初出:新世紀創作クラブ.対流.9号.1983 / ©ならぢゆん 1983
海の音が聞こえる
君は微かにつぶやいた
覚えたての呪文を
試すように
ビルの谷間
僕らは海を探した
――波頭のきらめき
熱く灼けた砂――
高速道路を駆けてゆく
孤独の群れに
脅やかされながら
夜明けに僕は海をみつけた
金星のまなざしさえ届かない
閉ざされた場所で
君の胸の中に
真夏の海を聞いたのだ
くずれてゆく波の飛沫
ぬれた二人の体から
貝殻が
こぼれ落ちる
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