6.世紀末特別企画
よこうちが選ぶ陸上界20世紀中印象に残った出来事ベスト10

2000. 12. 30

今回は、20世紀もあと少しで終わってしまうということで、世紀末特別企画として「よこうちが選ぶ陸上界20世紀中印象に残った出来事ベスト10」というものを企画してみました。ただし、お断りしておきますが、これはよこうちが独断と偏見で選ぶ、超個人的趣味で選んだもので、「えーっ、何であれがないの?」というのは多数あるかと思いますが、その辺はご勘弁ください。また、あくまでも自分自身が見たもの、あるいは同時代に起こったことについてでないと印象などといっても嘘臭いので、東京五輪のアベベだとか、この前亡くなったザトペックなどはこの中に入ってきません。従って、20世紀といっても実際には20世紀最後の4半世紀ということになります。

東京世界陸上、C・ルイス100m世界新、9秒86
伊東浩司100mで10秒00!
アウイタ、ソウル五輪800mで銅メダル
高野進、東京世界陸上400mでファイナリストに
1500m、クラム、アウイタの対決での初の3分30秒突破
90年代中〜後半のディスタンス・レボリューション
M・ジョンソン、200mで驚異の19秒32
高橋尚子、マラソンで驚異の日本最高2時間21分47秒
瀬古利彦、ロス五輪マラソンで敗れる
10 F・ショーター、モントリオール五輪マラソンで敗れる

解説

東京世界陸上、C・ルイス100m世界新、9秒86

 

1991年8月25日

これは、やはり自分が競技場で生で見たからでしょうね。国立競技場が高速トラックに改修され、世界新の期待は非常に高まっていたとはいえ、やはり目の前で世界新を見せつけられると忘れられないですね。20世紀最高のアスリートであるルイス(米)の100mでの最高の走りを目の前で見られたことは、本当に幸運でした。蛇足ですが、この日(8月25日)は私の誕生日だったので、自分で勝手に誕生祝いにしてしまいました。それにしても、長嶋茂雄が、あの場面でまさか「カール!」とスタンドからルイスに呼びかけていたとは・・・あの現場では思いもよりませんでした。
伊東浩司100mで10秒00!

 

1998年12月13日

これは、やはり衝撃の知らせでした。朝原選手がいち早く10秒0台に突入していたとはいえ、まさかこんなに早く日本人がこのタイムを出せるとは・・・。電光掲示板での速報では9秒99だったし。思えば私が陸上に関心を持ち始めた頃の100mの日本記録は不破選手が持っていた10秒34で、当時日本人がこのタイムを出せると考えていた人なんていたんでしょうか? 陸上の記録に対する常識的感覚を持ちあわせている人だったら、やはり想像できなかったのではないでしょうか? それにしても出したのが、かつて400mで高校記録を出した400mランナーだった伊東選手なんですから、年月が経つと色々変わるものです。
アウイタ、ソウル五輪800mで銅メダル

 

1988年9月26日

この選考は、まさに私ならではでしょうね。私のヒーローであるモロッコのサイド・アウイタが1988年のソウル五輪では800mに出てきました。5千、1万の長距離種目に出ていれば、楽勝で2冠を取れると言われていたのに、敢えてそちらを捨てて、中距離種目に出てきました。このシーズンの動向から五輪では800mに出ることが確実視されていたとはいえ、2年前に1万メートルを走っていた映像を見ていたので、その選手が800mを走っている姿は衝撃でした。アウイタとしてはこの五輪で800、1500の2冠を取り、次の五輪で5千、1万を取って、中長距離全制覇を目論んでたんでしょう。結局神様が微笑んでくれず、野望は夢と終わってしまいましたが、得意種目を捨ててまでこのような野望に打って出る選手なんて他にいるでしょうか?その勇気を称えたいと思います。
高野進、東京世界陸上400mでファイナリストに


1991年8月29日

当時日本短距離陣、唯一人の世界レベルの高野選手。世界レベルの証明である44秒台は達成し、次は世界大会でのファイナリストが目標で、東京世界選手権でついに達成しました。翌年のバルセロナ五輪でもファイナリストを達成し、一般的にいえば五輪での功績が称えられるんですが、やはり国立競技場で生の走りを目の前にして、こちらを選んでしまいました。決勝のスタートが切られて、観客席からフラッシュが一斉にたかれたのが印象に残っています。それから、この年の日本選手権での44秒78の日本新のレースも、鳥肌が立つような凄いレースで忘れられません。
1500m、クラム、アウイタの対決での初の3分30秒突破

 

1985年7月16日

このレースは1500mで史上初めて3分30秒の壁が突破されたレースです。しかもその内容が凄かった。コー、オベットを継ぐ英国のエース、S・クラムがラスト1周先行するところを、ロス五輪5000m金メダル、モロッコの英雄S・アウイタが最後猛然と追い込んだものの、クラムが3分29秒67で先着、アウイタは僅か0.04秒届かなかったが、しかし2人そろって人類史上初の3分30秒の壁を突破。実は、この対決は映像では見たことがないんです。しかし、雑誌などでゴール間際の写真を見たり、そのレース内容を伝える記事を読むにつけ、「いったい、どんな凄いレースだったんだろう」と想像が膨らむ一方でした。結局絶頂期での2人の対決は、これっきりで、非常に残念です。それにしても、この映像ぜひ見てみたいですね。誰か、このビデオ持っている人いないですかね?
90年代中〜後半のディスタンス・レボリューション

