TUGUMI


タイトル:TUGUMI
作者:吉本ばなな
出版元:中公文庫
発行日:1992年2月25日
形式、ページ数:文庫、228ページ
難解度:★
ためになる度:★
感動出来る度:★★★★
面白さ度:★★★★★
おすすめ度:★★★★★

あらすじ

 地方の港町。この町に、つぐみという少女がいた。彼女は、とっても病弱で、また美少女で、でもむちゃくちゃわがままで、粗暴で いじわるで、みんなから愛されていた。そんなつぐみといとこ同士であるまりあは、ふとしたことから彼女と固い絆で結ばれ、親友となる。 まりあが大学生になる頃、父の愛人で日陰な存在であった母が、やっと父と同居できるようになり、まりあも一緒に上京する。夏休みに なって、つぐみのいる町に帰ってきたまりあ。その夏、つぐみとまりあはある青年と出会うことになる。

感想

 高校の頃、確か高校1年だったと思いますが、国語の教科書にこの小説が出てました。つぐみが熱を出して寝込んでしまうシーンですが、 この小説を好きな国語の先生は、この作品の映画を見せてくれました。映画版では、つぐみは牧瀬理穂が演じていて、私はその映画を前も って見ているために、なんとなく小説の先が分かっていながらにして読んでいました。それでも、いやだからこそこの小説の面白さがより 伝わってきたんだろうなという気がします。この小説の中の淡い世界観と、高校生の頃の淡い日常、この二つが混ざりあって、私の感情移入 をより濃いものにしていました。

 映画の中の牧瀬理穂は、国語の先生(女性でした)が言うとおり、きれいで、なるほどつぐみ役は彼女しかいないなというほどに、役に ピッタリとはまっていました。牧瀬理穂以外の登場人物が誰だったか全く覚えていませんが、彼女の演技のみが私には強く印象に残って います。

 物語としては、さほど大きな出来事もなく、淡々とした日常が続くといったようなのっぺりした物語なのですが、だからこそ平凡な日常 のなかにあるちょっとした思いというものが、たとえるなら、感性のアンテナの受信周波数が一般的な若い人たちのそれとかなり近いところにあって、 それだけに「ああ、わかるなあ」という気分にさせらるような、そういう親近感があります。

 邪なものが一切ない、まじりっけなしの純正小説の趣が、この作品にはありました。中高生の人たちに、是非一度読んでもらいたい―― そう心から思えるような、素敵な小説でした。

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