あらすじ
女子プロレスラー、北斗晶の自叙伝。生い立ち、学校生活、プロレスとの出会い、入門テスト、デビュー…へと物語が進行していく。 それから、脱走やら、仲間の死やら、首の骨折事件やら、プロレスの辛さ、楽しさを北斗晶の視点で丁寧に描いていく。
感想
プル中野の自叙伝「金網の青春」の3年後に書かれた自叙伝。こちらのほうがずっと文章がしっかりしていて、正直感動できました。 北斗晶という人物の厳しさ、優しさが良くわかります。
彼女とプロレスとの出会いはなんだか激的な、それこそ劇画のような出会いでした。友達がプロレスファンで、自分も行ってみたら はまってしまった。それからはもうプロレスに夢中になり、夢は女子プロレスラー、そうなっていきます。それにしても、一番最初に プロレスを見たとき既に、プロレス永遠の「答えなき命題」である「何故そんなに痛い苦しい思いをしてまで闘うの?」という哲学に 気が付いてしまった事が、北斗晶という人の凄さを物語っているのかなと、そんな気がしました。
彼女の写真を見ていても、やっぱりオーラが出ているんですよね。今は普通の(?)鬼嫁になってしまいましたが、昔は「この人がいると 全てを食ってしまう」つまり、あまりにも目立ちすぎ、オーラが出すぎてしまうため、他の選手が全部食われてしまうんですよね。観客 の心をがっちりがっちりつかみすぎてしまう。女子プロレス史上最強、未だかつて彼女を超えるだけのカリスマ性を持った女子プロレスラー が生まれてこないところを見ると、もしかしたら彼女は女子プロレス界における頂点だったのかなと。そう思ったりします。
カリスマ性といったら、アントニオ猪木ですが、彼女は彼と会っています。まぁプロレス界の人間同士なので当然ですが、それが北朝鮮 で。更に、その北朝鮮で生涯の伴侶であり、鬼嫁をつかまされてしまうご主人「佐々木健介」と出会うのですが、この自叙伝ではまだそこまで はいっていませんでした。残念。
自叙伝の中で一番泣けるシーン、これは色々ありなのですが、やっぱり同期が亡くなってしまうところ、これはブル中野の自叙伝にも 出てきます。それと、自分の頚椎を骨折させてしまうところ。試合中の事故だったのですが、あと少しで死んでしまうところだったという のが、非常に怖い話でした。やっぱりプロレスは命がけなんだなと。どんな競技でも、死者が出てしまうのはだめな訳で、それだからこそ プロレスは意識して技の威力を加減(これを人は「八百長」と言うそうですが)したり、怪我させないように危険な技を使わないようにする のですが、それでもこんな事故が起こってしまう。そんなプロレスの恐ろしさもわかるし、そんなプロレスの世界にいる、1人の女性の 苦悩と幸福の姿も、上手く表現されています。
個人的には大いにおすすめですが、プロレス知らない人には…かも。