかったように見える。
    ヤコブ/エサウ には、井戸の口を塞いでいた大きな石が出てくる。ヤコブがラケルが父ラバンの羊の群れを連れて遣ってくるのを見るとすぐに近づいていって、羊に水を与えるために井戸の口から石を転がす。ヤコブはまるで、井戸の中に隠れていたかのようだ。
    モーセ誕生 では、女性主人公代行者 も水を汲んでいない。しかし、女性主人公 の「水浴び」が 男性主人公 により中断されているようにみえる。
    「妨害」は、アブラハムの僕/リベカイエス/サマリア人 及び マリアへの受胎告知 にも見られる。
    つまり、エピソード間に「 水を汲んでいる又は汲もうとする者、或いは水浴しようとする者(大部分は「娘」)を妨げる妨害者が現われる」と云う注目すべき類似性があるわけだ。
    エピソード 妨害される人物 妨害される行為 妨害者 障害の除去者
    モーセの出エジプト 女性主人公 水汲み 羊飼い 男性主人公
    山幸/海幸-K 代行者 水汲み 男性主人公
    山幸/海幸-N0 代行者 水汲み 男性主人公
    山幸/海幸-N1 女性主人公 水汲み 男性主人公
    山幸/海幸-N1sub 代行者 水汲み 男性主人公
    山幸/海幸-N2 女性主人公 水汲み 男性主人公
    山幸/海幸-N4 代行者 水汲み 男性主人公
    サルゴン誕生 代行者 水汲み 男性主人公(?)
    モーセ誕生 女性主人公 水浴び 男性主人公
    ヤコブ/エサウ 女性主人公 水汲み 男性主人公
    アブラハムの僕/リベカ 女性主人公 水汲み 男性主人公
    イエス/サマリア人 女性主人公 水汲み 男性主人公
    マリアへの受胎告知 女性主人公 水汲み 男性主人公 (声)
    モーセの出エジプト 及び ヤコブ/エサウ における「妨害者(羊飼い及び石)」は、男性主人公 から分岐した特徴と推定される。
  5. 山幸/海幸サルゴン誕生モーセ誕生 及び イエス/洗礼者ヨハネ には、水中の 男性主人公 が出てくる。
    モーセを水中から引き出したファラオの王女(又は、「葦の茂みの間」の「籠」を取って来た「仕え女」)は、サルゴンを水中から拾い上げたアッキ 、及び水中にホヲリの姿を認めたトヨタマ姫の侍女と同格である。
    アッキの水差し、井戸及び玉器は、それぞれ 地母神 の子宮を象徴しているものと思われる。
  6. 従って、以下の結論が得られる。
    男性主人公 が、女性主人公 が、水源 から水を汲む(または 水源 で水浴びをする)のを妨げる、又は 女性主人公 の水汲みに対する障害を除去する」は、(短)共通シノプシス の重要なマーカーでありうる。
    このシーンの祖型は
    水源 中に 男性主人公 がいたために 女性主人公 水汲みが失敗する。
    と推定される。
  7. ヤコブ/エサウ で転がる石は、イエスの復活を連想させる。
  8. このシーンに特に関連して、「蛙王子」型の童話を分析することになるだろう。
  9. 将来、水から引き出された赤子と云うことに注目して「桃太郎」について議論する必要が出るかもしれない。
  10. ヨセフが、井戸(枯れていたとされているとは言え)の中から引き出さていることに注意。( 創世記 37:23-24, 28)
  11. この 水源 の水は、一種の「変若水(をちみづ)」であるかもしれない。

シーン 16: 水受領者

包括型
シノプシス水受領者: 水受領者 に水が入れられる。
モーセの出エジプト エピソード シーン番号:16 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス水受領者: 水受領者 に水が入れられる。具体的には、男性主人公 は、水受領者 獣に水を飲ませる。
(モーセは)、羊の群れに水を飲ませてやった。
( 出エジプト記 2:17)
山幸/海幸 エピソード
古事記版 (変異K) シーン番号:16 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス水受領者: 水受領者 に水が入れられる。具体的には、男性主人公代行者 に水を乞う。代行者 は、水受領者 用具に水を入れ、男性主人公 に捧げる。男性主人公 は、水受領者 用具から水を飲まず、そのかわり、水受領者 用具に身に付けていたタマと唾液を入れる。
しかして、火遠理命、其の従婢(まかだち)を見て、水得むと乞ひたまふ。婢(まかだち)乃(すなは)ち水酌(く)み、玉器(たまもひ)に入れて貢進(たてまつ)る。
しかして、水を飲まずて御頚のタマを解き、口に含(ふふ)み其の玉器(たまもひ)に唾(つは)き入れたまふ。ここに、其のタマ器(もひ)に著(つ)きて、婢(まかだち)タマを離(はな)ちえず。
日本書紀版
変異N0 シーン番号:16 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
変異N1 シーン番号:16 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
変異N2 シーン番号:16 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
変異N3 シーン番号:16 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
変異N4 シーン番号:16 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
B型
シノプシス涙: 男性主人公 は、泣いている (モーセ誕生 )。
サルゴン誕生 エピソード シーン番号:16 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
モーセ誕生 エピソード シーン番号:16 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス涙: 男性主人公 は、泣いている。
(開けてみると、赤ん坊がおり、しかも男の子で、)泣いていた。
( 出エジプト記 2:6)
G型
木樵/ヘルメス エピソード シーン番号:16 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
R型
カヴルサン/友人 エピソード シーン番号:16 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
縮退型
ヤコブ/エサウ エピソード シーン番号:16 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス水受領者: 男性主人公 は、水受領者 獣に水を飲ませる。男性主人公女性主人公 に口づけし、泣く。
ヤコブは、・・・伯父ラバンの羊に水を飲ませた。ヤコブはラケルに口づけし、声をあげて泣いた。
( 創世記 29:10-11)
参考種
アブラハムの僕/リベカ エピソード シーン番号:16 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス水受領者: 男性主人公 は、女性主人公 に水を乞う。男性主人公 は、水受領者 用具から水を飲む。女性主人公 は、水受領者 槽及び 水受領者 獣に水を与える。
男性主人公女性主人公 に、自分が持っていた宝飾品を身に付けさせる。
僕は・・・、彼女に向かい合って語りかけた。
「水がめの水を少し飲ませてください。」
すると彼女は、「どうぞ、お飲みください」と答え、すぐに水がめを下ろして手に抱え、彼に飲ませた。
( 創世記 24:17-18)
彼が飲み終わると、彼女は、「らくだにも水をくんで来て、たっぷり飲ませてあげましょう」と言いながら、すぐにかめの水を水槽に空け、また水をくみに井戸に走って行った。こうして、彼女はすべてのらくだに水をくんでやった。その間、僕は主がこの旅の目的をかなえてくださるかどうかを知ろうとして、黙って彼女を見つめていた。
( 創世記 24:19-21)
らくだが水を飲みおわると、彼は重さ半シェケルの金の鼻輪一つと十シェケルの金の腕輪二つをとり出しながら、「あなたは、どなたの娘さんですか。教えてください。お父様の家には私どもが泊めていただける場所があるでしょうか」と尋ねた。すると彼女は、「わたしは、ナホルとその妻ミルカの子ベトエルの娘です」と答え、更に続けて、「わたしどもの所にはわらも餌もたくさんあります。お泊りになる場所もございます」と言った。
( 創世記 24:22-25)
イエス/サマリア人 エピソード シーン番号:16 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス水: 男性主人公女性主人公 に水を乞う。
イエスは、「水を飲ませてください」と言われた。
( ヨハネ 4:7)
イエス/洗礼者ヨハネ エピソード シーン番号:16 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
マリアへの受胎告知 エピソード シーン番号:16 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
ハガル-イシュマエル群
ハガル/サライ エピソード シーン番号:16 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
イシュマエル/ハガル エピソード シーン番号:16 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス涙: 男性主人公 は、泣いている。
神は子供の泣き声を聞かれ、・・・
( 創世記 21:17)

シーン 16への注

シーン番号:16 [-1], [+1]
  1. 古事記版山幸/海幸 エピソードで、男性主人公 が水の入った玉器( 水受領者 用具)にタマと唾液を入れることは、性的隠喩であるかもしれない。この場合、水受領者 は、女性主人公 の子宮は象徴すると考えられる。
    玉器について離れないタマは、シーン 26での魚の喉に引っかかった釣り鉤を連想させる。
  2. 山幸/海幸 エピソード(K)で、男性主人公 のタマが 水受領者 用具に固着するのは、アブラハムの僕/リベカ エピソードで、男性主人公 が持参した金の鼻輪及び金の腕輪で、女性主人公 が飾られることに対応する。ただし、この特徴は、山幸/海幸(K) 及び アブラハムの僕/リベカ にのみ見られ、その他のエピソードには見られない。
    • 注意: 「新共同訳聖書」創世記 24:22では、女性主人公 に宝飾品を身に付けたことが明瞭ではない。ただし、創世記 24:30では、リベカの兄ラバンが「妹が著けている鼻輪と腕輪を見」たと記されている。
    この事件は、山幸/海幸 (K) では、美しく魅力的だか泣き虫で無能で自己中心的な(まるで赤子のようだ)若者であるホヲリが自発的に行なった二つの行動のうちの一つであるから、いつか更に検討する必要があろう。(もう一つは、「サチ」の交換をせがんだことである。)
    なお、男性主人公 の「無能力」と云う点では、アブラハムの僕/リベカ において、男性主人公女性主人公 の作業を「黙って見つめていた」ことにも注意。
  3. モーセの出エジプトヤコブ/エサウ とは、家長 の羊の群れ( 水受領者 獣)のため 女性主人公 ( 同格者 )がしようとする水汲みを、男性主人公 が代わりに行なうと云うモチーフが一致している。これらの場合も性的な含意があると考えてよいだろう。
  4. 山幸/海幸 (変異K)、アブラハムの僕/リベカ 及び イエス/サマリア人 において、女性主人公/代行者 に対し 男性主人公 は飲もうとして若干の水を求める。水を飲むことの意味は何なのか?
    アブラハムの僕/リベカ では、女性主人公 が、水受領者 槽(水槽)及び 男性主人公 の連れてきた 水受領者 獣(ラクダ)に水を与えている。
  5. ヤコブは、ラケルに出会い、キスをしてから声をあげて泣いた。( 創世記 29:11)。ヤコブの行動は、ファラオの王女が赤子モーセを発見した際に、赤子モーセが泣いていたことを思い起こさせる。ハガルもまた泣いた。( 創世記 21:17)
    後にラバンもヤコブに口づけしている。
    古事記版山幸/海幸 エピソードのシーン 8では、ホヲリはシホツチに遭ったときに泣いていた。
  6. このシーンには、三つのモードがあるようだ:
    1. 男性主人公 が、女性主人公/代行者 に水を乞う。(場合により、その水を飲む。)
    2. 男性主人公 は、水その他の物を 水受領者 に与える。
    3. 男性主人公 は泣く。
    モードの有無を表にすると以下のようになる:
    エピソード A B C
    モーセの出エジプト - + -
    山幸/海幸-K ± + -
    モーセ誕生 - - +
    ヤコブ/エサウ - + +
    アブラハムの僕/リベカ + - -
    イエス/サマリア人 + - -
    イシュマエル/ハガル - - +
    勿論、該当エピソードでは、モードA, B, C の何れかは成立する。
    モードA ( 男性主人公 が水を乞う/飲む)とモードC( 男性主人公 が泣く)は両立していない。
    該当エピソードの範囲内では、モードB( 男性主人公 は、水その他の物を 水受領者 に与える。)の存否と、神格 の存否とは一致する。
    山幸/海幸 変異Kでは、男性主人公 は実際には水を飲んでいないから、モード Aの成立に「水を飲む」ことが必須であると厳格に解釈するならば、モード Aとモード Bも両立しない。また、この解釈のもとでは、ヤコブ/エサウ 以外のすべてのエピソードで、一つのモードのみが成立している。また、モードAは、モードB及びモードCの論理和と相補的になる。つまり、モードAは、モードB及びモードCがともに成立しないときに、そしてその時にのみ成立する。
    • ただし、女性主人公水受領者 とを同一視するなら、アブラハムの僕/リベカ エピソードでのモードBは、+ と見なせることに注意。その場合、ここでの議論は成立しない。
    イシュマエル/ハガルのシーン 20 (「家の中での歓迎」)において、男性主人公 は水を飲み、女性主人公 は、水受領者 に水を満たしていることに注意。
  7. このシーンが 山幸/海幸 エピソードの 日本書紀版 変異例には存在しないことは注意してよい。

シーン 17: [女性主人公/代行者]の家への帰還

包括型
シノプシス[女性主人公/代行者]の家への帰還: 女性主人公/代行者 は、 に帰還する。
モーセの出エジプト エピソード シーン番号:17 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス女性主人公の家への帰還: 女性主人公 は、 に帰還する。
娘たちが父レウエルのところに帰ると、・・・
( 出エジプト記 2:18)
山幸/海幸 エピソード
古事記版 (変異K) シーン番号:17 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス代行者の家への帰還: 代行者 は、 に帰還する。
故(かれ)、タマ著(つ)け任(なが)ら豊玉毘売命に進(たてまつ)る。
日本書紀版
変異N0 シーン番号:17 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス女性主人公の家への帰還: 女性主人公 は、 に帰還する。
還り入りて、・・・
変異N1 シーン番号:17 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス[女性主人公/代行者]の家への帰還: 女性主人公/代行者 は、 に帰還する。
[豊玉姫]還りて、・・・
副変異
一(ある)に云はく、豊玉姫の侍者(まかたち)・・・故(かれ)、還り入りて・・・
変異N2 シーン番号:17 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス女性主人公の家への帰還: 女性主人公 は、 に帰還する。
還(かへ)り入りて・・・
変異N3 シーン番号:17 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
変異N4 シーン番号:17 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス代行者の家への帰還: 代行者 は、 に帰還する。
豊玉姫の侍者(まかたち)・・・即ち入りて・・・
B型
シノプシスシーン無
サルゴン誕生 エピソード シーン番号:17 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
モーセ誕生 エピソード シーン番号:17 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
G型
木樵/ヘルメス エピソード シーン番号:17 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
R型
カヴルサン/友人 エピソード シーン番号:17 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
縮退型
ヤコブ/エサウ エピソード シーン番号:17 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス女性主人公の帰宅: 女性主人公 は、 に帰還する。
ヤコブはやがて、ラケルに、自分が彼女の父の甥に当たり、リベカの息子であることを打ち明けた。ラケルは走って行って、父に知らせた。
( 創世記 29:12)
参考種
アブラハムの僕/リベカ エピソード シーン番号:17 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス女性主人公の帰宅: 女性主人公 は、 に帰還する。
娘は走っていき、母の家の者に出来事を告げた。
( 創世記 24:28)
イエス/サマリア人 エピソード シーン番号:17 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス女性主人公の帰宅: 女性主人公 は、 に帰還する。
(女は、水がめをそこに置いたまま)町に行き、人々に言った。
( ヨハネ 4:28)
イエス/洗礼者ヨハネ エピソード シーン番号:17 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
マリアへの受胎告知 エピソード シーン番号:17 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス女性主人公の帰宅: 女性主人公 は、 に帰還する。
家へ帰り、水がめを置き、紫布をとって自分の席につき、織りつづけました。
( 原福音書 XI.1)
ハガル-イシュマエル群
ハガル/サライ エピソード シーン番号:17 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
イシュマエル/ハガル エピソード シーン番号:17 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無

シーン 17への注

シーン番号:17 [-1], [+1]
  1. モーセの出エジプト山幸/海幸 (男性主人公家長 と直接出会う 日本書紀版 変異N3 を除く)、ヤコブ/エサウ 及び イエス/サマリア人 では、女性主人公/代行者 は、男性主人公 を後に(確実に 水源 の傍に)残して、 に戻っている。
    アブラハムの僕/リベカ は、男性主人公 が井戸の傍に取り残されたと明確に認めている( 創世記 24:30)。
  2. マリアへの受胎告知 で、女性主人公 が「水汲み」の前後に機織りに関わる作業をしていたらしいことは注目してよい。
  3. シーン 14からシーン 17までの、女性主人公/代行者 の行動は、 が基準になっている。彼女たちは、 から出てきて、 に戻っている。

シーン 18: 家長の登場

包括型
シノプシス家長の登場: 女性主人公 の父親である 家長 が登場する。
モーセの出エジプト エピソード シーン番号:18 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス家長の登場: 女性主人公 の父親である 家長 が登場する。女性主人公 は、家長 に、男性主人公 の到来を告げる。
父は、「どうして今日はこんなに早く帰れたのか」と尋ねた。
( 出エジプト記 2:18)
彼女たちは言った。「一人のエジプト人が羊飼いの男たちからわたしたちを助け出し、わたしたちのために水をくんで、羊に水を飲ませてくださいました。」
( 出エジプト記 2:19)
山幸/海幸 エピソード
古事記版 (変異K) シーン番号:18 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス家長の登場: 女性主人公 の父親である 家長 が登場する。女性主人公 は、家長 に、男性主人公 の到来を告げる。
しかして、其のタマを見て、婢(まかだち)を問ひて曰く、「若し人、門の外(と)に有りや。」といふ。
答へて曰(まを)さく。「人有りて、我が井(ゐ)の上(へ)の香木(かつら)の上(うへ)に坐(いま)す。甚(いと)麗しき壮夫(をとこ)なり。我が王(きみ)に益(ま)して甚(いと)貴(たふと)し。故(かれ)、其の人水を乞はす故(ゆゑ)に、水奉(まつ)れば、水を飮まさずて、このタマを唾(つは)き入れたまふ。是(これ)離(はな)ちえず。故(かれ)、入れ任(なが)ら将(も)ち来て献(たてまつ)りぬ。」とまをす。
しかして、豊玉毘売命、奇(あや)しと思ひて、出で見る乃(すなは)ち、見感(みめ)でて目合(まぐあひ)して、其の父に白(まを)して曰く、「吾(あ)が門(かど)に麗しき人有り。」といふ。
しかして、海神(わたのかみ)自ら出で見て・・・
日本書紀版
変異N0 シーン番号:18 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス家長の登場: 女性主人公 の父親である 家長 が登場する。女性主人公 は、家長 に、男性主人公 の到来を告げる。
其の父母(かぞいろは)に白して曰さく、「一(ひとり)の希客者(めづらしきひと)有(ま)します。門(かど)の前(まへ)の樹(こ)の下(もと)に在(ま)す」とまうす。
変異N1 シーン番号:18 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス家長の登場: 女性主人公 の父親である 家長 が登場する。女性主人公/代行者 は、家長 に、男性主人公 の到来を告げる。
[ 女性主人公 ]・・・其の父(かぞ)の神に白(まう)して曰(まう)さく、「門(かど)の前(まへ)の井(ゐ)の辺(かたはら)の樹(こ)の下(もと)に、一(ひとり)の貴客(よきまらうと)有(ま)す。骨法(かたち)常(ただひと)に非ず。若し天(あめ)より降(くだ)れらば、天垢(あまのかほ)有るべし。地(つち)より来(のぼ)れらば、地垢(つちのかほ)有るべし。実(まこと)に是(これ)妙美(まぐは)し。・・・」とまうす。
副変異
一(ある)に云はく、豊玉姫の侍者(まかたち)・・・其の王(きみ)に白(まう)すといふ。
変異N2 シーン番号:18 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス家長の登場: 女性主人公 の父親である 家長 が登場する。女性主人公 は、家長 に、男性主人公 の到来を告げる。
父母(かぞいろは)に謂(かた)りて曰はく、「妾(やつこ)、一人(ひとりのひと)の、井の辺(かたはら)の樹の上に在(ま)すを見つ。顏色(かほ)甚だ美(よ)く、容貌(かたち)且(また)閑(みや)びたり。・・・」
変異N3 シーン番号:18 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス家長の登場: 女性主人公 の父親である 家長 が登場する。
是の時に、海神、自(みづか)ら迎へて・・・
変異N4 シーン番号:18 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス家長の登場: 女性主人公 の父親である 家長 が登場する。代行者 は、家長 に、男性主人公 の到来を告げる。
豊玉姫の侍者(まかたち)・・・其の王(きみ)に告げて曰はく、「吾(やつかれ)、我が王(おほきみ)を独(ひとり)能く絶(すぐれて)麗(かほよ)くましますと謂(おも)ひき。今(いま)一(ひとり)の客(まらうと)有り。弥復遠勝(おほくまさ)りまつれり」といふ。
B型
シノプシスシーン無
サルゴン誕生 エピソード シーン番号:18 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
モーセ誕生 エピソード シーン番号:18 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
G型
木樵/ヘルメス エピソード シーン番号:18 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
R型
カヴルサン/友人 エピソード シーン番号:18 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
縮退型
ヤコブ/エサウ エピソード シーン番号:18 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス家長登場: 女性主人公 の父親である 家長 が登場する。女性主人公 は、家長 に、男性主人公 の到来を告げる。
(ラケルは走って行って、)父に知らせた。ラバンは、妹の息子ヤコブの事を聞くと、走って迎えに行き、ヤコブを抱き締め口づけした。
( 創世記 29:12-13)
参考種
アブラハムの僕/リベカ エピソード シーン番号:18 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス家長登場: 女性主人公 の兄である 家長 が登場する。女性主人公 は、家長 に、男性主人公 の到来を告げる。
リベカにはラバンという兄がいたが、ラバンはすぐに町の外れの泉の傍らにいるその人のところへ走った。妹が着けている鼻輪と腕輪を見、妹リベカが、「その人がこう言いました」と話しているのを聞いたためである。彼が行ってみると、確かに泉のほとりのらくだのそばにその人が立っていた。
( 創世記 24:29-30)
イエス/サマリア人 エピソード シーン番号:18 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
イエス/洗礼者ヨハネ エピソード シーン番号:18 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス家長登場: 家長 その1が登場する。
天が裂けて"霊"が鳩のように御自分に下って来るのを御覧になった。
( マルコ 1:10)
マリアへの受胎告知 エピソード シーン番号:18 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス家長登場: 家長 が登場する。
するとほうら、主の御使いが彼女の前に立って・・・
( 原福音書 XI.2)
ハガル-イシュマエル群
ハガル/サライ エピソード シーン番号:18 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス家長登場: 家長 が登場する。
主の御使いが荒れ野の泉のほとり、シュル街道に沿う泉のほとりで彼女と出会って、
( 創世記 16:7)
イシュマエル/ハガル エピソード シーン番号:18 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス家長登場: 家長 が登場する。
[神は子供の泣き声を聞かれ、]天から神の御使いがハガルに呼びかけて言った。
( 創世記 21:18)

