暗いところで待ち合わせ


タイトル:暗いところで待ち合わせ
作者:乙一
出版元:幻冬舎文庫
発行日:2002年4月15日
形式、ページ数:文庫、257ページ
難解度:★
ためになる度:★★★
感動出来る度:★★★★
面白さ度:★★★
おすすめ度:★★★★

あらすじ

 アキヒロは印刷会社に努める若きサラリーマン、彼は毎日が憂鬱だった。原因は内向的な自分のせい。そして松永という先輩のせい。 ある朝、アキヒロは松永に強い殺意を抱く。同じ駅のホームにたたずむアキヒロと松永。急行電車が近づき、松永は背中を押され、轢かれて しまう。逃げるアキヒロは、駅からすぐそばにある盲目の女性、ミチルの家に逃げ込む。ミチルもまた、アキヒロと同じように内向的な性格 の女性だった。盲目な為にアキヒロの存在に気がつかないミチル。アキヒロはミチルの家に息を潜めて隠れている。5日経ち、一週間が経つ。 しかしいつまでもこのままであろうはずはなかった。

感想

 会社の読書好きの後輩に借りた本ですが、最初は幼稚な表現で、未熟な作家の未熟な小説かな〜と思ってたかをくくっていたら、大きな 間違いでした。盲目の女性であるミチルの家に隠れ潜むアキヒロ。最初、いくらなんでもアキヒロがいることはすぐにばれるだろうと思って 読んでいたのですが、なかなかばれない。しかしミチルは薄々感じていた。その辺りの描写は、未熟ではありますがなかなか読者をドキドキ させてくれます。結局ばれてしまうのですが、そのバレかた、そのあとのミチルとアキヒロの関係。それを考えると、なんとも切なく、淡い 気分にさせてくれました。日々過激な刺激の中で生きている私からしたら、こんな冬の日差しのような淡い世界観というのは、長らくお目に かかっていない、新鮮なものでした。

 物語自体は、文字が大きくかかれていてページ数も少なく、あまり大きな展開をしません。アキヒロがミチルの家に紛れ込んで、ミチルと アキヒロの奇妙な共同生活。ミチルの日常。それから、殺人者の汚名を着せられたアキヒロの非日常。ミチルの日常の中に、アキヒロの 非日常が入ってきて、最後はミチル自身がそんな突発して起こった非日常の世界の中の登場人物であったことがわかり、ミチルは大いに 狼狽してしまう訳です。

 作者自身のあとがきを見ると、どうやら作者の心理が、この作風になったんだなというのがわかりました。似たもの同士のミチルとアキヒロ の心の弱さは、どうやら作者自身の心の弱さであるようです。とりあえず、作者のあとがきを読むと、この人大丈夫か?と思ってしまったり します。まぁ私も彼のようなところあるし、私もまたミチルであり、アキヒロであり、彼らの気持ちがよくわかるんですよね。だからこそ 面白かったし、大いに感情移入できたんだろうと思います。私のレベルとしては短くて物足りない小説ではありましたが、面白かった! 中学生くらいの人が読むとしたら、結構いい小説だろうなと思います。

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