あらすじ
静岡出身の森和夫は、魚屋さん。彼は独立して築地に小さな冷凍庫会社を設立する。その後待ち受ける苦難や、ライバル会社との熾烈な 法廷闘争を乗り越え、会社は着実に大きくなり、事業も多角化していく。一介の小さな倉庫会社から、総合食品メーカーへ。マルチャンで お馴染みの東洋食品の物語。
感想
燃ゆるとき!この小説、イイです!いきなり宣言してしまいますが、とにかく良い!会社を設立して、努力していって、周りの人に支えられ、 少しずつ大きくなっていく。創業社長は寸暇を惜しんで働き、社長でありながら現場で汗水たらして頑張る。これこそ、高度経済成長期の 頑張るお父さんのもっとも輝く姿ですね。本当に感動して、良い話だなぁ〜と思います。
やっぱり、創業当初は苦難の連続だったようです。ライバル会社との争いもあり、また人材難もあり、技術的な問題もあり。資金も少ない。 自転車操業を強いられる辛い現実。寝る間を惜しんで働いても、それでも難しい。そんな中、先見の明を持った森氏は、次々と事業を成功に 導いていきます。やっぱり、先を見る目がないと、どんな世界でもダメなんだな〜というか、ホント強運だな〜と。
この作品、何が良いかといえば、主人公達の真摯な姿勢。しびれますね。それと、やっぱりサクセスストーリーがいい!最初は冷凍庫から。 それから魚肉を加工して売る事をはじめ、スジコからカップ麺まで幅広く手がけてゆく。ちょっとずつ勢力を拡大してゆき、会社を大きく していく。途中、大商社との戦いや、ライバル会社との戦いがあったり、アメリカ進出で苦心惨憺する訳ですが、それでもめげずに会社を 大きくしてゆくところに「あ〜なんと打たれ強いんだろう」と感心。会社の規模を大きくしてゆく様は、なんだか子育てを見るような、あたた かい気持ちになって読み進められます。
ただ、読んでいくとなんだか「日清て悪なの?」とか「物産ってずるいね」とか思いかねないところが、ちょっとあれですね。なるほど どんな物語でも、悪役という存在があるとわかりやすいのですが、この小説を読むと、日清がいかにも悪者のように見えてしまいます。実際 は知りませんが、企業だから、自分の利益になるために努力するのは仕方ない。その結果、ちょっとアンフェアな事をしてしまうことも あるという実例。それでもフェアでありつづけた東洋水産の清廉潔白さというのが、また読むものの心を掴んで話さないんですよね。
高杉作品の中でも、出来栄えとしてかなり良く出来た小説です。主人公を魅力たっぷりに描写していて、どんどん感情移入してゆきます。
山あり谷ありの会社経営。最後はハッピーエンド気味ですが、それが「物足りない」というよりも「あ〜よかった」と思わせる、それだけ
主人公を応援したくなる作品です。高杉作品や、経済小説初心者の方に特にオススメです。