シーン 18への注

シーン番号:18 [-1], [+1]
  1. モーセの出エジプト山幸/海幸N3を除く全変異例、ヤコブ/エサウ及びアブラハムの僕/リベカで、女性主人公/代行者 は、 家長男性主人公 の顕現を知らせる。
  2. モーセの出エジプト 及び 山幸/海幸 (変異K) で、女性主人公/代行者 は、家に戻ってきた時に、何が起ったのか尋ねられている。
    エピソード モーセの出エジプト 山幸/海幸 (K)
    尋ねた者 家長 女性主人公
    尋ねられた者 女性主人公 及び 同格者 代行者
    質問 どうして今日はこんなに早く帰れたのか 若し人、門の外に有り哉
    ヤコブ/エサウ では、しかし、家長 であるラバンは、女性主人公 であるラケルに何も尋ねなかったようだ。
  3. 山幸/海幸 エピソードでは、男性主人公 は「」及び/又は「」と呼ばれている:
    変異 麗しさ
    K 「甚(いと)麗しき」及び「我が王(きみ)に益(ま)して甚(いと)貴(たふと)し」
    N0 希客者(めづらしきひと)
    N1 貴客(よきまらうと)
    N2
    N3
    N4 「客(まらうと)」及び「我が王(おほきみ)[に]・・・弥復遠勝(おほくまさ)りまつれり」
    (変異K)で、侍女はホヲリのことを「いと麗しき壯夫なり」と形容している。また、豊玉姫も「麗しき人」と言っている。ここで、我々は モーセ誕生 で、赤子モーセが「かわいかった」( 出エジプト記 2:2)ことを思い出すべきだろう。
  4. ヤコブ/エサウ に関するかぎりでは、ヤコブの到着に対するラバンの稍々大袈裟な反応(「走って迎えに行き、ヤコブを抱き締め口づけした」)は、参入儀式の意味あいが有りそうである。
  5. 山幸/海幸 エピソード 変異K では、海神は、王女からホヲリの事を告げられると、外に出てくる。同様に、ヤコブ/エサウ では、「ラバンは、妹の息子ヤコブの事を聞くと、走って迎えに行き」と書かれている。ラバンは、アブラハムの僕/リベカ でも走っている。これに対し、モーセの出エジプト では、ミディアンの祭司は家の外には出てきていないようである( 出エジプト記 2:20 参照)。
  6. 山幸/海幸 エピソード 変異N3 は、シーン 18からシーン 25にかけて、ストーリー展開が標準的なシノプシスから逸脱している。要約すると、シーン 25(「神格の認識」)がシーン 20(「家の中での歓迎」)とシーン 21(「対形成」)との間に転移している。シーン 19(「正体」)、シーン 23(「苦悩」) 及びシーン 24(「神格との接触」)は失われている。整理すると:
    テキスト シーン番号
    家長の登場:
    是の時に、海神、自(みづか)ら迎へて
    18
    家の中での歓迎:
    延(ひ)き入れて、乃ち海驢(みち)の皮八重(やへ)を舗設(し)きて、其の上に坐(す)ゑたてまつらしむ。兼ねて饌百机(ももとりのつくゑもの)を設けて、主人(あるじ)の礼(ゐや)を尽す。
    20
    神格の認識:
    因りて従容(おもぶる)に問ひて曰(まう)さく、「天神(あまつかみ)の孫(みま)、何以(なにのゆゑに)か辱(かたじけな)く臨(い)でましつる」とまうす。
    副変異
    一(ある)に云はく、「頃(このごろ)、吾が児(こ)来語(かた)りて曰はく、『天孫(あめみま)海辺(うみへた)に憂へ居(ま)すといへども、虚実(いつはりまこと)を審(し)らず』といふ。蓋し有ることか」とまうす。
    彦火火出見尊、具(つぶさ)に事の本末(あるかたち)を申(の)べたまふ。
    25
    対形成:
    海神、則ち其の子(むすめ)豊玉姫に以て妻(あは)せまつる。
    21
    時間経過:
    因りて留まり息(す)みたまふ。遂に纏綿(むつまか)に篤愛(にたしみ)して、已に三年(みとせ)に経(な)りぬ。
    22

シーン 19: 正体

包括型
シノプシス正体: 男性主人公正体女性主人公/家長 により言及される。
モーセの出エジプト エピソード シーン番号:19 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス正体: 男性主人公正体女性主人公 により言及される。
彼女たちは言った。「一人のエジプト人が羊飼いの男たちからわたしたちを助け出し、わたしたちのために水をくんで、羊に水を飲ませてくださいました。」
( 出エジプト記 2:19)
山幸/海幸 エピソード
古事記版 (変異K) シーン番号:19 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス正体: 男性主人公正体家長 により言及される。
海神(わたのかみ)・・・云(の)らさく、「此の人は、天津日高(あまつひこ)の御子(みこ)、虚空津日高(そらつひこ)そ。」とのらして、・・・
日本書紀版
変異N0 シーン番号:19 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
変異N1 シーン番号:19 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス正体: 男性主人公正体女性主人公 及び 男性主人公 により言及される。
[ 女性主人公 は]「・・・虚空彦(そらつひこ)といふ者か」とまうす。
是(ここ)に、豊玉彦、人を遣(つかは)して問ひて曰(まう)さく、「客(まらうと)は是誰(た)そ。何(なに)の以(ゆゑ)か此(ここ)に至(い)でませる」とまうす。火火出見尊(ほほでみのみこと)対(こた)へて曰(のたま)はく、「吾(われ)は是(これ)、天神(あまつかみ)の孫(みま)なり」とのたまふ。乃(すなは)ち遂に来(みた)せる意(みこころ)を言(のたま)ふ。時に海神(わたつみ)、迎へ拜み・・・
変異N2 シーン番号:19 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス正体: 男性主人公正体女性主人公 により言及される。
[ 女性主人公 は]「・・・殆(ほとほど)に常之人(ただのひと)に非ず」といふ。
変異N3 シーン番号:19 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
変異N4 シーン番号:19 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス正体: 男性主人公正体家長 により言及される。
海神(わたつみ)聞きて曰はく、「試(こころみ)に察(み)む」といひて、乃(すなは)ち三つの床(ゆか)を設けて請入(いりま)さしむ。是(ここ)に、天孫(あめみま)、辺(ほとり)の床にしては、其の両足(ふたつのあし)を拭(のご)ふ。中(なか)の床(ゆか)にしては、其の両手(ふたつのて)を拠(お)す。内(うち)の床にしては、真床覆衾(まとこおふふすま)の上に寛坐(うちあぐみにゐ)る。海神(わたつみ)見て、乃(すなは)ち是(これ)天神(あまつかみ)の孫(みま)といふことを知りぬ。益加崇敬(ますますあがめゐやま)ふ。云云(しかしかいふ)。
B型
シノプシス正体: 男性主人公正体女性主人公 により言及される。(モーセ誕生)。
サルゴン誕生 エピソード シーン番号:19 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
モーセ誕生 エピソード シーン番号:19 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス正体: 男性主人公正体女性主人公 により言及される。
王女はふびんに思い、「これは、きっと、ヘブライ人の子です」と言った。
( 出エジプト記 2:6)
王女は彼をモーセと名付けてこう言った。「水の中からわたしが引き上げた(マーシャー)のですから。」
( 出エジプト記 2:10)
G型
木樵/ヘルメス エピソード シーン番号:19 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
R型
カヴルサン/友人 エピソード シーン番号:19 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
縮退型
ヤコブ/エサウ エピソード シーン番号:19 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス正体: 男性主人公正体家長 により言及される。
ヤコブがラバンに事の次第をすべて話すと、ラバンは彼に言った。「お前は、本当にわたしの骨肉の者だ。」
( 創世記 29:13-14)
参考種
アブラハムの僕/リベカ エピソード シーン番号:19 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス正体: 男性主人公正体家長 により言及される。
そこで、ラバンは言った。
「おいでください。主に祝福されたお方。・・・
( 創世記 24:31)
イエス/サマリア人 エピソード シーン番号:19 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス正体: 男性主人公正体女性主人公 により言及される。
「さあ、見に来てください。わたしが行なったことをすべて、言い当てた人がいます。もしかしたら、この方がメシアかもしれません。」
( ヨハネ 4:29)
イエス/洗礼者ヨハネ エピソード シーン番号:19 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス正体: 男性主人公正体家長 その2により言及される。
すると、「あなたはわたしの愛する子、わたしの心に適う者」という声が、天から聞こえた。
( マルコ 1:11)
マリアへの受胎告知 エピソード シーン番号:19 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
ハガル-イシュマエル群
ハガル/サライ エピソード シーン番号:19 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
イシュマエル/ハガル エピソード シーン番号:19 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス正体: 男性主人公正体家長 により言及される。
立って行って、あの子を抱き上げ、お前の手でしっかり抱き締めてやりなさい。わたしは、必ずあの子を大きな国民とする。」
( 創世記 21:18)

シーン 19への注

シーン番号:19 [-1], [+1]
  1. 男性主人公正体 と、その「発呼者」とを表にまとめると以下のようになる。
    エピソード 発呼者 正体
    モーセの出エジプト 女性主人公 エジプト人
    山幸/海幸-K 家長 ソラツヒコ
    山幸/海幸-N1 女性主人公男性主人公 ソラツヒコ、天神(あまつかみ)の孫(みま)
    山幸/海幸-N2 女性主人公 殆(ほとほど)に常之人(ただのひと)に非ず
    山幸/海幸-N4 家長 天神(あまつかみ)の孫(みま)
    モーセ誕生 女性主人公 ヘブライ人の子 (又はモーセ?)
    ヤコブ/エサウ 家長 わたしの骨肉の者
    アブラハムの僕/リベカ 家長 主に祝福されたお方
    イエス/サマリア人 女性主人公 メシア
    イエス/洗礼者ヨハネ 家長 あなたはわたしの愛する子
    イシュマエル/ハガル 家長 「大きな国民」の祖先
    家長 は、女性主人公 又は 代行者 から派生したもので、男性主人公正体 の暗示(再命名)は本来は 女性主人公 が受け持っていたのだろう。

シーン 20: 家の中での歓迎

包括型
シノプシス家の中での歓迎: 男性主人公 は、 に入り、家長 に歓迎される。
モーセの出エジプト エピソード シーン番号:20 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス家の中での歓迎: 男性主人公 は、 に入り、家長 に歓迎される。
父は、娘たちに言った。「どこにおられるのだ、その方は。どうして、お前たちはその方をほうっておくのだ。呼びに行って、食事を差し上げなさい。」
( 出エジプト記 2:20)
山幸/海幸 エピソード
古事記版 (変異K) シーン番号:20 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス家の中での歓迎: 男性主人公 は、 に入り、家長 に歓迎される。
即ち内に率(ゐ)て入りて、美知(みち)の皮の畳(たたみ)八重(やへ)敷き、亦、絹畳八重(やへ)其の上に敷き、その上に坐(いま)せて、百取(ももとり)の机代(つくえしろ)の物を具へ、御饗(みあへ)して、・・・
日本書紀版
変異N0 シーン番号:20 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス家の中での歓迎: 男性主人公 は、 に入り、家長 に歓迎される。
海神(わたつみ)、是に、八重席薦(やへたたみ)を舗設(し)きて、延(ゐ)て内(い)る。
変異N1 シーン番号:20 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス家の中での歓迎: 男性主人公 は、 に入り、家長 に歓迎される。
海神(わたつみ)・・・延(ゐ)て入れまつりて、慇懃(ねむころ)に奉慰(つかへまつ)る。
変異N2 シーン番号:20 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス家の中での歓迎: 男性主人公 は、 に入り、家長 に歓迎される。
時に父(かぞ)の神聞きて奇(あやし)びて、乃ち八重席(やへだたみ)を設(し)きて迎へ入る。
変異N3 シーン番号:20 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス家の中での歓迎: 男性主人公 は、 に入り、家長 に歓迎される。
延(ひ)き入れて、乃ち海驢(みち)の皮八重(やへ)を舗設(し)きて、其の上に坐(す)ゑたてまつらしむ。兼ねて饌百机(ももとりのつくゑもの)を設けて、主人(あるじ)の礼(ゐや)を尽す。
変異N4 シーン番号:20 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
B型
シノプシス養育: 男性主人公 は、代行者 に養育される。
サルゴン誕生 エピソード シーン番号:20 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス養育: 男性主人公 は、代行者 に養育される。
潅漑人アッキは、かれの子として私を[とり上げ]、私を養育した。
潅漑人アッキは、私をかれの園丁に命じた。
モーセ誕生 エピソード シーン番号:20 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス養育: 男性主人公 は、代行者 に養育される。
そのとき、その子の姉がファラオの王女に申し出た。「この子に乳を飲ませるヘブライ人の乳母を呼んで参りましょうか。」
「そうしておくれ」と、王女が頼んだので、娘は早速その子の母を連れて来た。
王女が、「この子を連れて行って、わたしに代って乳を飲ませおやり。手当てはわたしが出しますから」と言ったので、
母親はその子を引き取って乳を飲ませ、・・・
( 出エジプト記 2:7-9)
G型
木樵/ヘルメス エピソード シーン番号:20 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
R型
カヴルサン/友人 エピソード シーン番号:20 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス儀式: 男性主人公 は、 の中に入り、( 家長 が主催する?) 儀式に参加する。
[その村の一軒の家に]やかましい騒ぎと悲嘆とを耳にする。というのは、一人の乙女のために豚の犠牲を供しておるのである。その乙女は、咽頭に魚骨がひっかかって苦しんでいる。家の中に入ったカヴルサンは、・・・
縮退型
ヤコブ/エサウ エピソード シーン番号:20 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス家の中での歓迎: 男性主人公 は、 に入り、家長 に歓迎される。
それから、ヤコブを自分の家に案内した。
( 創世記 29:13)
ヤコブがラバンのもとにひと月ほど滞在したある日、ラバンはヤコブに言った。「お前は身内の者だからといって、ただで働くことはない。どんな報酬が欲しいか言ってみなさい。」
( 創世記 29:15)
ところで、ラバンには二人の娘があり、姉の方はレア、妹の方はラケルといった。レアは優しい目をしていたが、ラケルは顔も美しく、容姿も優れていた。ヤコブはラケルを愛していたので、「下の娘のラケルをくださるなら、わたしは七年間あなたの所で働きます」と言った。ラバンは答えた。「あの娘をほかの人に嫁がせるより、お前に嫁がせるほうが良い。わたしの所にいなさい。」
( 創世記 29:16-19)
ヤコブはラケルのために七年間働いたが、彼女を愛していたので、それはほんの数日のように思われた。
( 創世記 29:20)
ヤコブはラバンに言った。「約束の年月が満ちましたから、わたしのいいなずけと一緒にならせてください。」ラバンは土地の人たちを皆集め祝宴を開き、夜になると、娘のレアをヤコブのもとへ連れて行ったので、ヤコブは彼女のところに入った。ラバンはまた、女奴隷ジルパを娘レアに召し使いとして付けてやった。ところが、朝になってみると、それはレアであった。ヤコブがラバンに、「どうしてこんなことをなさったのですか。わたしがあなたのもとで働いたのは、ラケルのためではありませんか。なぜ、わたしをだましたのですか」と言うと、ラバンは答えた。「我々の所では、妹を姉より先に嫁がせることはしないのだ。とにかく、この一週間の婚礼の祝いを済ませなさい。そうすれば、妹のほうもお前に嫁がせよう。だからもう七年間、うちで働いてもらわねばならない。」ヤコブが、言われたとおりに一週間の婚礼の祝いを済ませると、・・・
( 創世記 29:21-28)
参考種
アブラハムの僕/リベカ エピソード シーン番号:20 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス家の中での歓迎: 男性主人公 は、 に入り、家長 に歓迎される。
そこで、ラバンは言った。
「・・・なぜ、町の外に立っておられるのですか。わたしが、お泊りになる部屋もらくだの休む場所も整えました。」その人は家に来て、らくだの鞍をはずした。らくだにはわらと餌が与えられ、その人と従者たちには足を洗う水が運ばれた。
やがて食事が前に並べられたが、その人は言った。「用件をお話しするまでは、食事をいただくわけにはまいりません。」「お話しください」とラバンが答えると、
( 創世記 24:31-33)
イエス/サマリア人 エピソード シーン番号:20 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス歓迎: 男性主人公 は、家長 に信じられる。
さて、その町の多くのサマリア人は、「この方が、わたしの行なったことをすべて言い当てました」と証言した女の言葉によって、イエスを信じた。
( ヨハネ 4:39-40)
イエス/洗礼者ヨハネ エピソード シーン番号:20 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
マリアへの受胎告知 エピソード シーン番号:20 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
ハガル-イシュマエル群
ハガル/サライ エピソード シーン番号:20 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
イシュマエル/ハガル エピソード シーン番号:20 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス水を飲む: 男性主人公 は、代行者 が与えた水を飲む。
[神がハガルの目を開かれたので、彼女は水のある井戸を見つけた。]彼女は行って革袋に水を満たし、子供に飲ませた。
( 創世記 21:19)

