あらすじ
昭和生命の若槻は、本社の花形部署から京都支社で保険の査定の部署に異動していたが、本人は大学時代の学び舎がある京都での生活 を楽しんでいた。エリート社員としての多忙な日々、恋人の恵との楽しいひと時、小さいが自分の城であるマンション。生活は順調 だった。ある日、顧客から電話がかかってくる。その顧客の家(黒い家)に行くと、そこにはその家の子供の首吊り死体があった。その死をめぐる 策略の渦の中に、若槻は巻き込まれてしまう。
感想
この小説、めっちゃおもろい!先ず最初に宣言してしまいます。もう面白くて、どのくらい面白いかといえば、角川ホラー文庫史上 最強でしょう。角川ホラーといえば、リングやららせんやらのリングシリーズ、呪怨シリーズ、パラサイトイブ、アナザへブンなんかを 読みましたが、黒い家が最強でした。
エリート社員の若槻の保険会社での日々、保険会社の裏の実態をよく描いています。保険のカラクリから、保険勧誘員の悲哀、不当な 保険金請求の実態。その保険金請求に対して「潰し屋」と呼ばれる社員が存在していること。非常に面白いです。それはあくまで脇の話 ですが、それだけでもカナリ面白い。物語としては、保険をめぐって怪事件が発生して、その事件の中に若槻が巻き込まれてしまうという 話なのですが、「犯人」の怪物性がよく描かれています。
犯人についてをあまり書くとネタバレになってしまいますので書きませんが、その犯人に対抗する勢力としての「心理分析のエキスパート達」 の存在もまた物語を重厚なものにしています。犯人の性格分析をしていくと、どんどんその異常性が明らかになってきます。その過程もまた 面白い。保険の実態から、心理分析についても、この小説の大筋に大きく影響してきます。潰し屋の三善や、犯罪心理学の金石助手のキャラクター も、この物語の教訓に絡んできます。今回の話の「教訓」は少し難しいというか、これは人それぞれ感じるところは違うだろうと思わせますが、 作者は作者なりの考えがあって、現代に生きる人々の心の荒廃を憂慮しているのかなと。
この小説が、作者にとっての処女作だという事実が、私にはどうも信じられません。才能というのはあるもんだな〜と思っちゃいます。
保険、心理分析、殺人鬼、この辺りが、この小説のテーマでしょうか。とにかく面白くて、これはオススメです!ってなんだか支離滅裂
になってきちゃってますね。百聞は一見にしかずということですよ(いい訳だんなぁ)。