殺人百科データファイル


タイトル:殺人百科データファイル
作者:著者複数
出版元:新人物往来社
発行日:2005年2月12日
形式、ページ数:B5版?、293ページ
難解度:★★
ためになる度:★★
感動出来る度:×
面白さ度:★★★★
おすすめ度:★★★

あらすじ

 明治元年から平成16年まで、120事件以上の殺人事件を収録。津山30人殺し、安陪定などから、連合赤軍事件、オウム真理教事件、 サカキバラ事件、佐世保市の小6同級生まで、数多くの殺人事件を収録している。

感想

   非常に悪趣味な本ではあります。日本に起こった近代から現代にいたるまでの主な殺人事件を100篇以上も収録していると言う、多くの 人が目を背けたくなるような百科です。私は友人の奴氏からこの本を借りたのですが、悪趣味だと思う反面、非常に興味をそそられる内容 でもありました。私自身は犯罪、殺人事件などに非常に興味があり、そういう人からしたら、こういうデータファイルは興味深く読むこと が出来るのではと思います。

 この本の著者は、ジャーナリスト数名がそれぞれの事件に着いて取材し、書いています。事実をありのまま伝えようとはしていますが、あまり の凶悪事件のため、少しばかり感情的になっているような部分もあります。しかし、それこそが人間の本来あるべき姿であって、彼等 ジャーナリストがそのまま無機質な文章の羅列を行っていたならば、私はこの本を悪趣味な本として寄せ付けなかったかもしれません。

 人間が人間を殺すには、様々な動機があります。金目当て、恨み、快楽殺人、わいせつ目的、様々な理由がありますが、やはり一人一人 動機は異なります。情状酌量の余地のあるような事件がある中で、目を背けたくなるようなおぞましい事件を起している犯人もやはり います。善良な一般市民が突然殺人者になるような事件もあり、また、生まれついてから殺人者になるべくしてなったような人間もいます。

 明治から大正の頃の事件と、終戦直後、高度経済成長期、現在にいたる間には、殺人事件でもその傾向が違います。明治、大正時代は 「名誉を傷つけられた」ことに対する殺人事件が結構多かったようです。戦中・戦後は貧しさによる犯行が続き、高度経済成長期には 様々な事件が発生しました。金目当ての保険金殺人があり、また社会に挑戦するかのような事件があり、場当たり的な身勝手な犯行も ありました。現在になるに従い、犯罪者の年齢が低年齢化してきて、平成に入る頃には、19歳(市川一家殺害事件)、10代の複数少年 (女子高生コンクリート詰め殺人事件)、14歳(サカキバラ事件)、17歳(西鉄バス、バスジャック事件)、11歳(佐世保小6同級生少女殺人事件) などなど、どれも凶悪にして短絡的、また犯人達の心の闇が見え隠れするような事件が頻発しています。

 殺人事件はどんな時代でも起こりますが、その時代背景により、多発する事件の種類が微妙に変わってきます。社会を写す鏡として、 事件と言うものはあるのかもしれません。このデータファイルを読んでみて、ただ殺人事件を「野次馬的に読む」事だけではなく、事件の 背景を考え、こういう事件が起こらないようにするにはどうしたら良いのか?人の心の闇を見つめる事で、自分自身の中に潜む心の闇の 存在に気付き、その闇と向き合い対話する事をしてみることで、この悪趣味な本の活用用途が見つかるかなと言う感じがしました。

 ただ無機質に、また事件そのものを「興味深く」読むだけでは、この本は危険だと思います。事件を通して、人の業の深さ、愚かさを 真摯に受け止め、考えていかなければ、被害者達は浮かばれないと思います。 

戻る