シーン 20への注

シーン番号:20 [-1], [+1]
  1. 中心キャラクターが[ 女性主人公/代行者 ]から 家長 に代っているとはいえ、シーン 18からシーン 20までは、シーン 14からシーン 16までと同一パターンを有する。
    中心キャラクター 女性主人公/代行者 家長
    シーンの内容 シーン 14: [女性主人公/代行者]の登場 シーン 18: 家長の登場
    シーン 15: 顕現 シーン 19: 正体
    シーン 16: 水受領者 シーン 20: 家の中での歓迎
  2. 神話の構造としは、家長 が、女性主人公 から直接派生するのではなく、代行者 に由来すると云うことが分る(実際の歴史のことは、断定できない)。関係をまとめると、次のようになる。
    深層 中間層 表層
    エピソード [地母神局面] モーセ誕生
    サルゴン誕生
    山幸/海幸 モーセの出エジプト
    カヴルサン/友人
    ヤコブ/エサウ
    アブラハムの僕/リベカ
    イエス/サマリア人
    派生関係 地母神 --> 女性主人公
    (王女/女神)
    --> 女性主人公
    ( 家長 の娘)
    --> 女性主人公
    ( 家長 の娘/妹及び知人)
    --> 代行者 --> 代行者 ( 女性主人公 の侍女) --> 家長
    --> 家長
    エピソードの「層」が上がるに従い、女性主人公 の社会的な(家庭内の)地位が低下するようである。
  3. モーセの出エジプト 及び 山幸/海幸 では、 家長 が宴会を開く。何故、男性主人公 は、女性主人公 と結婚する前に、彼女の父と会食しなければならないのか?
    • 宴会は、男性主人公女性主人公 の家庭又は社会に参入するための儀式である。しかし、それなら何故縁組みが必要なのか?
    • 山幸/海幸変異N1では、海神の名前は「トヨマタヒコ」であって、「トヨタマヒメ」の夫(又は愛人又は兄弟)であることを意味しうる。
    • 宴会は、地母神 の赤子に対する授乳を象徴しているかもしれない。
    • ヤコブ/エサウ で、男性主人公 が、女性主人公 の姉であるレアと結婚するのもこのモチーフであろう。(レアは、物語上、ラケルとは独立した役割を有するから、同格者とはならない。)
  4. 何故、ファラオの王女は、モーセのことを、彼の姉の進言にしたがって彼の母に任せたのか? この謎は、エピソードが、一種の アドニス/(アフロディテ+ペルセポネ) 神話であると看做すと解けるかもしれない。
    ファラオの王女は、恋愛者としての 地母神 を代表し、モーセの母は養育者としての 地母神 を代表しているのだろう。
  5. サルゴン誕生 で、アッキは、サルゴンを園丁にしたが、これは、サルゴンが 植物神 としての性格を有することを示唆する。
    アッキが、サルゴンをイシュタルの愛人として採用したと見なせる。このシーンの中心的な意味は、代行者/家長 による 男性主人公 の採用であるかもしれない。
  6. カヴルサン/友人 での家族の病気平癒祈願儀式は、気分に違いがあるとは言え、山幸/海幸 の参入儀式に対応すると見られる。
  7. イシュマエル/ハガル の特徴は、シーン 16に属すべきようにも見える。ただし、シーン14-シーン16 とシーン15-シーン20 との間の並行性に注意。
  8. 山幸/海幸 エピソードの全ての該当変異例で、海神(家長)自身が 男性主人公 を海神宮中に案内している。

シーン 21: 対形成

包括型
シノプシス対形成: 男性主人公女性主人公 と結婚する。
モーセの出エジプト エピソード シーン番号:21 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス対形成: 男性主人公女性主人公 と結婚する。
モーセがこの人のもとにとどまる決意をしたので、彼は自分の娘ツィポラをモーセと結婚させた。
( 出エジプト記 2:21)
山幸/海幸 エピソード
古事記版 (変異K) シーン番号:21 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス対形成: 男性主人公女性主人公 と結婚する。
即ち其の女(むすめ)豊玉毘売を婚(ま)かしむ。
日本書紀版
変異N0 シーン番号:21 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス対形成: 男性主人公女性主人公 と結婚する。
已にして彦火火出見尊、因りて海神の女(むすめ)豊玉姫(とよたまびめ)を娶(ま)きたまふ。
変異N1 シーン番号:21 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス対形成: 男性主人公女性主人公 と結婚する。
因りて女(むすめ)豊玉姫を以て妻(あは)せまつる。
変異N2 シーン番号:21 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
変異N3 シーン番号:21 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス対形成: 男性主人公女性主人公 と結婚する。
海神、則ち其の子(むすめ)豊玉姫に以て妻(あは)せまつる。
変異N4 シーン番号:21 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
B型
シノプシス対形成: 男性主人公 は、女性主人公 に愛される。
サルゴン誕生 エピソード シーン番号:21 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス対形成: 男性主人公 は、女性主人公 に愛される。
(私が園丁であった間、)女神イシュタルは私を愛した。
モーセ誕生 エピソード シーン番号:21 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス対形成: 男性主人公 は、女性主人公 に愛される。具体的には、男性主人公女性主人公 の養子になる。
その子が大きくなると、王女のもとへ連れて行った。その子はこうして、王女の子となった。
( 出エジプト記 2:10)
G型
木樵/ヘルメス エピソード シーン番号:21 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
R型
カヴルサン/友人 エピソード シーン番号:21 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス対形成: の中で、男性主人公 は、女性主人公 と二人きりになる。
[家の中に入った]カヴルサンは、その鉤が乙女の咽喉にささっておるのを発見する。彼は、両親にいう。「これは何でもない。私が医者になってあげよう、そうすれば彼女はじきになおるから」と。そこで彼は皆を外にだし、娘と一人ぎりになると、・・・
縮退型
ヤコブ/エサウ エピソード シーン番号:21 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス対形成: 男性主人公女性主人公 と結婚する。
ラバンは下の娘のラケルもヤコブに妻として与えた。ラバンはまた、女奴隷ビルハを娘ラケルに召し使いとして付けてやった。こうして、ヤコブはラケルをめとった。ヤコブはレアよりもラケルを愛した。
( 創世記 29:28-30)
参考種
アブラハムの僕/リベカ エピソード シーン番号:21 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス婚約: 男性主人公 は、守護者 の息子と 女性主人公 の結婚について、家長 の同意を取り付ける。
ラバンとベトエルは答えた。
「このことは主の御意思ですから、わたしどもが善し悪しを申すことはできません。リベカはここにおります。どうぞお連れください。主がお決めになったとおり、ご主人のご子息の妻になさってください。」
( 創世記 24:50-51)
イエス/サマリア人 エピソード シーン番号:21 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
イエス/洗礼者ヨハネ エピソード シーン番号:21 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
マリアへの受胎告知 エピソード シーン番号:21 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
ハガル-イシュマエル群
ハガル/サライ エピソード シーン番号:21 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
イシュマエル/ハガル エピソード シーン番号:21 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無

シーン 21への注

シーン番号:21 [-1], [+1]
  1. サルゴン誕生:
    イシュタルの典型的な愛人は、植物神タンムズである。イシュタルがサルゴンを愛したことには、彼もまた植物神としての属性を有することを含意する。
  2. ツィポラは、「鳥」を意味するヘブライ語である。
  3. 釣り鉤を喉に刺したのは、山幸/海幸 では、魚であり(シーン 26)、カヴルサン/友人 では少女であった。
    カヴルサン/友人 では、釣り鉤が早くもこのシーンで発見される。これは、釣り鉤の発見者が 神格 ではなく 男性主人公 であることに対応する。おそらく、シーン 21とシーン 26との融合、及び、これと併せて、神格 の特徴の一部が 男性主人公 に移行したのだろう。
    また、このシーンには、「放浪者がやってきて、子どもの病を癒す」と云うモチーフが見られる。それは、逆転した形の過越のヤハウェと言える。
    このシーンの カヴルサン/友人 は、男性主人公女性主人公 との性的結び付きを暗示する。しかし、重大の帰結は生じない。
  4. アブラハムの僕/リベカ では、男性主人公女性主人公 と結婚しない。彼の主人の息子との結婚の約束を取り付けるだけである。これが、使命を果した後、彼がそそくさと異郷をあとにした神話学的な理由だろう。
  5. 「対形成」には、MY シノプシスにおけるような結合(婚姻)によるものばかりではなく、B 局面におけるような解離(出産)によるものがある。さらに、B 局面を MY に埋めこむことで、母子対は 男性主人公-敵対者 対に変換される。
    シノプシス 対形成 場所 構成者第1 構成者第2
    MY 婚姻(結合) 異郷 男性主人公 女性主人公
    B 出産(解離) 故地 男性主人公 守護者
    MY 価値の移転 故地 男性主人公 敵対者

シーン 22: 時間経過

包括型
シノプシス時間経過: 男性主人公-女性主人公 対は、相当期間持続する。
モーセの出エジプト エピソード シーン番号:22 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス時間経過: 男性主人公-女性主人公 対は、相当期間持続する。
それから長い年月がたち、エジプト王は死んだ。
( 出エジプト記 2:23)
山幸/海幸 エピソード
古事記版 (変異K) シーン番号:22 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス時間経過: 男性主人公-女性主人公 対は、相当期間持続する。
故(かれ)、三年(みとせ)に至るまで其の国に住みたまひき。
日本書紀版
変異N0 シーン番号:22 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス時間経過: 男性主人公-女性主人公 対は、相当期間持続する。
仍(よ)りて海宮(わたつみのみや)に留住(とどま)りたまへること、已に三年(みとせ)に経(な)りぬ。
変異N1 シーン番号:22 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス時間経過: 男性主人公-女性主人公 対は、相当期間持続する。
故(かれ)、海宮(わたつみのみや)留住(とどま)りたまへること、已(すで)に三載(みとせ)に経(な)りぬ。
変異N2 シーン番号:22 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
変異N3 シーン番号:22 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス時間経過: 男性主人公-女性主人公 対は、相当期間持続する。
因りて留まり息(す)みたまふ。遂に纏綿(むつまか)に篤愛(にたしみ)して、已に三年(みとせ)に経(な)りぬ。
変異N4 シーン番号:22 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
B型
シノプシス時間経過: 男性主人公 -女性主人公 対は、相当期間持続する。(サルゴン誕生)
サルゴン誕生 エピソード シーン番号:22 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス時間経過: 男性主人公 -女性主人公 対は、相当期間持続する。
私が園丁であった間、女神イシュタルは私を愛した。
モーセ誕生 エピソード シーン番号:22 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
G型
木樵/ヘルメス エピソード シーン番号:22 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
R型
カヴルサン/友人 エピソード シーン番号:22 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
縮退型
ヤコブ/エサウ エピソード シーン番号:22 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス時間経過: 男性主人公 -女性主人公 対は、相当期間持続する。
そして、更にもう七年ラバンのもとで働いた。
( 創世記 29:30)
参考種
アブラハムの僕/リベカ エピソード シーン番号:22 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス時間経過: 時間が経過する。
僕と従者たちは酒食のもてなしを受け、そこに泊まった。
( 創世記 24:54)
イエス/サマリア人 エピソード シーン番号:22 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス時間経過 時間が経過する。
そこで、このサマリア人たちはイエスのもとにやって来て、自分たちのところにとどまるように頼んだ。イエスは、二日間そこに滞在された。そして、更に多くの人々が、イエスの言葉を聞いて信じた。
( ヨハネ 4:40)
イエス/洗礼者ヨハネ エピソード シーン番号:22 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
マリアへの受胎告知 エピソード シーン番号:22 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
ハガル-イシュマエル群
ハガル/サライ エピソード シーン番号:22 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
イシュマエル/ハガル エピソード シーン番号:22 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無

シーン 22への注

シーン番号:22 [-1], [+1]
  1. 何故、モーセの出エジプト において 男性主人公 が帰郷する前には「長い時間」が経っているのか? 実際モーセがミディアンに逃亡したのは「成人したころ」( 出エジプト記 2:11)、又は「四十歳」( 使徒行伝 7:23-29 )だったが、ファラオに会うためにエジプトに戻った時、モーセは「八十歳」( 出エジプト記 7:7)になっていたとされている。(「シーン 28: 家長/神格の送別」での注参照。)
    • このことは、モーセの出エジプト に於いては、敵対者失敗者 とが別人であることに対応する。これに対し、敵対者失敗者 とが同一である 山幸/海幸 では、地上と海神郷とは、同じ時間が流れているように見える。
    • 時間の流れ方の相違と云う特徴の基層に有るのは、世界的に分布するリップヴァンウィンクル型伝説(男性主人公が別世界に比較的短期間滞在してから戻ってみると故地では超自然的な長時間が経過していた。)であるようだ。このモチーフは、「あなたの命をねらっていた者は皆、死んでしまった」( 出エジプト記 4:19)ことの理由でもあるだろう。( マタイ 2:14-15参照)
    • 日本人なら誰でもこのモチーフの昔話である「浦島太郎」を知っている。この物語は、帰郷しようとする男性主人公に海神郷の王女(乙姫)から贈られた「玉手箱」に特に注目して分析することがなるかもしれない。
      「玉手箱」は、男性主人公の生命力(「魂」)を密かに閉ぢこめた入れ物(「手箱」)だった。そうしないと、故地では長期間(700年とか)が経過してしまっているため、帰郷した際には、男性主人公の「魂」(生命力、活動力或いは若々しさ)が飛び去ってしまうのだった。
      帰郷した浦島太郎は、自分の家族が死に絶え、故郷の村も消えうせていたのを知る。(物語として当然のように、彼は箱を開け、そしてあっと言う間にお爺さんになってしまう。)
      浦島太郎が、家族に再会したくて帰郷したとされているのは注意に値する。
    • ヤコブ/エサウ で、ヤコブにとり7年間が数日間のように思えた( 創世記 29:20)のも、リップヴァンウィンクル(又は、浦島太郎)型の特徴であるかもしれない。
  2. アドニス/(アフロディテ+ペルセポネ) 神話の相で考えるなら、この結婚期間は、アドニスがペルセポネの許にあって、地上では草木が枯れ果てる時期に対応する。従って、男性主人公 の「帰還」の原因は、本質的には時間経過そのものであるといえる。
    出エジプト記 4:19 の「あなたの命をねらっていた者は皆、死んでしまった。」は、地上での生命の枯渇に対応しているのだろう。
    しかし、その一方で、男性主人公 の「流離」(シーン 12)から「命名」(シーン 30)までが、栽培植物の「種蒔き」から「刈り取り」までを象徴している可能性があることに注意。
  3. 古事記版 及び 日本書紀版 山幸/海幸 エピソードの 本シーン該当変異例の全てで、「経過時間」は三年であることに注意。この「三」は、「十分な大きさ」を意味すると見なしてよい。古事記版 では、ホヲリがホデリに釣り鉤の交換を「三度」乞うたことを参照。

シーン 23: 苦悩

包括型
シノプシス苦悩: 男性主人公 又は 彼の同族は苦悩する。
モーセの出エジプト エピソード シーン番号:23 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス苦悩: 男性主人公 の同族であるイスラエル人は苦悩する。苦悩の原因は、エジプト人にある。
その間イスラエルの人々は労働のゆえにうめき、叫んだ。
( 出エジプト記 2:23)
モーセがしゅうとのエトロのもとに帰って、「エジプトにいる親族のもとへ帰らせてください。まだ元気でいるかどうか見届けたいのです。」と言うと、・・・
( 出エジプト記 4:18)
山幸/海幸 エピソード
古事記版 (変異K) シーン番号:23 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス苦悩: 男性主人公 は苦悩する。苦悩の原因は、失われた[ = 成功供犠 ]にある。
ここに、火遠理命、其の初めの事を思(おも)ほして、大(いた)く一嘆(なげき)したまひき。
日本書紀版
変異N0 シーン番号:23 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス苦悩: 男性主人公 は苦悩する。苦悩の原因は、彼の望郷である。
彼処(そこ)に、復(また)安らかに楽しと雖(いへど)も、猶(なほ)郷(くに)を憶ふ情(みこころ)有(ま)す。故(かれ)、時に復(また)太(はなは)だ息(なげ)きます。
変異N1 シーン番号:23 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス苦悩: 男性主人公 は苦悩する。苦悩の原因は、彼の望郷である。
是の後に、火火出見尊、数(しばしば)嘆息(なげ)きますこと有り。豊玉姫問ひて曰(まう)さく、「天孫(あめみま)、豈(も)し故郷(もとのくに)に還らむと欲(おもほ)すか」とまうす。対(こた)へて曰(のたま)はく、「然(しか)なり」とのたまふ。
変異N2 シーン番号:23 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
変異N3 シーン番号:23 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
変異N4 シーン番号:23 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
B型
シノプシスシーン無
サルゴン誕生 エピソード シーン番号:23 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
モーセ誕生 エピソード シーン番号:23 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
G型
木樵/ヘルメス エピソード シーン番号:23 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス苦悩: 男性主人公 は苦悩する。苦悩の原因は、失われた 成功供犠 にある。
斧が流されたので、土手に坐って嘆いていると、・・・
R型
カヴルサン/友人 エピソード シーン番号:23 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
縮退型
ヤコブ/エサウ エピソード シーン番号:23 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス苦悩: 男性主人公 は、苦悩する。苦悩の原因は、女性主人公男性主人公 との間に子供のできないことについて不満を言うことにある。
ラケルは、ヤコブとの間に子供ができないことが分かると、姉をねたむようになり、ヤコブに向かって、「わたしにもぜひ子供を与えてください。与えてくださらなければ、わたしは死にます」と言った。ヤコブは激しく怒って、言った。「わたしが神に代われると言うのか。お前の胎に子供を宿らせないのは神御自身なのだ。」
( 創世記 30:1-2)
参考種
アブラハムの僕/リベカ エピソード シーン番号:23 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
イエス/サマリア人 エピソード シーン番号:23 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
イエス/洗礼者ヨハネ エピソード シーン番号:23 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
マリアへの受胎告知 エピソード シーン番号:23 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
ハガル-イシュマエル群
ハガル/サライ エピソード シーン番号:23 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
イシュマエル/ハガル エピソード シーン番号:23 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無

シーン 23への注

シーン番号:23 [-1], [+1]
  1. 古事記版山幸/海幸 エピソードで、ホヲリは、自分が失われた釣り鉤を探す途中であり、帰郷しなければならないことを思い出す。海神は、ホヲリを引き止めない。
    これに対し、モーセの出エジプト エピソードでは、モーセはエジプトに戻りたいとは少しも思っていなかった。モーセの帰郷は、ヤハウェの命令によっている。
    ホヲリは、[ = 成功供犠 ]を紛失したために、それを回収しようとするが、モーセは[ = 成功供犠 ]を隠蔽したために、その回収は念頭にない。このことは、モーセの出エジプト エピソードでは、苦悩の主体がモーセ自身ではなくイスラエル人であることに対応する。
    山幸/海幸 エピソード 変異N0 及び 変異N1 での 男性主人公 の「苦悩」の原因は、望郷であるとされている。しかし、この説明は、見かけだけのものだろう。異郷からの離脱が故郷への復帰と云う形をとるため、その理由としてもっともらしいものが選ばれたに過ぎないと思われる。
    水神局面 の基本形には、成功供犠 が回収され、失敗供犠 が没収されると云うモチーフが見られる。
  2. ヤコブ/エサウ では、苦悩の原因は、待ち焦がれている赤子(ヨセフ)が得られない、つまりあらかじめ「失われている」ことである。つまり、ヨセフが疑似的に 成功供犠 (又は 呪物 )の役割を果たしている。

シーン 24: 神格との接触

包括型
シノプシス神格との接触: 男性主人公神格 と接触する。( モーセの出エジプト )
モーセの出エジプト エピソード シーン番号:24 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス神格との接触: 男性主人公神格 と接触する。
モーセは、しゅうとでありミディアンの祭司であるエトロの羊の群れを飼っていたが、あるとき、その群れを荒れ野の奥へ追っていき、神の山ホレブに来た。そのとき、柴の間に燃え上がっている炎の中に主の御使いが現れた。彼が見ると、見よ、柴は火に燃えているのに、柴は燃え尽きない。モーセは言った。「道をそれて、この不思議な光景を見届けよう。どうしてあの柴は燃え尽きないのだろう。」
主は、モーセが道をそれて見に来るのを御覧になった。神は柴の間から声をかけられ、「モーセよ、モーセよ」と言われた。彼が、「はい」と答えると、
( 出エジプト記 3:1-4)
山幸/海幸 エピソード
古事記版 (変異K) シーン番号:24 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
日本書紀版
変異N0 シーン番号:24 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
変異N1 シーン番号:24 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
変異N2 シーン番号:24 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
変異N3 シーン番号:24 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
変異N4 シーン番号:24 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
B型
シノプシスシーン無
サルゴン誕生 エピソード シーン番号:24 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
モーセ誕生 エピソード シーン番号:24 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
G型
木樵/ヘルメス エピソード シーン番号:24 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス神格との接触: 男性主人公神格 と接触する。
ヘルメスが憐れに思ってやって来た。
R型
カヴルサン/友人 エピソード シーン番号:24 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
縮退型
ヤコブ/エサウ エピソード シーン番号:24 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
参考種
アブラハムの僕/リベカ エピソード シーン番号:24 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
イエス/サマリア人 エピソード シーン番号:24 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
イエス/洗礼者ヨハネ エピソード シーン番号:24 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
マリアへの受胎告知 エピソード シーン番号:24 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
ハガル-イシュマエル群
ハガル/サライ エピソード シーン番号:24 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
イシュマエル/ハガル エピソード シーン番号:24 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無