 

1993年7月5日 〜 1998年6月13日

これは、一つのシーンでは現しきれないので、このような取り扱いにさせていただきました。何を指すかと言うと、93年から98年にかけて、5千メートルで12分58秒39→12分39秒36、1万メートルで27分08秒23→26分22秒75とこちらの想像をはるかに上回る伸びで世界記録が更新されたことです。勿論この中の中心は近年最高の長距離走者H・ゲブレシラシエ(エチオピア)ですが、その他ケニア、モロッコ勢が合いまみれての世界記録奪い合い合戦は、本当に迫力がありました。この時期は、夏場になるとヨーロッパの試合の結果をチェックして、いつ世界記録が出てないか探すのが楽しみでした。
M・ジョンソン、200mで驚異の19秒32

 

1996年8月1日

正直言って、アトランタ五輪前のマスコミのマイケル・ジョンソン(米)に対する報道には辟易としてました。五輪史上初かもしれないが200m、400mの2冠がそんなに凄いことなのかと。大体時代が違うとはいえ、初回オリンピックの400m優勝者は100mの優勝者でもあるし、たまたまその時200mという種目がなかったに過ぎないじゃないか。何か大したことをやってないのに、無理矢理理由をつけてヒーローを作り上げているようで嫌でした。ですから、アトランタ五輪中はずっとジョンソンに対しては否定的だったんですが、この記録を出されてしまうとさすがに文句は言えませんね。素直に脱帽せざるを得ませんでした。やはり記録の威力と言うのは凄いですね。ちなみにジョンソンは私より19日遅く生まれただけです。
高橋尚子、マラソンで驚異の日本最高2時間21分47秒

 

1998年12月6日

これは、ちょうど1998年の奥多摩駅伝に出ている最中でした。駅伝が終わってみんなが集まる会場に着くと、アジア大会女子マラソン優勝タイムが2時間24分だとか、2時間21分だとかいう声がどこからとなく聞こえてきました。「いくらなんでも日本人がそんなタイム出せるわけない、中国人に決まってる」などという声も飛び交ったんですが、結局出したのはあの酷暑の中、高橋尚子選手で、こちらの想像を大きく飛び越える2時間21分台の記録でした。確かにシドニー五輪での金メダルも偉業なんですが、こちらの想像をはるかに超えるパフォーマンスと言うことで、こちらを選ばせていただきました。
瀬古利彦、ロス五輪マラソンで敗れる

 

1984年8月12日

私の記憶がある中では、陸上では最強の日本人、瀬古利彦選手。とにかくその強さと言ったら、今の高橋尚子選手を凌いでいたのではないでしょうか? 瀬古選手が負けるなんて考えられなかったんですから。その瀬古選手が晴れの舞台でついに敗れてしまいました。35km手前、気がつくと瀬古選手が遅れはじめています。みんながこのシーを形容するように、「信じられない」の一言です。その後は、夕日を背後から浴びながら選手がどんどん振り落とされていく中で、優勝したC・ロペス選手(ポルトガル)のさっそうとした姿も印象に残っています。
10 F・ショーター、モントリオール五輪マラソンで敗れる

 

1976年7月31日

これは、私が物心ついた時に最初に見た陸上のシーンではないでしょうか? 確か小学校3年生の時だと思います。陸上に関心もないのに何故ショーター(米)の名前を知っているかというと、親父がテレビ画面を指して、「あれがショーターだ」と言っていたからです。テレビで見るショーターはひょろっと長く、どうも強そうに見えませんでした。対するもう一人の選手がどうも勝ちそうな気がして見てたんですが、案の定、その結果になってしまいました。後で知ると、勝ったチェルピンスキー(東独)は当時無名の選手で、対するショーターは前回五輪の覇者で、福岡4連勝の偉大な選手。もしそういう予備知識があったら、とてもあんな物の見方はできなかったでしょうね。全く無恥な真っ白な頭というのは、時として鋭い物の見方ができるようです。

以上がよこうちが選んだ、20世紀印象に残った陸上界の出来事です。自分の種目からか全てランニング種目になってしまい、しかもかなり独断と偏見が入っています。記録のことが多いのも、やはり自分が記録マニアだからですかね? しかし正直ベスト10を選ぶというのはかなり難しかったです。間違いないのは1位のC・ルイスの9秒86ぐらいじゃないですかね? 多分もう一回この作業をやったら70%入れ代わってしまうかもしれません。フィールド種目では、1991年の東京世界陸上での走り幅跳びでルイスとパウエルの歴史的死闘の末、パウエルがビーモンの世界記録を23年ぶりに破る9m95の世界新を出しルイスを下しました。自分もその現場に居合わせましたし、ベスト10の中に入れようかとも思ったんですが、超間抜けなことに、そのシーンは見逃してしまったんです。ルイスのジャンプは全て見届けたのに・・・。ということで、個人的な失態のせいで、これは圏外になってしまいました。しかし、その後のスタンド全体の興奮は十分に味わえました。

本当に世紀末特別企画というには、あまりにもお粗末な独断と偏見の固まりの内容になってしまったんですが、少しでも楽しんでいただければ幸いです。さて、みなさんの20世紀ベスト10はいかがなものでしょうか?