たびするモンスター


©ならぢゆん 1999


わたしが
わたしの中に収まりきらない
それが旅である

宮地智子「旅」より。旅の楽しみには色んなことがありますね。目に新しい景色や風物に触れ、その地ならではの味覚に舌鼓を打つのも旅。また土地の人々との心のふれあいにしみじみ感動するのも旅。様々な困難を乗越え目的地に辿り着くのも旅なら、憧れの詩人が詠ったあの場所この場所を訪ねて回るのも旅。でも、こんな風に旅の楽しみを数え上げていっても何かが足りない気がします。

この詩はその何かを教えてくれているように思います。私たちは、普段、規則やルールの枠の中で、 様々な役割を果たしながら暮らしています。そればかりか、性格とか気質とか、無意識のうちに何らかの枠組みが、私たちの行動や感情までをも一定のパターンの中に収めてしまっている。でも本当は、そんな普段の私とは違う私を、誰もがどこかに隠し持っているようです。

何の色もついていない、どんな目盛りもうっていない真新しい白紙を広げて、そこにコロリと私を振り出す。旅の本質はそんなところにありそうです。サイコロのように転がって、さぁ、今度はどんな私が顔を出すのでしょう。何だかわくわくしますね。



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