シーン 24への注

シーン番号:24 [-1], [+1]
  1. このシーンは、モーセの出エジプト木樵/ヘルメス に特異的である。
  2. 山幸/海幸 エピソード K のシーン 15(「顕現」)で、ホヲリは、井戸内の水に映った聖木であるユツカツラの上で光り輝いていたが、このシーンの モーセの出エジプト では、ヤハウェ(又は、その天使)が柴の中で光り輝いていた。
    この情景は、木に太陽の光が宿っている姿を連想させる。
  3. 古事記版日本書紀版 とも 山幸/海幸 エピソードで 神格家長 と一致するから、あらためて 男性主人公 と「神格との接触」シーンは現れない。

シーン 25: 神格の認識

包括型
シノプシス神格の認識: 神格 が、「苦悩」を認識する。
モーセの出エジプト エピソード シーン番号:25 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス神格の認識: 神格 が、イスラエル人の「苦悩」を認識する。
[労働のゆえに助けを求める彼らの叫び声は神に届いた。]神はその嘆きを聞き、アブラハム、イサク、ヤコブとの契約を思い起こされた。
( 出エジプト記 2:23-24)
主は言われた。「わたしは、エジプトにいるわたしの民の苦しみをつぶさに見、追い使う者のゆえに叫ぶ彼らの叫び声を聞き、その痛みを知った。・・・」
( 出エジプト記 3:7)
山幸/海幸 エピソード
古事記版 (変異K) シーン番号:25 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス神格の認識: 神格 が、 男性主人公 の「苦悩」を認識する。具体的には、神格 は、家長 そのものである。女性主人公男性主人公 の「苦悩」を認識して、それを 家長 に知らせる。
故(かれ)、豊玉毘売命、其の嘆(なげき)を聞かして、其の父に白(まを)して言(い)はく、「三年(みとせ)住みたまへども、恒(つね)は嘆かすこと無くありしに、今夜(こよひ)大(いた)く一嘆(なげき)したまひつ。もし何の由(ゆゑ)有らむや。」といふ。故(かれ)、その父の大神(おほかみ)、其の聟夫(むこ)を問ひて言(い)はく、「今旦(けさ)我が女(むすめ)の語るを聞けば、『三年(みとせ)坐(いま)せども、恒は嘆かすこと無くありしに、今夜(こよひ)大(いた)く嘆(なげき)したまひつ。』といひき。若し由(ゆゑ)有らむや。亦、此間(ここ)に到りませる由(ゆゑ)は奈何(いか)に。」といふ。
しかして、其の大神(おほかみ)に語りたまふこと、備(つぶさ)に其の兄(いろえ)の、失せにし鉤を罰(はた)りし状(さま)の如し。
日本書紀版
変異N0 シーン番号:25 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス神格の認識: 神格 が、男性主人公 の「苦悩」を認識する。具体的には、神格 は、家長 そのものである。女性主人公男性主人公 の「苦悩」を認識して、それを 家長 に知らせる。
坐定(ゐしづま)りたまひぬるときに、因りて其の来(い)でませる意(みこころ)を問ふ。時に彦火火出見尊、対(こた)へたまふに情之委曲(あるかたち)を以てす。
豊玉姫、聞きて、其の父(かぞ)に謂(かた)りて曰はく、「天孫(あめみま)凄然(いた)みて数(しばしば)嘆きたまふ。蓋し土(もとつくに)を憶ひたまふ憂(うれへ)ありてか」といふ。
変異N1 シーン番号:25 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス神格の認識: 神格 が、男性主人公 の「苦悩」を認識する。具体的には、神格 は、家長 そのものである。女性主人公男性主人公 の「苦悩」を認識して、それを 家長 に知らせる。
豊玉姫、即ち父(かぞ)の神に白(まう)して曰(まう)さく、「此(ここ)に在(ま)します貴(たふと)き客(まらうと)、上国(うはつくに)に還らむと意望欲(おもほ)せり」とまうす。
変異N2 シーン番号:25 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス神格の認識: 神格 が、男性主人公 の「苦悩」を認識する。具体的には、神格 は、家長 そのものである。男性主人公 自身が、それを 神格 に知らせる。
坐定(ゐしづま)りぬるときに、因りて来(い)でませる意(みこころ)を問ふ。対(こた)ふるに情之委曲(あるかたち)を以てしたまふ。
変異N3 シーン番号:25 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス神格の認識: 神格 が、男性主人公 の「苦悩」を認識する。具体的には、神格 は、家長 そのものである。男性主人公 自身が、それを 神格 に知らせる。
因りて従容(おもぶる)に問ひて曰(まう)さく、「天神(あまつかみ)の孫(みま)、何以(なにのゆゑに)か辱(かたじけな)く臨(い)でましつる」とまうす。
副変異
一(ある)に云はく、「頃(このごろ)、吾が児(こ)来語(かた)りて曰はく、『天孫(あめみま)海辺(うみへた)に憂へ居(ま)すといへども、虚実(いつはりまこと)を審(し)らず』といふ。蓋し有ることか」とまうす。
彦火火出見尊、具(つぶさ)に事の本末(あるかたち)を申(の)べたまふ。
変異N4 シーン番号:25 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
B型
シノプシスシーン無
サルゴン誕生 エピソード シーン番号:25 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
モーセ誕生 エピソード シーン番号:25 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
G型
木樵/ヘルメス エピソード シーン番号:25 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス神格の認識: 神格男性主人公 の苦悩を認識する。
そして泣いている訳を聞き出すと、・・・
R型
カヴルサン/友人 エピソード シーン番号:25 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
縮退型
ヤコブ/エサウ エピソード シーン番号:25 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス神格の認識: 神格女性主人公 の不満(= 男性主人公 の苦悩)を認識する。
しかし、神はラケルも御心に留め、彼女の願いを聞き入れ・・・
( 創世記 30:22)
参考種
アブラハムの僕/リベカ エピソード シーン番号:25 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
イエス/サマリア人 エピソード シーン番号:25 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
イエス/洗礼者ヨハネ エピソード シーン番号:25 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
マリアへの受胎告知 エピソード シーン番号:25 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
ハガル-イシュマエル群
ハガル/サライ エピソード シーン番号:25 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
イシュマエル/ハガル エピソード シーン番号:25 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無

シーン 25への注

シーン番号:25 [-1], [+1]
  1. 本シーンの ヤコブ/エサウ には、男性主人公 ヤコブへの言及がない。神格 が関わっているのは、むしろ 女性主人公 ラケルである。しかし、男性主人公 の苦悩は、女性主人公 の不満が原因であり、そして本シーンで 神格 は、その不満を認識している。
  2. モーセの出エジプト では、神格 の認識は、男性主人公 ではなく、イスラエル人に向けられている。これは、苦悩の主体がモーセではなく、イスラエル人であることの結果である。
  3. 「人間の苦悩を認識する神」は、宗教上・哲学上重要なテーマだが、それがこの論考に関与するかどうかは、現在のところ私には分からない。
  4. 山幸/海幸 エピソード変異N2 には、シーン 23(「苦悩」)は存在しない。しかし、その内容は、男性主人公 が、他の 山幸/海幸 エピソード変異例におけると同様に苦悩していることを前提にしている。

シーン 26: 神格からの授与

包括型
シノプシス神格からの授与: 神格 は、男性主人公 に、何物かを授与する。その際、若干の遅延が発生する。
モーセの出エジプト エピソード シーン番号:26 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス神格からの授与: 神格 は、男性主人公 に、イスラエル人をエジプトから連れ出すと云う任務を授与する。その際、男性主人公 が任務を受けることに逡巡する。
[主は言われた。]「・・・それゆえ、わたしは降って行き、エジプト人の手から彼らを救い出し、この国から、広々としたすばらしい土地、乳と蜜の流れる土地、カナン人、ヘト人、アモリ人、ペリジ人、ヒビ人、エブス人の住む所へ彼らを導き上る。見よ、イスラエルの人々の叫び声が、今、わたしのもとに届いた。また、エジプト人が彼らを圧迫する有様を見た。今、行きなさい。わたしはあなたをファラオのもとに遣わす。わが民イスラエルの人々をエジプトから連れ出すのだ。」
( 出エジプト記 3:8-10)
モーセは神に言った。「わたしは何者でしょう。どうして、ファラオのもとに行き、しかもイスラエルの人々をエジプトから導き出さねばならないのですか。」
神は言われた。「わたしは必ずあなたと共にいる。このことこそ、わたしがあなたを遣わすしるしである。あなたが民をエジプトから導き出したとき、あなたたちはこの山で神に仕える。」
( 出エジプト記 3:11-12)
モーセは逆らって、「それでも彼らは、『主がお前などに現れるはずがない』と言って、信用せず、わたしの言うことを聞かないでしょう」と言うと、・・・
( 出エジプト記 4:1)
山幸/海幸 エピソード
古事記版 (変異K) シーン番号:26 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス神格からの授与: 神格 は、男性主人公 に、失踪した[ = 成功供犠 ]を授与する。その際、[ = 成功供犠 ]の発見に若干の時間がかかる。
是(ここ)を持ちて、海神(わたのかみ)、悉(ことごと)海の大小魚(おふををうを)を召し集めて問ひて曰く、「若し此の鉤を取れる魚(うを)有らむや。」といふ。故(かれ)、諸魚(もろうを)曰(まを)さく、「このころ、赤海鰤魚(たひ)、喉(のみと)にノギありて、物(もの)食(は)み得ずと愁へ言へり。故(かれ)、必ず是(これ)取りつらむ。」とまをす。ここに、赤海鰤魚(たひ)の喉(のみと)を探れば、鉤有り。
即ち、取り出でて清く洗ひて、火遠理命に奉る時、其の綿津見(わたつみ))の大神(おほかみ)誨(おし)へて曰く、「此の鉤以ちて其の兄(いろえ)に給はむ時、言(の)らさむ状(さま)は、『此の鉤は、淤煩鉤(おぼち)、須々鉤(すすち)、貧鉤(まぢち)、宇流鉤(うるち)。』と云ひて、後手(しりへで)に賜へ。・・・」
日本書紀版
変異N0 シーン番号:26 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス神格からの授与: 神格 は、男性主人公 に、失踪した[ = 成功供犠 ]を授与する。その際、[ = 成功供犠 ]の発見に若干の時間がかかる。
海神、乃ち大小之魚(とほしろくちひさきいをども)を集(つど)へて逼(せ)め問ふ。僉(みな)曰さく、「識(し)らず。唯(ただ)赤女(あかめ) -- 赤女は、鯛魚(たひ)の名なり。-- 此(このごろ)疾(やまひ)有りて来(まうこ)ず」とまうす。固召(し)ひて其の口を探れば、果して失せたる鉤を得。
海神(わたつみ)乃ち彦火火出見尊を延(ひ)きて、從容(おもぶる)に語(まう)して曰さく、「天孫(あめみま)若し郷(くに)に還らむと欲(おもほ)さば、吾(われ)当(まさ)に送り奉るべし」とまうす。便ち得たる所の釣鉤(ちい)を授(たてまつ)りて、因りて誨(をし)へまつりて曰さく、「此(こ)の鉤を以て汝(いましみこと)の兄(このかみ)に与へたまはむ時には、陰(ひそか)に此の鉤を呼(い)ひて、『貧鉤(まぢち)』と曰(のたま)ひて、然(しかう)して後(のち)に与へたまへ」とまうす。
変異N1 シーン番号:26 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス神格からの授与: 神格 は、男性主人公 に、失踪した[ = 成功供犠 ]を授与する。その際、[ = 成功供犠 ]の発見に若干の時間がかかる。
海神(わたつみ)、是(ここ)に、海(わた)の魚(いをども)を総(す)べ集(つど)へて、其の鉤(ち)を覓(と)め問ふ。一(ひとつ)の魚(いを)有りて、対へて曰(まう)さく、「赤女(あかめ)久しく口の疾(うれへ)有り。或いは云はく赤鯛(あかたひ)といふ。疑(けだ)し是(これ)が呑めるか」とまうす。故、即ち赤女を召して、其の口を見れば、鉤(ち)、猶口に在り。
便(すなは)ち之(これ)を得て、乃以(すなはち)彦火火出見尊に授(たてまつ)る。因りて教へまつりて曰(まう)さく、「鉤を以て汝(いましみこと)の兄(このかみ)に与へたまはむ時には、詛(とご)ひ言はまく、『貧窮(まぢ)の本(もと)、飢饉(うゑ)の始(はじめ)、困苦(くるしみ)の根(もと)』といひて、後(のち)に与へたまへ。
変異N2 シーン番号:26 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス神格からの授与: 神格 は、男性主人公 に、失踪した[ = 成功供犠 ]を授与する。その際、[ = 成功供犠 ]の発見に若干の時間がかかる。
時に海神(わたつみ)、便(すなは)ち憐(めぐ)しとおもふ心を起して、尽(ことごとく)に鰭(はた)の広(ひろもの)鰭の狭(さもの)を召して問はす。皆(みな)曰(まう)さく、「知らず。但(ただ)赤女(あかめ)のみ口の疾(うれへ)有りて来(まうこ)ず」とまうす。
副変異
亦(また)云はく、口女(くちめ)、口の疾有りといふ。即ち急(すみやか)に召し至(いた)して、其の口を探れば、失へる針鉤(ち)立(たちどころ)に得つ。是に、海神制(や)めて曰はく、「オレ口女、今よりは以往(ゆくさき)、呑餌(つりく)ふこと得じ。又天孫(あめみま)の饌(たてまつりもの)に預けじ」といふ。即ち口女の魚(いを)を以て、御(おほみもの)に進(たてまつ)らざる所以(ゆゑ)は、此(これ)其の縁(ことのもと)なり。
其の鉤に副(そ)へて奉進(たてまつ)りて曰(まう)さく・・・
因(よ)りて教へまつりて曰(まう)さく、「此の鉤を以て汝(いましみこと)の兄(このかみ)に与へたまはむ時に、則(すなは)ち貧鉤(まぢち)、滅鉤(ほろびち)、落薄鉤(おとろへち)と称(のたま)へ。言(のたま)ひ訖(をは)りて、後手(しりへで)に投棄(なげす)て与へたまへ。向(むか)ひてな授(さづ)けましそ。
変異N3 シーン番号:26 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス神格からの授与: 神格 は、男性主人公 に、失踪した[ = 成功供犠 ]を授与する。
帰りたまはむとするに及至(いた)りて、海神(わたつみ)、乃ち鯛女(たひ)を召して、其の口を探りしかば、即ち鉤(ち)を得き。
是(ここ)に、此の鉤を彦火火出見尊に進(たてまつ)る。因りて教へ奉(まつ)りて曰(まう)さく、「此(ここ)を以て汝(いましみこと)の兄(このかみ)に与へたまはむ時に、乃(すなは)ち称曰(のたま)はまく、『大鉤(おほぢ)、ススノミ鉤(ぢ)、貧鉤(まぢち)、痴駿鉤(うるけぢ)』とのたまはむ。言(のたま)ひ訖(おは)りなば、後手(しりへで)に投げ賜へ」とまうす。
変異N4 シーン番号:26 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス神格からの授与: 神格 は、男性主人公 に、失踪した[ = 成功供犠 ]を授与する。
海神、赤女・口女を召して問ふ。時に口女、口より鉤を出(いだ)して奉る。赤女は即ち赤鯛(あかたひ)なり。口女は即ち鯔魚(なよし)なり。
時に海神、鉤を彦火火出見尊に授けて、因りて教へまつりて曰(まう)さく、「兄(このかみ)に鉤を還さむ時に、天孫(あめみま)、則(すなは)ち言(のたま)はまく、『汝(いまし)が生子(うみのこ)の八十連属(やそつづき)の裔(のち)に、貧鉤(まぢち)・狭狭貧鉤(ささまぢち)』とのたまはむ。言(のたま)ひ訖(をは)りて、三たび下唾(つは)きて与へたまへ。
B型
シノプシスシーン無
サルゴン誕生 エピソード シーン番号:26 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
モーセ誕生 エピソード シーン番号:26 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
G型
木樵/ヘルメス エピソード シーン番号:26 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス神格からの授与: 神格 が、男性主人公 に、失われた 成功供犠 を授与する。その際、若干の遅延が発生する。具体的には、成功供犠 の発見に若干の時間がかかる。
まずは潜って行って、男のために金の斧を持って上がり、これがお前のものかと尋ねた。それではないと答えると、二度目には銀の斧を持って上がり、飛ばしたのはこれかと再び訊いた。男が首を振るので、三度目に本人の斧を運んで来ると、これこそ自分のだと言うので、ヘルメスは男の正直なのを嘉して、三つとも授けた。
R型
カヴルサン/友人 エピソード シーン番号:26 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス獲得: 男性主人公 は、見つかった (= 成功供犠 ?)を手に入れる。
そこで彼は(皆を外にだし、娘と一人ぎりになると、)注意深く咽喉から鉤を引抜き、その衣服に隠す。
縮退型
ヤコブ/エサウ エピソード シーン番号:26 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス神格の授与: 神格 が、男性主人公 に、彼の後継の息子(ヨセフ)を授与する。その際、若干の遅延が発生する。具体的には、ヨセフは、男性主人公 の11番目の息子である。
神は・・・その胎を開かれたので、ラケルは身ごもって男の子を産んだ。そのときラケルは、「神がわたしの恥をすすいでくださった」と言った。彼女は、「主がわたしにもう一人男の子を加えてくださいますように(ヨセフ)」と願っていたので、その子をヨセフと名付けた。
( 創世記 30:22-24)
ラケルがヨセフを産んだころ、ヤコブはラバンに言った。「わたしを独り立ちさせて、生まれ故郷へ帰らせてください。わたしは今まで、妻を得るためにあなたのところで働いてきたのですから、妻子と共に帰らせてください。あなたのために、わたしがどんなに尽くしてきたか、よくご存じのはずです。」
( 創世記 30:25-26)
参考種
アブラハムの僕/リベカ エピソード シーン番号:26 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス獲得: 男性主人公 は、女性主人公守護者 の息子の花嫁として獲得する。
次の朝、皆が起きたとき、僕が、「主人のところへ帰らせてください」と言うと、リベカの兄と母は、「娘をもうしばらく、十日ほど、わたしたちの手もとに置いて、それから行かせるようにしたいのです」と頼んだ。
( 創世記 24:54-55)
しかし僕は言った。
「わたしを、お引き止めにならないでください。この旅の目的をかなえさせてくださったのは主なのですから。わたしを帰らせてください。主人のところへ参ります。」
「娘を呼んで、その口から聞いてみましょう。」と彼らは言い、リベカを呼んで、「お前はこの人と一緒に行きますか」と尋ねた。「はい、参ります」と彼女は答えた。
( 創世記 24:56-58)
イエス/サマリア人 エピソード シーン番号:26 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
イエス/洗礼者ヨハネ エピソード シーン番号:26 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
マリアへの受胎告知 エピソード シーン番号:26 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
ハガル-イシュマエル群
ハガル/サライ エピソード シーン番号:26 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
イシュマエル/ハガル エピソード シーン番号:26 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無

