あらすじ
第1章・神話
遠い昔、モンゴル系の民族であるタンガータ族の民、ボクドは、とても絵を描くのが上手な少年である。あるときボクドは、
ファヤオという少女の絵を描く。ボクドはファヤオの事が好きだった。しかし、人の絵を描く事は村の掟で禁じられて
いた。
第2章・楽園
18世紀、18歳の少女ライアは、ポリネシアの平和な島に住んでいた。ある夜ライアは漂着してきた3人の男たちを助ける。
ライアはそのうちの1人、ジョーンズと仲良くなり、やがて身ごもる事になる。平和な時を過すライア達だが、その平和は長くは
続かなかった…。
第3章・砂漠
199X年のニューヨーク。音楽家のレスリーは、取材のために訪問してきた女性雑誌編集者、フローラに強い感心を抱いた。
レスリーは彼女に、アメリカ西部の鍾乳洞で新しい音楽の創作活動をするので、その様を取材しないかと誘う。先に鍾乳洞へと
向かったレスリーと宗教家ギルバードはそこで予期せぬ事態に遭遇してしまう。
感想
鈴木光司の処女作。処女作というのはその作者の一番言いたいことが表現されると言われていますが、確かにこの作品は後の鈴木作品
らしさが一番よく出た作品です。水と大冒険、愛するものを守りたいと願う気持ち、これらはその後の鈴木作品にはよく登場します。
この本は、そんな彼の作品の中でも群を抜いて好きな作品で、今まで何回も読み返しています。一番好きなのは「楽園」ですね。なるほど
映画「青い珊瑚礁」その続編の「ブルーラグーン」のような世界。まあそれとは少し違うんだけども、南国の楽園でのひと時。楽園での生活
を脅かす脅威。その脅威と立ち向かうライア達先住民と、ジョーンズら文明社会からやってきた3人組。いかにも冒険って感じで良いです。
また、「神話」もこれまた好きな話で、ボクドのファヤオに対する強い愛と、彼女を救い出すんだというこれまた強い信念。なんとかっこ
いいんでしょうねえ。最後の「砂漠」は、フローラの過去に少し後ろ暗いものがあるのが気になるのですが、全体的にはよい感じでした。
ただし、やっぱり外国が舞台になると、なんだか少し感情移入がしにくいんですよね。それが難点。全ての話は、実は最終的には繋がって
来る訳ですが、まあ普通に考えたら「え〜うそ〜」とならなくもないですが、それはそれ、これはこれですね。そう思ったら深く感動できま
せん。