シーン 26への注

シーン番号:26 [-1], [+1]
  1. 山幸/海幸 エピソードの全変異例(K, N0, N1, N2, N3, N4)で、神格 は、男性主人公 に鉤([ = 成功供犠 ])に就いての呪術を教える。しかし、このことは物語上、実質的には後に続かない。男性主人公 が帰郷した後、男性主人公失敗者 は、狩人/漁師から農耕者になっていた。
  2. 「神格からの授与」(シーン 26)の内在的目的は、「苦悩」(シーン 23)の除去にあることに注意。
  3. 「遅延」の原因は、モーセの出エジプト では、モーセ( 男性主人公 )がヤハウェ( 神格 )の命令に従おうとしなかったためであり、山幸/海幸 では、釣り鉤( 成功供犠 )を呑み込んだ魚が、海神( 神格 )が招集した集まりに参加しなかったためである。
    また、木樵/ヘルメス では、成功供犠神格男性主人公 にすぐに持ってこなかったためである。
    ヤコブ/エサウ では、ヨセフの誕生が遅れたことが、「遅延」の原因であると見なせることに注意。
  4. 金関丈夫は、このシーンの 山幸/海幸 が、「他のすべての可能性が失敗した後の成功」と云うパターンを有することを指摘している。金関丈夫「海幸・山幸」(1966年)。金関丈夫著「岩波文庫 新編木馬と石牛」(岩波書店。1996年) p.33-35 所収。
    木樵/ヘルメス も、このパターンに属する。なお、自分自身の斧でなければ受け取ろうとしない 男性主人公 は、シーン 7で、自分自身の釣り鉤でなければ受け取ろうとしない、山幸/海幸カヴルサン/友人敵対者 を思い起こさせる。
    木樵/ヘルメス で、木樵の斧は石(火打ち石?)製であったかもしれない。
  5. 古事記版 山幸/海幸 で、海神はホヲリにホデリの「サチ」である釣り鉤に呪いをかける呪文を教える。海神は常に、山幸彦であるホヲリに厚意を示す一方、海神の愛を受けて当然ではないかと思われる海幸彦のホデリを軽視するが、この転倒は、この悪意に満ちた教授において最高潮に達する。この倒錯は何に由来するか?
  6. ミディアンにおいて、モーセは、ユダヤ教史上最も重要な事件に遭遇する。彼は、神に召命され、神の名がヤハウェ(我あり)であることを打ち明けられる。
    神はモーセに、「わたしはある。わたしはあるという者だ」と言われ、また、「イスラエルの人々にこう言うがよい。『わたしはある』という方がわたしをあなたたちに遣わされたのだと。」
    ( 出エジプト記 3:14)
    この驚くべき(いささか実存論的な)神の自己闡明(ego sum qui sum.) は、デカルトの言葉"Cogito, ergo sum" つまり「我思う、故に我在り」の中に鳴り響いている。
    このデカルト(派)宣言は、「我思う、故に神在り」とも、「我思う、故に我神なり」とも言い換えられる。
  7. カヴルサン/友人 では、男性主人公 自身が、釣り鉤を引き出して、女性主人公 を苦しみから救いだしているのに対し、山幸/海幸 では、海神( 神格 )が失われた釣り鉤を探し出し、それを魚の喉から取り出している。
    男性主人公 が、釣り鉤( = 成功供犠 )を獲得するのは、女性主人公 がそれを呑み込んでいることに照応する。
  8. 何故、カヴルサンは、見つけた釣り鉤を着物の下に隠したのか? 物語上、釣り鉤が消えうせたのは、二度目であることに注意。
    • 文脈上では、この物語で釣り鉤を隠すことは、山幸/海幸 で釣り鉤が洗われることに対応している。
    • カヴルサン/友人 と類縁関係にある民話では、男性主人公 が見つけ出した釣り鉤を褌の中に隠す。(大林太良著「神話の系譜」講談社学術文庫。講談社。1991年。p.212 ただし、説話自体は Krijer van Aalst "Karakterschetsen uit MiddenTimor" 1921 による。)
    ちなみに、何故、赤海鰤魚(たい)の喉から取り出された釣り鉤は「清く洗」われねばなら無かったのだろうか?
  9. ヤコブ/エサウ 及び アブラハムの僕/リベカ で、ヨセフ及びリベカのそれぞれは、男性主人公 に授与されたものとして、成功供犠 及び/又は 呪物 の意味あいを僅かながら持つ。
  10. 山幸/海幸 エピソード変異N4: 何故、海神は、口女とともに赤女をも召喚したのか?
  11. 山幸/海幸 エピソードでは、[ 広大性 = }は魚に変態する。日本書紀版 諸変異例では、この魚は、女性であったらしい。
  12. 変異例
    山幸/海幸-K 赤海鰤魚(たひ)
    山幸/海幸-N0 赤女(あかめ)
    山幸/海幸-N1 赤女(あかめ)
    山幸/海幸-N2 赤女(あかめ)又は口女(くちめ)
    山幸/海幸-N3 鯛女(たひ)
    山幸/海幸-N4 赤女=赤鯛(あかたひ)及び口女=鯔魚(なよし)

シーン 27: 呪物

包括型
シノプシス呪物の贈与: 神格 は、故地 に帰還しようとする 男性主人公 に、水をあやつる 呪物 を贈与する。
モーセの出エジプト エピソード シーン番号:27 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス呪物の贈与: 神格 は、故地 に帰還しようとする 男性主人公 に、水をあやつる 呪物 を贈与する。
主は彼に、「あなたが手に持っているものは何か」と言われた。彼が、「杖です」と答えると、主は「それを地面に投げよ」と言われた。彼が杖を地面に投げつけると、それが蛇になったのでモーセは飛びのいた。主はモーセに、「手を伸ばして、尾をつかめ」と言われた。モーセが手を伸ばしてつかむと、それは手の中で杖に戻った。「こうすれば、彼らは先祖の神、アブラハムの神、イサクの神、ヤコブの神、主があなたに現れたことを信じる。」
( 出エジプト記 4:2-5)
[主はついに、モーセに向かって怒りを発して言われた。]「・・・あなたはこの杖を手に取って、しるしを行なうがよい。」
( 出エジプト記 4:17)
山幸/海幸 エピソード
古事記版 (変異K) シーン番号:27 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス呪物の贈与: 神格 は、故地 に帰還しようとする 男性主人公 に、水をあやつる 呪物 を贈与する。
・・・綿津見(わたつみ))の大神(おほかみ)誨(おし)へて曰く、「此の鉤以ちて其の兄(いろえ)に給はむ時、言(の)らさむ状(さま)は、『此の鉤は、淤煩鉤(おぼち)、須々鉤(すすち)、貧鉤(まぢち)、宇流鉤(うるち)。』と云ひて、後手(しりへで)に賜へ。しかして、其の兄高田(あげた)作らば、汝命(いましみこと)は下田(くぼた)営(つく)りたまへ。其の兄下田(くぼた)作らば、汝命(いましみこと)は高田(あげた)営(つく)りたまへ。しかしたまはば、吾(あれ)水を。掌(し)れる故に、三年(みとせ)の間、必ず其の兄貧窮(まづ)しくあらむ。若し其しかしたまふ事を恨怨(うら)みて、攻め戦はば、塩盈つ珠を出だして溺(おほほ)れしめよ。若し其愁へ請はば、塩乾る珠を出だして活けよ。かく惚(なやま)し苦しましめたまへ。」と云ひて、塩盈つ珠・塩乾る珠、併せて両箇(ふたつ)授けて、
日本書紀版
変異N0 シーン番号:27 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス呪物の贈与: 神格 は、故地 に帰還しようとする 男性主人公 に、水をあやつる 呪物 を贈与する。
復(また)潮満瓊(しほみちのたま)および潮涸瓊(しほひのたま)を授(たてまつ)りて、誨(をし)へまつりて曰さく、「潮満瓊を漬(つ)けば、潮忽(たちまち)に満たむ。此を以て汝(いましみこと)の兄(このかみ)を沒溺(おぼほ)せ。若し兄悔(く)いて祈(の)まば、還りて潮涸瓊を浸けば、潮自(おの)づからに涸(ひ)む。此を以て救ひたまへ。如此(かく)逼悩(せめなや)まさば、汝(いましみこと)の兄(このかみ)自伏(したが)ひなむ」とまうす。
変異N1 シーン番号:27 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス呪力による協力: 神格 は、故地 に帰還しようとする 男性主人公 に、水をあやつる 呪力 による協力を約束する。
因りて教へまつりて曰(まう)さく、「・・・又(また)汝(いましみこと)の兄(このかみ)、海を渉(わた)らむ時に、吾必ず迅風洪濤(はやちなみ)を起(た)てて、其れをして没溺(おぼほ)し辛苦(たしな)めむ」とまうす。
変異N2 シーン番号:27 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス呪物の贈与: 神格 は、故地 に帰還しようとする 男性主人公 に、水をあやつる 呪物 を贈与する。
彦火火出見尊、帰りまさむとする時に及至(いた)りて、海神白(まう)して言(まう)さく、「今者(いま)、天神(あまつかみ)の孫(みま)、辱(かたじけな)く吾が処(もと)に臨(い)でませり。中心(こころ)の欣慶(よろこび)、何(いつ)の日か忘れむ。」とまうす。
乃(すなは)ち思へば潮溢之瓊(しほみちのたま)、思へば潮涸之瓊(しほひのたま)を以て、[其の鉤に副(そ)へて]奉進(たてまつ)りて曰(まう)さく、「皇孫(すめみま)、八重(やへ)の隅(くまぢ)を隔つと雖(いふと)も、冀(ねが)はくは、時に復(また)相憶(あひおもほ)して、な棄置(す)てたまひそ」とまうす。
乃(すなは)ち・・・曰(まう)さく、「・・・若し兄忿怒(いかり)を起して、賊害(そこは)む心有らば、潮溢瓊(しほみちのたま)を出(いだ)して漂溺(おぼほ)らせ。若し已に危苦(なや)まむに至りて愍(めぐ)みたまへと求(こ)はば、潮涸瓊(しほひのたま)を出して救ひたまへ。如此(かく)逼惱(せめなやま)さば、自づからに臣伏(したが)ひなむ 」とまうす。
変異N3 シーン番号:27 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス呪物の贈与: 神格 は、故地 に帰還しようとする 男性主人公 に、水をあやつる 呪物 を贈与する。
復(また)潮満瓊(しほみちのたま)・潮涸瓊(しほひのたま)、二種(ふたくさ)の宝物を進(たてまつ)りて、仍(よ)りて瓊(たま)を用ゐる法(さま)を教へまつる。又教へまつりて曰(まう)さく、「兄(このかみ)高田(あげた)を作らば、汝(いましみこと)はクボ田を作りませ。兄、クボ田を作らば、汝(いましみこと)、高田を作りませ」とまうす。海神、誠(まこと)を尽して助け奉ること、此(かく)の如し。
変異N4 シーン番号:27 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス呪力の付与: 神格 は、故地 に帰還しようとする 男性主人公 に、水をあやつる 呪力 を付与する。
時に海神・・・曰(まう)さく、「・・・又(また)兄(このかみ)海(わたなか)に入りて釣せむ時に、天孫(あめみま)、海辺(うみへた)に在(ま)して、風招(かざをき)を作(し)たまへ。風招は即ち嘯(うそぶき)きなり。如此(かく)せば、吾(われ)瀛風(おきつかぜ)辺風(へつかぜ)を起(た)てて、奔(はや)き波を以て溺(おぼほ)し惱さむ」とまうす。
B型
シノプシスシーン無
サルゴン誕生 エピソード シーン番号:27 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
モーセ誕生 エピソード シーン番号:27 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
G型
木樵/ヘルメス エピソード シーン番号:27 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス贈与: 神格 は、男性主人公 に、水中より 贈与物 をもたらす。
ヘルメスは男の正直なのを嘉して、三つとも授けた。男は押し戴くと、・・・
R型
カヴルサン/友人 エピソード シーン番号:27 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス贈与: 女性主人公 の両親 ( 神格 その1?) は、故地 に帰ろうとする男性主人公 に贈与物 ( 呪物 ?) を与える。
カヴルサンは、両親から貰った贈物をもって帰る。
縮退型
ヤコブ/エサウ エピソード シーン番号:27 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
参考種
アブラハムの僕/リベカ エピソード シーン番号:27 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
イエス/サマリア人 エピソード シーン番号:27 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
イエス/洗礼者ヨハネ エピソード シーン番号:27 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
マリアへの受胎告知 エピソード シーン番号:27 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
ハガル-イシュマエル群
ハガル/サライ エピソード シーン番号:27 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
イシュマエル/ハガル エピソード シーン番号:27 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無

シーン 27への注

シーン番号:27 [-1], [+1]
  1. 山幸/海幸 エピソード 変異K の二つの珠は、ファリック・シンボルであるか? (「シーン 32: 失敗者の認識」を参照。)私にはそうは思われない。これらの珠は、むしろ太陽と月、或いは、異なる月齢の月の意味が持たされているように思われる。
    同様に、木樵/ヘルメス における、「金の斧・銀の斧」も、太陽と月を象徴しているかもしれない。
    二つの珠は、さらに 神格 の目を象徴している可能性が有る。
    山幸/海幸 エピソード 変異N1 及び 変異N4 には、呪物 は現れない。
  2. 蛇(屡々、竜・辰に誇張されるが)は、世界各地の文化において水(海)神の典型的な象徴である。従って、モーセの「蛇の杖」は、ヤハウェの水を統治する力を実体化するのに好適な呪物である。もっとも、後のシーンでは、このことが自づから分かるようになっている。こうしたシーンでは、ヤハウェは水神としての役割を果たしている。
  3. 木樵/ヘルメス において、ヘルメスは、男性主人公 に、水中より 贈与物 をもたらす。その含意は、ここでヘルメスと呼ばれている 神格 が、水の世界の支配者、つまり 水神だと云うことである。
    ちなみに、ヘルメスの杖(caduceus)は、一種の蛇の杖である。
  4. モーセの杖は、神から与えられた物ではなく、ヤハウェの召命を受けた時、彼が既に持っていた物であるように見える。
  5. モーセの杖は、モーセの出エジプト エピソード外でも水を統御する呪物として活躍する。
    主はモーセに言われた。
    「イスラエルの長老数名を伴い、民の前に進め、また、ナイル川を打った杖を持って行くがよい。見よ、わたしはホレブの岩の上であなたの前に立つ。あなたはその岩を打て。そこから水が出て、民は飲むことができる。」
    モーセは、イスラエルの長老たちの目の前でそのとおりにした。
    ( 出エジプト記 17:5-6)
    民数記 20:1-11 も参照。
    水を涌き上がらせるために岩を打つと云うモチーフは、ヤコブ/エサウ でヤコブが井戸の口から岩を転がしどけたと云う( シーン 15 「顕現」創世記 29:9-11 参照)モチーフに転形できる。
    日本の民話には、偉大な僧侶が杖を打ったり振ったりした所から水が湧き出たと云うものがある。
    なお、[泉/杖]と云う二項対立は、[ 水源/植物 ]と云う二項対立を連想させる。
  6. 歴史上のモーセ(実在したらの話だが)は、古代潅漑技術に就いての専門知識(必ずや、水神に関わる儀式及び神話を伴っていただろう)を持っていたのかもしれない。
  7. カヴルサンに与えられた贈物は呪物だったのか ?
  8. ヤコブ/エサウ には、水を統御する力にも「水を統御する呪物」にも言及しないしかし、ヤコブは、ラバンを出し抜く「魔法使い」に変身している( 創世記 30:32-43)。

シーン 28: 神格/家長の送別

包括型
シノプシス神格/家長の送別: 神格/家長男性主人公 を送り出す。
モーセの出エジプト エピソード シーン番号:28 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス神格/家長の送別: 神格/家長男性主人公 を送り出す。
エトロは言った。「無事で行きなさい。」
( 出エジプト記 4:18)
主はミディアンでモーセに言われた。
「さあ、エジプトに帰るがよい。あなたの命をねらっていた者は皆、死んでしまった。」
( 出エジプト記 4:19)
山幸/海幸 エピソード
古事記版 (変異K) シーン番号:28 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス神格/家長の送別: 神格/家長男性主人公 を送り出す。
即ち悉(ことごと)和迩魚(わに)を召し集めて問ひて曰く、「今、天津日高(あまつひこ)の御子、虚空津日高(そらつひこ)、上つ国(うはつくに)に出幸(いでま)さむとしたまふ。誰者(たれ)か幾日(いくか)に送り奉りて覆奏(かへりことまを)す。」といふ。
故(かれ)、各(おのおの)己(おの)が身の尋長(ひろたけ)の随(まにま)に、日を限りて白(まを)す中に、一尋和迩(ひとひろわに)曰(まを)さく、「僕(あ)は、一日(ひとひ)に送りて即ち還り混む。」とまをす。故(かれ)しかして、其の一尋和迩に告(の)らさく、「しかあらば、汝(なれ)送り奉れ。若し海中(わたなか)を度(わた)らむ時には、慌畏(かしこま)らしむること無くあれ。」とのらして、・・・
日本書紀版
変異N0 シーン番号:28 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
変異N1 シーン番号:28 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
変異N2 シーン番号:28 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
変異N3 シーン番号:28 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス神格/家長の送別: 神格/家長男性主人公 を送り出す。
已にして鰐魚(わに)を召して集(つど)へて問ひて曰はく、「天神(あまつかみ)の孫(みま)、今還去(かへりま)さむとす。オノ等(ら)、幾日(いくか)が内に、致し奉りてむ」といふ。時に諸(もろもろ)の鰐魚、各(おのおの)其の長短(ながきみじかき)の隨(まにま)に、其の日数(ひかず)を定む。中に一尋鰐(ひとひろわに)有りて、自(みづか)ら言(まう)さく、「一日(ひとひ)の内に、則(すなは)ち致しまつるべし」とまうす。故(かれ)、即ち一尋鰐魚(ひとひろわに)を遣(つかは)して、送り奉(まつ)る。
変異N4 シーン番号:28 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
B型
シノプシスシーン無
サルゴン誕生 エピソード シーン番号:28 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
モーセ誕生 エピソード シーン番号:28 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
G型
木樵/ヘルメス エピソード シーン番号:28 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
R型
カヴルサン/友人 エピソード シーン番号:28 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
縮退型
ヤコブ/エサウ エピソード シーン番号:28 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス神格/家長の送別: 神格/家長男性主人公 を送り出す。
主はヤコブに言われた。
「あなたは、あなたの故郷である先祖の土地に帰りなさい。わたしはあなたと共にいる。」
( 創世記 31:3)
次の朝早く、ラバンは孫や娘たちに口づけして祝福を与え、そこを去って自分の家へ帰って行った。
( 創世記 32:1)
参考種
アブラハムの僕/リベカ エピソード シーン番号:28 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
イエス/サマリア人 エピソード シーン番号:28 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
イエス/洗礼者ヨハネ エピソード シーン番号:28 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
マリアへの受胎告知 エピソード シーン番号:28 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
ハガル-イシュマエル群
ハガル/サライ エピソード シーン番号:28 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス家長の送別: 家長(女性)主人公 を送り出す。
主の御使いは言った。
「女主人のもとに帰り、従順に仕えなさい。」
( 創世記 16:9)
イシュマエル/ハガル エピソード シーン番号:28 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無

シーン 28への注

シーン番号:28 [-1], [+1]
  1. モーセの出エジプト 及び 山幸/海幸 (変異K) は、家長男性主人公 の旅の平安を願うと云う特徴も共通する。ヤコブ/エサウ では、男性主人公 に帰郷を命じた 神格 が「わたしはあなたと共にいる。」と言っている。(家長 に就いては 創世記 32:1 参照)
  2. 男性主人公 は、守護者/敵対者 により 故地 から送り出されたように、神格/家長 により 異郷 から送り出される。
  3. 本シーンでの モーセの出エジプト に関連して マタイ 2:19-21 を参照のこと。
    ヘロデが死ぬと、主の天使がエジプトにいるヨセフに夢で現れて、言った。「起きて、子供とその母親を連れ、イスラエルの地に行きなさい。この子の命をねらっていた者どもは、死んでしまった。」そこで、ヨセフは起きて、幼子とその母を連れて、イスラエルの地へ帰って来た。
    ( マタイ 2:19-21)
    ただし、これは既知事項である。「THE NEW JERUSALEM BIBLE, Standard Edition」p.85 及び p.1612 参照。
  4. 男性主人公 を 送り出すのは 神格 の機能なのか、家長 の機能なのかは、今のところ明確でない。

シーン 29: 帰還

包括型
シノプシス帰還: 男性主人公 は、故地 に向かって出発する。
モーセの出エジプト エピソード シーン番号:29 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス帰還: 男性主人公 は、故地 に向かって出発する。男性主人公 とともに、女性主人公帰還搬送者 獣に乗る。
モーセは、妻子をろばに乗せ、手には神の杖を携えて、エジプトの国を指して帰って行った。
( 出エジプト記 4:20)
山幸/海幸 エピソード
古事記版 (変異K) シーン番号:29 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス帰還: 男性主人公 は、呪物 を持って 故地 に向かって出発する。男性主人公帰還搬送者 獣に乗る。
即ち其の和迩(わに)の頚に載せて送り出だしまつりき。・・・
故(かれ)、期(ちぎ)りしが如(ごと)、一日(ひとひ)の内に送り奉りき。
日本書紀版
変異N0 シーン番号:29 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
変異N1 シーン番号:29 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス帰還: 男性主人公 は、故地 に向かって出発する。男性主人公帰還搬送者 獣に乗る。
火火出見尊を大鰐(わに)に乗せて、本郷(もとつくに)に送致(おく)りまつる。
変異N2 シーン番号:29 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス帰還: 男性主人公 は、故地 に向かって出発する。
時に彦火火出見尊、彼(そ)の瓊(たま)と鉤(ち)とを受けて、本宮(もとつみや)に帰り来(い)でます。
変異N3 シーン番号:29 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
変異N4 シーン番号:29 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
B型
シノプシスシーン無
サルゴン誕生 エピソード シーン番号:29 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
モーセ誕生 エピソード シーン番号:29 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
G型
木樵/ヘルメス エピソード シーン番号:29 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス帰還: 男性主人公 は仲間のもとに向かって出発する。
仲間の所へ行って、・・・
R型
カヴルサン/友人 エピソード シーン番号:29 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス帰還: 男性主人公 は ( 贈与物を持って) 故地 に向かって出発する。男性主人公 は、帰還搬送者 獣に乗る。
カヴルサンは、[両親から貰った贈物をもって]帰る。彼の水に潜った地点に帰ると、小舟は見えなくなっていた。彼がこの新しい不幸を嘆いておると、大きい魚がくる。これに、もし自分を岸まで首尾よく連れていってくれれば、ポンコル・スメセンカト Pongkor Sumesengkat の名をやるからと懇願する。ききいれられてその魚の背に座すると疾風迅雷のような勢で水中を飛ぶ。
縮退型
ヤコブ/エサウ エピソード シーン番号:29 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス帰還: 男性主人公 は、故地 に向かって出発する。彼に同行して、女性主人公 が、帰還搬送者 獣に乗る。
ヤコブは直ちに、子供たちと妻たちをらくだに乗せ、パダン・アラムで得たすべての財産である家畜を駆り立てて、父イサクのいるカナン地方へ向かって出発した。
( 創世記 31:17-18)
参考種
アブラハムの僕/リベカ エピソード シーン番号:29 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
イエス/サマリア人 エピソード シーン番号:29 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
イエス/洗礼者ヨハネ エピソード シーン番号:29 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
マリアへの受胎告知 エピソード シーン番号:29 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
ハガル-イシュマエル群
ハガル/サライ エピソード シーン番号:29 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
イシュマエル/ハガル エピソード シーン番号:29 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無

シーン 29への注

シーン番号:29 [-1], [+1]
  1. モーセの出エジプト山幸/海幸 (変異K 及び 変異N1)、ヤコブ/エサウ、及び カヴルサン/友人 エピソードには、男性主人公(又は、彼の家族)が 帰還搬送者 獣に乗って旅をすると云う共通の特徴がある。
    モーセの出エジプト 及び ヤコブ/エサウ で、帰還搬送者 獣は四足獣(ロバ又はラクダ)である。
    山幸/海幸 (変異K 及び 変異N1)でも、男性主人公が「ワニ」に跨がっているのが見られる。(この旅では、トヨタマヒメは後に残された。)
    ワニは駄獣ではなく、怪獣であるとする意見もあろうが、この点に就いては、山幸/海幸 エピソード 変異N4 シーン11 で、ワニの事を海神が乗る「駿馬」とされていることに注意すべきだろう。「古典」神話における「海馬」も参考にすべきかもしれない。カヴルサン/友人 では、それが「大きい魚」になっている。
    帰還搬送者 についてまとめると次のようになる。
    エピソード 帰還搬送者
    モーセの出エジプト ロバ (妻と子供用)
    山幸/海幸-K ヒトヒロワニ
    山幸/海幸-N1 大鰐(わに)
    山幸/海幸-N2 無記載
    木樵/ヘルメス 無記載
    カヴルサン/友人
    ヤコブ/エサウ ラクダ(家族用)
  2. 帰還搬送者 の象徴性は、現在のところ明瞭ではない。単に偶発的な特性かもしれない。他方、それは 男性主人公 の男根象徴かもしれないし、神格 (水神)の属性を象徴しているかもしれない。守護者 としての「母」の子宮を象徴する の変形した姿でもありうる。さらに、女性主人公 と関係していることも考えられる。
    注意しなければならないのは、帰還シーンは B型 には現れず、G型 には現れるのに対し、流離シーンは、B型 に現れ、G型 には現れないことである。つまり、帰還シーンは 地母神局面 より 水神局面 に属している可能性が高く、流離シーンは 水神局面 より 地母神局面 に属している可能性が高い。
    とりあえずは、帰還搬送者 は、男性主人公 の属性と見なすことにする。(シーン 30での注を参照。)
  3. 古事記版山幸/海幸エピソードで、ホヲリ の帰還は、何故一日で完了しなければならなかったか?
  4. モーセがミディアンからエジプトへと家族をロバに乗せて帰還することは、彼がエジプトからカナンへとイスラエルの民を連れて脱出することと対応する。シノプシスの折り畳み可能性は、他のエピソードにもあるかもしれない。
  5. 興味深いことに、カヴルサン/友人では、男性主人公 がシーン 23ではなく、このシーンで「苦悩」する。

シーン 30: 命名

包括型
シノプシス命名: 帰還の旅の途中に、男性主人公 は命名行為に関わる。
モーセの出エジプト エピソード シーン番号:30 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス命名: 帰還の旅の途中に、男性主人公 は命名行為に関わる。具体的には、男性主人公 が、女性主人公 に命名される。
途中、ある所に泊まったとき、主はモーセと出会い、彼を殺そうとされた。ツィポラは、とっさに石刀を手にして息子の包皮を切り取り、それをモーセの両足に付け、「わたしにとって、あなたは血の花婿です」と叫んだので、主は彼を放された。彼女は、そのとき、割礼のゆえに「血の花婿」と言ったのである。
( 出エジプト記 4:24-26)
山幸/海幸 エピソード
古事記版 (変異K) シーン番号:30 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス命名: 帰還の旅の途中帰還の旅の途中に、男性主人公 は命名行為に関わる。具体的には、男性主人公 が、帰還搬送者 獣に命名する。
その和迩(わに)を返へさむとしたまふ時、所佩(は)かせる紐小刀(ひもかたな)を解き、其の頚に著けて返したまひき。故(かれ)、其の一尋和迩(ひとひろわに)は、今に佐比持神(さひもちのかみ)と謂ふ。
日本書紀版
変異N0 シーン番号:30 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
変異N1 シーン番号:30 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
変異N2 シーン番号:30 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
変異N3 シーン番号:30 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
変異N4 シーン番号:30 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
B型
シノプシスシーン無
サルゴン誕生 エピソード シーン番号:30 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
モーセ誕生 エピソード シーン番号:30 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
G型
木樵/ヘルメス エピソード シーン番号:30 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
R型
カヴルサン/友人 エピソード シーン番号:30 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス命名: 帰還の旅の途中、男性主人公 は命名行為に関わる。具体的には、男性主人公 は、帰還搬送者 獣に命名する。
大きい魚がくる。これに、もし自分を岸まで首尾よく連れていってくれれば、ポンコル・スメセンカト Pongkor Sumesengkat の名をやるからと懇願する。
縮退型
ヤコブ/エサウ エピソード シーン番号:30 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス命名: 帰還の旅の途中、男性主人公 は命名行為に関わる。具体的には、男性主人公 は、神格 に命名される。
その夜、ヤコブは起きて、二人の妻と二人の側女、それに十一人の子供を連れてヤボクの渡しを渡った。皆を導いて川を渡らせ、持ち物を渡してしまうと、ヤコブは独り後に残った。そのとき、何者かが夜明けまでヤコブと格闘した。
ところが、その人はヤコブに勝てないとみて、ヤコブの腿の関節を打ったので、格闘をしているうちに腿の関節がはずれた。「もう去らせてくれ。夜が明けてしまうから」とその人は言ったが、ヤコブは答えた。「いいえ、祝福してくださるまでは離しません。」「お前の名は何というのか」とその人が尋ね、「ヤコブです」と答えると、その人は言った。「お前の名はもうヤコブではなく、これからはイスラエルと呼ばれる。お前は神と闘って勝ったからだ。」「どうか、あなたのお名前を教えてください」とヤコブが尋ねると、「どうして、わたしの名を尋ねるか」と言って、ヤコブをその場で祝福した。ヤコブは、「わたしは顔と顔と合わせて神を見たのに、なお生きている」と言って、その場所をペヌエル(神の顔)と名付けた。
( 創世記 32:23-31)
ヤコブはこうして、パダン・アラムから無事にカナン地方にあるシケムの町に着き、・・・
( 創世記 33:18)
参考種
アブラハムの僕/リベカ エピソード シーン番号:30 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
イエス/サマリア人 エピソード シーン番号:30 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
イエス/洗礼者ヨハネ エピソード シーン番号:30 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
マリアへの受胎告知 エピソード シーン番号:30 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
ハガル-イシュマエル群
ハガル/サライ エピソード シーン番号:30 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
イシュマエル/ハガル エピソード シーン番号:30 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無

シーン 30への注

シーン番号:30 [-1], [+1]
  1. モーセの出エジプト において、エジプトへの帰途、異常な事件がモーセを襲う。この「血の花婿」事件において、ヤハウェがモーセを殺そうとするのだ。
    同様に、ヤコブ/エサウ では、帰郷しようとするヤコブが、ペヌエルにおいて神と格闘する。(この類似性は既知である。THE NEW JERUSALEM BIBLE, Standard Edition p.56 及び p,86 参照。)
    ペヌエルにおける神は、「ヤボクの渡し」と関係があるか? つまり、水神性があるか?
    何故、ヤコブが「何物か」に祝福を求めたのか? そして何故、「何物か」は彼の名前を漏らさなかったのか?
    以下は、出エジプト記 4:24-26 と 創世記 32:25-31 との特徴を表にしたものである。
    エピソード モーセの出エジプト ヤコブ/エサウ
    男性主人公 モーセ ヤコブ
    時刻 夜明けまで
    怪我の部位 息子の男根 腿の関節
    攻撃者 ヤハウェ
    命名者 ツィポラ ( 男性主人公 の妻)
    男性主人公 の別名 血の花婿 イスラエル
    「怪我の部位」には性的な意味があるかもしれない。恐らく、それはファリック・シンボルだろう。
    神格 の攻撃にしろ、命名にしろ、実質的に 男性主人公 の帰還の旅の最終段階で起っていることは注意すべきだろう。
  2. モーセの出エジプト山幸/海幸 (K)、カヴルサン/友人 及び ヤコブ/エサウ 全てに、命名行為が共通する。モーセの出エジプト を除く3例では、事件が起こったのは、男性主人公 が「水」を、完全にかほぼ、横断し終わった時点とみなせる。
    ただし、山幸/海幸 (K)では、ホヲリ自身が「和迩(わに)」に命名を行なったと云う直接的な記載はない。
    シーン 29で 帰還搬送者 獣に乗る登場人物と、本シーンでの命名者とが、ヤコブ/エサウ の場合を除き、一致することには意味があるかもしれない。
    エピソード 命名者 対象 名前 被搬送者
    モーセの出エジプト 女性主人公 男性主人公 血の花婿 女性主人公 及び息子
    山幸/海幸 (K) 男性主人公 帰還搬送者 サヒモチノカミ 男性主人公
    カヴルサン/友人 男性主人公 帰還搬送者 ポンコル・スメセンカト 男性主人公
    ヤコブ/エサウ 神格 男性主人公 イスラエル 女性主人公、息子その他
    ここでの命名は、シーン 19(「正体」)での謎めいた呼びかけと関係があるのだろうか?
  3. このシーンの中核には、植物神 及び 地母神 のための去勢儀式があるように思われる。復活したオシリスには男根が欠けていたことに注意。また、一方で「戴冠式」の雰囲気も持っている。
    このシーンで見るかぎりでは、帰還搬送者 は、男性主人公 のファリックシンボルと推定できる。
  4. このシーンの モーセの出エジプト山幸/海幸 には、「小刀」と云う共通の特徴がある。モーセの出エジプト では、小刀で切り取った「息子の包皮」が 男性主人公 の身体(恐らく性器部)に付けられ、山幸/海幸 では、小刀自体が、帰還搬送者 獣の身体に付けられる。
  5. このシーンの ヤコブ/エサウ に対して、ロラン・バルトは、「天使との格闘--「創世記」三二章二三-三三節のテクスト分析」(「物語の構造分析」みすず書房1979年所収。原典は、La lutte avec l'ange: Analyse textuelle de Genèse 32. 23-33, in R, Barthes, F. Bovon, F.-J. Leenhardt, R. Martin-Achard, J. Starobinski: Analyse structurale et exégèse biblique, Neuchâtel, Dalachaux et Niestlé, coll. «Bibliothèque théologique» 1971)で、分析を行なっている。必要があれば、後にこれに触れることもあろう。
  6. z
  7. このシーンは、日本書紀版 エピソードには存在しない。

シーン 31: 失敗者との接触

包括型
シノプシス失敗者との接触: 故地 において、男性主人公 は、失敗者 と接触する。
モーセの出エジプト エピソード シーン番号:31 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス失敗者との接触: 故地 において、男性主人公 は、失敗者 と接触する。
その後、モーセとアロンはファラオのもとに出かけていき、言った。「イスラエルの神、主がこう言われました。『わたしの民を去らせて、荒れ野でわたしのために祭りを行わせなさい』と。」ファラオは、「主とは一体何者なのか。どうして、その言うことをわたしが聞いて、イスラエルを去らせねばならないのか。わたしは主など知らないし、イスラエルを去らせはしない」と答えた。
( 出エジプト記 5:1-2)
山幸/海幸 エピソード
古事記版 (変異K) シーン番号:31 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス失敗者との接触: 故地 において、男性主人公 は、失敗者 と接触する。失敗者 は、敵対者 そのものである。
是(ここ)を以ちて、備(つぶさ)に海神(わたのかみ)の教へし言の如く、其の鉤を与へたまひき。
日本書紀版
変異N0 シーン番号:31 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス失敗者との接触: (故地 において、男性主人公 は、失敗者 と接触する。)失敗者 は、敵対者 そのものである。
彦火火出見尊(ひこほほでみのみこと)、已に宮(もとのみや)に還りまして、一(ひとつ)に海神(わたつみ)の教(をしへ)に遵(したが)ふ。
変異N1 シーン番号:31 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
変異N2 シーン番号:31 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス失敗者との接触: 故地 において、男性主人公 は、失敗者 と接触する。
一(もはら)に海神(わたつみ)の教(をしへ)の依(まにま)に、先づ其の鉤を以て兄(このかみ)に与へたまふ。兄怒りて受けず。
変異N3 シーン番号:31 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
変異N4 シーン番号:31 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
B型
シノプシスシーン無
サルゴン誕生 エピソード シーン番号:31 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
モーセ誕生 エピソード シーン番号:31 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
G型
木樵/ヘルメス エピソード シーン番号:31 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス失敗者との接触: 故地 において、男性主人公 は、失敗者 と接触する。
男は(押し戴くと、)仲間の所へ行って、・・・
R型
カヴルサン/友人 エピソード シーン番号:31 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
縮退型
ヤコブ/エサウ エピソード シーン番号:31 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
参考種
アブラハムの僕/リベカ エピソード シーン番号:31 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
イエス/サマリア人 エピソード シーン番号:31 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
イエス/洗礼者ヨハネ エピソード シーン番号:31 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
マリアへの受胎告知 エピソード シーン番号:31 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
ハガル-イシュマエル群
ハガル/サライ エピソード シーン番号:31 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
イシュマエル/ハガル エピソード シーン番号:31 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無

シーン 31への注

シーン番号:31 [-1], [+1]
  1. 敵対者 が裏返された 守護者 であるように、失敗者 は、裏返された 男性主人公 である。男性主人公失敗者 とは、相互に補完すると見なせる。
    失敗者 は、男性主人公 にとり、ユング派心理学者の言う「影」であるかもしれない。
  2. 山幸/海幸 において、男性主人公 が帰還した時、敵対者 (= 失敗者) は未だ存命だったが、モーセの出エジプト では、モーセの帰還時、モーセの「命をねらっていた者は皆、死んでしまっ」ていた。つまり、敵対者 ファラオと、溺れることになる 失敗者 ファラオとは別人である(「シーン 22: 時間経過」への注参照)。
    ヤコブ/エサウ において、エサウもヤコブの帰還時存命であったが、以前の彼とは別人のようになっていた。エサウは 敵対者 にはなれても、失敗者 にはなれない。興味深いことに、ヤコブ/エサウ では、失敗者 の役割を果すのはラバンである。
  3. 日本書紀版 山幸/海幸 エピソード 変異N2 では、失敗者男性主人公 から鉤を受けとっていない。

シーン 32: 失敗者の認識

包括型
シノプシス失敗者の認識: 失敗者 は、男性主人公 の水を操る呪力を認識する。
モーセの出エジプト エピソード シーン番号:32 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス失敗者の認識: 失敗者 は、男性主人公 の水を操る呪力を認識する。
聖書が記載するモーセ及び/又はアロンがエジプトに対して加えた災厄は、ここに引用するには長すぎる。そこで、代わりとして出来る限り簡潔な要旨を列挙する:
  1. 第一の災厄: 川が血に変わる。
    神の杖の力によりの水はことごとく血に変わり、川の魚は死に、川は悪臭を放ち、エジプト人は、ナイル川の水を飲めなくなった。
    (7:20-21)
  2. 第二の災厄: 蛙
    神の杖の力によりエジプトの水からが這い上がってきてエジプトの国を覆った。
    (8:2)
  3. 第三の災厄: ぶよ
    神の杖の力により土の塵はすべてぶよとなり、エジプト全土に広がって、人と家畜を襲った。
    (8:13)
  4. 第四の災厄: あぶ
    あぶの大群がファラオの王宮や家臣の家に入り、エジプトの全土に及んだ。国はあぶのゆえに荒れ果てた。
    (8:20)
  5. 第五の災厄: エジプト人の家畜への疫病
    疫病によりエジプト人の家畜はすべて死んだが、イスラエルの人々の家畜は一頭も死ななかった。
    (9:6)
  6. 第六の災厄: はれ物
    モーセが煤を天に向かってまき散らすと、膿の出るはれ物が人と家畜に生じた。
    (9:10)
  7. 第七の災厄: 雹
    モーセが天に向かってを差し伸べると、主はを下され、稲妻が大地に向かって走った。主はエジプトの地に雹を降らせられた。雹が降り、その間を絶え間なく稲妻が走った。それは甚だ激しく、このような雹が全土に降ったことは、エジプトの国始まって以来かつてなかったほどであった。雹は、エジプト全土で野にいるすべてのもの、人も家畜も残らず打った。雹はまた、野のあらゆる草を打ち、野のすべての木を打ち砕いた。ただし、イスラエルの人々の住むゴシェンの地域には雹は降らなかった。
    (9:23-26)
  8. 第八の災厄: いなご
    神の杖の力によりいなごの大群が、エジプト全土を覆い、エジプトの領土全体にとどまった。木であれ、野の草であれ、エジプト全土のどこにも緑のものは何一つ残らなかった。
    (10:13-14)
  9. 第九の災厄: 暗闇
    三日間エジプト全土に暗闇が臨んだが、イスラエルの人々が住んでいる所にはどこでも光があった。
    (10:22-23)
  10. 第十の災厄: 初子の死
    ヤハウェはエジプト人のすべての初子を殺した。
    (12:29)
( 出エジプト記 第7章-第12章)
山幸/海幸 エピソード
古事記版 (変異K) シーン番号:32 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス失敗者の認識: 失敗者 は、男性主人公 の水を操る呪力を認識する。
其の綿津見(わたつみ))の大神(おほかみ)誨(おし)へて曰く、「・・・しかして、其の兄高田(あげた)作らば、汝命(いましみこと)は下田(くぼた)営(つく)りたまへ。其の兄下田(くぼた)作らば、汝命(いましみこと)は高田(あげた)営(つく)りたまへ。しかしたまはば、吾(あれ)水を。掌(し)れる故に、三年(みとせ)の間、必ず其の兄貧窮(まづ)しくあらむ。・・・」と云ひて、・・・
故(かれ)、それより以後(のち)は、稍兪(やや)く貧しくて、・・・
日本書紀版
変異N0 シーン番号:32 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
変異N1 シーン番号:32 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
変異N2 シーン番号:32 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス失敗者の認識: 失敗者 は、男性主人公 の水を操る呪力を認識する。
故(かれ)、弟(おとのみこと)、潮溢瓊(しほみちのたま)を出せば、潮(しほ)大(おほ)きに溢(み)ちて、兄自(みづか)ら没溺(おぼほ)る。因りて請ひて曰(まう)さく、「吾(われ)当(まさ)に汝(いましみこと)に事へまつりて奴僕(やつこ)と為らむ。願はくは垂教活(い)けたまへ」とまうす。弟(おとのみこと)、潮涸瓊(しほひのたま)を出せば、潮自(おの)づから涸(ひ)て、兄(このかみ)還りて平復(たひら)ぎぬ。
変異N3 シーン番号:32 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス失敗者の認識: 失敗者 は、男性主人公 の水を操る呪力を認識する。
時に彦火火出見尊、已に帰り来(みた)して、一(もはら)に神(わたつみ)の教(をしへ)に遵(したが)ひて、依りて行(おこな)ふ。其の後(のち)に、火酢芹命(ほのすせりのみこと)、日(ひび)に襤褸(やつ)れて、憂へて曰(まう)さく、「吾(われ)已に貧(まづ)し」とまうす。
変異N4 シーン番号:32 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
B型
シノプシスシーン無
サルゴン誕生 エピソード シーン番号:32 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
モーセ誕生 エピソード シーン番号:32 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
G型
木樵/ヘルメス エピソード シーン番号:32 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス失敗者の認識: 失敗者 は、男性主人公神格 から贈与を受けたことを知る。
聞いた一人が羨ましくなって、・・・
R型
カヴルサン/友人 エピソード シーン番号:32 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
縮退型
ヤコブ/エサウ エピソード シーン番号:32 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス失敗者の認識: 失敗者男性主人公 が、神格 に愛されていることを知る。
「もし、お前さえ良ければ、もっといてほしいのだが、実は占いで、わたしはお前のお陰で、主から祝福をいただいていることが分かったのだ」とラバンは言い、・・・
( 創世記 30:27)
参考種
アブラハムの僕/リベカ エピソード シーン番号:32 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
イエス/サマリア人 エピソード シーン番号:32 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
イエス/洗礼者ヨハネ エピソード シーン番号:32 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
マリアへの受胎告知 エピソード シーン番号:32 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
ハガル-イシュマエル群
ハガル/サライ エピソード シーン番号:32 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
イシュマエル/ハガル エピソード シーン番号:32 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無

シーン 32への注

シーン番号:32 [-1], [+1]
  1. モーセの出エジプト の十の災厄は、中近東或いはエジプトに暮した古代人にとっての災害、驚異及び慣習を列挙したものと幾らも違わないように見える。モーセの出エジプト の祖型では、リストは遥かに短かったに違いない。実は、これらのうち七番目のみが物語上本質的であると思われる。以下、その理由を述べる:
    • もともとの形では、ファラオの苦難は、モーセの蛇の杖により引き起こされたものでなければならない。その候補は、第一、第二、第三、第七、及び第八の災厄である。他方、杖はヤハウェの治水力の象徴であった。この観点からすれば、本来の災厄は、水神の権能内になければならず、従って、第一、第二、及び第七の災厄以外であはありえない。
    • こうして第一、第二、及び第七の災厄が残ったわけだが、第一と第二に就いては、エピソードの魔術師も同じことができたとされている( 出エジプト記 7:22 及び 8:3)。この二つの災厄は、古代人にとっては見知った物だったのだろう。つまり、現代の言葉づかいで言うなら、何らかの自然(多分周期的) 現象であったのではないか。このことから、本シーンで モーセの出エジプト が本来物語っていたのは、第七の災厄のみであったと思われる。
    • 第七と第八の災厄は、収穫の荒廃であることは、注意してよい。特に、第七の災厄は、悪天候によってもたらされた。
  2. 杖により引き起こされた災厄中、第二、第三、及び第八は、異常繁殖である。これは、背景に 地母神 の存在が窺える。あるいは、若干疑わしくなるが、杖がファリック・シンボルである可能性もある。
  3. モーセの出エジプト の十番目の災厄は、いづれ詳細に検討する予定である。その際、モーセ、イサク、ヒルコ(イザナギ・イザナミ双神の長男)が、犠牲にされかけた、或いはまさに犠牲にされてしまった長男として、議論されるだろう。
    • ちなみに、「過越」も、太陰暦における大晦日の祝祭を連想させる。
    • 日本の説話/民話でも、大晦日の夜に、神が仮装した放浪者(例えば「歳の神」)が、ある家には福、他の家には災いをもたらすと云うパターンのものがある。
    • ハロウィーンの "Trick or treat" も、同じ系統に属する伝承と考えられる。
    • サンタクロース伝説も検討する必要があるだろう。
  4. 山幸/海幸 エピソード K 及び N3 男性主人公 は、本シーンでは 呪物 を使用していない。しかし、水神の呪術的な力そのものは藉りている。
  5. 木樵/ヘルメス で、ヘルメスは具体的には(水を操る)呪力を行使していない。
  6. 山幸/海幸 エピソード 変異N2 では、このシーンにおいて既に 失敗者 が溺れていることに注意。

シーン 33: 失敗者の疾走

包括型
シノプシス失敗者の疾走: 失敗者男性主人公 に向かって疾走する。
モーセの出エジプト エピソード シーン番号:33 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス失敗者の疾走: 失敗供犠を伴い、失敗者 は、逃亡した 男性主人公 に向かって疾走し、 のそばに至る。
イスラエルの人々はラメセスからスコトにむけて出発した。
( 出エジプト記 12:37)
民が逃亡したとの報告を受けると、エジプト王ファラオとその家臣は、民に対する考えを一変して言った。「ああ、我々は何ということをしたのだろう。イスラエル人を労役から解放して去らせてしまったとは。」ファラオは戦車に馬をつなぎ、自ら軍勢を率い、えり抜きの戦車六百をはじめ、エジプトの戦車すべてを動員し、それぞれに士官を乗り込ませた。主がエジプト王ファラオの心をかたくなにされたので、王はイスラエルの人々の後を追った。イスラエルの人々は、意気揚々と出て行ったが、エジプト軍は彼らの後を追い、ファラオの馬と戦車、騎兵と歩兵は、ピ・ハヒロトの傍らで、バアル・ツェフォンの前の海辺に宿営している彼らに追いついた。
( 出エジプト記 14:5-9)
山幸/海幸 エピソード
古事記版 (変異K) シーン番号:33 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス失敗者の疾走: 失敗者 は、男性主人公 に向かって疾走する。
更に荒き心を起して迫め来。
日本書紀版
変異N0 シーン番号:33 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
変異N1 シーン番号:33 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
変異N2 シーン番号:33 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス失敗者の疾走: 失敗者 は、男性主人公 から逃れようとする。
已にして兄、前(さき)の言(こと)を改めて曰はく、「吾は是(これ)汝(いましみこと)の兄(このかみ)なり。如何にぞ人の兄として弟(おとと)に事(つか)へむや」といふ。弟(おとのみこと)、時に溢瓊(しほみちのたま)を出したまふ。兄(このかみ)、見て高山(たかやま)に走(に)げ登る。則ち潮亦(また)山(やま)を沒(い)る。兄、高樹(たかき)に縁(のぼ)る。則ち潮亦樹を沒(い)る。
変異N3 シーン番号:33 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
変異N4 シーン番号:33 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
B型
シノプシスシーン無
サルゴン誕生 エピソード シーン番号:33 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
モーセ誕生 エピソード シーン番号:33 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
G型
木樵/ヘルメス エピソード シーン番号:33 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス模倣: 失敗供犠を伴い、失敗者 は、逃亡した 男性主人公 に倣って、 のそばに至る。
[聞いた一人が羨ましくなって、]自分も同じ目に遭いたいと思う。そこで斧を取り上げると、件の川に出かけ、・・・
R型
カヴルサン/友人 エピソード シーン番号:33 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
縮退型
ヤコブ/エサウ エピソード シーン番号:33 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス失敗者の疾走: 失敗者 は、逃亡した 男性主人公 に向かって、疾走し山に至る。
ヤコブは直ちに、子供たちと妻たちをらくだに乗せ、パダン・アラムで得たすべての財産である家畜を駆り立てて、父イサクのいるカナン地方へ向かって出発した。そのとき、ラバンは羊の毛を刈りに出かけていたので、ラケルは父の家の守り神の像を盗んだ。ヤコブもアラム人ラバンを欺いて、自分が逃げ去ることを悟られないようにした。ヤコブはこうして、すべての財産を持って逃げ出し、川を渡りギレアドの山地へ向かった。
( 創世記 31:17-21)
ヤコブが逃げたことがラバンに知れたのは、三日目であった。ラバンは一族を率いて、七日の道のりを追いかけていき。ギレアドの山地でヤコブに追いついたが、
( 創世記 31:22-23)
参考種
アブラハムの僕/リベカ エピソード シーン番号:33 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
イエス/サマリア人 エピソード シーン番号:33 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
イエス/洗礼者ヨハネ エピソード シーン番号:33 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
マリアへの受胎告知 エピソード シーン番号:33 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
ハガル-イシュマエル群
ハガル/サライ エピソード シーン番号:33 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
イシュマエル/ハガル エピソード シーン番号:33 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無

シーン 33への注

シーン番号:33 [-1], [+1]
  1. こうシーン以降、ヤコブ/エサウ は強度に縮退しており、MY型 の幾つかのシーンが混然と現れる。そして、家長失敗者 も同一人物(ラバン)に縮退している。このため 男性主人公故地 への 帰還 が、失敗者 からの逃走と折り畳まれてしまっている。従ってラケルが盗み取ったのが、「呪物」であるか否かは判定が難しい。
  2. 「失敗者の疾走」に関連して、モーセの出エジプト 及び ヤコブ/エサウ は、男性主人公/女性主人公 の「奪取と逃走」と云う特徴を示すことに注意(出エジプト記 11:1-2, 11:35-36 及び 創世記 31:19-21)。
  3. このシーンに関連して、「何故海は塩辛いか」型の説話を検討することになるだろう。
  4. モーセの出エジプト 及び ヤコブ/エサウ では、男性主人公 が逃走して、失敗者 が追走するのに対し、山幸/海幸 エピソード変異N2 では、失敗者男性主人公 から逃走する。

シーン 34: 失敗者の攻撃

包括型
シノプシス失敗者の攻撃: 失敗者男性主人公 に攻撃しようとする。
モーセの出エジプト エピソード シーン番号:34 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス失敗者の攻撃: 失敗者男性主人公 に攻撃しようとして、失敗供犠 の中に入れてしまう。
ファラオは既に間近に迫り、イスラエルの人々が目を上げて見ると、エジプト軍は既に背後に襲いかかろうとしていた。イスラエルの人々は非常に畏れて主に向かって叫び、・・・
( 出エジプト記 14:10)
主はモーセに言われた。「なぜ、わたしに向かって叫ぶのか。イスラエルの人々に命じて出発させなさい。杖を高く上げ、手を海に向かって差し伸べて、海を二つに分けなさい。そうすれば、イスラエルの民は海の中の乾いた所を通ることができる。しかし、わたしはエジプト人の心をかたくなにするから、彼らはお前たちの後を追って来る。そのとき、わたしはファラオとその全軍、戦車と騎兵を破って栄光を現す。・・・」
( 出エジプト記 14:15-17)
モーセが手を海に向かって差し伸べると、主は夜もすがら激しい東風をもって海を押し返されたので、海が乾いた地に変わり、水は分かれた。イスラエルの人々は海の中の乾いた所を進んでいき、水は彼らの右と左に壁のようになった。エジプト軍は彼らを追い、ファラオの馬、戦車、騎兵がことごとく彼らに従って海の中に入って来た。
( 出エジプト記 14:21-23)
山幸/海幸 エピソード
古事記版 (変異K) シーン番号:34 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス失敗者の攻撃: 失敗者男性主人公 に攻撃しようとする。
若し其しかしたまふ事を恨怨(うら)みて、攻め戦はば、・・・
[更に荒き心を起して迫め来。]攻めむとする時、
日本書紀版
変異N0 シーン番号:34 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
変異N1 シーン番号:34 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
変異N2 シーン番号:34 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
変異N3 シーン番号:34 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
変異N4 シーン番号:34 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
B型
シノプシスシーン無
サルゴン誕生 エピソード シーン番号:34 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
モーセ誕生 エピソード シーン番号:34 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
G型
木樵/ヘルメス エピソード シーン番号:34 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス失敗者の模倣: 男性主人公 を模倣して、失敗者失敗供犠 中に投げ入れる。
木を伐りながらわざと斧先を渦に投げ入れて、坐って泣いていた。
R型
カヴルサン/友人 エピソード シーン番号:34 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
縮退型
ヤコブ/エサウ エピソード シーン番号:34 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス失敗者の攻撃: 失敗者男性主人公 に攻撃する。
(ラバンはヤコブに言った。)「・・・なぜわたしの守り神を盗んだのか。」
( 創世記 31:30)
参考種
アブラハムの僕/リベカ エピソード シーン番号:34 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
イエス/サマリア人 エピソード シーン番号:34 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
イエス/洗礼者ヨハネ エピソード シーン番号:34 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
マリアへの受胎告知 エピソード シーン番号:34 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
ハガル-イシュマエル群
ハガル/サライ エピソード シーン番号:34 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
イシュマエル/ハガル エピソード シーン番号:34 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無

シーン 34への注

シーン番号:34 [-1], [+1]
  1. モーセの出エジプト 及び 木樵/ヘルメス においては、失敗者 は、自発的に 失敗供犠 中に入れている。
  2. 失敗者 の攻撃(反撃)は、 日本書紀版 山幸/海幸 エピソードには見られない。
  3. 古事記版日本書紀版 とも、山幸/海幸 エピソードには、失敗供犠 が見られないことに注意すべきである。

シーン 35: 失敗者の敗北

包括型
シノプシス失敗者の敗北: 失敗者 は、呪物 の力により、男性主人公 に敗北する。
モーセの出エジプト エピソード シーン番号:35 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス失敗者の敗北: 失敗者 は、呪物 の力により、男性主人公 に敗北する。失敗供犠 は、 に併呑される。
主はモーセに言われた。「海に向かって手を差し伸べなさい。水がエジプト軍の上に、戦車、騎兵の上に流れ返るであろう。」モーセが手を海に向かって差し伸べると、夜が開ける前に海は元の場所へ流れ帰った。エジプト軍は水の流れに逆らって逃げたが、主は彼らを海の中に投げ込まれた。水は元に戻り、戦車と騎兵、彼らの後を追って海に入ったファラオの全軍を覆い、一人も残らなかった。
( 出エジプト記 14:26-28)
アロンの姉である女預言者ミリアムが小太鼓を手に取ると、他の女たちも小太鼓を手に持ち、踊りながら彼女の後に続いた。ミリアムは彼らの音頭を取って歌った。
主に向かって歌え、主は大いなる威光を現し、
馬と乗り手を海に投げ込まれた。
( 出エジプト記 15:20-21)
山幸/海幸 エピソード
古事記版 (変異K) シーン番号:35 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス失敗者の敗北: 失敗者 は、呪物 の力により、男性主人公 に敗北する。
(更に荒き心を起して迫め来。攻めむとする時、)塩盈つ珠を出だして溺(おほほ)れしめ、其愁へ請へば、塩乾る珠を出だして救ひたまふ。
如此(かく)、惚(なやま)し苦しましむる時、稽首(の)みて曰(まを)さく、「僕(あ)は今より以後(のち)、汝命(いましみこと)の昼夜(ひるよる)の守護人(もりびと)として仕へ奉らむ。」とまをす。
故(かれ)、今に至るまで、其の溺(おほほ)れし時の種々(くさぐさ)の態(わざ)、絶えず仕へ奉るなり。
日本書紀版
変異N0 シーン番号:35 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス失敗者の敗北: 失敗者 は、呪物 の力により、男性主人公 に敗北する。
復(また)潮満瓊(しほみちのたま)および潮涸瓊(しほひのたま)を授(たてまつ)りて、誨(をし)へまつりて曰さく、「潮満瓊を漬(つ)けば、潮忽(たちまち)に満たむ。此を以て汝(いましみこと)の兄(このかみ)を沒溺(おぼほ)せ。若し兄悔(く)いて祈(の)まば、還りて潮涸瓊を浸けば、潮自(おの)づからに涸(ひ)む。此を以て救ひたまへ。如此(かく)逼悩(せめなや)まさば、汝(いましみこと)の兄(このかみ)自伏(したが)ひなむ」とまうす。
時に兄火闌降命(ほのすそりのみこと)、既に厄困(なや)まされて、乃ち自伏罪(したが)ひて曰さく、「今(いま)より以後(ゆくさき)、吾(われ)は汝(いましみこと)の俳優(わざをき)の民(たみ)たらむ。請ふ、施恩活(いけたま)へ」とまうす。是(ここ)に、其の所乞(ねがひ)の随(まにま)に遂に赦す。其れ火闌降命は、即ち吾田君小橋(あたのきみをばし)等(ら)が本祖(とほつおや)なり。
変異N1 シーン番号:35 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
変異N2 シーン番号:35 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス失敗者の敗北: 失敗者 は、呪物 の力により、男性主人公 に敗北する。
兄既に窮逃(せま)りて、逃げ去る所無し。乃ち伏罪(したが)ひて曰(まう)さく、「吾已に過(あやま)てり。今より以往(ゆくさき)は、吾(やつかれ)が子孫(うみのこ)の八十連属(やそつづき)に、恒(つね)に汝(いましみこと)の俳人(わざひと)と為らむ。一(ある)に云はく、狗人(いぬいと)といふ。請ふ、哀(かなし)びたまへ」とまうす。
弟(おとと)還りて涸瓊(しほひのたま)を出だしたまへば、潮自づからに息(ひ)ぬ。是(ここ)に、兄、弟(おとのみこ)の神(あや)しき徳(いきほひ)有(いま)すことを知りて、遂にその弟(おとのみこと)に伏事(したが)ふ。是(ここ)を以て、火酢芹命(ほのすせりのみこと)の苗裔(のち)、諸(もろもろ)の隼人達(はやひとたち)、今に至るまでに天皇(すめらみこと)の宮墻(みかき)の傍(もと)を離れずして、代(よよ)に吠ゆる狗(いぬ)して奉事(つかへまつ)る者(もの)なり。
世人(よのひと)失せたる針を債(はた)らざるは、此(これ)其の縁(ことのもと)なり。
変異N3 シーン番号:35 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス失敗者の敗北: 失敗者 は、呪物 の力により、男性主人公 に敗北する。
乃ち弟(おとのみこと)に帰伏(したが)ふ。
弟、時に潮満瓊(しほみちのたま)を出(いだ)せば、兄(このかみ)手を挙げて溺(おぼほ)れて困(くるし)ぶ。還りて潮涸瓊(しほひのたま)を出(いだ)せば、休(や)みて平復(たひら)ぎぬ。
変異N4 シーン番号:35 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス失敗者の敗北: 失敗者 は、呪力 により、男性主人公 に敗北する。
火折尊帰り来(みた)して、具(つぶさ)に神(わたつみ)の教(をしへ)に遵(したが)ふ。
兄(このかみ)の釣する日に至及(いた)りて、弟(おとのみこと)、辺(うみへた)に居(ま)しまして嘯(うそぶ)きたまふ。時に、迅風(はやち)忽(たちまち)に起る。兄(このかみ)則ち溺(おぼれ)苦(なや)む。生く可きに由無し。便(すなは)ち遥(はるか)に弟(おとのみこと)に請ひて曰(まう)さく、「汝(いましみこと)、久しく海原(うなはら)に居(ま)しき。必ず善き術(ばけ)有らむ。願はくは救ひたまへ。若し我を活(い)けたまへらば、吾(やつかれ)が生(うみ)の児(こ)の八十連属(やそつづき)に、汝(いましみこと)の垣辺(みかきもと)を離れずして、俳優(わざをき)の民たらむ」とまうす。
是(ここ)に、弟(おとのみこと)嘯くこと已に停(や)みて、風亦(また)還息(ふきとどま)りぬ。故(かれ)、兄(このかみ)、弟の徳(いきほひ)を知りて、自伏辜(したが)ひなむとす。而(しかる)を弟、慍色(おもほてり)して与共言(あひい)はず。是(ここ)に、兄、著犢鼻(たふさき)して、赭(そほに)を以て掌(たなうら)に塗り、面(おもて)に塗りて、其の弟(おとのみこと)に告(まう)して曰(まう)さく、「吾(われ)、身を汚すこと此(かく)の如し。永(ひたぶる)に汝(いまし)の俳優者(わざをきひと)たらむ」とまうす。
乃(すなは)ち足を挙げて踏行(ふ)みて、その溺苦(くるし)びし状(かたち)を学(なら)ふ。初め潮(しほ)、足に漬く時には、足占(あしうら)をす。膝に至る時には足を挙ぐ。股(もも)に至る時には走り廻(めぐ)る。腰に至る時には腰を捫(もち)ふ。脇に至る時には手を胸に置く。頸に至る時には手を挙げて飄掌(たひろか)す。爾(それ)より今に至るまでに、曾(かつ)て廃絶(やむこと)無し。
B型
シノプシスシーン無
サルゴン誕生 エピソード シーン番号:35 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
モーセ誕生 エピソード シーン番号:35 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
G型
木樵/ヘルメス エピソード シーン番号:35 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス失敗者の喪失: 失敗者失敗供犠 を喪失する。失敗供犠 は、 に併呑される。
ヘルメスが現れ、どうしたのかと訊くので、斧を失くしたことを語った。ヘルメスが金の斧を持って上がり、失くしたのはこれかと尋ねたところ、欲呆け男は先走りして、正にそれだと答えた。神はこれを与えなかったばかりか、自分の斧も返してやらなかった。
R型
カヴルサン/友人 エピソード シーン番号:35 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス失敗者の敗北: 失敗者 は、神格 その2の水を操る力により 男性主人公 に敗北する。
郷国にかえり、カヴルサンは雨防けに破りとったバナナの葉をもう一度カヴルサンに属する木にくっつけて、返せといってその先に自分を苦しめた友を苛め、諸神の助けを請い、大雨を降らしめ、友を苦しめ悩まし、復讐する。
縮退型
ヤコブ/エサウ エピソード シーン番号:35 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス失敗者の敗北: 失敗者 は、男性主人公 に敗北する。
ヤコブはラバンに答えた。「・・・もし、あなたの守り神がだれかのところで見つかれば、その者を生かしてはおきません。我々一同の前で、わたしのところにあなたのものがあるかどうか調べて、取り戻してください。」ヤコブは、ラケルがそれを盗んでいたことを知らなかったのである。
そこで、ラバンはヤコブの天幕に入り、更にレアの天幕や二人の召し使いの天幕にも入って探してみたが見つからなかった。ラバンがレアの天幕を出てラケルの天幕に入ると、ラケルは既に守り神の像を取って、らくだの鞍の下に入れ、その上に座っていたので、ラバンは天幕の中をくまなく調べたが見つけることはできなかった。ラケルは父に言った。「お父さん、どうか悪く思わないでください。わたしは、今、月のものがあるので立てません。」ラバンはなおも探したが、守り神の像を見つけることはできなかった。
( 創世記 31:31-35)
参考種
アブラハムの僕/リベカ エピソード シーン番号:35 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
イエス/サマリア人 エピソード シーン番号:35 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
イエス/洗礼者ヨハネ エピソード シーン番号:35 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
マリアへの受胎告知 エピソード シーン番号:35 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
ハガル-イシュマエル群
ハガル/サライ エピソード シーン番号:35 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
イシュマエル/ハガル エピソード シーン番号:35 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無

シーン 35への注

シーン番号:35 [-1], [+1]
  1. 木樵/ヘルメス で、男性主人公 への「贈与物」引き渡しには「遅延」があるが、失敗者 は、その遅延を拒否して、失敗する。この「遅延」は、宗教儀式の寓意であろう。
  2. 出エジプト記 作家/編集者は、ファラオ自身が溺れた又は水難を蒙ったとは明記していない。水が別れると云う特徴は、エジプト人が溺れたと云う特徴とは独立した物であるかもしれない。( ヨシュア記 3:9-17 参照)
  3. 山幸/海幸 (K, N0, N2, N3)で、男性主人公 は珠を一体何処から出したのか?
  4. 何故、ヤハウェは、魔術を行なわせる際、モーセに杖や手を差し伸べるようにさせたのか?
  5. 海ではなく、川の場合に就いてだが、古代農耕民にとって、水の氾濫と収束は、極めて重要で印象的であったろう。
  6. 言うまでもないことだが、地形によっては、大潮の際に、海底が細長い形状で出現し、そして水中に沒することがあるうる。
  7. 山幸/海幸変異N4 では、男性主人公 が強風を吹かせて「奔き波」を起し、失敗者 が溺れさせている。これは、モーセの出エジプト に類似する。
  8. 本シーンの 山幸/海幸 エピソード 変異K 及び 変異N4 では、失敗者男性主人公 の「守護人」となり、 その後継者が 失敗者 の溺れた姿を宮廷で演じていると書かれている。
    この特徴は、エジプト人軍隊の敗北後、ミリヤムや他のイスラエル女たちが踊りながら歌ったとされていること( 出エジプト記 15;20-21)に対応するようにみえる。
    こうした女性達の舞踊が溺れたファラオ又はエジプト軍人達の姿を真似した物であったのなら、模倣舞踊の特徴は、共通の起源であると推定される MY エピソードに由来しており、歴史事実を反映していない可能性が非常に強くなる。
    • ちなみに、何故、ここでミリアムは「アロンの姉」と呼ばれて、「モーセの姉」とは呼ばれていないのか?
    • モーセの出エジプト の祖型が、山幸/海幸ヤコブ/エサウ と同様に、兄弟間の確執であったかも知れないことは想像できる。しかし、その場合、アロンが 敵対者 となっていたかどうかは、今のところ推定不能である。アロンを主人公とする物語があったかどうかも、やはり何も言えない。
    しかし、これには他の解釈のしようがある。
    こうした言葉は、例えば、戦争捕虜が宮廷において道化となることを意味しているだけなのかもしれない。あるいは、失敗者 は護衛にも道化にもならなかった可能性もある。宮廷での護衛が伝説上の敗北者の姿を真似した踊りを演じていただけで、失敗者 の名前は単に舞踏の起源を正当化するためにだけ用いられたのかもしれないのだ。
  9. 本シーンの カヴルサン/友人 の前半では、雨が 失敗者 を苦しめるが、それは 男性主人公 又は 神格 の呪力によったものである可能性の方がある。つまり、本シーンは、部分的には、「失敗者の認識」に含まれるかもしれない。
  10. カヴルサン/友人 中の「諸神」とは何者か?
  11. ヤコブ/エサウ で、ラバンは溺れない。しかし、失敗者 (ラバン)は盗まれた家の守り神を根拠として 男性主人公 (ヤコブ)に敗北している。
  12. 失敗者 の失敗に関連して、幾つかの国々(日本・英国・ノルウェー・スウェーデン)の民話「海の水は何故塩辛いか」やゲーテの「魔法使いの弟子」を検討する必要がある。

シーン 36: 太祖

包括型
シノプシス太祖: 後に、男性主人公後継者約束の地 に侵入し、そこで 新統治体 を創設する。( 男性主人公 は、新統治体 の「太祖」となる。)
ヨシュア エピソード シーン番号:36 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス太祖: 後に、男性主人公後継者約束の地 に侵入し、そこで 新統治体 を創設する。( 男性主人公 は、新統治体 の「太祖」となる。)
主の僕モーセの死後、主はモーセの従者、ヌンの子ヨシュアに言われた。「わたしの僕モーセは死んだ。今、あなたはこの民すべてと共に立ってヨルダン川をわたり、わたしがイスラエルの人々に与えようとしている土地に行きなさい。モーセに告げたとおり、わたしはあなたたちの足の裏が踏む所をすべてあなたたちに与える。
( ヨシュア記 1:1-3)
民はヨシュアに答えた。
「わたしたちの神、主にわたしたちは仕え、その声にきき従います。」
その日、ヨシュアはシケムで民と契約を結び、彼らのために掟と法とを定めた。ヨシュアはこれらの言葉を神の教えの書に記し、次いで、大きな石を取り、主の聖所にあるテレビンの木のもとに立て、民全員に告げた。
「見よ、この石がわたしたちに対して証拠となる。この石は、わたしたちに語られた主の仰せをことごとく聞いているからである。この石、あなたたちが神を欺くことのないように、あなたたちに対して証拠となる。」
ヨシュアはこうして、民をそれぞれの嗣業の土地に送りだした。
( ヨシュア記 24:24-28)
イハレ エピソード
古事記版 (変異K) シーン番号:36 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス太祖: 後に、男性主人公後継者約束の地 に侵入し、そこで 新統治体 を創設する。( 男性主人公 は、新統治体 の「太祖」となる。)
神倭伊波礼毘古命(かみやまといはれびこのみこと)、其の伊呂兄(いろえ)五瀬命(いつせのみこと)と二柱、高千穂宮(たかちほのみや)に坐(いま)して議(はか)りて云(の)らさく、「何地(いづれのところ)に坐(いま)さば、天下(あめのした)の政(まつりごと)平(たひら)けく聞(きこ)しめさむ。猶(なほ)東(ひむかし)に行(ゆ)かむ」とのらして、即ち日向(ひむか)より発(た)たして、筑紫(つくし)に幸行(いでま)しき。
故(かれ)、かく荒ぶる神どもを言向(ことむ)け平和(やは)し、伏(まつろ)はぬ人どもを退(そ)け撥(はら)ひて、畝傍(うねび)の白檮原宮(かしはらのみや)に坐(いま)して、天下(あめのした)治(しらしめ)しき。
日本書紀版
変異N0 シーン番号:36 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス太祖: 後に、男性主人公後継者約束の地 に侵入し、そこで 新統治体 を創設する。( 男性主人公 は、新統治体 の「太祖」となる。)
[神日本磐余彦古天皇(かむやまといはれびこのすめらみこと)]年四十五歳(よそあまりいつつ)に及(いた)りて、諸(もろもろ)の兄(いろね)及び子等(みこたち)に謂(かた)りて曰(のたま)はく、「・・・抑又(はたまた)、塩土老翁(しほつつのをぢ)に聞きき。曰(い)ひしく、『東(ひむがしのかた)に美(よ)き地(くに)有り。青山(あをやま)四周(よもにめぐ)れり。其の中に亦、天磐船(あまのいはふね)に乗りて飛び降(くだ)る者有り』といひき。余(われ)謂(おも)ふに、彼(そ)の地(くに)は、必ず以(も)て大業(あまつひつぎ)を恢弘(ひらきの)べて、天下(あめのした)に光宅(みちを)るに足りぬべし。蓋し六合(くに)の中心(もなか)か。厥(そ)の飛び降(くだ)るといふ者は、是(これ)饒速日(にぎはやひ)と謂ふか。何(なに)ぞ就(ゆ)きて都(みやこ)つくらざらむ」とのたまふ。諸(もろもろ)の皇子(みこたち)対(こた)へて曰(まう)さく、「理実(ことわり)灼然(いやちこ)なり。我(おのら)も恒(つね)に以て念(おもひ)としつ。早(すみやか)に行(おこな)ひたまへ」とまうす。是年(ことし)、太歳甲寅(きのえとら)。
其の年の冬十月(かむなづき)の丁巳(ひのとのみ)の朔日(ついたち)辛酉(かのとのとりのひ)に、天皇(すめらみこと)、親(みづか)ら諸(もろもろ)の皇子(みこたち)・舟師(みふねいくさ)を帥(ひき)ゐて東(ひむがし)を征(う)ちたまふ。
九月(ながつき)の壬午(みづのえうま)の朔(ついたち)乙巳(きのとのみのひ)に、ヒメタタライスズヒメノミコトを納(めしい)れて、正妃(むかひめ)としたまふ。
辛酉年(かのとのとりのとし)の春(はる)正月(むつき)の庚辰(かのえたつ)の朔(ついたちのひ)に、天皇、橿原宮(かしはらのみや)に即帝位(あまつひつぎしろしめ)す。是年(ことし)を天皇の元年(はじめのとし)とす。正妃を尊びて皇后(きさき)としたまふ。
B型
シノプシス高祖: 男性主人公 は、新王朝 の初代王となる(サルゴン誕生 )。
サルゴン誕生 エピソード シーン番号:36 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス高祖: 男性主人公 は、新王朝 の初代王となる。
[五十(?)]四年間、私は王国を支配した。
モーセ誕生 エピソード シーン番号:36 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
G型
木樵/ヘルメス エピソード シーン番号:36 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
R型
カヴルサン/友人 エピソード シーン番号:36 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
縮退型
ヤコブ/エサウ エピソード シーン番号:36 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス祖先: 男性主人公 は、ある 国民 の祖先となる。
ヤコブがパダン・アラムから帰ってきたとき、神は再びヤコブに現れて彼を祝福された。神は彼に言われた。
「あなたの名はヤコブである。しかし、あなたの名はもはやヤコブと呼ばれない。イスラエルがあなたの名となる。」
神はこうして、彼をイスラエルと名付けられた。
( 創世記 35:9-10)
神は、また彼に言われた。
「わたしは全能の神である。
産めよ、増えよ。
あなたから一つの国民、いや多くの国民の群れが起こり
あなたの腰から王たちが出る。
わたしは、アブラハムとイサクに与えた土地を
あなたに与える。
また、あなたに続く子孫にこの土地を与える。」
神はヤコブと語られた場所を離れて昇って行かれた。
( 創世記 35:11-13)
参考種
アブラハムの僕/リベカ エピソード シーン番号:36 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無
無記載
ただし、創世記 24:59-60 参照。
彼らは妹であるリベカとその乳母、アブラハムの僕とその従者たちを一緒に出立させることにし、リベカを祝福して言った。
「わたしたちの妹よ
あなたが幾千万の民となるように。
あなたの子孫が敵の門を勝ち取るように。」
( 創世記 24:59-60)
イエス/サマリア人 エピソード シーン番号:36 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無。しかし、後のことは周知である。
イエス/洗礼者ヨハネ エピソード シーン番号:36 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシスシーン無。やはり、後のことは周知である。
マリアへの受胎告知 エピソード シーン番号:36 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス聖母: 女性主人公 は、イエス・キリストを受胎する。
するとほうら、主の御使いが彼女の前に立って言いました。「恐れるな、マリアよ。あなたは万物の主の前に恵みを得た。あなたは彼の言葉によってみごもる。」彼女はそれを聞いて疑い、心に思いました。「私は主なる生ける神のゆえにみごもり、しかもみんなと同じような子を産むのかしら。」
すると主の御使いが言いました。「そうではない。マリアよ。なぜなら、主の大能があなたを覆う。だからあなたから生まれる聖なる子は至高者の子ととなえられる。だからその名をイエスと名づけなさい。彼はその民を罪から救う。」そこでマリアは言いました。「御覧下さい。主の婢女が主の前におります。あなたのおっしゃる通りになりますように。」
( 原福音書 XI.2)
ハガル-イシュマエル群
ハガル/サライ エピソード シーン番号:36 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス祖先: (女性)主人公 は、無数の人々の祖先となる。
主の御使いは更に言った。
「わたしは、あなたの子孫を数えきれないほど多く増やす。」
主の御使いはまた言った。
「今、あなたは身ごもっている。
やがてあなたは男の子を産む。
その子をイシュマエルと名付けなさい
主があなたの悩みをお聞きになられたから。
・・・
( 創世記 16:10-11)
イシュマエル/ハガル エピソード シーン番号:36 [-1], [+1] [キャラクタ表]
シノプシス祖先: 男性主人公 は、偉大な国民の祖先になる。
立って行って、あの子を抱き上げ、お前の腕でしっかり抱き締めてやりなさい。わたしは、必ずあの子を大きな国民とする。」
( 創世記 21:18)

シーン 36への注

シーン番号:36 [-1], [+1]
  1. このシーンでは、水神局面 から 地母神局面 への復帰に対応した 男性主人公 から 後継者 への世代交代が起こる。これは、モーセの出エジプト に見られる 地母神局面 から 水神局面 への転換に際して起こる 敵対者 から 失敗者 への交代に対する相補的な変化である。
  2. 「ヌン」は、ヨシュアの父の名前であり、「魚」を意味する。ヨシュアが、聖書中しばしば「ヌンの子」と云う言葉を付けられて呼ばれているので、それが称号のように聞こえる。
  3. イハレ (カムヤマトイハレヒコ)は、ホヲリの孫である。イハレの父であるアマツヒコヒコ・ナギサタケウガヤフキアヘズ(縮めて、ウガヤフキアヘズ)は、叔母であり乳母であるタマヨリヒメ(トヨタマの妹)と結婚して、イハレを儲けた。
    • タマヨリは、第二のトヨタマと看做すべきである。言い替えれば、タマヨリ及びウガヤフキアヘズは、象徴的には母とその息子と看做せる。
    • ウガヤフキアヘズは、三代目であるイハレの父となるほかは、ほとんど何もしなかった二代目である。
    • 海神の王女であるトヨタマは、変身したワニだった。だからタマヨリもそうだったのだろう。
  4. アムラム(モーセの父) は、叔母ヨケベドと結婚した( 出エジプト記 6:20)。
  5. サルゴン誕生 では、男性主人公自身が新王朝を創設しており、従って、新統治体 の「真の」の支配者となった。
  6. ヤコブ/エサウ に関するかぎりでは、ヤコブは、或る国の支配者となった子供も孫も持っていない。(たしかにヨセフはファラオの宮廷の責任者となったが、それだけである。)侵入のモチーフは明瞭ではない。しかし、ヤコブ、つまりイスラエルは、旧約聖書物語におけるイスラエル民族の始祖である。
    なお、創世記 35:11 で使われている「腰」と云う言葉に、性的な含意があることに注意。
  7. 何故、これらのエピソードでは、新統治体 は侵略によって設立されねばならないのか? この点に関連して、サルゴンの征服を検討することになるかもしれない。
  8. モーセ誕生 は、新王朝又は新統治体の創成シーンを欠いている。しかし、それでも、ファラオの王女がモーセを養子にすると云う形で終りを告げており、モーセの出エジプト に引き継がれている。
  9. エル・シャダイは、豊饒神か?
  10. サルゴン誕生: サルゴンの統治年数は、引用(筑摩「古代オリエント集」訳)では「[五十(?)]四年間」だが、"THE ANCIENT NEAR EAST" by Amélie Kuhrt (ISBN 0-415-16762-0, Routledge, London, 1995) vol.1, p.48. では、"[56] years" となっている。また、http:puffin.creighton.edu/theo/simkins/tx/BirthSargon.html (translated by B.R. Foster, The Context of Scripture:8 Canonical Compositions from the Biblical World, Vol.1, ed. by W. W. Hallo; Leiden: E. J. Brill, 1997) では、"fifty-five years" である。
  11. イハレ エピソード 日本書紀版 では、侵攻出発前の情報提供者者としてのシホツチが再登場する。

引用の典拠 (Bibliography)

本論考における全ての聖書章句の引用は「新約外典」の場合を除き、「聖書 新共同訳 旧約聖書続編つき」 © 共同訳聖書実行委員会 (1987年)。発行所: 日本聖書協会 (1989年)。(ISDN 4-8202-1038-6) から取られたものである。
いわゆる「新約外典」から引用は、講談社文芸文庫「新約聖書外典」© 荒井 献 (1997年)。発行所: 講談社 (1997年) から得られた。
「サルゴン伝説」は、筑摩世界文學大系1「古代オリエント集」訳者代表: 杉 勇。発行社: 筑摩書房 (1978年)。 p.243-244から引用された。
本論考で引用したものとは別の解釈をする「サルゴンの誕生譚」の英訳が、http:puffin.creighton.edu/theo/simkins/tx/BirthSargon.html (translated by B.R. Foster, The Context of Scripture:8 Canonical Compositions from the Biblical World, Vol.1, ed. by W. W. Hallo; Leiden: E. J. Brill, 1997) にみられる。
[古事記]は、岩波日本思想大系1「古事記」青木和夫他校注 (1982年)。岩波書店。 による。ただし、表記法(漢字の字体、古代音韻の表現、原漢文をどの程度開くか)は本ウェブサイトの目的に合わせて変更・無視・簡略化してある。
[日本書紀]は、岩波文庫「日本書紀(一)」(坂本太郎・家永三郎・井上光貞・大野晋校注。岩波書店。1994年発行。) によった。
カヴルサン/友人 エピソードは、松本信広「豊玉姫伝説の一考察。」(東洋文庫180 松本信広著「日本神話の研究」所収。平凡社 (1971年)) に紹介されたもの(pp.58-59)を用いた。この日本語版は、Leo Frobenius "Das Zeitalter des Sonnengottes" (1904) pp.282-283; Friedrich W. K. Müller "Eine Mythe der Kêi-Insulaner und Verwandtes" in "Zeitschrift für Ethnologie" (1893) p.534; 及び P. N. Wilken "Medeelingen van wege het Nederlandsche Zeudelinggenootschap" (1863) p.323 f. に遡る由。
イソップ物語「木樵とヘルメス」は、岩波文庫「イソップ物語」(中務哲郎訳。岩波書店。1999年発行。) によった。
なお、よく知られているように、この[寓話]には、日本昔話中に類話がある(いわゆる「金の斧」)。

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